鉱石発見
前話の崖を降りる前にハピネスを収納する旨追記しました。
読み返す必要はありません。
投稿時間を間違えていたため、再度投稿し直しました。
本当に申し訳ありません。
出っ張りから洞窟に入った僕とミヤビちゃん。
壁はむき出しの岩でゴツゴツとしていて、叩きつけられでもしたら大ダメージになりそう。
床には大小様々な石が転がっているから、運悪く踏めばバランスを崩すかもしれない。
天井はそこまで低いわけじゃないけどシロツキやトバリに乗って飛ぶには低い感じだね。
ミヤビちゃんもそれがわかってるのか飛ぼうとはせずにいつもの所に乗せていた。
洞窟に入ってからすぐにハピネスを取り出し、カンテラの火とシロツキが出した光に玉を頼りに進んでるけど、特に何も見つからないし出てこない。
モンスターは出ないのかな?
「何も出ませんね」
「そうだね。コウモリぐらい出てくると思ってるんだけどね」
「私は石のモンスターが出てくると思ってました。壁から急に出てきたりしそうですよね」
「あー。ロックワームみたいな感じのやつ?」
「あれとは別のやつがいいです!」
ミヤビちゃんは勢いよく否定した。
出会った石のモンスターはロックワームぐらいだからね。
他に思いつくとすればゴーレムだけど、石のゴーレムは硬そうだから、できれば戦いたくないね。
「あ。分かれ道ですね」
「上と下に分かれてるね」
しばらく進んでいると上下の分かれ道が現れた。
上の道は石が少なくて歩きやすそうだけど、下の道はたくさん石が落ちてて歩きにくそうだ。
どっちでもいいんだけど、どうせなら下に行こうかな。
もしかしたら出口が見つかるかもしれないし。
「少し歩きにくそうだけど下に行こうか。出口とか地底湖とかありそうじゃない?」
「そうですね。もし上に進んで山頂に出ても仕方ないですし下でいいと思います」
「じゃあこっちだね」
下の道を選んだので、STを消費しながらゴツゴツした道を進む。
周辺の岩もさっきの道より尖っていたり、かと思えば抉れていたりバラバラだった。
何かしてた場所なのかな。
「ん?あれは何だろう」
下の道を進んで少しすると、亀裂から小さな水晶らしき物が突き出ているのが見えた。
近寄って見てみると、水晶というより鉄の塊のようなものだった。
もしかしてこれが採掘ポイントなのかな。
「ミヤビちゃん。これを見てくれるかな。採掘ポイントに見えない?」
「そうなんですか?確かに周りとは違いますけど……よくわかりません」
「そっか。じゃあ試しに掘ってみようか」
「わかりました」
僕とミヤビちゃんはアイテムバッグからツルハシを取り出した。
採掘ポイントっぽい所が小さいので、2人同時は無理だね。
周囲の警戒も必要だから、先にミヤビちゃんにやってもらろうかな。
まぁ、警戒ならシロツキとトバリがやってくれてるんだけどね。
「ミヤビちゃん先にどうぞ」
「ありがとうございます。……えいっ!」
槍と盾を地面に置いて、手に持ったツルハシを採掘ポイントに向けて振り下ろしたミヤビちゃん。
ツルハシが当たった所から何かが飛び出て、すぐに光になって消えた。
アイテムバッグ入ったんだろうね。
「あ。鉄の欠片が手に入りました」
「やっぱり採掘ポイントみたいだね。しばらく続けてくれていいよ」
「はい。わかりました」
ミヤビちゃんがカンカンとツルハシを振り下ろす音を聞きながら周囲警戒する。
もしもモンスターがいたらこの音に引き寄せられるかもしれないし。
「あれ?何も出てこなくなりました」
採掘ポイントだとわかってからツルハシを振り下ろすこと5回。
何も出てこなくなったらしい。
亀裂から飛び出てる黒い塊は変わらずあるみたいなんだけど、どうしてだろう。
「黒い塊はまだあるよね?」
「はい。あります」
「うーん。個人で掘れる回数が決まってるのかな?」
東の森の花畑は摘んだ分だけ減っていったから、これも掘れば掘るだけ無くなる物だと思ったんだけど違うのかな。
場所固定だから無くならないとか?
あるいは、同じ場所からの取得制限があるとか?
もしかすると草や花と鉱石の扱いが違うかもしれないね。
僕が掘って何か手に入ればその可能性はありそうだよ。
ツルハシを持って、黒い塊に狙いを定めて振りかぶる。
そして、バチっと音がしてツルハシを取り落とした。
HPも1減ってるし……。
ツルハシも武器扱いなんだね!
