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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
60/287

魔女の大鍋

投稿時間を間違えたため再度投稿しました。

申し訳ありません。

上半身の服だけ脱がしたアザレアを抱えてテンペストバードに近づく。

アザレアは球体関節をスキンで覆ってるので、人形のようには見えない。

それでも、体はツルツルで凹凸がないし、肩や肘なんかを触れば球体関節の感触がある。


アザレアを抱えて走っていると、剣の人達の6人パーティに指を刺されているのが見えたけど、今は気にしてられない。

テンペストバードが纏ってる風をどうにかしないと。


テンペストバードに投げられたナックルは、うまく捕まることができずに後ろへ流されていたので、今もテンペストバードは飛んだままで攻撃できない。


ミヤビちゃんもテンペストバードが纏った風のせいでうまく攻撃できないので、周囲を飛んで様子を見るしかできていない。

たまに僕の方へ視線を向けてくるのは、どう動くかわからないからだと思う。


「ストーム!ストーム!」


テンペストバードが翼を覆う竜巻を出して、地面に叩きつけるように放った。

その竜巻が地面に残って僕に向かって襲ってきたのでストームを2発撃って相殺したよ。

翼は2枚あるけど、もう一方の翼からできた竜巻は6人パーティの方へ向かったけど、向こうにも魔法使いはいるから大丈夫でしょう。

次の竜巻が来る前に地面に落とさないと!


「ガァ!」


何とか赤鬼さんのところまでたどり着いた。

赤鬼さんがなぜかテンペストバードから守るように前に立ってくれたので、その背中に隠れた。

テンペストバードの向こう側からナックルが走って来るのが見えたので、合流を待つことにした。

アザレアの腹部う機巧(ギミック)はナックルと相談してから使うつもりだよ。


「すまん!うまく取り付け……なかっ……た…………。お前何してんの?」

「え?」


少ししてナックルと合流できたけど、取り付けなかったことを謝られた後、なぜか問い詰められた。

何のことをだろう。


「いや……その……何で人形の服を脱がせてんの?」

「ん?アザレアのお腹にある機巧(ギミック)を使うと服が破けるから、その前に服を脱がしただけだよ」

「服を脱がしただけって……。こっちは理由を知らないから、戦闘中に人形の服を脱がす行為はただの変態にしか見えないんだよ!」

「えぇ?!いやいやいや、そんなことは…………あるね……」


確かに側からみたら変態だ。

戦闘中に人形の服を脱がし始めるんだよ。

人形の装備を変えたりするならまだわかるけど、装備を外してるようなものだからね。

だから6人パーティがこっちを指差して会話してたのか……。

もしかしてミヤビちゃんがチラチラ見てるのも同じ理由?

引かれたりしてるのかな……。

あとで説明しよう……。

納得してくれるかは別として。


「それで、その人形をどうやって手に入れたのかも気になるけど、まずは何をするつもりか教えてくれ」

「わかった。アザレアのお腹には、周囲3mの生物からマナを奪う機巧(ギミック)が入ってるんだ。それを使ってテンペストバードからMPを奪って、纏ってる風や竜巻を消そうと思ってるんだけどどうかな?」

「纏ってる風は消えると思うけど、竜巻も消えるのか?」

「竜巻が僕たちを追いかけてきてるから、魔法で操作されてるんだと思うよ。だから、MPがなくなれば維持できなくなると思う」

「なるほど。まぁ今は手詰まりだからやってみてもいいかもな」

「じゃあやってみるね」

「おう。守りは赤鬼さんにやらせるし、奴の注意は俺が引きつけておくぞ」

「うん。お願い」


話が終わるとナックルが駆け出し、その辺に落ちてる石を拾ってはテンペストバードに向けて投げ始めた。

石の勢いは草原でブラウンラビットをあぶり出すために投げていた時とは異なり、とても鋭かった。

テンペストバードが纏っている風には阻まれているけど、とても鬱陶しそうにしているから、注意は引けてるね。

その証拠に地面に水平に飛ぶ竜巻が、ナックルを狙って放たれてるし。


ナックルは竜巻を避けられないと判断したのか、両手をくっつけてガードした。

ただ、竜巻に対してはあまり意味がなかったのか吹き飛ばされた。

今度は岩にぶつからなかったので追加ダメージはなく竜巻だけのダメージだったけど、それでも7割減ってる。

やっぱり威力が高すぎだよ。

服もボロボロになってるし、耐久度が減ってるのかな。


人形の館(ドールハウス)、クローバー来い!繰り糸(マリオネット)!」


人形の館(ドールハウス)を開いてクローバーを出す。

出てきたクローバーはホラーモードのままだった。

救済と安らぎの調べ(迷える者に救済を)の効果時間を考えると人形の館(ドールハウス)に収納してちょっとしたら終わってるはずなんだけど、まだ続いてるってことは人形の館(ドールハウス)に入れている間は効果が継続されるってことだね。

