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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
71/287

採掘場

ログイン日数で章を作成しました。

今後も日数で分けるかどうかは決まっていませんが、しばらくはその予定です。

石の人形から手に入れたツルハシは耐久値が40/100ばかりだった。

もしかして、ツルハシを持ってこなかった人のためのモンスターなのかな?

そうだとしたらどれだけ倒しても湧いてきそうだけど、3体の石の人形と戦ってからは、ツルハシ持ちどころか何も持ってない奴とも遭遇してない。


「急に出てこなくなりましたね」

「そうだね。結構進んだと思うんだけど」

「はい。3分ぐらい歩いてる気がします」

「うーん。ボーナスモンスターだったりするのかな」

「ボーナスですか?」

「うん。ツルハシをプレイヤーに渡す用のモンスター。この先でツルハシが必要になる場所があって、ツルハシを持ってないプレイヤーは石の人形を倒して取得するとか」

「ツルハシが必要になる場所……採掘ポイントがたくさんあるといいですね!」

「そうだね」


発掘ポイントがたくさんあるからだといいね。

素材アイテムはたくさんあっても売ればいいし、僕だと鉄の人形を作るために使うかもしれない。

あって困るとしたらアイテムバッグが圧迫されてる時ぐらいだけど、今のところ問題ないから採掘ポイントはいくらあってもいい。


そんなこともあって採掘ポイントを探しながら歩いていたんだけど、何も見つからなかった。

試しに何もないところを掘ってみたりしたんだけど、石が手に入っただけだった。


まぁ、石でも手に入れた時はビックリしたんだけどね。

掘った場所も削れたままだったし。

たぶん、掘り進めてトンネルを作ったりすることもできると思う。

それも開拓といえば開拓だし。


「あ!この先広場になってます!」

「そうだね。何かいるかもしれないから慎重に進もうね」

「はい!」


通路の先が開けていることに気づいたミヤビちゃんのテンションが上がった。

ずっと通路を進んでたから変化が嬉しいんだろうね。

僕も何も出てこない通路は少し飽きてたから助かったよ。


「うわぁ……広いです!」

「ここは採掘場かな」


通路の先は体育館よりも広く、木を組み合わせた足場がたくさんあった。

壁に向けてだけじゃなくて、見上げるほど大きな岩に対しても足場が組まれていて、所々に石が入っていた箱も置いてあるし、石を捨てたのか小山になってる場所もあった。

足場への移動はハシゴばかりで、移動が大変そうだ。


「採掘場……ですか?」

「うん。たくさんの人で掘ってたんだと思うよ」

「そうなんですか……」


ミヤビちゃんはキョロキョロと辺りを見回してる。

パッと見たところモンスターは見当たらないし、採掘ポイントも無さそうだ。

これだけ広いと何かありそうなんだけどね。


「きゅ!」

「キュー!」


広い場所に出たからか、シロツキとトバリが飛び上がった。

そして、足場を伝っても行けないような場所に行った。

もしかしてミヤビちゃんの代わりに探索してくれてるのかな。

普通の人には行けない場所だけど、スキルを組み合わせたらい行けるかもしれないし、探してくれるのはありがたいね。


高いところはシロツキとトバリに任せて、僕とミヤビちゃんは下を探すことにした。

掘られた場所を探したり、足場を使って岩を確認してみたんんだけど、やっぱり採掘ポイントはなかった。


ただ、採掘して放置されていたのか崖が崩れたせいで慌てて逃げたのせいなのかはわからないけど、鉄鉱石が落ちていたり、ツルハシが壁に立てかけられていた。


壁際に置いてた工具箱のような物からは、ランタン用の油やティーセットや香油の入った瓶なんかが出てきたので、油は僕が貰って、ティーセットや香油はミヤビちゃんに渡した。

何で採掘場にこんなものがあるのかわからないけど、視察に来た誰かが置いて行ったのかな。


「きゅきゅ」

「キュ!」


高いところを確認していたシロツキトバリが降りてきて、ミヤビちゃんに色々渡していた。

鉄鉱石のようなものから、銀色の何かが岩から出てる物、腕輪やナイフなんかを手足で掴んで持ってたよ。

銀色の何かは銀鉱石かな?

腕輪やナイフはなんなんだろうね。

ここで亡くなった人の持ち物とか?

