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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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香りに誘われて

「動きづらいですね」

「そうだね。重いし、ベタついてるせいで引っ張られる感じがあるよ」


風の竜巻で芋虫の糸は切れたけど、トレントから受けた樹液は消えなかった。

風で吹き飛ばせると思ったんだけど、粘度が高いからか全然飛ばず、冷えたせいか固まってる部分もある。

しかも、トレントの放つ甘い匂いは消えたんだけど、僕たちに樹液が付いてるせいで、周囲に甘い匂いは漂ってる。

このままだと芋虫や白っぽい鳥が来るんじゃないかな。


シロツキとトバリは、自分の体に付いた樹液を舐めてる。

舐めた場所からは樹液が減っているから有効なんだろうけど、さすがに服についた樹液は舐めたくないよ。


しかも、シロツキとトバリは届かないところを舐めあってるんだけど、それを僕とミヤビちゃんでやったら一発でアカウント削除されるよ!

というか、別にプレイヤー同士で舐める必要はないからシロツキ達に舐めとって貰えばいいんじゃないかな!


「あの、水で落ちないんでしょうか?シロツキちゃん達が舐め取れているので、落とせそうな気がします」

「やってみてもいいかもね」


水があったね。

アザレアの杖を水に変えてボールで狙うか、ストームで丸洗いかな?

できるかどうかわからないけど。


ミヤビちゃんはアザレアの杖に水の魔石が付いてることを知らないから、川でも探すつもりかもしれないけどね。


「きゅー!」

「キュキュキュ!」


魔石を切り替えようとしたら、シロツキとトバリがそれぞれ別方向を向いて鳴き出した。

シロツキの視線の先には白っぽい鳥が4羽。

トバリの方には芋虫が3匹と、丸まった触角がノコギリのようにギザギザしていて羽が鮮やかな赤色の蝶々が5匹いた。

あれが吸血バタフライかな。


「ミヤビちゃんは鳥をお願い!僕は芋虫と蝶を倒すよ!」

「わかりました!」


範囲攻撃で鳥を倒すべきかもしれないんだけど、ミヤビちゃんが芋虫と戦えないだろうし、こう分けるしかないよね。

それに、シロツキ達も飛べるんだから、鳥ぐらい追い詰めて倒してくれるよ。


「ストーム!」


戦闘が終わった時点でハピネスかアザレアを出しておけばよかったよ。

芋虫の糸を切るならハピネスの方が細かく動けるし、HPも減ってるからクローバーを出して回復できてたのに。


芋虫はこっちに気づいた瞬間動きを止めて、頭を僕に向けてきて、口元に少し糸が見えたから出す時間がなかったよ。

それでも、アザレアを抱えていておかげで風の竜巻を放てたんだけどね。

ただ、アザレアの杖にも水飴のように樹液が付いていたせいで、狙いが手前になった。

そのせいで芋虫は竜巻に呑まれて倒せたんだけど、蝶には当たらなかった。


ミヤビちゃんを見ると、シロツキとトバリが白っぽい鳥を空中で叩き落とすか、空中で咥え運ぶことでミヤビちゃんの元に持って行き、ミヤビちゃんが槍でトドメを刺すという流れができていた。

