表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
61/287

テンペスト

申し訳ありません。

投稿先を間違えていました。

アザレアの腹部機巧(ギミック)で地面に落ちたテンペストバード。

その落下地点に向けて赤鬼さんに投げられていたナックルは、振りかぶった拳を地面に落ちたテンペストバードに向けて放った。


「ギュ?!」

「うぉ?!」


地面位落ちた衝撃と、投げられた勢いを乗せて殴られたせいで声をあげたテンペストバード。

そしてなぜか殴ったナックルも驚きの声をあげて……テンペストバードの向こう側に消えた。

多分勢いが良すぎたんだろうね。

殴ったことで方向が変わって、テンペストバードの翼に体は当たったんだけど、そのまま乗り越えてグルンと回って消えちゃったよ。

幸いすぐ後ろが崖じゃないので問題はないと思うけど、僕からするとミヤビちゃんの綺麗な一撃離脱を見てるせいで、変わった一撃離脱に見えたよ。


そんなナックルの姿を全員が見てしまったのか、動きを止めてしまった。

そのせいで攻撃に移るタイミングが少しズレてしまい、既に弓の人が放った矢と、杖の人が放った炎の槍が剣の人と銀太郎さんの顔スレスレで飛んで行ったよ。

剣の人と銀太郎さんはもう少し横にずれて攻撃するはずだったので、目の前を矢と魔法が通った形になった。


そしてメイスの人が何かを唱えると、僕と赤鬼さんを含めて全員の足元に赤い魔法陣が現れた。

ステータスプレートの横には赤い枠で剣と上矢印のアイコンが表示されたので、多分物理攻撃力アップの魔法だと思う。

ただ、召喚獣の赤鬼さん対象になったけど、ハピネス達は対象にならなかったみたいで、特に何も起きていなかった。

生きてないからかな。


包丁の人はテンペストバードの頭の方へ走って行き、中華鍋でガンガン叩き出した。

音を聞いてるだけで痛く感じるよ……。

あの人はちょっと怖い。


ミヤビちゃんはナックルの動きを見つつも気にすることなくシロツキから飛び降りて、槍を翼の付け根に突き立てた。

逆側の翼にはトバリが噛みつき、飛び上がったり、噛んだまま回転しようとしているのかグリグリと首を動かしている。

シロツキはいつでもミヤビちゃんを連れて飛び立てるようにしているのか、ミヤビちゃんを見ながら背中を爪で切りつけ、尻尾でも叩いていた。

ミヤビちゃんとトバリは翼を痛めつけて飛べなくするつもりなのかな?

