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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン6日目)-
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宝箱の開け方を工夫する

スキルオーブが1つも手に入らなかった事が悔しいセインの提案で、もう1度孤島の守護者と戦うことになった。

バトルエリアを出て列に並び直し、ようやく戦っている姿が見えるところまで戻ってきたんだけど、僕達が戦った時と比べて宝箱の開け方が変わっていた。


「トマホークブーメラン!」


今回の開け方は片手斧を投げるスキルだね。

投げられたブーメランは弧を描いて宝箱の蓋に当たり、跳ねたと同時に光を纏って投げた人の手に戻ってきた。

宝箱に突き刺さったらブーメランじゃなくなると思いながら見てたんだけど、突き刺さらないスキルなのかもしれない。


「来るぞ!」

「やっぱりお怒りだ!」

「だけど、この程度なら問題ねぇな!」


スキルが当たって宝箱が開いた事で、宝箱の周囲にドーナツ状の落とし穴が現れた。

そして、川から船長ガイコツと海賊ガイコツが出てきたんだけど、なぜか杖ガイコツもいるし、船長ガイコツは短剣も抜いて二刀流になっていた。

宝箱を攻撃されたから怒ったのかな?


「今回は杖までか」

「やっぱ魔法の方が火力出るからあっちの方がいいのかもしれないな」

「だな。もっと減らせていればいきなり船が出て来るから杖も飛ばせる」


周りの人は宝箱を攻撃する時の火力について話しているので船長ガイコツを見てみたけど、別にHPが減っているわけではない。

だけど、話している内容からすると宝箱に与えたダメージによって、出現した時の攻撃パターンに変化があるみたいだ。

できればこの後のパーティに頑張ってもらいたいところだけど、まずは今のパーティの戦闘だ。


杖を持ったガイコツ達が現れているので、僕達が戦った時より最初に出て来る数が多い。

だけど、戦闘中に出てきたわけじゃないから混乱もないみたいだし、孤島の守護者側も準備が整っていないのか、あるいは射程外なのかはわからないけど魔法を使おうとはしていない。


その隙にスキルを使って遠距離からガイコツ達を攻撃して、その数をどんどんと減らしている。

優先的に減らしているのは杖もちと弓持ちで、カットラス持ちと船長は無視しているね。

宝箱を攻撃した人も離れながら斧を投げつけるという徹底ぶりで、近接戦闘を許さずに戦っているから、無視するのもわかるんだけどね。


そして、杖持ちと弓持ちが居なくなったら後は消化試合だった。

浮上してきた船は身軽そうな人が飛び乗って対処していたし、船長は4人に狙われて二刀流を活かせず倒された。

最後の1人はヒーラーだったみたいだけど、回復魔法を一度も使わずに終わったんじゃないかな。


次のパーティは宝箱に対して近接スキルを3人同時に放った。

その結果は杖持ちのガイコツを飛ばして、開幕から海賊船を浮上さることになった。

海賊船まで距離があるせいで大砲を何発か撃たれることになったけど、幸いにもカスる程度で済んだらしい。

それでも結構なダメージを受けたのか、カスった人は一度後ろに下がっていたけど。


更に次のパーティは4人がかりでスキルを放ち海賊船を浮上させることには成功したんだけど、発動したトラップが鉄の槍が突き出るというもので、全員が一撃でやられてしまった。

