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エリアボスのキングパラライビーらしき大きな蜂とクイーンパラライビー2体に、沢山のパラライビーと戦っていたのは6人組のパーティだった。
前衛は2人で、両手剣を持っているお兄さんと巨大なハンマーを持っている少年だ。
後は全員後衛みたいで、魔法使いと僧侶の女性、弓士の女の子に……吟遊詩人かな?
ハープを持った女性だ。
ハープでどうやって戦うのか気になったのでジッと見ていたんだけど、ハープで曲を奏でて味方を強化したり敵を弱体化している。
他にも音に魔力を乗せて攻撃しているみたいで、ハープの音が出ると魔力で見えるようになった音の波がモンスターにぶつかってダメージを与えている。
あと、近づきすぎたパラライビーに対してハープそのもので殴りつけていたんだけど、一番威力があった攻撃はこれのように見えた。
「あ!あれ?」
「どうしたの?」
「いや〜、近づき過ぎちゃってバトルエリアに触ったんだけど、向こう側へ移動しなかったんだよ〜。まだ倒されていないから進めないのかな?」
「どうだろう。森だから大きく回れば行ける気がするけど」
バトルエリアに近づいて戦闘を見ているとセインが声を上げた後首を傾げた。
バトルエリアに触れたけど移動しなかったからみたいだけど、ここのエリアボスが倒されたというメッセージは届いてないから、まだ通れないんだと思う。
「やめておいた方がいいですよ」
「しのぶさんは何か知っているんですか?」
「はい。さっきも戦った湖の守護者を倒す前の話なんですが、水中を探索するために潜った人がいるんです。でも、少し深いところに潜っただけで反撃を許さないほどの勢いでモンスターの集団にやられてしまったんです。しかも、少し離れたところで湖の守護者が見ていたそうです」
「倒してからはどうなったんですか?」
「モンスターに襲われなくなったわけではないですけど、普通に戦えるぐらいになりました。だからある程度探索できるようになっていますよ」
「そうなんですか」
つまり、守護者を一度も倒していない状態でテリトリーに入るとモンスターの攻撃が激しいということだ。
目の前で戦っているキングパラライビーが何の守護者なのかはわからないけど、この先に迂回して進めば大量のビー達に襲われることになるんだと思う。
羽音がトラウマになるぐらいの量が来そうな気がする。
「湖の守護者を倒していない時の森はどんな感じだったんですか?」
「今と変わりませんね。湖というぐらいですから森はテリトリーじゃなかったんでしょう」
「そう言われるとそうですね」
湖の守護者なのに周囲の森までテリトリーだとしたら森の守護者になる。
そうなると孤島の守護者を倒す前の島が気になるけど、大量の鳥に襲われたんだろうか。
岬の守護者もあの辺りがピンポイントだったんだろうけど、鉄の守護者はよくわからない。
倒したことでトンネルが開通したけど、もしかして段になっているところへ通じる穴を掘っていたロックゴーレム達は守護者を倒したから現れたのかな。
無理矢理壁を壊そうとしたら大量のロックゴーレムに襲われるようのなっていたのかもしれない。
「お姉ちゃん。あの蜂の名前は鑑定できないの?」
「距離があって無理ね。前はキングパラライビーだったのだけど、今は違うみたい」
「戦闘になったら名前が変わったということですか?」
「そうみたいですね。こればかりは他の守護者を鑑定しないとわかりませんが、恐らく遠くに行くと守護者が通常モンスターとして出てくるのでしょう。なので、出てきた時の名前も見れるようになっているのだと思います」
「なるほど。ありそうですね」
鉄の守護者はリトルアイアンゴーレムが出てきた先に居そうだし、湖の守護者もどこか深い湖にいるのかもしれない。
岬の守護者はゴースト系のモンスターが出てくるところで、孤島の守護者は幽霊船に出てきそうだ。
そんな場所があるかはわからないけど、多分あると思う。
「それにしても、このエリアボスは強いですね」
