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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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ドロドロベタベタ

トレントに5匹の茶色い芋虫がくっ付いて樹液を啜っているのを見たミヤビちゃんは固まっていた。

それでも、盾と槍を構えてるんだから流石だよね。

近づかれたくないからだろうけど。


トレントは、残りのHPが残り3/4ぐらいになったら動き出した。

枝を振り上げ、幹を目掛けて振り下ろした。

だけど、芋虫には枝じゃなくて葉っぱが当たるばかりでたたき落とすことができなかったみたいで、今度は細い枝を動かして1匹ずつ弾き落とした。

最初の攻撃は一気に落とそうとして失敗したみたいだね。


トレントが3匹の芋虫を落としたところで、白っぽい鳥が2羽飛んできて、地面に転がった芋虫を攻撃し始めた。

どんどん増えていくんだけど、まとめてストームで倒せないかな……。


トレントと白っぽい鳥と茶色い芋虫は三竦みの関係なのかな。

トレントは樹液で白っぽい鳥を誘い出して倒し、白っぽい鳥は茶色い芋虫を倒す。

茶色い芋虫はトレントの幹を囓って倒す。

でも、さっきの様子を見るとトレントが頂点にいる気がするけどね。

弾いた後根っこで突き刺せば芋虫を倒せたと思うんだけど、落とすことを優先したのか、根っこは出さなかった。


「ミヤビちゃん。まとめて倒そうと思うんだけどいい?」

「……はぃ……」


盾の陰に隠れたミヤビちゃんから小さな声で返事が返ってきた。

ミヤビちゃんのためにもさっさと倒そう。


「ストーム」


慎重に狙いを定めて竜巻を発生させた。

トレントが払い落とした3匹の芋虫を中心に、芋虫を攻撃していた白っぽい鳥、トレントとそれに付いている芋虫2の芋虫も巻き込めた。


地面に落ちた芋虫と白っぽい鳥は風の竜巻が生み出す刃で切られてダメージを受けてるんだけど、トレントは樹液を大量に分泌して体をコーティングしたみたいで、思ったよりダメージが入らない。

