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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
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装備の大きなミヤビちゃん

「うぁ?!」

「ミヤビちゃん?!」


イタズラモンキーを倒し、その後も登山を続けていると、今度はミヤビちゃんが落とし穴にハマった。

ミヤビちゃんがハマった落とし穴は、僕がハマったものよりも深く、小柄なミヤビちゃんのお腹まですっぽり入っていた。


周囲には何もいないので視線を上に向けると、イタズラモンキーが3匹岩場を跳び跳ねながら降りてきているのが目に入った。

シロツキは後方を、トバリは前方を警戒していたけど、このイタズラモンキー達は結構な高さから落とし穴を見張ってたらしい。


穴にハマったミヤビちゃんを助けるよりも、先に倒した方が良さそうだ。

そうなると、それぞれ1匹ずつかな。


「ミヤビちゃん!シロツキとトバリにそれぞれ1匹ずつ倒すように言って!残りは僕が倒すよ!その後ミヤビちゃんを助けるから!」

「はぃぃ!シロツキちゃん!トバリちゃん!い、1匹ずつお願い!」

「きゅぅ!」

「キュァ!」


ミヤビちゃんの声を聞いてシロツキとトバリが、岩場を跳び跳ねているイタズラモンキーの跳んだ瞬間を狙って、それぞれ横から襲った。

空中にいたイタズラモンキー達は、何もできずに突き飛ばされ、山道に落下した。

HPが7割減ってる。


繰り糸(マリオネット)!」


仲間が吹き飛ばされたことに動揺したのか、残る1匹が動きを止めたので糸を飛ばし、くっ付けた。

今更ながら、この糸の射程距離は何mなんだろう。

狙ったイタズラモンキーまで15mぐらいあったけど、問題なく届いたし。

投げる時も伸ばせてるけど、どこまで伸びるのかは試してないからわからない。

いつか検証しないとね。


糸を付けたイタズラモンキーを手前に引っ張り、崖から落とす。

シロツキ達みたいに攻撃を当てたわけじゃないから、ダメージはそこまで期待できない。

とりあえず岩場を転がり落として、ここまで落ちてきた後、振り回してから地面に叩きつけてトドメを刺そう。


ゴロゴロと岩場を転がり落ちてきたイタズラモンキーは、HPの4割りを減らしていた。

糸が付いてるせいで動けないけど、もしも動けてたらピクピクしてそうだよ。


落下させただけなので、伸びきった糸を縮めてから振り回す。

地面に叩きつけるつもりだったけど、横には尖った岩がゴロゴロしてるから、そっちにぶつけることにした。

「ゴシャッ」という音を立てて岩に突き刺さるイタズラモンキー。

HPはほんの少し残ってるけど、この状態で残ってるのは逆に可哀想だよ。

軽く振り回してから地面に叩きつけて倒した。


シロツキとトバリを見ると、トバリは倒したのかミヤビちゃんの近くを飛んで、周囲の警戒をしいているけど、シロツキは、イタズラモンキーの顔を何度も噛んで、ゆっくりとダメージを与えてるね。