「どれから倒せばいいのかわかりません」
よく観察してくれるうららさんもどれから倒せばいいのかわからないみたいだ。
キングパラライビーは前に出てきて、両手に持った剣を振るか巨大な体で体当たりしてくる。
羽は飛ぶというよりも跳び上るための補助という感じの使い方だ。
巨体すぎて長時間飛べないんじゃないかな。
そして、キングパラライビーの援護をするようにクイーンパラライビーが魔法を放ってくる。
1匹は攻撃魔法でもう1匹がキングパラライビーへの補助魔法と戦闘している人への妨害魔法だ。
これならラナンキュラスの頭部機構が使えそうだけど、かけ直されたらどうなるのかはわからない。
更にクイーンパラライビーを守るように武器を持ったパラライビーが展開しているので、魔法を放ってもクイーンパラライビーまで届かない。
近づけば一斉に攻撃されるせいで遠くから範囲攻撃を放っているんだけど、それでパラライビーを倒しても後ろにある巣の向こうからパラライビーが追加でやってくる。
盾持ちのパラライビーを倒しても補充されるのは盾持ちというわけじゃないから、うまく調整すればクイーンパラライビーを守るパラライビーよりも攻撃に加わるパラライビーの方が多くなりそうだ。
でも、そんな調整をしている間にキングパラライビーの攻撃でやられそうなんだよね……。
一振りの威力が大きいから、後衛組だと一撃でやられるか瀕死になると思う。
「爺あの人達の足元を見て」
「え?」
セインに言われて戦っている人達の足元を見る。
すると、僕達と違って足がハチミツの中に沈み込み、踏ん張れなかったり歩きだしが遅いことに気がついた。
「ハチミツにどっぷり浸かってるよ。たぶんエアアーマーを使っていないんじゃないかな」
「そうみたいだね。覚えていないのか使えると思っていないのかはわからないけど、それも苦戦している原因の一つだろうね」
接近戦組はキングパラライビーの攻撃を武器で受けても、滑るせいで後ろに大きく後退するからすぐに攻撃できない。
避けようとしても動き出しが遅いから間に合わないので、飛び込んで避けている。
そのせいで全身ハチミツまみれになって更に動きが遅くなるという悪循環だ。
後衛も迫ってくる武器持ちのパラライビーから距離を取ることができず、手持ちの武器で直接攻撃している。
ハープを持った人が放つ音でなんとかなっている状態だけど、あの人が欠けたら一気にやられるんじゃないかな。
「ぐっ!」
「え?!どうして麻痺したの?!」
魔法使いが杖でパラライビーを叩き落としたら、少し離れたところにいたハープの人が麻痺した。
僕達のところからなら見えたけど、勢いよく叩きつけたせいで飛び散ったハチミツを口にしたせいだ。
痺れハチミツは少量ならピリッとした口当たりだけど、量を食べたら麻痺するんだね。
エアアーマー防ぐことができるかわからないから気をつけよう。
そこからは酷かった。
ハープの音が止んだことでパラライビーの対処ができず後衛が徐々に傷つき倒れて行く。
前衛が助けに入ろうにもキングパラライビーが軽く跳んで先回りしたり、剣を叩き受けて道を塞いだ。
そしてなんとかキングパラライビーのHPを半分まで減らしたところでキングパラライビーが後ろに下がり剣を手放す。
何をするかと思えば周囲を飛んでいるパラライビーを掴んで勢いよく投げてきた。
そのせいで仲間の元へと急いだ前衛組が麻痺し、パラライビーやクイーンパラライビーの魔法で一網打尽にされてしまった。
「どうすればいいんでしょうか?」
「できればクイーンパラライビーを先に倒したいですね」
「私ならパラライビー達を斬り伏せながら近づけると思います!」
「私は空から攻撃します!」
できればキングパラライビーに集中したいし、魔法攻撃はラナンキュラスの鏡写しの盾で跳ね返すとしても、強化はない方がいい。
しのぶさんなら地走りで突っ込めるだろうし、ミヤビちゃんはシロツキに乗って上から攻撃できる。
ただ、そうなるとキングパラライビーを止める人が居ないんだよね。
ハピネスとセインで止められるかな?