トレントに付いてる2匹の芋虫も樹液浴びたせいか、地面の3匹と比べると半分以下のダメージだった。

樹液は火を消すだけじゃないんだね。


竜巻は継続ダメージがあるので、地面にいた芋虫と白っぽい鳥は倒せたけど、トレントと芋虫2匹は倒せなかった。

HPも半分以上残ってる。


そして攻撃したことで僕達がいることもバレたみたいで、芋虫がボトッボトッとトレントから落ちてこっちに向かってきた。


「ひぃ!」


盾の陰からチラチラと見ていたミヤビちゃんが小さく悲鳴を上げて、少し後ろに下がって槍を構えなおした。

それでも盾の陰から少しだけ顔を出してる。

嫌いだからこそ気になるよね。


トレントは根を張ってるせいかその場から動かない。

そして、芋虫は体を伸び縮みさせてゆっくりと迫ってくる。

この速度なら追加で人形を出す必要はないね。


「ピギッ!」

「ピギュッ」


アザレアで魔法を放とうとしたら、芋虫の下から根っこが突き出てきた。

根っこは1匹のお腹に突き刺さりHPが砕け散った。

もう1匹は丸まったことで跳ね上げられたけど、まだHPは残ってる。

モンスター同士だけど仲間じゃないから攻撃できるんだね。

この場合経験値はどうなるんだろう。


跳ね上げられた芋虫は地面を転がりながらミヤビちゃんの盾にぶつかる。

ゴンッとぶつかったことで顔を出したミヤビちゃん。


「いやぁ!!」


とっさに槍を突き出したけど、目を瞑ってたので空振る。

そして、芋虫からシューシューと糸を吐かれる。

糸は繰り糸(マリオネット)と違い真っ白い糸で、ミヤビちゃんの盾をどんどん白く染めていく。

ミヤビちゃんはそれに気付いて槍を突き入れたんだけど、その槍も糸に絡め取られてしまい、動かせなくなってた。


「し、シロツキちゃん!トバリちゃん!」


ミヤビちゃんの合図で飛び上がったシロツキとトバリ。

芋虫が近づく2頭に対して糸を吐くので、うまく近づけないみたいだ。


アザレアの魔法で吹き飛ばそうと思って前に出たら、葉っぱが飛んできてダメージを受けた。

トレントを見ると、葉のついた腕を振っていて、一振りすりたびに葉っぱが飛んでくる。

しかも、一度に5、6枚の葉っぱが飛んでくるので地味に痛い。


「うわっ?!」


葉っぱを無視して芋虫を狙おうとすると根っこが槍のように伸びてきた。

あの根っこは伸びるんだ……。

遠ければ安全だと思ってたけど、葉っぱや伸びる根っこのせいでそこまで安全じゃなくなったよ。

魔法も樹液でダメージを減らされるし。

もしかすると、トレントには接近戦の方が良いのかもしれないね。


近ければ根っこと枝で、遠ければ根っこと葉っぱ。

どちらもあんまり変わらない気がするよ。

とりあえず今は芋虫かトレントのどちらかを倒さないと!


ミヤビちゃんは盾と槍を絡め取られたからか、手を離して後ろに下がっていた。

そのせいで盾と槍が糸玉のように一纏めにされてるね。

取り出すのに苦労しそうだよ。


「ミヤビちゃん!シロツキ達にブレスを吐かせたら良いんじゃないかな!」

「吐かせようとしたんですけど糸で口を塞がれたんです!」


シロツキは体が白いのでわかりづらかったけど、トバリは体が黒いので口に付いた白い糸が目立っていた。

糸のせいで口が開けられないみたいだ。

近づいて攻撃しようとしたら糸を吐かれるから、小さな体だとすぐに絡め取られそうだから近づかないんだろうね。

絡め取られないように、飛ぶ時と同じく体を大きくすれば良いと思うんだけど、森が狭くてできそうにないんだよね。


とりあえず芋虫は動きを封じてくるけど攻撃してこないから、先にトレントを倒そう。

芋虫を狙うとトレントがこうへ激してくるけど、トレントを攻撃しても芋虫はシロツキ達が抑えてくれてるからね。


ハピネス達を出すことも考えたんだけど、出した瞬間根っこに攻撃されそうだからクローバーでゴリ押すことに決めたよ。

ストームの連射だ。


「ストーム!」


ストーム1回で1/4減ったから3回使えば倒せそうだ。

樹液を使われなければもっと早いんだけど、杖を向けた瞬間には樹液を出してたよ。

芋虫は竜巻の範囲外だったのでダメージはなかったんだけど、シロツキトバリが竜巻の中に入っていった。

ダメージはないんだけど、風の影響は受けるはずなんだよね。

何しに入ったのかはわからないけど大丈夫かな?