ステップボアの牙は折れたし、西の海岸では亀の甲羅を砕こうとする人も居たから、翼を壊せても不思議じゃないね。


赤鬼さんはナックルを投げた後走り出していたので、テンペストバードに近づくと、包丁の人の邪魔にならない場所を殴り始めた。

どうやらナックルの元へは行かないらしい。

信頼しているのか呆れているのかはわからないけどね。


僕もナックルの動きのせいで少し止まっちゃってたんだけど、そこはハピネス達への指示を出してからだったので問題はなかった。

ハピネスはお腹側に回って右手で切りつけながら左手で炎を出し、少し離れたところからクローバーがテンペストバードの目を狙ってパチンコから石を放っている。

狙わせてるのは僕なんだけどね。


半裸のアザレアにはずっとボールを撃たせている。

最初はランスを撃とうと思ったんだけど皆が移動している最中だったので、当たらないようにランスに比べて速度の遅いボールを撃ったんだよ。

ダメージはないとはいえ味方に当たったら、そこで魔法は消えちゃうみたいだしね。


アザレアのおかげでMPにも余裕ができたので今できることがないんだけど、ナックルに指摘されたことでアザレアが半裸なことがとても気になり出した。

なので、アイテムバッグからローブだけ出して、タイミングを見計らってスポッと着せた。

一瞬ボールを撃つのに間隔が空いたけど、誰も気にしないよね。


全員で攻撃しているうちにナックルも体制を立て直せたのか、ハピネス達とは逆側を殴っていた。

時折拳が分裂したみたいにすごい速さのラッシュを放ったりしてるけど、拳用のスキルがあったんだね。


全員が攻撃し始めてHPが1/4程減ったところでテンペストバードが起き上がり始めたので、ダメ元でハピネスの口機巧(ギミック)の「麻痺針」を起動させた。

発射された針はテンペストバードの体に当たったみたいだけど麻痺しなかった。


ボスだから麻痺しないのかもしれないけど、アザレアの腹部機巧(ギミック)の準備が整っていない今飛ばれると、次に地面に落とすタイミングがいつになるかわからない。

ダメージでも部位が関係するからダメ元で顔を狙ってもう一度麻痺針を撃った。


「ギュ!」


すると、どこに当たったのかはわからないけど、テンペストバードの体勢が再度崩れた。

体からはビリビリと電気が走るエフェクトが発生しているので、麻痺したんだと思う。


「ナイス!」


ナックルの声を皮切りに、起き上がり始めたことで少し距離を取っていた6人パーティも、また攻撃に参加した。

攻める場所はさっきと同じだったので、あらかじめ話し合ってるんだと思う。

僕もミヤビちゃんとしっかり話し合うべきかな。


そのミヤビちゃんはまだ翼の付け根に向かって槍を突き入れたり叩きつけたりしていたので、テンペストバードが起き上がりかけてそのあと倒れたことによってバランスを崩したけど、シロツキが支えたので問題なく攻撃に戻った。


僕の方はハピネスの左手に炎(レフトフレイム)とアザレアの魔法のおかげでグングンMPが減っているので、クローバーをホラーモードにしてMP吸収をすることにした。

それでも消費が上回るので、マナポーションを使う準備もしている。


麻痺したテンペストバードを観察してると、3秒に1回電気のエフェクトが走り、そのたびに体がピクッとすることがわかった。

だから何だと思われるかもしれないけど、3秒待ってもエフェクトが走らなければ解除されたことになるし、エフェクトが発生する以外で体が動いたら解ける前の兆候かもしれないからね。

だからテンペストバードの動きをしっかりと見ることにした。


そしてしばらくすると、電気のエフェクトが発生していないにもかかわらず体がピクピクし始めた。

HPバーはもう少しで半分だったので、このままだと自然に解けるのが先か、半分を切ったことでモーションが変わり、それによって状態異常が回復するのが先かもしれない。

HPが半分を切ったらモーションが変わるのかはわからなし、変わったとしても回復するのかもしれないけどね。


なのでその前にクローバーの左手を使おうと思う。


安らぎと苦痛の左手(治しましょう)


クローバーが右手でHPを吸収してMPに変換しつつ、左手で水色の光を放ってテンペストバードの麻痺を解除した。

これでクローバーの左手に麻痺がチャージされたね。

今麻痺がチャージされてることは糸を通してわかる。

わかるんだけど、その麻痺が切れかけかどうかは使ってみないとわからないみたいだね。

多分切れかけだけど。


クローバーが人形の館(ドールハウス)に入っていた時もホラーモードは継続されていたけど、すぐに切れたし。

なので、ホラーモードと同じく効果時間は引き継がれてると思う。


麻痺が解除されたのでテンペストバードは起き上がろうとした。

そしてHPが半分を切ったので身構えていると、テンペストバードの上から風が押しつぶすように吹き付けてきた。

ダウンバーストってやつかな?


ただ、それと同時に包丁の人が中華鍋をフルスイングして、それが頭に当たったテンペストバードは昏倒したみたいでまた地面に倒れた。


「えぇ……」


そして始まる総攻撃。

今度はボールじゃなくてランスを連射することにした。

少しでもダメージを与えたいからね。


昏倒したテンペストバードの頭の上には星とそれを追いかけるヒヨコが3セット1列になってクルクルと回っていた。

これは……状態異常になるのかな?

さすがにこれをチャージできる気はしないんだけど、念のため消えそうな時にやってみよう。


ハピネス達で攻撃を行いつつテンペストバードを見ていると、星とヒヨコのセットが1つ消えた。

ということはあれが全部消えたら起きるってことだよね。

1セット消えるまでの時間を計っていなかったのでいつ消えるかはわからないけど、麻痺みたいに事前動作があるといいな。


そして星とヒヨコが1セットになって少ししたらテンペストバードが身じろぎした。

ここだ!


安らぎと苦痛の左手(治しましょう)!」


クローバーの左手が水色に光って、星とヒヨコが消えた。

そして『気絶』がチャージされたことがわかった。

気絶もチャージできるんだね。


テンペストバードが起き上がったので全員距離を取った。

HPは残り1/4を切っていたけど、削りきるのは難しいかな。

そう思った瞬間、テンペストバードの背中が爆発して周囲に爆風が広がった。

上からの風に対して身構えてたからびっくりしたよ。


爆発したのはシロツキとトバリのマーブルブレスだった。

そして、その攻撃のおかげで2本目のHPバーが砕け散った。


それがキッカケになったのか、テンペストバードが勢いよく飛び上がり、はるか上空へと消えていった。


「ピィィィィィィィィィィ!!!!」


遥か上空から聞こえてくるテンペストバードの鳴き声。

それに呼び寄せられるかのように集まる雲。

その雲は数を増せば増すほど黒くなり、やがて雨が降り始め、風が吹き荒れ、雷が落ちてきた。


そして、その雷と一緒にテンペストバードも降りてきた。

風と雷を纏った姿で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