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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
53/287

登頂成功

ギリギリ間に合いました。


「え、えいっ」


ミヤビちゃんがロックワームの節に槍を突き入れる。

人間で言う首の部分、つまり複数の岩がくっ付いてる体の1番上の節を狙って攻撃している。

突き入れた槍を捻りながら跳ね上げると、ロックワームの首が大きく仰け反り、HPが1/3程減る。


ロックワームの弱点は岩と岩の間の節で、そこを攻撃すれば一撃とはいかないけど結構なダメージを与えることができた。

広場で襲って来たロックワームの群れを倒した後、繰り糸(マリオネット)とハピネスを使って攻撃を試した結果、なんとか判明したのが弱点部位だ。

ちなみに、アザレアは群れを倒した後すぐに収納して、ハピネスの両手はアイテムバッグの中だよ。


弱点部位を発見するまでと発見してからで3匹倒したので、クエストクリアまで残り3匹になった。

そんな時にミヤビちゃんが苦手を克服するために戦いたいって言ってきた。

なので、繰り糸(マリオネット)で動かなくしたロックワームを目の前に移動させて、節を攻撃してもらった。


何度か突き入れることでロックワームを倒せたからか、動きが止まってるロックワームと1対1なら戦えるようになったので、今は繰り糸(マリオネット)で動きを止めていないロックワームと戦っているところだよ。

少し腰が引けてるけど、落ち着いて槍を突き入れられる程度には慣れたみたいだね。

あるいは苦手だから目を逸らせないからかもしれないけど。


「やぁっ!」


ミヤビちゃんは続けて槍を突き入れ、今度は捻りながら横に振り抜いた。

ロックワームは地面を転がりながら吹き飛ばされる。

そこにシロツキとトバリが飛び掛かり、追撃を加えて倒した。


「や、やりましたぁ!」

「うん。おめでとう。これでロックワームとは戦えるようになったね」

「は、はぃ。オキナさんのおかげです!あ、ありがとうございます!」


と言っても群れで来られると無理かもしれないけど、そこを指摘するとまた戦えなくなるかもしれないから、言わないでおこう。

いくら戦えるようになったとしても1人では来たくないだろうし、別に問題ないよね。

言ったら自信をなくすかもしれないからね。


「ミヤビちゃんが頑張ったからだよ。僕は協力しただけ」

「そ、それでも、オキナさんがいなかったら戦えてないです」

「そっか。なら、お礼はありがたく受け取っておくよ」

「は、はい!」


力強く返事をしてくれた。

あとはクエストクリアと登山だけど、どうせだからクエストクリアはミヤビちゃんにやってもらおうかな。

こういう苦手意識の克服は、成功したっていう経験が大事だとどこかで聞いたんだよね。

どこでかは忘れたけど。


「頑張ったミヤビちゃんにもうひと頑張りしてもらおうかな。クエストクリアの最後の1匹はミヤビちゃんに任せてもいいかな?」

「わ、わかりました!」


ミヤビちゃんのやる気は十分だ。

槍と盾を持ってなかったら、胸の前で両拳を握ってるんだろうね。

それぐらい気合が入ってるよ。


「い、いきます」


ミヤビちゃんが山道を進む。

広場を越えてからは登って来た道より少し細くなっていて、その分モンスターの数も分散されているから、さっきみたいに上から降ってくるような事さえなければ基本的に1対1で戦える。

