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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン1日目)-
28/287

初めての殺戮

GWに見直し予定


ブックマークが5000件を超えていました。

ありがとうございます。

とても嬉しく、励みになります!

ステップボアの肉を集め終わり、街へ帰ろうとした時、森の奥から女の子の悲鳴が聞こえてきた。

HPは満タンだけど、MPは半分以下。

ステップボアより強いモンスターに襲われていたとして、ハピネスなら倒せるかもしれないけど、僕は一撃で倒されてしまうかもしれない。


だからといって放置はできない。

気になるし、イベントの可能性もあるからね。


声が聞こえたのはステップボアと激闘を繰り広げた広場よりも更に奥で、木の密集度が上がって薄暗くなってきた。

お化けとか出てきそう……。


「やめてー!!」


声を頼りに進んで行くと、ちょっとした広場にたどり着いた。

広場の真ん中には体を丸めて何かを抱きしめる女の子と、その子を囲むように6人の男女が居た。


女の子は長い黒髪を地面に垂らし、レースのついたプレートメイルを着ているけど、お腹に何を抱えているかは丸まってるせいでわからない。


周囲の男女は例外なく武器を手にしているけど、何故か体から薄っすらとした赤黒いオーラが出ている。

何かわからないけど、全員が同じスキルを発動してる?

有用なスキルでも見つかったのかな。


「はやくどけよ!」

「いや!」


剣を持った男の人が、女の子に向かって強く言ったけど、女の子は拒否した。


「くっそ!だから相手を見てからやるべきだったんだよ!」

「竜だけでも倒せれば御の字だろ」

「こいつが丸まってる限りは無理だろ!どうにかして引き摺り出せよ!」


剣を持った男の人は斧を持った男の人と口論し始めた。

どうやら丸まってる女の子の下には竜がいて、周囲の6人はその竜を倒したいらしい。


竜が召喚されたのか、テイムされたのかはわからないけど、プレイヤーの竜を倒しても経験値は貰えるんだろうか。

あるいはイベントモンスターで、女の子が竜を守ってるのかもしれない。

小さな女の子が庇える竜ってことは子供の竜だろうし、保護して育てるイベントとか、親竜の元に連れて行くイベントとかあるかもね。


「くっそ!こいつがキッズじゃなければぶっ倒して終わりなのによ!」

「きゃっ!」


剣を持った男の人が女の子を切った。

だけど、女の子の体に当たる前に止まった。

「ガンッ」という音がして、空中に波紋が広がり、それ以上剣が進まないようだ。


見えない壁に守られてる感じだね。

男の人が言ってた「キッズ」って子供のプレイヤーのことで、あの壁はキョウコさんが言ってた「安全モード」ってやつかな?

となると、周りの人はPKってことになるのかな。

NPCに攻撃されていても安全モードが作動するなら別だけど。


「力ずくで退かそうにもフレンドじゃないから触れないし、範囲攻撃してもこいつの居る場所だけ攻撃が無効になるし!」

「放っておけば良いじゃない。どうせこの子殺せないんだし」

「竜の素材は欲しいだろ!」

「そりゃそうだけどさ。こんな亀みたいに丸まられてたら無理だよ」

「くっそ!」


剣を持った男の人を杖を持った女の人が止める。

どうやら小学生以下のプレイヤーに対して自動的に発動する「安全モード」は、フレンド以外だと触れないらしい。

逆に言えば小学生じゃなければ触れるってことだろうけど、流石にハラスメント対策はされてるよね?

試すつもりもないけど。


このPK集団っぽい人達は、女の子の下にいる竜を素材目的で倒したいらしい。

となると、女の子が従えたモンスターじゃないのかな?

獣使い(ビーストテイマー)の竜版みたいな可能性もあるけど、テイクしたモンスターを倒しても素材は落ちないよね?

たぶん行動不能になるだけだと思うんだけど。


となると、女の子が守ってる竜はテイム前で、イベントモンスターの可能性が高くなった。

まぁ、そんなことは関係なしにどっちの味方をするかは決まってるんだけどね。


剣を持った男の人は鉄っぽいプレートメイルを着てるけど、ブーツや籠手は革製っぽく、頭は何もつけてない。


斧を持った男の人は全身革製で、頭にも皮のヘルムを着けてるけど、蒸れないのかな?

