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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン7日目)-
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ネコミミ?の……

顔が1番怖い人形に対してセインが『てけてけ人形』と呼んで遊んでいる横で、色々パーツを変えながら12個頭を作った。

残りは35個だけど、素材が足りないのでこれ以上作れない……わけではないんだけど、モンスターの肉を使ってパーツを作るのに躊躇している。

急いで作らないといけないなら肉で作ってもいいけど、全部使ってもレベルアップに必要な数には到底足りない。

これならもっと木や石を集めていればよかった。


「あと15分で集合時間だよ」

「そうだね。今作れる分は作ったから行こう」

「りょーかい」


僕達が立ち上がるとゼロワンさんが扉をあけてくれたので、ゼロワンさんの先導で転移室へ行き、街へと戻った。

集合場所の噴水広場に向かうと既に全員揃っていたから、挨拶をした後すぐに東門へと向かう。

昨日ログアウト前にアイテムは補充しているから、このまま出ても問題はない。


「昨日と違って晴れていますね。シロツキちゃんとトバリちゃんも嬉しそうです」

「まだ少しぬかるんでるけどね〜。竜は雨が嫌いなの?」

「飛ぶのに問題はないんですけど雨がちょっと気になるみたいです」


ミヤビちゃんのいう通り昨日降ってた雨はもう上がっているんだけど、朝僕と一緒に外に出たセインは土がまだ濡れている事を知っている。

場所によっては走りづらい場所があったからね。


「それではさっき聞いた通りの方法でヌシ釣りの森の奥まで走りましょう」


イベントまで約3時間。

その間にできるだけレベル上げをしたいので、ヌシ釣りの森の奥まで走ることになった。

途中のモンスターはシロツキとトバリに加えて騎士人形とセインの精霊で対処できるから、しばらくは走るだけだ。

これならパチパチドングリッチが落ちていた先に広がる森も予定より深く調べることができそうだ。


「あ。家が壊れてるよ」

「それだけの戦いだったんだね……」


ST(スタミナ)回復のため休み休み走って湖まで来たんだけど、そこにあったコテージは所々壊れていた。

氾濫した湖から出て来たモンスターでは屋根に穴を開けたり、壁の上の方を壊すことはできそうにないから、防衛するときに勢い余って壊したんだろうか。

もしかしたら家を壊せるようなモンスターが出て来たのかもしれないけど、どちらにせよ修理は始まっているから少ししたら直ると思う。

それに加えて柵を作っているから次へも備えているみたいだ。


「ここも人がいっぱいですね〜」

「皆さん同じ目的なんでしょうね」


ハニーベアが出てくるところまで来たんだけど、ここもいつにも増して人が多い。

うららさんの言う通り北の鉄鉱山と同じでレベル上げ目当ての人が来ているんだと思う。

途中までで倒したのはパラライビー系が6匹に雑草魂が5体。

それにステップボアが1頭だけで、他に見つけたモンスターは既に戦闘中だったり、他の人の攻撃で遠距離から一撃でやられたりしていた。


「もう少し先へ行きますか?」

「そうですね。これなら草原に出てもいいかもしれません」


ワイルドベアやスイングボアが出てくる場所、パラライビーが沢山飛んでいる花畑、大きなステップボアが出てくる場所でも至る所で戦闘が行われていた。

大きなモンスターが出てくるところだと数が多いから多少は戦えたんだけど、探す方に時間が取られそうだった。

なので草原まで出た。


「ここはまだマシだけどもう少し先まで行ったほうが良さそうだね〜」

「私が空から見てきます!シロツキちゃん巨大化(バトルモード)!」

「よろしくミヤビちゃん」


草原にはそこまで人はいなかったんだけど、それでも0じゃない。

少しでも人が少ない方がいいのでミヤビちゃんにお願いした。


「南と東の草原には結構人がいます!北の森の方は人が少ないみたいです!でも、人がいないのはモンスターが少ないからかもしれないので、森の中に入った方がいいかもしれません!」

「ありがとう!それじゃあ途中のモンスターを倒しながら森の方を目指そう!」

「思ったより早くパチパチドングリッチが落ちていたところへ行きそうだね」

「むしろそれに注力してもいいかもしれないですね!」


空から見た結果、北東へ向かうことになった。

東の遠くに広がる山脈を視界に収めつつ北に広がっている森に向かうんだけど、それは昨日パチパチドングリッチが落ちていた森の方へと続いている。

予定より早く探索することになったけど、出てくるモンスターが強すぎないことを祈ろう。

死に戻りした状態でイベントに参加したくはないからね。


「お。レベルアップだ」

「おー。おめでとう」

「おめでとうございます」

「ありがとうございます」


『レベルアップしました!

Lv:13→14

HP:230(+10)

MP:1210(+65)

ST:123(+1)

STR:19(+0)

VIT:23(+1)

DEF:22(+1)

MDF:250(+15)

DEX:365(+5)

AGI:19(+0)

INT:480(+25)

LUK:50(+0)


ステータスポイントを3ポイント獲得しました!

