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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン7日目)-
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イベント限定職業クエスト

僕達が小舟から降りた浜辺を見渡す限り他のプレイヤーは居ない。

どれだけの人が参加したのかは分からないけど、同時にスタートした人達が見えないぐらいこの島は広いようだ。


砂浜は左が直ぐに岩場で、右には砂地が結構続いている。

30mぐらいかな?

その先は左側と同じように岩場になっているんだけど、結構な出っ張りになっていて、先の方では魚が連れそうな気がする。

正面の砂浜は15mぐら続いていて、その先には椰子の木のような南国チックな木でできた森がある。

その奥には黒い煙を吹くとても大きな火山あって、見えている山の奥からも煙が流れているように見える。

ということは奥にも火口があるということになる。

火属性のモンスターが生息してそうだ。


「皆さん。メッセージを確認してください。イベント限定の職業クエストが届いています」

「おー。職業クエストの人から送られてきてる」


イベント用の掲示板を開こうとしたうららさんの呼びかけで、ガウル君を除く全員がメッセージを開いた。

ミヤビちゃんとしのぶさんも周囲の警戒をしながら確認しているんだけど、メッセージウィンドウ自体ないガウル君は海水を掬ったり、砂浜の感覚が面白いのか走り回りつつ森の様子を伺っていた。

その目は初めて目にするもに対する好奇心でキラキラしていて、耳と尻尾が忙しなく動いている。

触ってみたいけど、それはもう少し仲良くなってからだ。


「さて、僕も確認しよう」


走ったり跳ねたりしているガウル君に警戒を頼んで、僕もメッセージ画面を表示した。

確かにゼロワンさんからメッセージが届いていたけど、まずはログインボーナスを受け取る。

今日のボーナスは『天使の雫』という復活アイテムである『天使の涙』の上位アイテムで、戦闘不能をHP10%で回復し、周囲1m以内にいる生存している人のHPを10%回復するものだった。

これを7日目のログインボーナスで配るということは、イベントで強いモンスターと戦ってこれを使うタイミングが出てくるのかな。

考え過ぎかもしれないけど。


次は本命のゼロワンさんから送られてきたメッセージだ。


『イベント限定職業クエスト:戦闘の幅を増やしましょう

依頼者:自動人形(オートマタ)ゼロワン

内容:人形使い(ドールマスター)の糸は戦闘以外にも使うことができます。

移動先の壁や自分より重量のある所に糸を繋げ、それを縮めることで高速で移動することができます。

広い場所や複雑な地形で使用されてはいかがでしょうか。

また、離れた所にある取得可能なアイテムに繋ぐことで引き寄せることもできます。

高い所にあるアイテムや、簡単には行けない場所にあるアイテムを取得するために使用してみてはいかがでしょうか。


また、人形の性能を活かすためのヒントをお伝えします。

人形に接続する糸をの数を増やすことで動かす時の速度が増したり、攻撃の威力が上がります。

接続可能な本数は人形のレア度の半分の本数ですが、0.5は繰り上げます。

先代の作ったハピネス達は☆7なので4本接続可能です。

接続可能本数の見分け方としては、糸を接続した際に人形がカタカタと動き始めると限界です。

それ以上つないだ場合は耐久値が1/4となってパーツ毎に分解されます。

使用する際はお気をつけください。

この情報が強いモンスターと戦う時に役立つことをお祈りいたします。


報酬:人形の素材詰め合わせセット、水球(アクアボール)機巧(ギミック)

