表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
69/287

それは僕のじゃない

週一更新の作品に並んでしまった。

まさかの毎日投稿の結果をこんなところで実感するとは……


これからも頑張ります。

ツルハシを担いだハピネスを抱えていることに加え、足元に大小様々な石が転がっているせいで歩きづらい。

それでも進み続けていると、また採掘ポイントがあったので交互に掘る。

これで名前に鉱石と入ってるのは2つ目だ。

両方とも鉄鉱石だけど。


その後もモンスターが出ることのない道を進んでいると、急に開けた場所に出た。

そこは天井が高く、来た道以外にも3本の道があったけど、その内の一つは岩で埋まっていた。

壁際には蓋のない箱がいくつか置かれていて、そこには石がぎっしり詰まっていた。

他にも長い棒の両端にバケツのような物が付いた物もあった。


もしかするとここは鉱山だったのかもしれないね。

バケツに掘った鉱石を入れて運ん出たんだと思う。

床にトロッコ用のレールなんかは無いから、全部人力だったんだろうね。


鉱山だとすると閉山した理由が気になるけど、降りてきた崖の突き出したところに道があったことから、何かが起きたんだと思う。

山が削れることが想像できないんだけど、この世界には魔法があるし、巨大なドラゴンとかが襲ってきたのかな。

それこそテンペストバードの大きいやつが嵐を起こせば崖ぐらい削れそうだけどね。


「この辺を探索してみようか。もしかしたら発掘ポイントが見つかるかもしれないし」

「はい。じゃあ、あっちを見てきますね」


結構広いので、探索ポイントを探すために二手に別れることにすると、ミヤビちゃんは入ってきた道の反対側にある岩で塞がれた通路に向かっていった。

どっち回りで探索するか決めてないけど、とりあえず時計回りでいいかな。

ミヤビちゃんが逆方向に探索したらそれに合わせるだけだし。


とりあえず手近な箱に近づいてみた。

ランタンの光に照らされた石は淡いオレンジ色になってる。

そのせいでただの石なのかが分かりづらい。

なので、アイテムバッグに入れてみた。


結果、増えたのは『石』だけだった。

念のため、もう10個ほど丸くていい形の物だけを選んで入れてみたけど、全部『石』だね。

そりゃ鉱夫が選別した結果がこの石の山だろうから、こんなところに鉱石があるわけ無いか。


それでも、一応棒に繋がったバケツの中も見てみた。

すると、一個だけ拳大の黒い石があったので拾ってみると、光になって消えた。

アイテムバッグを確認すると鉄鉱石の数が増えていたので、拾ったのは鉄鉱石だと思うんだけど、石が光にならないのは何でだろう。

アイテムによって光になるかどうかが分かれてるんだよね。

基準はよくわからないけど、簡単に拾えるものは光にならなくて自分でアイテムバッグに入れないとダメだったりするのかな。


気になるけど後回しにして、箱の裏とか天井を念入りに見たけど何もなく、そのまま時計回りで探索を続けた。

足元に鉄の欠片が3つ落ちていたので拾ってみると、これは光になった。

素材アイテムは光になるのかな。


「オキナさん!」


念入りに壁や天井を調べているとミヤビちゃんに呼ばれた。

発掘ポイントを見つけたのかと思ったら、ミヤビちゃんは広場の真ん中にいた。

そこに採掘ポイントはないと思うけど……。


ミヤビちゃんの方に進んでいくと、盾で遮られた先に何かが居た。

これを見つけたから呼んだみたいだね。

ちなみにシロツキは光の玉を2つ増やして広場を見やすくしてくれて、トバリはミヤビちゃんの横で待機している。

ここなら飛べそうだけど、今は現れたそれを見てるだけだ。


それは、石でできた小さな人形だった。

大きさはハピネス達と同じぐらいで、顔の部分には石がいくつかくっついて表情を作っている。

目は小さい石を使ってるせいで点にみえ、眉の部分はやたら太い。

鼻と口は程よい石があったのか、それっぽい形になっていた。

関節は球体ではなく、丸に近いゴツゴツした石で、腕や足なんかは細長い石を使っている。

指は小さな石が3本付いているだけだった。

あれだと何も持てないね。


ミヤビちゃんは、何故か石の人形とハピネスを見比べている。

そして、その後僕をじっと見てきた。

もしかして、あれを出したのが僕だと思ってる?

