海賊ガイコツの戦い方
あけましておめでとうございます。
今年もW3をよろしくお願いします。
そしてブックマークが1万件を超えていました。
こんな超スローペースで進む作品ですが、とても嬉しく思います。
これからも頑張ります!
曲がり角を曲がるとエリアボスと戦う前だったみたいで、バトルエリアは展開されていなかった。
広場は天井が高く、奥に入り江と通路がある。
真ん中にはこれ見よがしな宝箱が置いてあるんだけど、この世界で初めて宝箱を見たよ。
お菓子ボックスはノーカウントで……。
「開けるぞ!みんなは下がっていてくれ!」
「了解!」
「気をつけて!」
今から挑むパーティは槍の人、剣と盾を持った騎士の人、弓の人、神官っぽい人、魔法使いっぽい人、投網を腰に下げて釣竿を持った漁師っぽい人の6人だ。
そして、その中から宝箱に近づいたのは槍を持った人で、残りの全員が宝箱から距離をとった。
開けると罠が発動するんだろうか。
「はっ!うぉぉぉぉぉ!!」
槍の人が穂先を宝箱に引っ掛けて勢いよく跳ね上げた。
そして、中を見ることなく振り返って全力で仲間の元へと走る。
周りで見ていた人も真剣に宝箱の様子を見ているから何かが起きるんだと思ったんだけど……何も起きなかった。
「今回は当たりか」
「だな。弓も飛んでこないし岩も落ちてこない。落とし穴もなければ槍が突き出ることもなかったしな」
「離れるのが正解なのはわかるんだが、どうにかならないのか?」
「罠解除のスキルがあれば無効化できるらしいけど、無効化しても箱を開ければすぐに出てくるぞ」
目の前に並んでいた人達の話を聞く限り、あの宝箱を開けた時に発動する罠には種類があるらしい。
聞こえただけでも4種類だけど、他にもありそうだ。
例えば宝箱から毒針が発射されたり、箱自体が爆発したり、中からモンスターが出てきたりするのが思いつく。
開け方に注意しないとダメだね。
そして、槍の人が仲間の元へとたどり着いたと同時に、入江からガイコツが20体近く出てきた。
1体だけ海賊帽子と所々に穴が空いた装飾の多い服装で、残りのガイコツは布を頭に巻いてボロボロの布の服を着ている。
武器は全員カットラスを持っているんだけど、一部のガイコツは弓を背負っている。
「行くぞ!」
「うぉー!」
「しゃー!」
「プロテクション!」
「ライトランス!」
「必中の矢!」
近接組が突っ込んで行き、それを後衛組が援護する。
神官が使った魔法で全員の防御力を上げ、魔法使いと弓の人が弓を持ったガイコツを狙って攻撃する。
弓を持ったガイコツは6体いるけど、一度に全部攻撃できるわけじゃない。
それでも遠距離攻撃されるタイミングをずらすことはできる。
「大車輪!」
「挑発!おらおらー!かかってこいよ!ヘビィシールド!」
「大漁投擲!」
槍の人は左から海賊ガイコツに向かっていき、囲まれたところでスキルを使ったようで、大きく一回転しながらガイコツを吹き飛ばした。
騎士の人は正面から突っ込み、船長ガイコツとその周囲にいた海賊ガイコツに挑発スキルを使って注目させると、盾のスキルを発動した。
名前からすると盾を重くして耐えやすくスキルかな?