後衛2人が慌てて回復に向かったんだけど、回復した側から倒されるという悪循環が発生して、そのまま死に戻る結果になった。


それを見た次のパーティは遠距離から攻撃したんだけど、運悪く発動したトラップが壁から矢を放つというもので、攻撃した魔法使いが一撃で倒されていた。

トラップの威力が強すぎると思うのは僕だけじゃないみたいで、周りの人達も宝箱に攻撃するのを止めようと相談する人達も出てきた。


そもそも何で宝箱を攻撃し始めたかというと、僕が繰り糸(マリオネット)で開けたのがキッカケらしい。

あれを見た次のパーティが高火力のスキルで宝箱を攻撃して開けたところ、いきなり海賊船から始まったそうで、その時はトラップに引っかかることもなく安全に倒せたみたい。


しかも、この情報を掲示板に書き込んだ人がいたみたいで、それを見た人達が他の守護者でも試したらしい。

その結果、鉄の守護者と岬の守護者も行動が変わったようだ。

湖の守護者は水中なのでうまく攻撃できないらしくて、まだ試せてないそうだけど、多分変わるんだろうね。


「さて、僕達はどうしようか」

「せっかくだから最大火力でやってみたい!」

「私もやってみたいです!シロツキちゃんとトバリちゃんにブレスを吐いてもらいます!」

「私は炎を吹いた後、うららさんをトラップから守ります」

「私は攻撃に参加できないので、それでお願いします」

「それじゃあ僕はアザレアに糸を2本繋げて魔法を使いますね」

「やったー!私はみんなを剣にして飛ばすね!」


僕達の番になったので、宝箱をどう開けるか話し合った。

宝箱を攻撃したら何人か死ぬパーティもいたので普通に開けてもいいかと思っていたんだけど、セインがスキルで開けたいらしい。

僕達の火力でどうなるか知りたいんだと思う。

まぁ、それにはちょっと興味あるし、しのぶさんがうららさんを守ってくれるならいきなり全滅はないと思う……。

いざとなったらまたお姫様抱っこして壁を走ってくれるはずだし……。


「準備おっけー!」

「はい!」

「大丈夫です!」

「それじゃあやります、3、2、1、ランス!」


僕の合図でそれぞれスキルを使った。

セインは空中に漂わせていた9本の精霊剣をストライクで打ち出し、ミヤビちゃんは上空からマーブルブレスを放つ。

しのぶさんは火遁で螺旋状の炎を吹いた後うららさんの横へと移動してトラップに備えた。


マーブルブレスと精霊剣が突き刺さったことで鳴った轟音が収まると、ヒュッという音が後ろから聞こえて宝箱のあった場所へ矢が飛んでいった。

発射口は誰もいないところだったので被害はなかった。


土煙が収まると宝箱があった場所には何もなかった。

そして、その向こうから船長ガイコツが現れたんだけど、一緒に出てきたのは最初に出てくる海賊ガイコツだけだった。

杖持ちのガイコツも海賊船も出てこないということは、宝箱がどこかに吹っ飛んでダメージを与えられなかったのかもしれない。


なので、さっき戦った時と同じように手分けして海賊ガイコツを倒しながら船長ガイコツにダメージを与えた。

だけど、1本目のHPバーが半分を切っても杖持ちのガイコツは現れず、1本削っても海賊船は浮上してこなかった。

もしかして宝箱へのダメージが多すぎただけなのかな?


「船長の武器がなんか豪華になってない?」

「煌びやかですね」

「もしかして宝箱にダメージを与えすぎたら船長が強化されるのかな?」

「他の時でも強化されてるかもしれないけどね」

「それもそっか。船長は見てなかったな〜。精霊剣で戦ってこようか?」

「いや、このまま倒そう。強くなりすぎていたら面倒だし」

「わかった」


それは僕も同じだ。

初めから二刀流になっているだけだと思っていたけど、武器が変わっているから攻撃力が上がっているのかもしれない。

だけど、僕達は遠距離から船長ガイコツを攻撃しているから、せっかく変わった武器も効果がわからないんだよね。


よく見るとアザレアの魔法やセインの精霊による攻撃を剣で弾いたりしているんだけど、攻撃の密度に負けて徐々にHPを減らしている。

1回目の時はあまり魔法で狙わなかったから戦闘方法が変わっているのかわからないけど、攻撃力だけが強化されているというのも微妙だから、戦い方も変わってそうだ。

確かめるつもりはないけどね。


「援護します!シロツキちゃん!トバリちゃん!」


遠距離攻撃を受けながらも近づいて来る船長ガイコツに、頭上からブレスが襲いかかる。

それに気づいた船長ガイコツは横に飛んで直撃を避けたけど、爆風で地面を転がる。

そこにしのぶさんが一気に肉薄して、忍刀(しのびがたな)とパラライソードで切りつけると、HPバーが砕け散って船長ガイコツが光になった。


戦った感想だけど、宝箱を消しとばすぐらいのスキルを使えるならこの方法が楽だと思う。

他の守護者に通用するかはわからないけど。

守護者自身が強化されるとしたら、鉄の守護者と湖の守護者はすごく強くなりそうな気がするし。


「私は出なかったー!」

「私もです」

「お姉ちゃんも出なかったんだね。私も出なかったよ」

「私は出ました!」

「あ、僕も出ました」


宝探しのスキルオーブはしのぶさんと僕に出た。

誰が使うか話し合ったんだけど、戦闘用スキルじゃないので取った人が使うことで落ち着いた。

パーティの誰かが覚えていたらいい程度のスキルらしいからね。


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