残り2羽だからすぐに終わりそうだよ。


蝶に視線を戻す。

普通の蝶より早く動いていて、さっきのストームを警戒しているのか、匹とも大きく距離を取っている。


「ボール!」


手近な一匹に風の玉を放っても、ヒラリと避けられた。

蝶は避けながら徐々に近づいてきてるので、最悪至近距離でストームを放てばいいよね。

竜巻で周囲の状況が見えなくなるけどダメージはないし。

でも、まだ距離はあるから攻撃は続けるよ。


「ランス!」


玉がダメなら風の槍だ。

玉より速いんだけど樹液のせいで杖が少し下を向いていたせいで羽の下側を掠めるだけだった。

少し上を狙ったんだけど、まだ足りなかったみたいだね。


それでも、直撃してないのにHPの3/4を削れてるのは流石の性能だね。

後は動きの鈍った蝶にトドメを刺すだけなので風の玉を当てた。

やっと1匹倒せたよ。


残りの4匹はミヤビちゃん達に向かわず、僕を包囲するように飛んでいる。

どれを攻撃するか迷っていると、丸まっていた触角を伸ばして、鞭のように攻撃してきた。

ノコギリみたいにギザギザしているせいか、思ったよりダメージが高い。


4匹のうち1匹は右腕に触角を絡ませ、一気に丸め込むことで僕の腕に近づいてきた。

そして、口吻を体に突き入れてきた。

注射で刺されたようなチクッとした痛みだったんだけど、結構な勢いでHPが減り出したので慌てて払いのける。

これが吸血か。

蝶はHPが満タンだったので回復しているのかわからなかったけど、たぶんしてるんだろうね。


「うぉ?!」

「オキナさん!」


ミヤビちゃんが声をかけてくれたけど、1匹を払いのけたらその隙をついて残りの3匹が群がってきたので返事をする余裕はない。

しかも、それぞれ口吻を出して迫ってきてるから吸血する気なんだろうね。


3匹が近づいてきてくれたので、アザレアにストームを使わせようとしたけど発動しなかった。

MPを見てもストームの分は問題なくあったので、アザレアを見てみると糸が切れていた。


糸のあった指先には蝶の口吻が突き刺さっていて、HPではなくMPが減っていた。

もしかして蝶に糸が吸われた?!


この蝶も腕を振り回して払いのける。

そうすると今度は別の方向から蝶が来る。

何で僕ばっかり狙われるんだろう。


繰り糸(マリオネット)!ストーム!」


アザレアに糸をつけて、足元に竜巻を発生させる。

2匹を巻き込み、倒すことができたよ。


竜巻の中にいるせいで周囲の状況がわからないけど、ミヤビちゃんが蝶を倒してくれてるといいな。


竜巻が晴れると、蝶を追いかけるシロツキとトバリ。

飛んでる蝶目がけて槍を突き入れるミヤビちゃんがいた。

蝶はシロツキ達の追跡を触角で牽制したり、キラキラと赤く光る鱗粉で回避していて、ミヤビちゃんの突きは単純に身長不足だった。


そしてなぜか蝶は僕に向かって飛んできた。

近くにミヤビちゃん達が来たにもかかわらず、迷うことなく突っ込んできた。

ここまで狙われると何か理由がありそうだよ。


「ボール!ストーム!」


ボールを避けやすいように少しずらして放ち、2匹の中間地点に竜巻を出した。

1匹は風の玉を避けて傾いていたので巻き込まれたけど、もう1匹はギリギリで回避された。

その避けた方をシロツキ掴み、竜巻に押し入れてくれたので何とか倒すことができた。


倒せたんだけど、ずっ範囲攻撃を少数に使ってるよね。

効率が悪いんだけど、何が原因なんだろう。

引き付ける人がいないからかな。

ミヤビちゃんは盾を持ってるけど、竜騎士って盾色じゃなくて遊撃だよね。

だから、ミヤビちゃんに壁になってもらうつもりは無いよ。


「あの、オキナさん」

「ん?」

「オキナさんのHPが減ってたから蝶々が迫ってきたんじゃないでしょうか?」

「どうしてそう思ったの?」

「蝶々はオキナさんの腕について血を吸ってたんですよね?」

「出血はしてないけど、あれが吸血バタフライだとしたらそうだと思うよ。ノコギリ状の触角で切りつけらたし」


あんなので切られたら出血のバッドステータスがあっても良さそうだけど、それが無いってことは存在しないか、バッドステータスを受けるほどじゃなかったってことだね。

なんとなくだけど後者な気がする。

よくよく考えると触角だったので、そこまで切れ味が良く無いだろうし、血を吸うために切れればいい程度だよね。


「さっきクエストを確認したら吸血バタフライの討伐が進んでいました。なのでさっきの蝶々は吸血バタフライですね」

「やっぱりあれがそうだったんだね」


切り口を作るための触角に、血のように赤い羽。

血を吸った影響で赤くなったんだろうね。


「吸血バタフライに怪我をしたところから血を吸う習性があるとしたら、この中で1番ダメージを受けてたのはオキナさんなので、表示されていない血に誘われて蝶々が来たんじゃ無いでしょうか?」

「なるほど。樹液で芋虫と白っぽい鳥が来て、僕がダメージを負っていたせいで蝶々が来たってことだね?」

「はい。予想ですけど……」

「そうかもしれないね。執拗に僕だけを狙ってきたから何かあるとは思ってたけど、それがダメージだとは思いつかなかったよ」

「決まったわけではないですよ!」

「うん。でも、納得できたよ」


もしもミヤビちゃん言う通りだったら、回復せずに待っていた方がいいのかもしれない。

HPが半分近く減ってるから回復したいんだけどね。

まぁ、少しダメージを残しておけばいいかな。


ただ、どちらにせよ樹液だけは早く取り除きたいから、水の魔法を試してみるよ。


GWにやる予定だった見直しは8月頃になりそうです。

皆様から指摘いただいた誤字脱字は即座に修正していますが、見直しができていない部分についてはしばらくの間目を瞑っていただけるようお願いします。

見直しても見落とす可能性もありますが……。


今は毎日投稿だけで精一杯です。

たまに何を書いてるかわからなくなるときもあるぐらいなのでご容赦をお願いします。


まだまだ毎日投稿頑張ります!

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