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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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崖っぷちと状態確認

朝食を食べた後ログインした。

場所は北の山の山頂で、昨日のテンペストバードとの戦いの爪痕が至る所に残ってるよ。

1番ひどいのが山小屋だね。

バラバラになってる。


視界左上のステータスプレートの下に表示されているパーティメンバーのプレートを見る。

ミヤビちゃんのプレートは灰色になっていて、その上に『ログアウト中』って書かれてるから、ミヤビちゃんはまだみたいだね。


あと、MPが全回してるね。

ログアウト中に回復されたのかな。

お腹も空いてるし。

ということはログアウトしていてもこの体への時間経過があるってことだから、毒状態でログアウトすると死ぬってことかな。

さすがにそれはないか。

いい効果だけ反映されるんだと予想しておこう。


「富士山の上じゃなくて北の山の上だし、おにぎりじゃなくてパンだけど景色がいいから美味しく感じる……」


1人だと寂しいけどね。

アイテムバッグから少し硬いパンを取り出して、景色を見ながら齧る。

一つ食べただけで空腹感は無くなった。


腹ごしらえも済んだので、明るい今のうちに周囲の探索をしてみよう。

昨日見つからなかった何かがあるかもしれないし。


昨日の戦闘で岩が砕かれたから、破片が散らばってとても歩きにくい。

窪みには水が溜まってるし、テンペストバードと戦う前にあったクレーターみたいなところは大きな水たまりになってるよ。

岩だから水捌けがわるいのかな。


他にも広場を囲うようにあった岩が山道へ落ちてるし、そのおかげで見晴らしが良くなってる。

東の森の先には、また草原が広がってるみたいだね。


一通り歩いてみたけどアイテムっぽいのは落ちてなかった。

羽があったらいいなと思ってたんだけど、報酬でもらったからかな。


ミヤビちゃんが来るまでに崖の調査をしようかな。

でも、その前にクエスト内容を確認しておこう。


『調査クエスト:崖っぷち調査

依頼者:冒険者協会

内容:北の山の頂上から北に広がる森が見れる崖付近を調査してください。

崖下に冒険者が落ちてないかも確認すること。

※落ちないように注意

報酬:2000ゴールド

状況:調査対象ポイント付近に到達。調査を行う』


6人パーティの人と会った場所が崖っぷちだね。

あの時は夜で覗き込めなかったけど、今は明るいから見える。

ミヤビちゃんが来る前に終わらせておこう。


クエストメニューを開いたまま崖まで移動して、そーっと覗いてみた。

特に何も見えないんだけどクエストの状況が変わらないから、もっと頑張って覗き込まないとダメなのかな。


地面には両膝をついて崖っぷちギリギリに手をついて覗いてみた。

下には突き出た岩や、デコボコした面が見えて、その下に森が広がっているだけだった。

こんな場所に冒険者が落ちたら下まで一直線だから、ここから見えるわけないよ。


そして、これでも状況が変わらないので、もしかしたら見る場所が違うのかもしれない。

冒険者が落ちても見つけることができる場所があるのかな。

なので、そのままの体勢で横にずれることにした。


「あ!」


カニのように崖から下を覗きながら横に移動していると、足場のように突き出た岩があった。

上から見ると結構平らな部分が多くて、僕とミヤビちゃんが乗っても問題なさそうな広さがあった。

ここに冒険者が落ちてないかを見ればいいのかな。

うん。

誰も、何も落ちてないね。


クエストの状況を見ると山小屋の調査クエストと同じように『状況:調査完了。冒険者協会にて報告待ち』になっていた。

どうやらこれで終わりらしい。

でも!

気は抜かないよ!

テンペストバードの時はクエストが進んだ後に起きたんだからね!