そこまで作られてはないと思うけど。


杖を持った女の人は茶色い毛皮のローブで全身を覆っているだけで頭は出ている。

たぶんブラウンラビットの毛皮だね。


他には緑の服を着た弓を持った男の人、短めの十字の杖を持った白い服の女の人、盾と剣を持った全身フルプレートの性別不明な人がいる。


1対6だから慎重に作戦を考えたいけど、早くしないと女の子が可哀想だし……。

とりあえずマナポーションを1本飲んでおこう。

これでMPが200を超えた。


狙う順番は魔法使いっぽい女の人、剣を持った男の人、斧を持った男の人、弓を持った女の人、十字の杖を持った女の人、性別が不明な人でいこう。


まずは魔法で吹き飛ばされる可能性を減らして、その次は女の子の近くにいる近接戦闘武器を持ってる人を倒す。

その時点でハピネスが見つかってると思うんだけど、弓なら引っ張れば避けられそうだし後回し。

回復魔法が使えそうな女の人は、誰かが傷ついてから動くはずだし、守るのが得意そうな人はハピネスの刃が通るかわからないから最後だ。


どうせなら左手の繰り糸(マリオネット)と、ハピネスの痺れ針使ってみようかな。

そうすれば、ある程度の余裕が生まれそうだし。

よし、決めた!


繰り糸(マリオネット)右手に剣を(ライトセイバー)左手に業火(レフトフレイム)


ハピネスの両手を切り離す。

これで切りつけながら、他の人に炎を当てることができる。

後はもう一本の繰り糸(マリオネット)と痺れ針の使い方だけど、もう決めた。

後は実行するだけだ!


繰り糸(マリオネット)、痺れ針」

「うっ!」


左手の繰り糸(マリオネット)で剣と盾を持った人を狙い、痺れ針で十字の杖を持った回復魔法使いっぽい女の人を狙う。

糸は問題なく付き、剣と盾の人の動作を奪い、痺れ針は十字の杖を持った女の人に直撃して痺れさせることに成功した。


剣と盾を持った人は倒せるかわからないのと、ハピネスを止められたら一気に状況が悪くなるからで、十字の杖を持った女の人は、即座に回復されないようにするためだ。


すかさずハピネスを引っ張り、その勢いを利用して、急に蹲った十字の杖を持った女の人に気を取られた魔法使いっぽい女の人に向けて放り投げる。


「かはっ」


背後から投げつけることができたので、後ろから喉を貫く。

クリティカルのエフェクトと共にHPバーが砕け散り、女の人が倒れこむ。

モンスターじゃないから、一定時間は光にならないっぽいね。

蘇生待ち時間だと思う。


倒れる女の人の陰に隠れて剣を持った人の股下にハピネスを移動させる。

そして、上に向けて炎を噴射。


「ぐぁぁぁぁぁ!!!!」


男は火達磨になり、数秒でHPバーが砕け散った。

砕け散った後も体は燃えているので、近付きづらい感じがすごい。


斧を持った男の人と弓を持った男の人がハピネスの存在に気づいて武器を構えたので、弓を持った男の人に向けて牽制のため炎を噴射しながら、斧を持った男の人との距離を詰める。


斧を持った人、低い位置にいるハピネスに向けて横薙ぎに斧を振るうが、ジャンプさせることで、振るわれた斧に乗ることができた。

ハピネスはバランスを崩したけど、なんとか立て直せた。


武器破壊がどうなるかわからなかったので、斧の付け根部分を右手で切らせると、すんなり切れた。


「なっ?!」


そのことで呆然となった斧を持っていた男の人に近づけ、ジャンプさせて心臓部分を一突きさせた。

また、クリティカルのエフェクトが出て、HPバーが砕け散った。


次に狙う弓を持った男の人に目を向けると、発射体制だったので、とっさに糸を引いてしまった。

そのせいで盾と剣を持った人も引き寄せてしまい、その人に弓が当たった。

フルプレートのおかげで大したダメージになっていないみたいだけど。


もしかして繰り糸(マリオネット)を使って戦う方法って、振り回すんじゃなくて人形の代わりにする方が正しい?

この場合、この人を使って弓持った男の人戦わせればいいのかな?


試しに弓の人の方へ進ませると問題なく動いた。

そういえば、盾と剣を持った人は喋らないけど、繰り糸(マリオネット)状態だと喋れなくなるのかな?