これなら、今後普通のモンスターがいるところで使っても、収納すれば継続して使えるね。


ホラーモードが継続中のクローバーをナックルの元へ向かわせつつ、アザレアを振り回す。

ナックルはまだホラーモードのクローバーに慣れないのかまた身構えてたけど、僕をチラッとみて警戒を解いた。

なので慈愛と救済の右手(癒しましょう)で回復する。

回復した直後にホラーモードが終了したみたいで、そのことでもナックルが驚いてしまったけど気にしない。


HPが全快したナックルが再度石を投げてテンペストバードの注意を引いてくれたので、振り回していたアザレアを投げた。

スカートをパタパタとなびかせながら、テンペストバードに向かっていくアザレア。

テンペストバードは結構な高さで滞空して、竜巻を放っていたけど、接近してくるものには注意を払っていなかった。

多分纏ってる風でどうにでもなると思ってるんだろうね。

なので、問題なく接近させることができたので、後は発動するだけだよ。


魔女の大鍋(魂を捧げよ……)


アザレアを見ると空中で止まり、背中、脇腹に大きな穴が開き、そこから黒い何かが見えた。

多分正面のお腹にも穴が空いてるんだろうけど、ここからは見えない。

これで、アザレアのスキンが破れてしまったけど、服を着せれば見えなくなるから、しばらくはそれで我慢しよう。


アザレアの体に開いた穴から、黒い霧のような物が大量に出てきて周囲を球状に覆った。

テンペストバードは体の殆どが入っていたけど、大きすぎたせいで翼ははみ出ていた。

球状の黒い霧に囚われているみたいで、はみ出た部分がジタバタと動いているけど、体は動かないみたいだ。


「ギュアァァァァァァァ!!!」


しばらくするとテンペストバードの体からキラキラとした物が出てきて、アザレアの体に開いた穴に吸い込まれていった。

テンペストバードから出てきたキラキラは大量で、吸い込みが追いつかないのか、脇腹や背中の穴にも流れていってる。

そのせいでアザレアが見えなくなったんだけど、大丈夫かな。


ステータスプレートを見ると、残り100程だったMPがぐんぐん回復していってる。

この機巧(ギミック)は周囲の生物からマナを吸収してMPを回復してくれるのはわかってるんだけど、どこまで回復してくれるのかな?

MPが全快するまでなのか、周囲のマナが無くなるまでなのかは分からなかったんだよね。

あくまで使い方がわかっただけだし。


ミヤビちゃんはアザレアの出した球体の近くを旋回して様子を見ていて、それは6人パーティも同じだった。

いつの間にか竜巻が全部消えていたので近づいてこれたみたいだ。

ナックルは赤鬼さんの腕に乗っていて、いつでも投げられる状態だった。

皆攻撃準備は整ってるんだね。


「ハピネス来い!繰り糸(マリオネット)!」


ハピネスを出して僕も攻撃準備を整えた。

アザレアの魔女の大鍋(魂を捧げよ……)が切れた時にどうなってるか分からないけど、竜巻が消えてるから纏っていた風も消えてるかもしれない。

だからナックルは投げられる準備をしてるし、ミヤビちゃんは僕がアザレアを投げるのを見てたので、すぐにでも戦えるよう待機してくれてるんだと思う。

6人パーティの方も同じなんだろうね。


MPが全快すると、テンペストバードからキラキラが出てこなくなり、吸い込みも収まったようで球体の中のキラキラが動かなくなった。

そして、次の瞬間球体が弾け、キラキラが周囲に散ると同時にアザレアとテンペストバードが落ちてきた。

テンペストバードが纏っていた風が消えるだけでなく、滞空もできなくなったみたいだね。


アザレアに繋がった糸を引っ張って手元に寄せると同時にハピネスとクローバーを向かわせる。

ナックルはテンペストバードの落下地点に向けて赤鬼さんに射出されているし、シロツキに乗ったミヤビちゃんとその後ろにいるトバリは、落ちるテンペストバードを追いかけてる。

6人パーティもテンペストバードの落下地点周辺を囲むように大きく広がって移動してるね。

落ちてきたテンペストバードに総攻撃するつもりだね。


手元に戻ってきたアザレアは、僕の予想通りお腹にも穴が空いていた。

そこから見えるのは黒い球体と、それから伸びる筒。

筒がそれぞれの穴に繋がっているので、吸収したマナがこの球体を通して僕に流れてきたんだと思う。

今は球体や筒が熱くなってるので、しばらくは使えないようだね。

糸が繋がってるせいか、何となくわかる。


「ギュエ!」


テンペストバードが落ちた。

射出されたナックルが殴り掛かるのと殆ど同時だった。


腹部機巧にはクーリングタイムがあります。

なので連続使用はできません。


また、魔女の大鍋の最後にマナが散りましたが、それまでに頑張ってMP消費していればもうしばらく続けることができました。

クローバーの腹部機巧を使っていればもっと長く拘束できて、テンペストバードのマナも減らせたかもしれません。

そのためにはクローバーの服も脱がす必要がありますが……。

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