状況:移動 0/100

アイテム取得 0/100』


クエストの内容は糸を使った移動とアイテムの取得で、やること自体は全然問題ないんだけど数がちょっと多い。

移動は木の間を糸を使って跳び回ればすぐだろうけど、アイテムの取得はちょっと面倒だ。

そこら辺に落ちている砂や石を糸で引き寄せても、光になって自動的にアイテムバッグに入ることはなく自分でアイテムバッグのウィンドウを開いて入れる必要がある。

だけど、これではカウントが進まなかったから、採取で拾うような素材系のアイテムを糸で取らないとダメらしい。

生憎とどれがどの素材か分からないので鑑定を取るか、うららさんに素材アイテムを教えてもらって糸で取るべきだと思う。

あるいは花や実に片っ端から糸を伸ばすのもありかもしれないけど。


そして複数の糸を繋いだ時の情報も教えてくれた。

これを読む限りカタカタした状態が1番強い状態に見えるけど、襲われる方から見ると完全にホラー映画の人形になると思う。

てけてけ人形やハピネスのお腹から出てくる刃とかも合わせて考えると、人形使い(ドールマスター)が悪役に思えてきた。


後は接続本数の限界を超えた時だけど、パーツ毎に分かれるということは再利用が可能だということだね。

素材さえあれば耐久値を回復できるから、一から作るより必要素材数が減るならありかもしれない。

ただ、使い所が思いつかないなぁ……。

いいパーツを別の人形に使いたい時とかかな。


報酬には機巧(ギミック)があるけど、イベント限定クエストの報酬だから、そこまで高性能ではないはずだ。

アクアボールだからアザレアの杖から出すものと同じはずだし。

機巧(ギミック)を作れない今はあって困るものじゃないからクリアは目指すつもりだけどね。


「僕のクエストは糸を使った移動とアイテムの取得を100回ずつ行うというものでした」

「私は契約している精霊が活性化する場所を見つけるっていうクエストだったよ」

「地上に足をつけずに6時間過ごすというものでした!」

「この島で取れる素材を使って装備品を含めて10種類のアイテムを作るというクエストです」

「竜の生態を知るというクエストです。いくつかの項目があるので、それを埋めていくものですね」


それぞれのクエストをまとめると、セインは契約している精霊に合った環境の場所を見つけるというもので、クエストを受けた時点で契約している精霊が対象となっていた。

同じ火属性でもプレイヤー毎に精霊の姿が変わるように趣向も変わりらしく、これに関しては掲示板を使ってもピンポイントで調べるのは難しい。

それでも、火がある場所を何点かピックアップするということはできると思う。

あと、念のため水属性のみーちゃんを海に近づけてみたんだけど、活性化ポイントではなかった。

属性は強化されているんだけど活性化とは別らしく、セインも分からないみたいで首を傾げていた。


しのぶさんのクエストは忍者たるもの長時間潜まねばならないということで、地面ではない場所に6時間いるというものだったんだけど、別に木の上限定とかではないらしい。

遮蔽物があることが条件だけど、それさえ満たせば建物の上とか岩の上でもいいみたいで、遮蔽物もなければ作っていいそうだ。

葉っぱを纏ってカモフラージュするだけでも遮蔽物として見なされるので、森の中を進みながらクリアを目指すことになった。


うららさんのクエストは生産をするだけ……かと思いきや、設備がない状態で作らなければならないため、1つ作る時間が伸びて失敗する可能性も上がる。

その分生産による経験値は多くもらえるみたいだけど、ここで取得できる素材のレア度が高いとそれだけ難易度も上がるので、もしかしたら苦戦するかもしれないと苦笑いしている。


ミヤビちゃんのクエストはシロツキとトバリの好きな食べ物や遊び、飛ぶ時の癖等色々な項目を埋めるというものだった。

ミヤビちゃんが見ていれば自動的に埋まるそうだけど、2頭分見ないとダメな反面報酬は良いみたい。

クリアすると竜に合わせた装備品が手に入るそうで、レア度としては初心者装備だけどできれ欲しいとのことだった。


というわけで、大まかな流れとしてはセインの精霊が活性化する場所を探すために島を探索しながらモンスターを倒して魔力を集め、その素材でうららさんが生産をする。

その間に僕は糸を使って移動とアイテム収集を行なって、しのぶさんは地上以外を移動する。

竜の生態については……出来るだけ目を離さず、それぞれ気づいた事をミヤビちゃんに伝えて確認してもらうということになった。


ガウル君については危ない事をしない様にと言うしかなかったけど、それで納得してくれた。

初めての場所だから常に警戒する様にしているのは、さすが獣人というところなんだろうね。


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