人形のように操られると考えると、その可能性はありそうだ。


「おい!どうした!なんでこっちに来るんだ?!」

「…………」


剣を抜いた状態で迫って来る仲間に声をかける弓の人。

残念だけど、その人は話せないよ。


「ぐぁ!」


混乱しているせいで距離を取ることを忘れたのか、剣の範囲に入ったので、弓の人を切りつける。

HPは1/4ほど減った。


「がはっ」


盾と剣を持った人に気を取られていたからか、ハピネスの接近に気づかなかった弓の人は、ハピネスにお腹を切られてHPバーを砕け散らせた。


残ったのは、痺れて地面に転がっている十字の杖を持った女性と、繰り糸(マリオネット)で操られた状態の盾と剣の人だ。

先に十字の杖の人だね。


地面に蹲った状態なので、背中側にハピネスを移動させ、背から突き刺す。

クリティカルのエフェクトは出なかったけど、問題なくHPを全損させ倒すことができた。

これで回復される心配はないかな。


後は盾と剣の人だけど、PK対策のために、先に武器を破壊しておこう。

盾を構えさせ、ハピネスで切りつける。


HPが1/3減り、盾が真っ二つになった。

破壊だけじゃなくてダメージも与えれた。


次は剣を水平に持たせ、横からハピネスに振り下ろさせる。

スパッと切れたね。


最後に両手を広げさせ、ハピネスを抱きつかせるかのように飛び込ませる。

そして胸に一突き。

あっさりとプレートを突き破りダメージを与えることができ、もちろんHPバーが砕け散って、地面に倒れた。


盾剣の人が倒れた直後、6人の頭上にデジタル時計のようなものが表示された。

カウントダウンしているので、街に戻されるまでの時間かな?


0になるまで待つと、全員光になって消えて、その場にたくさんのアイテムが出現した。

これでもう大丈夫だよね。


ハピネスの両手を回収して、女の子の元へ急ぐ。

その時視界の隅にウィンドウが見えた。



『レベルアップしました!

Lv:3→4

HP:130(+10)

MP:650(+50)

ST:113(+1)

STR:13(+1)

VIT:13(+1)

DEF:13(+1)

MDF:130(+10)

DEX:315(+5)

AGI:13(+1)

INT:260(+20)

LUK:50(+0)


ステータスポイントを2ポイント獲得しました!』


PKをするプレイヤーを倒しても経験値は貰えるんだね。

森に入ってからレベルアップが早いなぁ。


そんなことを考えながらウィンドウを叩き消して、女の子に声をかける。


「もう大丈夫だよ」

「っ!」


声をかけると、女の子が顔を上げて周囲を確認した。

僕だけしかいないことがわかるとゆっくりと起き上がり、服に付いた土を払ってから僕に頭を下げた。


「あの!ありがとうございます!シロツキちゃんとトバリちゃんも助かりました」


女の子は2頭の子竜を抱いていた。

真っ白で緑色の目をしたトカゲに羽の生えた竜と、対照的に真っ黒で黄色の目をした同じ形態の竜だった。

女の子はそんな子竜を片腕ずつ抱えている。


「キュー」

「クァー!」


抱えられた2頭の鳴き声が響いた。

ステータス(戦闘で消費、レベルアップ)


名前:オキナ

種族:人族

職業:人形使い(ドールマスター)☆5

Lv:4

HP:130/130

MP:86/650

ST:113/113

STR:13

VIT:13

DEF:13

MDF:130

DEX:315

AGI:13

INT:260

LUK:50

ステータスポイント:残り16


スキル

繰り糸(マリオネット)Lv:2〕〔人形の館(ドールハウス)Lv:1〕〔同期操作シンクロアクションLv:1〕〔工房Lv:1〕〔人形作成ドールクリエイトLv:1〕〔自動行動オートアクションLv:1〕〔能力入力スキルインプットLv:1〕〔自爆操作(爆発は主人のために)Lv:1〕〔〕

スキルスロット:空き1

スキルポイント:残り10


職業特性

通常生産系スキル成長度0.01倍

通常魔法使用不可

武器装備不可

重量級防具装備不可


装備

・武器1:装備できません

・武器2:装備できません

・頭:なし

・腕:なし

・体上:冒険者のローブ

・体下:冒険者のズボン

・足:冒険者の靴

・アクセサリー1:なし

・アクセサリー2:なし

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