「オキナさん?!どうしたんですか?モンスターの攻撃ですか?」
「いや。大丈夫。職業制限に引っかかっただけだから」
「そうですか……本当に大丈夫ですか?」
「うん。どうやら僕が手に持って採掘したらダメみたいだね。そうなると繰り糸!」
こうなるよね。
ツルハシに糸をつけて振り回す。
黒い石に狙いをつけて放ってみるも、別の岩に当たっただけだった。
難しいな。
このままだと僕は採掘ができないかもしれない。
「オキナさん。ハピネスちゃんに掘ってもらうのはダメなんですか?」
「その手があったね!ありがとうミヤビちゃん」
「いえ。お役に立てたようで何よりです」
パチンコだってクローバーに持たせてるんだから、ツルハシもハピネスに持たせればよかったんだ。
パチンコで弾かれたことは思い出したんだけど、持たせたことをすっかり忘れてたよ。
何かあれば人形じゃなくて糸でどうにかしようとするのは直したほうがいいのかな。
人形使いとしては、糸で何かを振り回すよりも、人形に持たせたほうがよさそうだよね。
「繰り糸」
ハピネスに糸を繋いでツルハシを持たせる。
ハピネスの大きさとツルハシの大きさがほとんど同じだけど、重さに振り回され得る心配はなさそうだね。
☆の数が多いとその分性能が上がるんだったよね。
ハピネスは☆7だし、これぐらいの物を持つのは余裕かもしれない。
僕でも持てたし。
「よし。やってみよう」
ハピネスを黒い塊の側に移動させ、ツルハシを振り下ろさせる。
すると、黒い塊から何かが落ちて、光になって消えた。
アイテムが出たね。
ということは採掘ポイントはプレイヤーごとっぽいね。
そうなると花畑が気になるけど、それは追い追い調べよう。
あるいは掲示板を見るのもいいね。
アイテムバッグを確認すると『石ころ』が手に入っていた。
石ころか……。
その辺にも落ちてるんだけどな。
手近な石ころを拾ってアイテムバッグに入れてみると、さっきの石ころの数が2になった。
形は違うんだけど、カウントは増えるんだね。
入れた石ころと、掘って手に入れた石ころを取り出してみた。
入れた石ころは入れた時の形のままで、掘った方は別の形だった。
石ころというジャンルで統一されて表示されてるんだね。
その方がいいけど。
形が違うだけでマスが取られたら厄介だしね。
「掘ったら僕もアイテムが手に入ったから、採掘ポイントからアイテムが手に入る数はプレイヤーごとみたいだね」
「そうみたいですね。これで気兼ねなく掘れます!」
ミヤビちゃんが胸の前で両手を握るあのポーズをした。
気合が入ってるね。
「そうだね。僕たちが掘り過ぎたせいで他の人の手に行き渡らなくなったら面倒だもんね」
「ですね」
そんなことになったらただでさえ目立ってるミヤビちゃんに色んな人の目が向くことになっちゃう。
そうなるとまたPKに狙われるようになるかもしれないから、この仕様で助かったよ。
あとは出なくなるまで掘るだけだ。
「じゃあ僕も出なくなるまで掘るから、周囲の警戒よろしくね」
「はい!」
ミヤビちゃんはツルハシを収納して槍と盾を持った。
さっきまでは僕がアイテムを手に入れられるか確認するため、ずっと見てたからね。
その間もシロツキとトバリが警戒してくれてたから全く問題はないんだけど。
アイテムが出なくなるまでハピネスに掘らせたんだけど、3回で出なくなった。
どうやら1つのポイントから出てくる数もプレイヤーで違うみたいだね。
手に入れたアイテムは鉄の欠片と鉄鉱石だった。
クエストは鉱石の納品だから欠片じゃダメかもしれない。
そうなると集めるのは時間がかかりそうだよ。
まずは採掘ポイントを探さないとダメだからね。
「採掘終わったよ」
「わかりました。じゃあ先に進みましょう」
「そうだね」
ツルハシを肩に担いだハピネスを抱き上げて進む。
採掘ポイントがどんなのかわかったから、壁に目を向けながら進もう。
木や花はその場所からなくなれば取れなくなりますが育てることが可能です。
しかし、鉱石は育てることができないので発掘ポイントが固定で、プレイヤーごとの回数制限があります。
発掘スキルを手に入れれば、発掘ポイントが光って見えるようになり、いいアイテムが取れやすくなる、発掘回数が増える、取れなくなると光が消えるなどの効果があります。
無駄に掘らなくなる分ツルハシの耐久値が減らなくなります。
採掘は、採掘ポイントにツルハシで攻撃しているので弾かれます。
伐採で斧を使っても弾かれますし、収穫で鎌を使っても弾かれます。
素手のみ問題なしです。