性格の違いなんだろうか。

穴にハマったままのミヤビちゃんも、若干呆れた目でシロツキを見ていて、シロツキはそれに気づいたのか、イタズラモンキーの首筋を強く噛んでトドメを刺した。


「きゅ!」

「キュー!」


身動きの取れないミヤビちゃんの近くに来て一鳴きした2頭。

僕を見ながら鳴いたので、早く助けろってことなんだと思う。


というわけでミヤビちゃんを助けようと思うんだけど、改めてミヤビちゃんを見る。

手に持っていた盾と槍は左右に転がっている。

ミヤビちゃん本人はお腹まで入っているみたいで、勢いよく入ったせいなのか、鎧がつっかえて手で地面を押した力だけじゃ出れないみたいだ。

落ちた勢いで周囲の砂を巻き込んで埋まっちゃったのかな。

穴も深くて足が届いてないらしいので、底を蹴って勢いをつけるのは無理だね。


僕が取れる方法は3つ

脇に手を入れて引っ張る方法と、繰り糸(マリオネット)で上に引っ張る方法、アザレアのウォールの魔法で地面を盛り上げる方法だ。


ウォールが1番確実そうだけど、円形に対して長方形をぶつけることになるから、どうなるかわからないんだよね。

とりあえず引っ張ってみて、ダメだったらウォールを使おう。


「ミヤビちゃんを引っ張るけど大丈夫?」

「お、お願いします」


了承をもらったので、ミヤビちゃんの後ろに回って脇に手を入れる。

足に力を入れて踏ん張り、全力で引っ張る…………けど、ビクともしない。

ミヤビちゃんの装備の重さや、僕のSTR不足な気がする。


「キュ!」


トバリが僕の胸下にへばりつき、全力で押し始めた。

それでもミヤビちゃんはビクともしない。


「きゅー!」


今度はシロツキが胸下にへばりついた。

トバリはわざわざ場所を開けて、左右に分かれて押してきた。

でも、やっぱりミヤビちゃんは動かない。

ジャストフィットすぎるんじゃないかな……。


「うぉあ?!」

「?!お、オキナさん?!」

「だ、大丈夫!すっぽ抜けただけだから!」

「そ、その割には、結構遠くから、その、声が聞こえてます」


手がすっぽ抜けたのは本当だけど、その時もシロツキとトバリが押してたから吹き飛んじゃったんだよ。

頭を岩にぶつけて、HPが23も減ってたから、もしかしたらクリティカルヒットしたのかもしれないね。

急所に当てるとクリティカルになるはずだし。

初めてのクリティカルダメージが自爆って嫌だな……。


「本当に大丈夫だよ。それよりもどうやって出るかだね」

「うぅ……」

「もういくつか試してみるね」

「は、はい。お願いします」


単純に引っ張るだけではダメだった。

そうなると次は繰り糸(マリオネット)だね。

パーティ内は衝撃とか技による周囲の影響は受けるけど、ダメージは通らないからPK扱いにはならないんだよね。

それは騎獣も同じらしいので、僕の攻撃はミヤビちゃんだけでなく、シロツキとトバリにも当たるけどダメージはない。


戦闘中の誤射が無くなるのはありがたいけど、誰かがモンスターを押さえつけて、仲間ごと攻撃してもモンスターにしかダメージがないから、もしかしたら修正が入るかもしれないと掲示板で騒いでいる人がいたよ。


そんな訳で、今の所ミヤビちゃんに繰り糸(マリオネット)を使っても問題ないんだけど、高さが足りないんだよね。

この状態のミヤビちゃんを置いて高いところに登るのは気がひけるし。

とりあえず、できるだけ短くして引っ張ってみようか。


繰り糸(マリオネット)


ミヤビちゃんに伸びた糸はくっ付き、そして千切れた。

え?


繰り糸(マリオネット)


やっぱり千切れるね。

これはキングブルースライムのプニおさんと同じ現象だ。

ミヤビちゃんの能力が高くて僕には操れないらしい。

ミヤビちゃんのレベルは知らないけど、強いんだろうね。


「お、オキナさん?」

「あ、ごめん。どうやら繰り糸(マリオネット)はミヤビちゃんに使えないみたいだね。ステータスの差とか、装備の差もあると思うけど」

「そ、そうなんですか。今私はレベル11です」

「僕の倍以上あるね……」

「そ、そうなんですか?!」

「うん。☆が多くなればレベルが上がりづらくなるらしいよ」

「な、なるほど」


僕のレベルは5だ。

積極的にレベル上げをしてる訳じゃないけど、ミヤビちゃんの場合はシロツキとトバリも戦ってくれるから、戦闘が楽なんだろうね。

僕もパーティを組んでやるべきなのかな。


「じゃあ次はアザレアの魔法を使うね。土の壁をミヤビちゃんの足元に出して押し上げるつもりなんだけど、大丈夫かな?」

「は、はい。大丈夫です」

「わかった。人形の館(ドールハウス)。アザレア来い。繰り糸(マリオネット)


アザレアを出して糸を繋ぐ。


魔法少女の杖(マジカルチェンジ)(アース)


「カシュッ」という音が二回して、魔石が切り替わった。

茶色い魔石がセットされてはずだよ。

後は、ミヤビちゃんの足元を狙ってウォールだ。

僕が狙いをつけると外すかもしれないけど、繰り糸(マリオネット)で繋がっているみんなは指示通りの場所を狙えるのでその心配はない。


「ウォール」


あれ?