トバリが飛んで上を見てくれてるから、モンスターが落ちて来たらわかるし、今のミヤビちゃんにはうってつけだね。

後ろはシロツキがチラチラと振り返りながら警戒してくれてるよ。


今進んでる山道はロックワームがいなかったので、葛折りになってる山道を道なりに登った。

登った先も同じような岩場で、そこにはポツポツとロックワームがいた。


「い、いました」


ロックワームを見つけたミヤビちゃんが駆け出した。

それにロックワームも気づいたのか、体を丸めてタイヤモードになり、坂道を転がってきた。

ミヤビちゃんは慌てる事なく盾を構えて腰を落とし、まっすぐ転がってきたロックワームを正面から受け止め、盾を振り抜いて壁側に叩きつける。

何度見ても小柄なミヤビちゃんが大きな槍と盾を振り回してるのはすごい光景だよ。

今も叩きつけられたロックワームが壁に凹みを付けてるし。


「やっ!」


壁に叩きつけられ、地面に落ちたロックワームの首を狙って槍を突き入れるミヤビちゃん。

上からの攻撃なので槍に押さえつけられ、お尻の部分が跳ね上がるロックワーム。


「シールドタックル!」


もう一度槍で攻撃するかと思いきや、盾のスキルを使った。

下から掬い上げるように盾をぶつけて、跳ね上がったロックワームを盾で壁に押し込む。

その時の勢いがすごくて、「ズンッ」という音と共に盾を中心にして、壁にヒビが入ったよ。


盾を壁から離すと、ロックワームが壁にめり込んで動けない状態だった。

一応もぞもぞしてるんだけど、体が岩だからかガッチリはまっていて出れる感じがしない。

動いてるのもお尻と首だけで、胴体部分の岩は全く動いてないし。


「やぁっ!」


そんな身動きが取れないロックワームの首にミヤビちゃんの槍が突き刺さる。

その一撃でHPバーが砕け散って、ロックワームが光になった。

そして視界右下に『クエスト:ロックワームの駆除依頼のクリア条件を達成しました。』というアナウンスが流れた。

これでロックワームのクエストは完了だ。


「く、クエスト完了しました」

「僕もだよ。残る討伐はイタズラモンキーと吸血バタフライだね」

「で、ですね。あ、後は山頂と、こ、鉱石採取です」

「鉱石は……どこを掘ればいいかわからないから保留にして、とりあえず山頂を目指そうか。落ち着ける場所があればそこで掘る場所を確認してもいいし」

「そ、そうですね。まずは、登りましょう」


僕は山頂にある山小屋とその近くにある崖に用がある。

ミヤビちゃんは、山頂でシロツキかトバリに乗って高く飛ぶという職業クエストなので、とりあえず鉱石を後回しにして山頂を目指すことにした。


一応事前に採掘方法は調べてるんだけど、それっぽいところは見つかってないんだよね。

明らかに周囲とは違う鉱石っぽい物が見える壁面があるらしいんだけど、ここまでにみた壁で周囲とは違う場所は、不自然に抉れた所とミヤビちゃんはヒビを入れた壁ぐらいなんだよね。

そのどちらを掘ったとしても、どこの壁でも手に入る石ころしか採掘できないと思う。

鉱石が見えてなかったから試してないけどね。


「ミヤビちゃん。ロックワームは僕が倒してもいいかな」

「え?あ、はい。だ、大丈夫です」

「ありがとう。職業クエストの足しにしたいんだ」

「あ、そ、そうでした。か、体は守るので、お任せください」

「うん。よろしくね」


ここまでのイタズラモンキーやロックワームとの戦闘では同期操作(シンクロアクション)を使えていなかった。

相手の数もそうだけど、僕が人形の体に慣れていないのもある。

なので、転がってくるという簡単に避けられる攻撃方法のロックワームで練習したいんだよね。

ハピネスの右手で節に突き入れられれば苦戦せずに倒せるし。


「じゃあ、体はよろしくね。同期操作(シンクロアクション)!」


ロックワームが見えたので、ハピネスを置いて同期操作(シンクロアクション)を使う。

一瞬の明滅の後、ハピネスの体に意識が移る。

だんだん慣れてきたよ。

この現象は転移に似てるから、工房への転移も慣れるといいな。


ハピネスの体でロックワームの元へ駆け出す。

体重が軽いせいなのかほとんど音がせず、ロックワームが気づいてくれない。

なので、足元の石を蹴り飛ばして注意を引こうとしたけど当たらない。

左手だけでもつけておくべきだったかな。


4回目の石でようやくロックワームに当てることができ、ロックワームがタイヤモードになった。

迫ってくるロックワームを横に跳んで躱し、追いかける。

ハピネスの性能がいいからか、避けることも追いかけることも簡単にできる。


攻撃が失敗したと判断したロックワームはタイヤモードをやめて芋虫モードになる。

そこを背中から節を狙って攻撃すればいいだけだ。

といってもロックワームも多少は動くので、最初はお尻の方の節を狙う。

すると、痛みに悶えながらも身をよじるかのように頭を振り回して攻撃してくるので、それ後ろに下がって避ける。

無理な攻撃はタンク職の仕事だ。


振り抜いた頭が戻ってきたところで踏み込みながら首筋を狙って右手の剣をを突き入れ、捻る。

するとHPバーが砕け散ってロックワームが光になって消える。


「ふぅ……」


同期操作(シンクロアクション)を解除して意識を自分の体に戻す。

後はハピネスを抱き上げて山道を登りながら、ロックワームを倒すだけだね。

他のモンスターが出てきたら別だけど……。


その後、8匹のロックワームを同じような手順で倒し、何とか山頂が見えてきた。

その間にミヤビちゃんがレベルアップして12になったり、MP回復を行ったりと色々あったけどね。


「ようやく着いたね」

「で、ですね」


ようやく着いた頂上だけど、そこには山小屋はあるし、少し先には崖もある。

ただ、それよりも気になるのが、地面の至る所に抉れた後があることだ。

何かが暴れたように見えるけど、何があったんだろう。


ステータス(戦闘で消費、マナポーションで回復)

※各種ステータスの()は防具の効果です


名前:オキナ

種族:人族

職業:人形使い(ドールマスター)☆5

Lv:6

HP:150/150

MP:645/760(10)

ST:33/115

STR:15

VIT:15

DEF:39(24)

MDF:150

DEX:325

AGI:15

INT:305(5)

LUK:50

ステータスポイント:残り20


スキル

繰り糸(マリオネット)Lv:2〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:2〕〔同期操作シンクロアクションLv:1〕〔工房Lv:2〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕〔〕

スキルスロット:空き1

スキルポイント:残り10


職業特性

通常生産系スキル成長度0.01倍

通常魔法使用不可

武器装備不可

重量級防具装備不可


装備

・武器1:装備できません

・武器2:装備できません

・頭:なし

・腕:アニマルグローブ

・体上:グリーンシャツ、ワイルドコート

・体下:ブラウンズボン

・足:ステップシューズ

・アクセサリー1:なし

・アクセサリー2:なし

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