表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
46/287

ミヤビちゃんのお願い

「あ、あの。オキナさん。い、今お話してもいいですか?」

「うん?大丈夫だよ」


うららさんとの取引が終わった後、注文したケーキが運ばれて来たので食べてると、ミヤビちゃんがおずおずと声をかけてきた。

ちなみに僕が注文したチョコチョコケーキはチョコレートケーキじゃなくて、ミニケーキの9個セットだった。

確かに1つ1つはチョコンとしてるけども……。

メニューをよく見ると品名の下に小さい字で『※チョコレートケーキではありません。ミニケーキの9個セットです』と書かれていたけど、僕が気づかなかっただけだね。


「あの、お礼が1つと、えっと、お願いが2つあります」

「お礼?」


ミヤビちゃんに何かしたかな?


「は、はい。オキナさんのアドバイスのおかげで、えっと、職業クエストをクリアできました」

「アドバイス……もしかして、飛びながらマナポーションを飲めばって言ったこと?」

「そ、そうです!あの後色々試したら、その、できました!」

「そうなんだ。良かったね!」

「えへへ」


うららさんに出会った際に職業クエストの話になって、その時にミヤビちゃんの職業クエストの話になったんだよね。

確か、竜に乗って一定時間飛ぶクエスト。

ミヤビちゃんはMPが保たないからクリアできないって言ってたから、飛びながらマナポーションを飲めばいいんじゃないかと言ったんだよね。

手綱から手を離す必要があったらしいけど、うまくできて良かったよ。


「ミヤビちゃんは色々試したみたいですよ。滞空していると竜が体勢を維持するために羽ばたいてバランスを崩したそうですし、低速でも体勢の維持が難しくなるらしいです。結果として高速で飛んでる方が安定していることに気づいたみたいです。後は飲めばいいだけなのでそこからは簡単だったそうですよ」

「高速の方が安定するんですね」

「手加減するよりもある程度力を出した方が、動きが安定するんだと思います」

「そういうものなんですね」

「そ、そうみたいです。シロツキちゃんとトバリちゃんも、速度を落としながら、わ、私を落とさないようにするのは気を使うみたいで、む、難しかったみたいです」


スポーツは得意じゃないから手加減云々は正直よくわからないけど、力を抜いて作業した時に安定しないのはなんとなくわかる。

竜にとっては速度は手加減しないとダメだけど、バランスは手加減してはいけない感じだったのかな。

一部分だけ力を抜くのはすごく難しそうだね。


「結果として上手く行って良かったよ。次はお願いだよね?」

「あ、ありがとうございます。えっと、お願いですけど、お姉ちゃんにオキナさんの、その、職業を教えてもらいたいんですけどいいですか?」

「職業?大丈夫だよ」

「よ、良かったです」


知らない人に教えるのは何か面倒ごとにならるかもしれないから嫌だけど、うららさんなら問題ない。

しのぶさんはマサムネちゃんの紹介だから例外だよ。

マサムネちゃんが変な人を連れてくることはないからね。


「本当は服を作るときに聞かないとダメだったんですけど、花の件に気を取られて忘れていたのです。ミヤビちゃんに聞いても答えられないらしく、どうにか魔法で戦うということだけわかったので、1つだけINTが上がるようにできましたが、それ以外がわからなかったのでDEF特化にしたんです」

「僕が伝え忘れただけなので気にしないでください。結果としてDEF特化で問題ないですよ」


INTが多少増えた程度ではそこまで変わらないからね。

装備を作ってもらえるのに職業を教えなかったのは僕のミスでもあるからね。

それだけでうららさんを一方的に責めるのは間違いだよ。


「そう言っていただけると助かります。この件は服をお渡しするときに伝えるべきだったのですが、ミヤビちゃんに止められていたので今お話ししました。申し訳ないです」

「いえ!気にしないでください!本当に大丈夫ですよ!」


うららさんが頭を下げてきたので慌てたよ。

本当に問題ないんだけどどうしよう。

こうなったら話題を変えるしかないかな。


「うららさん。僕の職業は☆5の人形使い(ドールマスター)です」

「え?申し訳ありません。上手く聞き取れなかったみたいです。オキナさん以外話していないのに聞き漏らすのは変ですね……」

「それはシステムが原因ですね」


話そうとしたことでいつものウィンドウが現れた。


『【うらら】に人形使い(ドールマスター)に関する閲覧権限を許可しますか?なお、許可しても書き込み権限はありませんので、他者との会話、メッセージ、掲示板などでの書き込みはできません。書き込みを許可する場合、フレンド登録後、フレンドメニューから実行してください』


もちろん『許可』だ。


「職業は☆5の人形使い(ドールマスター)です。僕の職業は規制されてるので、許可がなければ掲示板に書けない上に、話しても聞こえないみたいなんですよ。今出てきたウィンドウで許可をだしても閲覧専用だけなんです」