あと、挑発スキルの後に叫んだのは意味ないよね。
気分的に叫びたくなるのはわかるけど。
漁師の人は右側から突っ込み、腰に括り付けていた投網を力一杯投げた。
カットラスを突き立てて防ごうとしたみたいだけど、網を引かれて上手いこと刃が網に当たらなかった。
そのせいで武器を通して腕まで網に絡めることになり、それを外そうともがけばもがくほど網を引っ張られてどんどん絡まっていった。
「ライトストーム!」
動けなくなった海賊ガイコツに魔法使いがライトストームを放つと、全員光になって消えた。
槍で吹っ飛ばされたガイコツも残りHPが3割を切っていたので、ガイコツが少ないかこのパーティの戦闘力が高いんだと思う。
「よし!次は中央だ!」
「お願いします!」
倒したことを確認した漁師と魔法使いは、騎士が注意を引いているガイコツ達に向けて同じように網を投げた後ライトストームを放って倒す。
その間に弓の人と槍の人が左側のガイコツを倒している。
投網とライトストームは船長ガイコツを外して放たれていたので、船長ガイコツのHPは全然減っていない。
だけど、周りのガイコツはいなくなっているので、戦いやすくなっていると思うんだけど、一緒に攻撃しなかったのには何か理由があるんだろうか。
「一気に減らすぞ!双閃
「おぉ!パワースラッシュ!」
「1本分だぞ!鮪抜き!」
「ライトランス!」
「ホーリースマッシュ!」
「必中の矢!炎の矢!」
いきなり手下が居なくなったことも焦った様子の船長ガイコツに6人で一斉に攻撃した。
それぞれスキルを使って一気に削ったんだけど、半分を切ったら何かされるから、それを飛ばして一本分減らしにかかったんだと思う。
漁師は銛に持ち替えて突き入れているし、神官はメイスで光の玉を打ち出している。
通常攻撃の後にスキルを使った方が確実に減らせると思うんだけど、一斉に攻撃するから攻撃力の高いスキルを選んだのかな。
僕達でやるとしたら……同じことになりそうだね。
ミヤビちゃんは槍で攻撃するかシロツキ達のブレスだろうし、僕とセインも離れたところから攻撃する。
近づくのはしのぶさんだけだから、しのぶさんに合わせてスキルを使った方が当てやすいと思う。
「よし!1本減った!」
「次は大砲だ!」
一度にたくさんのスキルを受けて吹っ飛んだ海賊ガイコツは、立ち上がると地面にカットラスを深く突き刺した。
その直後入江にボロボロの船が浮かび上がってきた。
これが1本減った時の動きなんだ。
半分の時はどうなるんだろう。
「俺たちは船長を叩くから大砲を頼む!」
「わかりました!ライトランス!」
「任せろ!必中の矢!」
「掛け直します!プロテクション!」
近接組が船長へと向かい、遠距離組が浮上してきたボロボロの海賊船に向かって魔法と矢を放つ。
甲板ではガイコツが大砲の玉を運んでいるところだったけど、攻撃を受けて取り落とした。
あの玉は爆発しないのかな。
爆発の威力で鉄の玉を飛ばすタイプの可能性もあるけど、その場合浮上した直後の大砲で撃てるんだろうか。
ちょっと気になるけど、遠距離組が順調に攻撃しているので撃つ機会はなさそうだ。
その間に船長ガイコツの残りHPが半分を切り、腰に差していたのか短剣を抜いてカットラスとの二刀流になって戦っていた。
だけど、3人の攻撃の前に二刀流では対応できず、ダメージを与えることはできても徐々に追い詰められ、槍の一閃で首を飛ばされた。
それでも体は動き続けて、カットラスと短剣を振る船長ガイコツだけど、銛が刺さったのを最後にHPバーが砕け散り、光になって消えた。
参考になったとは思うけど、僕達だと甲板の上に攻撃しづらいんだよね。
アザレアは背が低いから射線が通らない可能性があるし、セインにラッシュを頼むかシロツキ達に攻撃してもらおうかな。
セインが船長ガイコツと戦っている間にしのぶさんが船の上を掃除するのもありかもしれないけどね。
戦っていたパーティはリザルトを確認するとガッツポーズをして僕達が通ってきた洞窟を出ていった。
目当ての物が出たんだろうね。
順番はどんどん進んだけど、どのパーティもだいたい同じ戦い方で、負けるパーティはなかった。
レベルが上がった状態でここにきたらこうなるのも仕方がないよね。
だけど、僕達は他のパーティと同じような戦い方はせず、とりあえずそれぞれの判断で戦ってみることになった。
別に大砲を撃つところが見たいわけじゃないよ。
そして、戦い方を決める話し合いが終わると、僕達の番になった。




