VS孤島の守護者
宝箱を開けたら孤島の守護者とその手下のガイコツが出てくる。
しかも、その宝箱には罠が仕掛けられている場合があるから、開ける時は注意が必要だ。
そうなると、開けるのは僕の人形か、セインの精霊ってことになるんだけど、精霊だと罠が発動しても避けられない可能性が高く、攻撃を受けると活動する魔力が減ったり、次に召喚するまでに時間が必要になる。
その点僕の場合は糸を切断するだけでアイテムバッグに入るので、開けると同時に切ればいい。
なので、僕が開けることになったんだけど、どうせなら色々試したくなる。
「繰り糸」
「爺何してるの?」
「ちょっと試して見たいことがあってね」
特に意識せず繰り糸を使うと宝箱全体が操作対象になった。
だけど、この状態で引っ張ってみても固定されているのか動かず、上に引っ張っても蓋は開かない。
「開け」と意識してもダメだった。
なので、一度切断して蓋だけを意識してもう一度繰り糸を使った。
宝箱が開いていないからモンスターも出てこない。
「これなら……繰り糸……おぉ!開いた!」
蓋部分だけが光に包まれて操作可能になった。
この状態で開くように意識しても開かないけど、上に引っ張れば下が固定されているおかげで開くことができた。
そして起動する罠。
宝箱の上に大きな岩が降ってきた。
ハピネス達で開けていたら、糸を切断するだけで逃げ切れるタイミングだったけど、重い装備を付けた近接職だったら厳しい速度だ。
僕だと反応できたかわからないので、この方法を試してよかった。
糸を繋ぐ対象を制限することで色々できそうだ。
「モンスターが出てきました!」
「無茶せず頑張ろう!」
「はい!」
宝箱が開いたことでガイコツが出てきた。
ミヤビちゃんとしのぶさんが左右kら突っ込んでいき、正面は僕とセインで遠距離から魔法と精霊とラナンキュラスによって攻撃する。
うららさんは弓を持った海賊ガイコツを狙って的確に縛っていくので、弓を気にせず攻撃できる。
「船長のHPが半分になります!」
「カタカタカタカタカタカタカタカタ!」
「ひっ」
「怖っ!」
船長ガイコツは1本目のHPが半分になると、自分の頭を取り外して左手で掲げた。
そして、左右に震えながらカタカタと歯を鳴らしたんだけど、それに呼応するように周りのガイコツもカットラスを振り回しながらカタカタと鳴り出した。
その音が合図だったのか、水中からさらにガイコツが何体も出てきた。
そのガイコツはボロボロの布切れを纏い、杖を持っていた。
もしかして魔法を使うガイコツで、着ているのはローブの成れの果てかな。
「うららさん。鑑定ではどうなってますか?」
「杖を持ったガイコツは遠くて鑑定できません。ですが、船長も下っ端のような海賊も同じく『孤島の守護者』と表示されています」
「岬の守護者と同じですね」
「そうですね」
それだと杖を持ったガイコツも『孤島の守護者』だろうね。
そしてカタカタが鳴りやむと同時に杖を持ったガイコツは魔法陣を目の前に出現させ、それぞれファイアボールやスパークボール等の様々な属性のボールを放ってきた。
ランスじゃないので速度はそこまでなんだけど、数が多い。
ガイコツの数だけ放ってくるから、全部で10発以上ある。
距離があるので少し移動すれば簡単に避けられたんだけど、その間に杖ガイコツは詠唱をしていたみたいで、それぞれ別の属性に切り替えてボールを放ってきた。
それも移動して避けている間に別属性のボールを詠唱してくる。
確かにこれは面倒だ。
しのぶさんは走り回りながら攻撃しているし、ミヤビちゃんはシロツキに乗って飛んでいるから狙われないみたいで、全部のボールが僕達に向かって飛んでくるし……。
「ランス!」
「ふぅちゃんストライク!」
「糸縛り!」
杖ガイコツに向けて魔法や精霊、糸を放つ。
だけど、海賊ガイコツが自分の顔を軌道上に投げて顔で受け、そのせいで杖ガイコツまで届かない。
海賊ガイコツは顔が砕けても戦えるので、後何回かは同じ手で防がれるはず。
杖ガイコツも自分達に魔法が飛んでくるとわかったからか、魔法を放つタイミングをずらして間断なく飛んでくるように唱え始めた。
増えたガイコツは杖ガイコツだけではないので、ミヤビちゃん達が応援に駆けつけるまで時間がかかる。
なので、魔法で倒すことは諦めて他の方法で倒すことにした。
だけど、いきなり反撃しなくなるとミヤビちゃん達に攻撃が向くかもしれないので、移動しながらも魔法を放って杖ガイコツと一部の海賊ガイコツの意識をこちらに向けさせる。