考えたら怖くなってきたので、これ以上想像するのはやめておこう……。


「次はどうしますか?」

「とりあえず奥の方も見に行こうか」

「わかりました」


まだ入り口付近しか見れていないので、奥を見に行くことにした。

奥といっても入り口から見ると左右と前方の3方向に広がってるから、どこから探索するか迷うんだよね。

上はシロツキとトバリに任せるのは決まってるけどね。


「とりあえず壁に沿って探索しようか。上はシロツキとトバリに任せてもいい?」

「はい。大丈夫です。シロツキちゃん、トバリちゃん、お願い!」

「きゅ〜」

「キュ!」


2頭が飛び上がったのを見送って、左側から壁に沿って探索することにした。

これなら最低限壁際は探索できるし、そこから見える岩なんかも近づけばいいだけだしね。


「あ!何か光ってます!」

「あの小山だね」


探索しているとミヤビちゃんが捨てられた石の小山を指差して声をあげた。

見てみると小山の上部ほんの少しが光っていた。

しばらく見ていると小山から手が生えてきて、体、頭とどんどん生えてきて、最終的には石の人形になった。


別に小山の石が減ったようには見えないんだけど、内部では減ってるのかな。

もしそうだとしたら、あの小山が無くなったら出現しなくなるからただの出現ポイントだと思うんだけど……。

ちなみにツルハシは持ってない。


「モンスターが生まれたんですよね……」

「そう……だと思うよ。倒された時は光になるから、生まれる時は光が集まるんだね。あの光が何なのかはわからないけど」

「魔力じゃないですか?」

「かな」


何にせよモンスターが出現する瞬間が見れたのはいいことだね。

今後は光ってたら様子を見ることにしよう。

出現した瞬間は倒しやすそうだし。


今回現れた石の人形は、僕達に背を向けて生えてきたので、こっちには気づいてないね。

攻撃するか悩んでいたら、歩き出したので少し様子を見ることにした。

生まれた直後のモンスターがどういう行動を取るのか気になるし。


石の人形の後をついて行くと、入ってきたのとは別の通路に入っていった。

急に曲がって居なくなったから、ちょっとビックリしたよ。


僕とミヤビちゃんが後を追って通路に入ろうとしたら、いつの間にかシロツキ達も戻ってきていて、手には鉄鉱石が握られていた。

ミヤビちゃんはその鉄鉱石を僕に渡すと人形の後を追って通路を進み出した。


「シロツキ達が取ってきた物だよ?」

「はい。私はさっきも貰いましたし、ティーセットや香油も貰っています。腕輪やナイフも渡しましょうか?」

「いや、それもシロツキ達が取ってきたものだからね。これだけでいいよ」


受け取った鉄鉱石をアイテムバッグに入れてミヤビちゃんの後を進む。

石の人形はどんどん進んでいき、やがてさっきの採掘場とは別の広場に出た。


その広場は、僕達が通ってきた道のあるところから2mほど低くなっていて、中央に鉄鉱石らしき山があるのと、石の人形なら通れそうな小さな穴がいくつか空いていて、そこから石の人形が出入りしていた。

石の人形達は鉄鉱石らしき物を持っていて、真ん中の黒い小山に置いては踵を返して通路に消えて行くということをしてるみたいだね。

ここに来るまでに発掘ポイントを掘っていた石の人形達も、このために掘っていたのかも。


となると、真ん中の黒い小山が何なのかって話になるんだけど、鉄の人形を生み出すのか、小山全体が人形になって襲い掛かって来るのかもしれない。

この場所の入り口は来た道しかなさそうだし、一度降りたら登るのが面倒な高さだから、ボスバトル用のフィールドに見える。


まぁ、僕は糸で登ればいいし、ミヤビちゃんシロツキに乗って飛べばいいだけだから、黒い小山がモンスターになっても逃げれるよね。

何かで閉じられたら別だけど。


「ミヤビちゃん。たぶん降りたらボス戦だと思うんだけど、どうする?」

「あの鉄鉱石でできた山ですよね?うーん。もし、あれがボスだとしたら、先にシロツキちゃんとトバリちゃんに取って来て貰って、数を減らすのはどうでしょうか?」


モンスターにならなければ鉄鉱石が手に入るし、なったら急いで降りるか撤退すればいいから、やって見てもいいかもしれないね。

たぶん、小山が減ったとしても関係ないと思うけど。


「うーん。シロツキ達が近づいた時点で戦闘になりそうだけど……やってみる?」

「はい!シロツキちゃん、トバリちゃん、よろしくね!」

「きゅ〜」

「キュー!」


シロツキとトバリが黒い小山に向かって飛び出した瞬間小山が震えて、下から黒い大きな人形が現れた。

アイアンゴーレムってやつかな。

HPバーは控えに1本あるからボスみたいな位置付けなんだろうけど、テンペストバードの方が迫力があったから、そこまで怖くはない。

と言っても3m程の大きさなので威圧感はあるけど。


「ボス戦かな」

「そんな感じですね」


振り返って後ろを見ると、赤い丸にバツ印がついた物が出ていて戻れなくなっていた。

やるしかないみたいだね。


「逃げられないし、降りて戦おうか。あいつの高さだとこの足場に攻撃が届くだろうから、下に降りた方が戦いやすいと思うよ」


今いる足場はそこまで幅がないし、段差は2mぐらいだ。

なので、3mのアイアンゴーレムの攻撃は余裕で届く。

わざわざ狭い足場で戦う必要はないから、降りた方がいいよね。


「あの……」

「ん?」

「降ろしてもらえませんか?高くて……飛び降りるのが怖いです……」


ミヤビちゃんが恥ずかしそうに、おずおずと手を広げてきた。

つまり、抱えて飛び降りろということかな?


シロツキとトバリを見ると、アイアンゴーレムがこっちに来ないよう、牽制の攻撃をしていた。

アイアンゴーレムはその巨体のせいか一歩一歩が大きく、動きもそこまで遅くないので、こっちに来ようとしたらすぐに来れそうだ。

シロツキを呼び、大きくして乗って飛び立つまでに攻撃されるかもしれない。


抱えるしかなさそうだけど、僕のSTRで装備を付けたミヤビちゃんを抱えることができるかな?


石の人形が生まれた場所から石を全て移動した場合、同じ場所の地面から生えてくるだけです。

つまり、ただの出現場所ですね。


ミヤビちゃんが2mの段差を飛べないのは、たとえゲームだとわかっていても怖いものは怖いからです。

VRゲーム体験会の高所系をやったことがある人はわかると思います。

あと、小学生にとっての2mの段差はなかなかの高さだと思います。


ちなみに広場に入ったばかりのオキナ達からは見づらいのですが、足場の左端にハシゴがあります。

気づかなかったのは探索する前にシロツキ達を放ったせいですね。

ハシゴに気づかなかったとしても、アイアンゴーレムの攻撃で足場の一部が崩れるので、降りやすくはなります。


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