表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
42/287

忍者が見ていた

アザレアを片手に西の海岸から草原を抜けて街へと戻ってる途中、マサムネちゃんからメッセージが届いた。


『今どこにいますか?』


何のためなのかわからないけど、『西の草原』とだけ返した。

マサムネちゃんとの連絡は大体こんな内容で、長文が送られてくることはまずないし、僕からも送ることはない。

以前長文を送った時に返ってきたのが『要約してください』だったので、それから長文を送ることはなくなった。


今回のメッセージからは、僕に用事があるけど呼び出すほどではないから、マサムネちゃんの方から向かうって感じかな。

もしも急ぎだったら『街のどこどこに来てください』という風に呼び出してくるからね。


マサムネちゃんが西の草原について僕を見つけられなかったら、またメッセージがくるだろうし、僕は人形の操作練習でもしておこうかな。


繰り糸(マリオネット)


アザレアを地面に下ろし、糸をつなぐ。

相手は黒い犬だ。


今回は魔法を使わず、メイスのような杖……もうメイスでいいかな。

メイスで殴り倒すつもりだよ。

近接戦闘の練習だね。


幸い今までの戦いで人形がダメージを受けることはなかったけど、森や海岸より先に進んだらモンスターが強くなったり、数で押されるかもしれない。

そうなった時は嫌でも人形に攻撃が当たるだろうし、できれば対応できるようにしておきたい。

修理ができるのかもわからないしね。


黒い犬が飛びかかってきたので、横腹をメイスで殴る。


「ギャン!」


殴られた黒い犬は吹き飛び、HPバーも消し飛んだ。

アザレアは近接戦闘もできるから、ハピネスとアザレアでMPを節約しながらの戦闘もできるね。


アザレアを回収してしばらく歩いていると体長1mぐらいの白い犬が現れた。

その犬は僕を見つけると尻尾をブンブンと振りながら目の前でおすわりした。

モンスター……だよね?

どういうこと?


「わんっ!」


見つめてると吠えられた。

といっても唸ってるわけじゃないから、全然怖くないね。

むしろ撫でたくなるよ。

尻尾もブンブンだし。


「見つけましたよ!」

「えぇ?!」


白い犬を撫でようと手を伸ばしたら、犬の後ろに体長4mぐらいの白い犬?狼?に刀を抜いた状態で跨ってるマサムネちゃんがやってきた。

犬に夢中で気づかなかったよ。


「その犬?狼?はマサムネちゃんのテイムモンスター?」

「はい!ホワイトイェーガーウルフのしらたまです!そっちのちっこいのはしらたまの子供でだいふくっていいます!」

「あ、狼なんだ」


大きい方のしらたまは狼なのはわかるんだけど、小さい方の大福は普通の犬に見えなくもない。

今の尻尾がブンブンと振られてる姿のせいだけど。


「なんで僕を探してたの?」

「あ、それはですね。オキナさんに合わせたい人がいるんですよ」

「今は特に何もしてないからいいけど、街に行けばいい?」

「いえ、連れてきてますよ」

「え?」


あたりを見回しても誰も居ないし、しらたまの上にはマサムネちゃんだけだし、だいふくの上には誰も乗ってない。

連れてきたらしいけど、見当たらないよ?


「ふっ!」


マサムネちゃんが連れてきたらしい人を探していると、マサムネちゃんの背後から声が聞こえ、黒い何かが飛び上がった。

飛び上がった黒い何かは僕の前に着地すると、踵を合わせてピシッと立った。


その姿は身長160cmぐらいで、服装は黒い忍び装束。

足や腕には鉄っぽい何かで作られたカバーがつけていて、胸元には黒い胸当てを、顔には黒い手拭いを目だけが出るように巻いている。

髪型は黒いポニーテールで、黒い紐で括ってる全身黒ずくめだ。

今はカンテラの光に晒されているので見えるけど、光がなかったら完全に溶け込むよ。


「お初にお目にかかります!私は忍者のしのぶです。マサちゃんに相談したら紹介していただけると聞いたので、連れてきてもらいました!」

「え?相談?紹介?」

「はい!」


しのぶと名乗った忍者は、目しか見えないけどとても嬉しそうだ。

それよりも相談と紹介だよ。

何か知らないところで噂になってるのかな?

それを聞いたしのぶさんがマサムネちゃんに相談して、その結果僕だとわかったから連れてきたとか?


「しのぶちゃんは東の森でオキナさんの戦いを見たそうです。それで、開拓掲示板に書こうとしたら書き込み禁止って出たらしいんです。で、私が聞き取った結果今に至ります!」

「東の森?もしかして東の森の忍者ってしのぶさんなんですか?」

「クエストに出てるのは私ではありませんよ。ですが、東の森の忍者は私を含めての呼び名ですね」


冒険者協会にあった忍者に物資を届けるクエストはしのぶさんではないらしい。

でも、東の森の忍者には含まれてるってことは、クエストの届け先はメルカトリア人の忍者ってことかな?