その隙にラナンキュラスを大きく遠回りさせた。
そして、後ろから突き抜ける槍で1体倒し、流れるように近くの杖ガイコツを攻撃する。
いきなり現れたラナンキュラスに動揺した杖ガイコツと海賊ガイコツの隙を狙ってアザレアで魔法を放ち、セインも精霊で攻撃。
慌ててこっちに攻撃しようとしてきた杖ガイコツはうららさんが縛ったおかげで一気に倒すことができた。
一度崩したらこっちのペースのまま戦えたのが良かったね。
「船長のHPが1本消えました!船が出ます!」
「オキナさん!この辺のガイコツは任せました!」
「わかりました!」
杖ガイコツを攻撃する際に海賊ガイコツも攻撃したかったので、少し近づいてストームで攻撃していた。
その合間にハピネスが船長と切り結び、クローバーのパチンコで徐々にダメージを与えていたので、HPバーが1本砕け散る。
クローバーのパチンコのダメージが意外と大きかったので、結構すぐに削れた。
HPバーの消滅とともに現れた海賊船にしのぶさんが向かう。
残った海賊ガイコツを頼まれたのでラナンキュラスを向かわせて、槍を使ってカットラスの範囲外から一方的に攻撃して倒した。
「私も船に向かいます!」
海賊ガイコツを倒し終えたミヤビちゃんも海賊船に向かい、すでに甲板で戦っていたしのぶさんの手が届かない所のガイコツに向かって攻撃する。
海賊船にHPバーがあればすぐに壊せるんじゃないかと思うぐらいの猛攻だった。
「地上のガイコツは倒しました!」
「よーし!私が船長と戦うね!」
「わかった。援護は任せて」
しのぶさんが残したガイコツを倒したのでラナンキュラスも船長の元へ向かわせようとしたら、セインが船長に向かって駆け出した。
その手には2本の精霊剣が握られているから、少し前から準備していたんだと思う。
なので、船長との戦いはセインを中心にして、僕とうららさんは援護に回ることにした。
「ボール!左手に炎を!」
「糸縛り!腕が……」
船長ガイコツはブレスによって甲板が爆発している海賊船には目もくれずこっちに向かってきた。
セインが着くまでの足止めとしてボールを放ち、ハピネスも左手から炎を噴射させる。
うららさんが放った糸は左腕を絡めとり、そのまま引っ張ると左腕が取れた。
船長ガイコツは慌てて糸を切ると、地面に転がった左腕を外れたところに再度繋いだ。
うまく奪えば鉄の守護者と同じように腕を取り返そうと必死になるのかな。
だとしたら繰り糸を使えばもっと簡単に倒せるかもしれない。
「やぁー!」
「カタカタ」
「近くで見ると怖い!せやぁー!」
船長ガイコツの元へとたどり着き様に精霊剣を振ったセインだけど、カットラスで受けられた。
そして、つばぜり合いになると海賊ガイコツがカタカタと顔を揺らしながら歯を鳴らす。
海賊ガイコツが新しく出てきたわけではないので、挑発なのかな。
セインには逆効果だったみたいで攻撃速度が上がってるんだけどね。
「HPが半分になりました!」
「短剣を抜いてくるよ!」
「うん!……ここ!」
船長ガイコツが左手で短剣を抜こうとしたんだけど、その左腕をセインが切りとばす。
斬り合いの途中で腕を後ろに回すから、それで隙ができたんだね。
「これで終わり!ふぅちゃん、らいちゃんストライク!」
船長ガイコツを切った瞬間にストライクを放つ。
2本の件は船長ガイコツに突き刺さり、貫通して体ごと吹き飛ばした。
HPバーも砕け散っているので、空中で光になって消えた。
「うわっ!」
「しのぶさん!」
船長の消失と共に海賊船も消えたので、甲板で戦っていたしのぶさんが落下したけど、トバリが掴んだので落水することなく戻ってこれた。
落ちたとしても地走りでどうにかなりそうだけどね。
「勝てましたね」
「そうですね。魔法が厄介でしたけど、それ以外は基本的に数で押してくる感じでした」
「1体の強さは大したことがないんですけど、途中の追加もあって結構面倒でした!」
「海賊船はシロツキちゃんとトバリちゃんのブレスを受けても壊れませんでした!」
「船長はそんなに強くなかったー」
それぞれ感想を言いつつリザルトの内容を確認する。
海賊が集めたお金が報酬なのか、半分以上がゴールドの報酬で、それ以外は海賊の使っていた武器や防具だった。
「スキルオーブは……」
「なし!」
「私もないです!」
「私もありません」
「私もです!」
「全員なしですね」
誰もスキルオーブは出なかった。
この後どうするかを決めるためにも、バトルエリアを出よう。