スキルポイントを1ポイント獲得しました!』


草原を森へと進みながらブラウンホーンラビットを倒しているとレベルが上がった。

ステータスの上がり方はいつも通りだったので、軽く見て消しながらセインとうららさんに返事をした。


森に入る前にレベルが上がってくれたから、進むのがちょっとは楽になるかもしれない。

僕の場合はレベルアップよりも性能の良い人形を手に入れるべきかもしれないけど。


「それじゃあ森に入りますね!私が前を行きます!」


しのぶさんの先導で森に入った。

東の森とほとんど同じように見えるけど、雰囲気はワイルドベアが出てきた場所に似ている。

だからそれぐらい強いモンスターがいると思って進んだ方が良さそうだ。


「あ。ドングリ。……パチパチドングリッチだね〜」

「やっぱり森の中にもあったね」

「この辺にそれを落とすモンスターが出てくるのかもしれないですね」

「そうですね。警戒しながら進みましょう」

「だね。私は他にこれがないか注意するよ」


森に入って5分もしないうちにパチパチドングリッチが見つかった。

これがモンスターの物なのかはわかっていないけど、警戒するに越したことはない。

とは言ってもその警戒はしのぶさんとミヤビちゃん任せだけどね。

なので、セインに地面を見てもらい、その周囲を僕とうららさんで警戒することにした。


「クモのモンスターが来ます!」

「鑑定しました!ニードルスパイダーです!」


さらに数分歩いたところでしのぶさんが声をあげた。

視線の先には鋭く尖った足先に加えてお尻部分にも針がたくさん生えていて、体長60cmぐらいで深い緑色のクモ型モンスターがいた。

お尻部分に加えて尖った足先も名前の由来っぽいね。


「糸です!」

「針も飛ばしてきました!」


ニードルスパイダーは糸と針を飛ばしてくるのと、高速で動き回って足で刺してくる攻撃をしてきた。

糸はハピネスの剣で切るか火炎放射で燃やすか、アザレアの魔法で燃やした。

普通の剣で切ったり盾で防ごうとすると


人を狙って飛ばしてくる針は盾で防ぎながら戦うことでなんとかなった。

僕とうららさんは木から木へと飛び移りながら近づいてくるニードルスパイダーに反応できなかったので、至近距離から糸を放たれて動けなくなったけどね。


セインはとっさにソード化した精霊を振るって切り払えたんだけど、広範囲に広がる糸だったので僕とうららさんにだけ当たった。

当たった糸は勝手にグルグルと体に巻きついて縦に長い糸玉のようになったんだけど時間経過で消えてなくなるし、僕の場合はハピネス達に糸を繋いでいるおかげで動けないながらも戦うことができたのも良かったと思う。

初めて戦うモンスターだと突然の出来事で混乱してしまからね。


「巣がありました!」

「結構たくさんありますね」

「とりあえずニードルスパイダーを倒しましょう」


しばらく進むと木の間に張り巡らされた蜘蛛の巣が密集している場所に出た。

そこにはニードルスパイダーが8匹いたんだけど、1匹ずつなら問題なく倒せた。

2回2匹と戦闘になったけど、その時はアザレアでストームを使えば糸は何とかなった。

パーティメンバーにはダメージが入らないおかげで僕達を中心に炎の竜巻を出したからだ。

そのおかげで針が見づらくなったから何本か受けたけど、クローバーで回復すれば問題なかった。


「せっかくだから巣は燃やしておく?」

「そうした方が見通しは良くなるよね。僕がやるよ」

「私も協力しますよ?」

「しのぶさんは警戒をお願いします。ハピネスでやればすぐですよ。左手に炎を(レフトフレイム)


ニードルスパイダーを倒した後に残った巣はハピネスで燃やすことになった。

アザレアのボールでよりハピネスの火炎放射の方がすぐに切れるから調整もしやすい。

木に燃え移りそうになっても放り投げて切れば問題ないし、ほとんどの巣が燃えているからハピネス自体が糸に絡まる事もない。


「んー!んー!」

「え?!あそこに何か捕まってるよ!(じぃ)!」

「任せて!」


巣はニードルスパイダーの数以上にあった。

それを燃やしながら進んでいくと、ミノムシ状に糸を巻きつけられた動くものがくっ付いていた。

大きさはミヤビちゃんより少し大きいぐらいだ。

それをハピネスを投げて切り落とし、ラナンキュラスでキャッチしてゆっくりと下ろした。

下ろすだけならラナンキュラス1体だけでも問題なかった。


「んー!んむー!」

「今からゆっくり切るから動かないでください。右手に剣を(ライトセイバー)

「ん……」


激しく動くミノムシに声をかけると大人しくなった。

よく見てもバッドステータスはないから状態異常じゃないし、ミヤビちゃんに名前を見てもらっても『?????』だから切るしかない。

さすがに燃やすのはまずいからね。


「ぷはっ!いやー助かったぜー!ありがとうな兄ちゃん!後は体も頼むな!」


声が聞こえていたところを注意しながらきった。

僕が緊張していてもハピネスは思った通りの場所を綺麗に切ってくれるので作業には問題はなかった。


ただ、現れた男の子の頭にネコミミのような三角の耳が生えているのが問題だ。


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