シロツキ達はすぐに出てきて、入った理由はトバリを見てわかった。

口に付いてた糸がなくなってるんだよ。

ダメージを受けないのを良いことに、竜巻の中で発生してる風の刃で糸を切ったんだね。


そして、2頭同時に玉状のブレスを芋虫に向けて放つ。

芋虫はそれに反応していてシロツキに向けて糸を吐いたんだけど、糸はブレスに押しつぶされて、そのまま芋虫に直撃した。

どちらかを1頭のブレスで倒せるHPだったけど、2頭のブレスによって芋虫は倒された。


芋虫は消えたんだけど、吐かれたいとは消えることがなく残っていた。

なので、ミヤビちゃんはまだ素手のままだ。

それでも、シロツキ達がトレントの相手をできるようになったので、後は根っこや葉っぱに気をつけながら倒すだけだ。


「うぉ?!」

「きゅっ?!」

「キュ?!」

「きゃっ?!」


竜巻が切れたので再度放とうとしたら、トレントが大量の樹液をまき散らした。

ミヤビちゃんはどうにかして盾と槍を取り出そうと、糸玉と格闘していたんだけど、広範囲に放たれたので、僕やシロツキ達だけでなく、ミヤビちゃんにもかかっていたよ。


シロツキとトバリは樹液の重さでゆっくりと高度を下げ、ミヤビちゃんは樹液浴びた勢いで糸玉にくっ付いたみたいで、動けないようだ。


僕の方はとっさにアザレアを抱きしめてかからないようにしたんだけど、ストームを放つために突き出していた杖にかかって、樹液の重さで狙いがズレた。

そのせいで放たれた竜巻はトレントの前に発生したんだけど、範囲攻撃のおかげでトレントにも当たり、樹液を使ってコーティングしていなかったので、そのまま倒せた。


「うぅ〜。ベタベタします……。それに、動けません」


倒せたんだけど、糸も樹液も残ったままになってるよ。

状態異常だからかな。

ステータスプレートの横には、体と重りのマークのアイコンが出てるから、重量増加みたいなバッドステータスなんだろうね。

ミヤビちゃんのステータスプレートの横には、僕と同じ重量増加みたいなアイコンと、ミノムシ状態にされた人間のアイコンが表示されてるよ。


バッドステータスってことは時間経過で回復するかもしれないけど、ここはさっきのストームで糸を切ったシロツキ達を見習って魔法で解除しようかな。

もしかしたら樹液の匂いに誘われてモンスター来るかもしれないし。


ミヤビちゃんの近くに杖を向けてストームを放つ。

発生した竜巻でミヤビちゃんが装備しているドレスアーマーのレース部分がパタパタはためいてるけど、ミニスカートじゃなくてズボンタイプだから問題なし。

仮にミニスカートだったとしても、身長差で見えないし、見えたとしても小学生には興味ないよ。

うららさんだったら見ちゃうかもしれないけど。


竜巻が収まると樹液まみれのミヤビちゃんが盾の上に寝転んでる状態だった。

糸玉が消えたことでバランスが崩れて倒れたんだね。

そして、樹液は風で吹き飛ばされなかったみたいなので、しばらく放置するしかないかな。


「ん?ウィンドウが出てる」


『レベルアップしました!

Lv:8→9

HP:180(+10)

MP:900(+50)

ST:118(+1)

STR:18(+1)

VIT:18(+1)

DEF:18(+1)

MDF:180(+10)

DEX:340(+5)

AGI:18(+1)

INT:360(+20)

LUK:50(+0)


ステータスポイントを2ポイント獲得しました!』


レベルが上がったよ。

2桁の大台まで後1だ!

この調子で頑張ろう!


とりあえず今は樹液をどうにかしないと……。


トレントVS芋虫VS白っぽい鳥VSオキナ達という状況でしたが、システム上は他の「プレイヤー」と戦っているわけではないので、全モンスターがオキナとの戦闘状態になりました。


そして、モンスター同士は仲間ではないので互いに攻撃するとダメージが入ります。

ここ場合の仲間は「パーティ」のことで、モンスターがパーティを組んでいる場合、仲間同士の攻撃でダメージを受けなくなるだけでなく、連携も強化されます。


いたずらな風についてですが、小学生プレイヤーは何をしようとしても「見えません」。

不思議な光が発生します。


そして、一般プレイヤーの戦闘中や移動中は「見えそうで見えない」が発生しています。

最高ですね。


プレイヤー本人がたくし上げる等をすれば「見せる」ことはできます。

その際、脅されているなどが検知された場合、対象のプレイヤーが一発でアカウント削除ですが、自分から見せることはできます。

ただし、下着を脱ぐことはできないので、それ以上の行為は行えません。

ズラす事も出来ません。

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