石の人形は何故か動かないので、対処に困ってるだけかもしれないけど。


「あの石の人形は僕のじゃないからね」

「そうですよね。モンスターですよね」


改めて盾を構えなおし、石の人形に槍を向けるミヤビちゃん。

さっきまで槍を向けてなかったんだね。


ミヤビちゃんが武器を向けたせいか、ようやく石の人形動き出した。

少しこちらに近づいたかと思うと、まだ距離があるのに腕を振っただけで止まった。

そして、ミヤビちゃんの構える盾に何かが当たったのかカンッという音がした。

石の人形よく見ると、指だと思っていた石が1つ減っていた。

指を投げたのか……。

捨て身の攻撃だね。


防がれたことで攻撃方法を変えたのか、短い足を一生懸命動かしてこっちに向かってくる石の人形。

ハピネスと同じくらいの大きさなのに、その動きは比べ物にならないほど遅かった。

体が石だから重いのかな。


ゆっくりとこちらに近づいてくる石の人形は、ミヤビちゃんの元まで来ると手を振りかぶって殴ってきた。

盾で受けたミヤビちゃんは、お返しとばかりに槍を突き入れる。

槍が左腕に当たると、石の人形の左腕が跳ね飛ばされ、バランスを崩した石の人形が倒れた。

もしかして弱い?


「HPが少ししか減ってません」


ミヤビちゃんの言う通り、HPは1と少ししか減ってなかった。

また硬いモンスターか……。


起き上がった石の人形は、さっきまでのゆっくりとした動きと違い、結構な速さで飛ばされて左腕のところまで移動し、しゃがんで腕をくっつけた。

そして、振り返ると腕をぐるぐる回し始めた。


「ぶっ!」


また、指が飛んで来るのかと身構えていたら、飛んできたのは腕だった。

一本はミヤビちゃんの構える盾に当たったけど、もう一本が僕の顔に直撃した。

結構な速さだったので避けれなかったよ。


繰り糸(マリオネット)!」


飛んできた両腕に糸を付けた。

お返しにぶつけてやろうかと思ったんだけど、石の人形が腕に向かって走ってきたので、糸を短くしてこちらに寄せた。


「ミヤビちゃん!今だ!」

「はい!3連突き!」


逃げる腕を追いかける石の人形。

それをミヤビちゃんが槍で迎え撃って、スキルを放った。

どうやら同じ場所に3連続で攻撃するスキルみたいだね。

槍で突かれたところにヒビが入っていたし、HPも残り3割りを切っていたよ。


ミヤビちゃんのスキルで吹っ飛ばされた石の人形だったけど、起き上がったらまた腕を取りにこっちに向かってきた。

もしかして腕を取り上げるのがこいつの対処法なのかな?

腕がなければ体当たりぐらいしか攻撃方法がないからね。

取り戻すのに必死になってるよ。

心なしか表情も困った顔に見える。

眉の角度がね。


倒されても倒されても向かって来る石の人形を槍で突き倒したミヤビちゃん。

本体が消えると同時に、糸で吊るしていた両腕も消えたよ。


「さっきのモンスターはどこから来たのかな?」

「えっと、あっちの道からです」


ミヤビちゃんが指差した方向は下りになってる道だった。

来た道と岩で塞がれている道以外には2本の道があって、片方は上に、もう片方は下に続いていて、モンスターが出て来たのは下らしい。

ということは、あの道を進めばさっきのモンスターや、他のモンスターもいるかもしれないね。


「どうしようか。下に行く?上に行く?」

「下でいいと思います。モンスターが出て来るってことは、何かありそうじゃないですか」

「確かにそうだね。よし!下に行こう!」

「はい!」


シロツキトバリを定位置に置いたミヤビちゃんと一緒に、下の道に向けて進む。


「それにしても、さっきのモンスターはオキナさんが出した物だと思いましたよ」

「うーん。ハピネス達はクエスト報酬だからね。もしも、自分で作ったらあんな感じになるのかもしれないよ」


材料を消費してパーツを作るはずだから、さっきみたいな石が集まった人形にはならないと思うけどね。

どちらかというとゴーレムっぽかったし、僕の管轄外だよ。


「そうなんですか。さっきのモンスターもちょっと工夫すれば可愛くなりそうですよね」

「工夫ってリボンを付けるとか?」

「いえ。表情を変えたり、石を削って整えたりです。リボンを付けたからといって可愛くなるわけじゃないですよ?」

「確かに」


さっきのモンスターに小さな赤いリボンを付けた姿を想像してしまった。

そんなのに会ったら、こっちの目が点になりそうだよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