「☆5職業はオキナさんだったんですね。それに、閲覧専用ですか。私がミヤビちゃんとオキナさんの職業で話すことはできるのですか?」

「それは……試したことがないですね。やってみましょう。ミヤビちゃんからうららさんに僕の人形の話をしてもらえるかな?」

「わ、わかりました」


何とか話題を反らせた。

といってもうららさんの中で消化するには時間が解決するしかないから、これ以上は何もできないかな。

後は閲覧専用同士の会話だけど、これで話せたらマサムネちゃんとしのぶさんの間でも話せることになるね。

多分話せないと思うけど。


「えっと、オキナさんは人形のハピネスちゃんを使って戦ってます」

「ごめんなさい。やっぱり聞き取れないみたいです」

「そうですか」


閲覧専用は話せないって制限があるから、閲覧専用同士でも同じみたいだね。

そうなるとマサムネちゃんとしのぶさんの間で話すことは不可能ってことになる。

別段どうということはないけど。


後はうららさんへの説明だ。

検証はできたけど、人形の話をしてって振ったのに話さないのはダメな気がするし。


「お見せした方が早いので人形を出しますね。人形の館(ドールハウス)。ハピネス、クローバー、アザレア来い」


椅子から立ち上がり、少し机から距離をとってから取り出した。

座ったままだとどこに出るかわからなかったからね。

机の下に出るんだと思うけど、それを持ち上げるために潜るのは失礼だし、万が一机の上に出たら食べ物がひっくり返るかもしれなかったし。


「ふ、増えてます!」

「…………」


僕の前に並んだ3体の人形を見てミヤビちゃんは数が増えたことに驚き、うららさんは笑顔で固まっている。

うららさんはどうしたのかな。

もしかしてしのぶさんと同類?


「クローバーとアザレアは、ミヤビちゃんとパーティを解散した後、職業クエストをクリアしたら貰えたんだよ」

「お、オキナさんの報酬は人形だったんですね。私の報酬は、えっと、装備とスキルでした」

「職業ごとに報酬が違うみたいだね。まぁ職業クエストだしね」


その職業に対するクエストをクリアしたのに、報酬が無関係だったら普通のクエストと一緒だからね。

ミヤビちゃんの貰った装備やスキルは竜騎士(ドラゴンナイト)のためのものだと思う。


「そ、そうですね。えっと、新しく増えたお人形さんですけど、クローバーちゃんは緑の服の子で、アザレアちゃんは、その、魔法使いみたいな子、ですか?」

「そうだよ」

「ち、近くで見てもいいですか?」

「うん。持ち上げたりしてもいいよ」

「ありがとう、ございます」


ミヤビちゃんが席を立ってハピネス達の元へ移動した。

それぞれを持ち上げたり、手を動かしたり、抱っこしたりしていた。

ミヤビちゃんがそれをすると、しっくりくる。

小さな女の子が人形遊びをしているのと変わらないからね。


「オキナさん!」

「うぇ?!あ、はい」


再起動したうららさんが大きな声で呼んできたので、驚いて変な声を上げてしまった。

ミヤビちゃんと話している間も無言だったので何か考えていたんだと思うけど、だいたい予想がついてる。

服を作らせてくれって言ってくるよね。


「今の私ではあの子達の服を作れません。素材もそうですし、スキルレベルの問題もあります。ですが、いつか私に作らせて貰えませんか?

「えっと、はい。どうぞ」

「ありがとうございます。そうと決まれば、私も近くで見ないといけませんね」


うららさんも席を立って、ハピネス達に近づいていった。

それを見たミヤビちゃんが、どこかほっとしているのはなんでだろう。

もしかして、ミヤビちゃんに向いてる可愛い服を着せたい衝動を人形に向けさせたかったのかな?

あるいはうららさんの元気が出たことにほっとしてるのかもね。

多分後者だと思うけど、それを聞くとうららさんがまた落ち込んじゃうかもしれないからやめておく。


「あ、あの、もう1つのお願いを聞いて貰ってもいいですか?」

「ん?大丈夫だよ」


うららさんがハピネス達に夢中になっているのを眺めていると、いつの間にか席に戻っていたミヤビちゃんに声をかけられた。


「えっと、私と一緒に、その、北の山に行っていただけませんか?」

「北の山?別にいいよ。僕もこの後向かう予定だったからね」

「そうなんですか。よ、よろしくお願いします」

「うん。よろしく。パーティ申請するね」

「は、はい」


ミヤビちゃんにパーティ申請をすると、すぐに承認したらしく、ステータスプレートの下に追加された。


それにしてもタイミングがいいね。

僕は行ったことはないから北の山に向かうついでに職業クエストをこなすつもりだったんだけど、ミヤビちゃんが来てくれるなら同期操作(シンクロアクション)で戦ってる間に守ってもらえるし。

小学生に守ってもらう高校生ってのもなかなか面白いね。


そうと決まれば早速行きたいんだけど、うららさんが落ち着くのを待ってからということになった。

真剣にハピネス達を見てるから声をかけづらいんだよね。


ステータス(時間経過でMP回復)

※各種ステータスの()は防具の効果です


名前:オキナ

種族:人族

職業:人形使い(ドールマスター)☆5

Lv:5

HP:103/140

MP:707/710(10)

ST:114/114

STR:14

VIT:14

DEF:38(24)

MDF:140

DEX:320

AGI:14

INT:285(5)

LUK:50

ステータスポイント:残り18


スキル

繰り糸(マリオネット)Lv:2〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:2〕〔同期操作シンクロアクションLv:1〕〔工房Lv:2〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕〔〕

スキルスロット:空き1

スキルポイント:残り10


職業特性

通常生産系スキル成長度0.01倍

通常魔法使用不可

武器装備不可

重量級防具装備不可


装備

・武器1:装備できません

・武器2:装備できません

・頭:なし

・腕:アニマルグローブ

・体上:グリーンシャツ、ワイルドコート

・体下:ブラウンズボン

・足:ステップシューズ

・アクセサリー1:なし

・アクセサリー2:なし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