何も起きない。


「ウォール」


MPは減ってるんだけどなぁ。

もしかしてこの落とし穴がすごく深いとか?

とりあえず糸を切る。


「ごめんミヤビちゃん。MPは消費するんだけど、なぜか魔法が出ないんだ。別の方法を考えるね」

「え?……あ、お、思い出しました。ま、魔法は弾かれます」

「ん?どういうこと?」


魔法が弾かれる?

スキルか装備の効果だよね。

さっきの繰り糸(マリオネット)が弾かれたのもそれが原因?


「あの、その、それは、白竜鱗の大盾って名前なんですけど、その、装備している間は、初級魔法を弾いて、えっと、中級魔法以上は軽減されます」


ミヤビちゃんは職業クエストの報酬でもらった盾を指差した。

何の鱗か確認してなかったけど、竜の鱗だったんだ……竜騎士団で討伐して得た素材を使ってたりするのかな。


「アレを装備しているせいで魔法が弾かれるのか……持ってなくても効果はでるの?」

「そ、そうみたいですね」

「そっか」


繰り糸(マリオネット)が弾かれたのも盾の効果なんだろうね。

初級かどうかはわからないけど、消費MPを考えると中級とかではないと思う。

最初から覚えてるし。

ウォールが初級かどうかもわからないけど、発動しないところを考えると初級なんだろうね。


考えていた方法が全てダメだったんだけど、どうしようかな。

あの盾さえなければできるのに。

あ、そうか。


「盾の装備を外せばウォールが使えるようになるんじゃないかな」

「そ、そうですね」


ミヤビちゃんがメニューを操作して盾を外すと、左手側に転がっていた盾が消えた。

アイテムバッグに入ったんだね。


「あ、装備を外せば、その、いいんじゃないでしょうか?」

「あー。確かにそうかもしれないね」

「は、外しますね」


メニューを操作して鎧を外すと、鎧下らしき白い服になった。

その状態で手をついて自分の体を持ち上げると、さっきまでの苦戦が嘘のようにスルッと出られた。


「で、出れました」

「うん。良かった」


落とし穴から出たミヤビちゃんは、再度メニューを操作して鎧を装備し、盾を取り出した。


「ご、ご迷惑をおかけしました」


ミヤビちゃんがペコリと頭を下げる。

焦ったけど、そこまで苦戦したわけじゃないし、問題ないかな。

足だけとは言え僕も落とし穴にはハマったんだし。


「僕も落とし穴には落ちたんだし、一緒だよ」

「そ、そうですね。き、気をつけて進みましょう」

「そうだね」


できるだけ気をつけて進もうと決めたけど、まずは対処法を考えないとね。


ステータス(戦闘で消費)

※各種ステータスの()は防具の効果です


名前:オキナ

種族:人族

職業:人形使い(ドールマスター)☆5

Lv:5

HP:80/140

MP:688/710(10)

ST:114/114

STR:14

VIT:14

DEF:38(24)

MDF:140

DEX:320

AGI:14

INT:285(5)

LUK:50

ステータスポイント:残り18


スキル

繰り糸(マリオネット)Lv:2〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:2〕〔同期操作シンクロアクションLv:1〕〔工房Lv:2〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕〔〕

スキルスロット:空き1

スキルポイント:残り10


職業特性

通常生産系スキル成長度0.01倍

通常魔法使用不可

武器装備不可

重量級防具装備不可


装備

・武器1:装備できません

・武器2:装備できません

・頭:なし

・腕:アニマルグローブ

・体上:グリーンシャツ、ワイルドコート

・体下:ブラウンズボン

・足:ステップシューズ

・アクセサリー1:なし

・アクセサリー2:なし

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