西洋風な顔立ちの人が忍び装束か……。


それに、僕の戦いを見たって言ってるけど、どの場面を見られたんだろう。

ひらけた場所だと花畑ぐらいだけど……。


「どこで見られたのかわないんですけど……」

「6人のPK集団との戦いですね。怪しい集団を追っていたら、小さな女の子を攻撃し始めたので、隙を伺っていたのです」

「隙……どこから見ていたんですか?」

「木の上です」

「そうですか」


ミヤビちゃんを助けたところを見られてたらしい。

しかも木の上から。

忍者だし仕方ないか。


「それで、何の用なんですか?」

「はい!まずはフレンド登録を!その後は人形を見せていただきたいのです!」

「え?人形を?」

「はい!」


しのぶさんは、左腕に抱えたアザレアをチラチラと見ながら言ってきた。

まぁ……マサムネちゃんが連れてきた子だからフレンド登録はいいんだけど……。

人形が好きなのかな?


「では、まずはフレンド登録から」

「お願いします!」


しのぶさんに向けて空中を叩き、フレンド申請をした。

さっきからすごいテンションが高いんだけど……。

全然忍んでないよね。


申請はすぐに承認されたので、後は名乗るだけだね。


「今更だけど、人形使いのオキナです」

「え?もう一度お願いします。職業だけ聞き取れませんでした。」


やっぱり聞き取れないよね。

マサムネちゃんも閲覧だけだし、説明はできないもんね。


『【しのぶ】に人形使い(ドールマスター)に関する閲覧権限を許可しますか?なお、許可しても書き込み権限はありませんので、他者との会話、メッセージ、掲示板などでの書き込みはできません。書き込みを許可する場合、フレンド登録後、フレンドメニューから実行してください』


『許可』ボタンを押したので、職業だけ伝えよう。


「職業は☆5の人形使い(ドールマスター)です。僕の職業は規制されてるので、許可がなければ掲示板に書けないし、話しても聞こえないんですよ。今も閲覧専用の許可が出ただけなので書けませんけどね」

「☆5は大変なんですね。私は☆4なのでそういった制限はありません。それよりも、人形を見せてください!」


しのぶさんは☆5職業よりも、人形に興味があるらしい。

今もアザレアの方に両手を突き出している。

まぁいっか。


「ふぉぉぉぉぉぉぉ……」


アザレアを手渡すと、地面に正座してじっくりと見だしたしのぶさん。

指を開いたり、服の細かさに感動しているね。


「オキナさん。私も見ていいですか?」

「ん?マサムネちゃんも見たいんだね。ちょっと待ってね。人形の館(ドールハウス)、ハピネス来い」


いつの間にかしらたまから降りていたマサムネちゃんが、人形を見たいと言い出したので、ハピネスを出してマサムネちゃんに渡す。

すると、マサムネちゃんも地面に座って眺め始めた。

2人してじっくり見てるね。


「あぁ!そっちの子は!」


アザレアを見ていたしのぶさんがハピネスを見て声をあげた。

PK集団を倒したのはハピネスだから、しのぶさんが見たのもハピネスなんだよね。

だからなのかはわからないけど、しのぶさんはハピネスが見たいらしい。

マサムネちゃんは視線に負けたのか、ハピネスとアザレアを交換した。


「今しのぶさんが持ってるのがハピネスで、マサムネちゃんの方がアザレアだよ」

「ハピネスちゃん!いい名前ですね!」

「アザレア……」


しのぶさんはニコニコとハピネスを弄り、マサムネちゃんはアザレアを興味深く見ている。

どうせならクローバーも出しておこうかな。


「クローバー来い」


出したままの人形の館(ドールハウス)からクローバーを取り出した。


「これがクローバー」

「3人も?!他にはいないんですか?!」


クローバーを出した瞬間、しのぶさんが奪い取るように抱えた。

右手にハピネス、左手にクローバーだ。


「もういませんよ」

「ハピネスちゃん、クローバーちゃん、アザレアちゃんね。覚えました!」

「そ、そうですか」


しのぶさんのテンションが高いんだけど、全身忍び装束のせいで、怖いからね?

これで持ってる人形が市松人形とかだったら、さらに怖さが増すよ。


「次は戦ってる姿が見たいです!」


どうやら人形を見て終わりではないらしい。


ステータス(消耗より回復が上回る)


名前:オキナ

種族:人族

職業:人形使い(ドールマスター)☆5

Lv:5

HP:115/140

MP:121/700

ST:114/114

STR:14

VIT:14

DEF:14

MDF:140

DEX:320

AGI:14

INT:280

LUK:50

ステータスポイント:残り18


スキル

繰り糸(マリオネット)Lv:2〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:2〕〔同期操作シンクロアクションLv:1〕〔工房Lv:2〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕〔〕

スキルスロット:空き1

スキルポイント:残り10


職業特性

通常生産系スキル成長度0.01倍

通常魔法使用不可

武器装備不可

重量級防具装備不可


装備

・武器1:装備できません

・武器2:装備できません

・頭:なし

・腕:なし

・体上:冒険者のローブ

・体下:冒険者のズボン

・足:冒険者の靴

・アクセサリー1:なし

・アクセサリー2:なし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