VS湖の守護者
今日は日本武道館で水樹奈々さんのライブ!
できれば明日も参戦したかったけど、チケットが取れなかった……。
僕達の番になったので湖に近づくと、ボートを支えている男性がジッと見てきた。
その横には釣竿が立て掛けられていて『ヌシへ挑戦するあなたへ!釣竿レンタル100G!ボートレンタル100G!』と書かれた看板があった。
湖の守護者を釣り上げるための道具を持ってなくても貸してもらえるみたいだね。
値段は妥当なところなのかな?
どっちも持ってなかったら潜って引きつけるか、200G払うかだから、挑戦料200Gだとしたら少し高い?
でも、倒せば素材も手に入るだろうから、売れば元は取れそうな値段だ。
「釣りと水中どっちで挑むんだ?……ってしのぶさんか。水中行動でヌシに触れるか?」
レンタル屋?の人はしのぶさんを見ると第3の選択肢を出してきたけど、そういえば湖の守護者から貰えるスキルは『水中行動』だった。
それを使えば水中で動きやすくなるはずみたいだから、ダメージを考えなければしのぶさんに触ってもらうのもありだったのか。
「いえ。私ではない人がヌシをおびき寄せます。なので、レンタルはなしです」
「そうか。わかった。頑張れよー」
「行きましょう」
レンタル屋さんを後にして、さらに奥へと進む。
バトルエリアに入らない位置で開いているから、実際に挑戦する場合は少し進む必要がある。
バトルエリアの中心地は湖だしね。
「それじゃあミヤビちゃんお願い!」
「わかりました!シロツキちゃん!トバリちゃん!」
「きゅー!」
「キュキュ!」
ミヤビちゃんの指示でシロツキとトバリが湖に飛び込む。
細長い水柱が立ったのを見て、僕達は湖から少し距離を開けた。
前と同じなら真上に飛ぶはずだけど、万が一陸地に飛んできたら嫌だし。
「繰り糸、魔法少女の杖・雷、突き抜ける槍」
アザレアとラナンキュラスに追加で糸を繋ぎ、ハピネスとクローバーを手元に寄せる。
水を吐くぐらいだからハピネスとは相性が悪いはずだ。
セインは全属性の精霊を召喚して全員剣にして周囲に浮かべ、出現と同時にストライクを放つ手はずになっている。
しのぶさんは雷遁で攻撃するし、うららさんは既に糸を放ってしのぶさんの足場を作っていて、ミヤビちゃんはいざという時に堅守を使うため、少し前に出て盾を構えている。
あの位置ならすぐにシロツキに乗れそうだ。
「来ます!」
「きゅー!」
「キュキュ!」
「キュォーン!」
ミヤビちゃんが言うと同時に水面に気泡が現れ、すぐにシロツキとトバリが飛び出して来た。
2頭は互いのお腹を合わせて見えるぐらい近づき、錐揉み回転しながら斜めに上がる。
それを追うようにアロワナのような巨大な魚が飛び上がったんだけど、シロツキ達が斜めに飛んでいるせいで、湖の守護者も同じ角度で飛び出した。
このままだと僕達の上に落ちて来そうだ。
「行きましょう!雷遁・玉!」
「みんなストライク!」
「ランス!ランス!ランス!」
「シロツキちゃん!竜槍!」
「糸縛り!……流石に無理ですね」
落下を始める前に全員でスキルを放った。
的が大きいため誰も外すことなく当てることができたんだけど、うららさんの糸は胸ビレに巻きついたと思った瞬間に千切れたので、強度が足りないか縛れないんだと思う。
これだと頭上に糸を張っても突き破られそうだ。
だけど、斜めに飛び出した湖の守護者はセインの精霊によるストライクとラナンキュラスの攻撃で何とか押し返すことができた。
これで開幕押しつぶされると言うことはなくなった。
攻撃を受けた湖の守護者は水面へとへと落ちていき、シロツキ達と比べ物にならないくらいの水柱が上がる。
それが雨のように降ってきて、近づいていたミヤビちゃんとしのぶさんは一気にずぶ濡れになった。
そして、僕達の攻撃が当たったことで湖を中心にバトルエリアが広がる。
「爺!どれだけダメージを与えたか見えた!?」
「見えなかった!」
「攻撃が激しすぎましたね」
バトルエリアは消えてないから倒せてないのはわかっているんだけど、相手が水中にいると手を出しづらい。
水飛沫による雨が収まっても出て来る気配はないし……どうしよう。
水中に向かってスキルを放つか、もう一度トバリに潜ってもらうか、あるいは水中行動を使ったしのぶさんに頼むかだ。