崖っぷちからゆっくりと後退して、落ちる心配がなくなった時点で立ち上がった。

そして周囲を確認。

誰もいないし、何も起きてない。

テンペストバード時は羽を拾ったせいなのかな。

だとしたら今回は何も手に入れてないから、何も起きないんだろうね。


念のため3分ぐらい警戒したままだったけど、何も起きなかったので、ログアウトした付近に戻った。

ここでミヤビちゃんを待とうと思う。

その間に人形の状態を確認しておこう。


人形の館(ドールハウス)。ハピネス、クローバー、アザレア来い」


ハピネス達を取り出す。

ハピネスは両手が無くて、クローバーは後ろを僕に向けていて焦げ跡が見える。

アザレアは魔女っぽいのローブを着せたので一見問題はないけど、ローブの下は何も着てない上に腹部機巧(ギミック)で肌に穴が空いてるんだよね。

服はどうにかなるけど肌は無理だ。

今度ゼロワンさんに相談しよう。


まずはハピネスの手からだね。

ハピネスを手元に寄せて、アイテムバッグから取り出した両手を嵌める。

この後また外すことになるだろうけど、今は全員の状態確認も兼ねてるからいいよね。


ハピネスを持ち上げて服の状態を確認したけど、特に問題はなかった。

土埃とかがついてると思ってたんだけど何もついてない。

人形の館(ドールハウス)に入れると綺麗になるのかもしれない。


次はクローバーだからハピネスを置いてクローバーを手元に寄せる。

今はホラーモードじゃないので緑の修道服だけど、後ろ側が少し焦げている。

雷が当たった場所だから一部焼き切れていて、残った周囲が黒く焦げている感じだ。

これは着替えだね。


アイテムバッグからクローバーのトランクケースを取り出して開ける。

底板を外すとクローバーの服が入っているので、それを1つ取り出した。

修道服の下からは下着類も出てきたけど、今回は修道服だけだ。


「ん?なんだこれ」


下着の下からは綺麗に並べられた小瓶が出てきた。

小瓶のサイズは手のひらの上に乗るような小ささで、中には色とりどりの液体が入っている。

色ごとに並べられているのでとても綺麗だった。


ラベルには『麻痺薬』『毒薬』『石化薬』『眠り薬』『呪い薬』『激痛薬』など、いろんな薬の名前が書かれていた。

もしかして、これを使って状態異常にしろってこと?

自分で状態異常にして、それを回復させて状態異常をチャージさせるってことだよね。

クローバーが一気に怖くなるんだけど……。


「とりあえず今はいいか」


薬の小瓶を全部トランクケースに収納したので、その上に服をおいて見えないようにした。

いくつかアイテムバッグに入れても良かったんだけど、液状の薬の使い方がわからなかったからね。

相手にかけるだけでいいのか、飲ませないとダメなのか、武器に塗って攻撃しないとダメなのかがわからないと使えないよ。


クローバーの修道服はワンピースみたいな一枚ものなので、それほど苦労することなく脱がせることができ、着せるのも問題なかった。

服を着せた後はハピネスと同じようにチェックして完了。

焦げた服はトランクケースに入れずにアイテムバッグに入れた。

うららさんに会ったら服を見せるつもりだよ。

直してもらえるかもしれないし、素材不足で直せないかもしれないけどね。

何の素材でできてるのか全くわからないし。


クローバーの状態を確認したので、服を脱がすために外したパチンコを持たせた。

次はアザレアだね。


アザレアのローブを捲るとスキンによって人の肌のように見える体だからこそ穴が目立った。

黒い球体とそれに繋がった筒。

全部体の中に収まっているけど、穴が空いた状態でスキンをつけてたのかな。


穴に手を入れようとすると、入らなかった。

見た感じ何もないんだけど、硬い何かがあるんだよね。

これのおかげでスキンをつけてたんだろうけど、これはなんなんだろう。

ガラスでもないし、プラスチックでもないね。

陽の光を当てても全く反射してないから、ここに何かがあるようには見えないんだけど……。


「オキナさん。何してるんですか?」

「うぇ?!」


いきなり後ろから声をかけられたので変な声が出たよ。

振り向くとミヤビちゃんが立っていたんだけど、その瞳が少し冷たい気がするし、僕とアザレアを見比べているね。


僕はアザレアを持っていて、穴を塞いでる何かを見るために下から覗き込んでる状態だし、アザレアは上半身裸だ。

見ようによっては下着を見るために持ち上げてるようにも見える。

これは、誤解されてるのかもしれない……。


ミヤビちゃんがオキナに慣れました。


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