この中ならスキルを放つのが良さそうだね。
「ミヤビちゃーん!湖の守護者は見えるー?」
「見えませーん!上からブレスを放って見てもいいですかー?」
「いいんじゃないかなー!」
「わかりましたー!シロツキちゃん!」
「きゅー!!」
距離があるので少し叫んだ感じになりつつも、セインとミヤビちゃんがやりとりを行い、シロツキがブレスを放った。
姿が見えない相手に対してだからか、シロツキはブレスを吐きながら首を動かして広範囲に放つ。
それで発生した水飛沫が噴水みたいで綺麗だ。
微かにだけど虹も出てるね。
「反応は……ありました!影が大きくなってきたのでもっと上がります!」
「わかった!攻撃は任せて!みんなソード!」
ブレスが当たったどうかはわからないけど、湖の守護者が浮上してきたようだ。
出てきたところを狙うために、セインがソードを展開して準備しているし、ミヤビちゃんはさっき湖の守護者が飛んだところよりもさらに高いところに移動した。
「キュオォォォォン!」
「え?!」
「ミヤビちゃん!」
勢いよく飛び出た湖の守護者は、周りの木よりも遥かに高く飛んでいたシロツキとミヤビちゃんを丸呑みにした。
50mは飛び上がってると思う。
それだけ高く飛ぶということは速度も出ているわけで、攻撃のタイミングを逃した僕達はミヤビちゃんが飲まれるところを見ているしかできなかった。
そして、湖の守護者が水中に戻ってからようやく動くことができた。
「HPは1割を切っていました!水中で倒しましょう!」
「そうですね!僕もラナンキュラスを向かわせます!」
「私もソードを放つよ!」
「私はミヤビちゃんに向けて糸を出します!」
最初の攻撃で予想外にダメージを与えることができていたようで、湖の守護者はHPが1割ほどしかなかった。
なので、しのぶさんが水中へ向かい僕とセインは援護、うららさんはミヤビちゃんを助けることになった。
「キュー!」
「トバリ?!」
だけど、しのぶさんが飛び込む前にトバリが飛び込み、水中で黒い線が見えたと思ったらバトルエリアが消えた。
そして、僕達の前にリザルトが表示される。
どうやらトバリが水中でブレスを放って倒したようだ。
「キュ!」
「びっくりしました……」
「ミヤビちゃん!」
湖からトバリが飛び出し、続けてミヤビちゃんも出てきた。
HPはほとんど減ってないから水中で体当たりされる前だったのかな。
「トバリちゃんのおかげで倒せたみたいだね〜」
「はい!盾で湖の守護者の攻撃を防いでいると、トバリちゃんがやってきてブレスで倒してくれました!」
「盾ってことは防御していたの?」
「はい!最初は堅守を使って、その後は別の防御スキルで耐えていました!シロツキちゃんも攻撃しようとしてくれていたので!」
「そうなんだ」
ミヤビちゃんの被害が少ないのはスキルで耐えていたからなんだ。
湖の守護者はHPが少なかったし、もしかしたらシロツキだけでも倒せたのかもしれないね。
トバリが行かなくても僕達がどうにかしただろうけど。
「とりあえずリザルトを見ながら離れましょう」
「そうですね。あ、ミヤビちゃんの回復は僕がやります」
「ありがとうございます!」
リザルトウィンドウを見ながら移動しつつ、クローバーでミヤビちゃんを回復させると、少ししか減ってなかったからすぐに全快した。
「あ、スキルオーブが出てる」
「爺も?私もー」
「私も出てます!」
「私も出ました!すでに覚えているんですけどね」
「私だけなしみたいですね」
『水中行動』のスキルオーブはうららさんを除いて出た。
しのぶさんはすでに覚えているので、手に入れたスキルオーブをうららさんに渡し、今度装備を作ってもらうという約束をした。
これで僕は守護者から手に入るスキルを全部覚えたことになるんだけど、うららさんが手に入れられなかったのは運が低いからなんだろうか。
調べるのには途方も無い時間がかかるからやらないけど……。
アロワナなので高く飛びます。
最初の攻撃で1本と7割近く削れ、シロツキのブレスで更に削れました。
孤島の守護者の宝箱とは違って本体に対しての攻撃なのでダメージが発生し、弱点を突いた攻撃に加えてアザレアとラナンキュラスは糸を増やしていたので大ダメージです。




