花畑とキノコ
じっくり見直しはGWに
MPを回復した後、周囲を警戒しながら森の中を進む。
時折草の輪っかがあるけど、大した脅威じゃないので放置して進んでいる。
レベルアップのためには倒した方がいいんだろうけど、まずはステップボアと戦ってからかな。
初心者用マナポーションも後4つしかないし。
残りのアイテムとお腹の減り具合を考えると、無茶しなければなんとかなりそうだね。
ステップボアは余分に倒すつもりもないから、肉が5個集まった時店で街に戻る予定だし。
今後は食料も買ってから外に出よう……。
1人で動けば動くほど足りない物が浮き彫りになってくる。
これも経験か……。
この後を予定を考えながら進んでいると、視界の先に花畑が現れた。
赤、青、緑、黄色にピンク。
白に黒や薄っすらと輝いている花もあった。
花畑の中央にはいくつかの倒木があり、休憩場所のようにも見える。
MPに余裕があればハピネスを先行させてもよかったんだけど、今は余裕がないので慎重に進んだ。
問題なく倒木までこれたので、腰を下ろして隣にハピネスを座らせる。
さて、これからどうしようかな。
花畑は直径30mの円に収まるほどの広さで、今は陽の光があまり当たっていないのでそこまで明るくないけど、昼頃に来れば薄暗い森の中で心休まる暖かな空間になりそうだ。
これが湖の近くにあればとてもいいいい感じだったのに、残念だな。
「この花は何かのアイテムになるのかな?」
これ見よがしにある花畑なんだから何かありそうなんだけど……。
イベントも発生しないし、モンスターも出てこない。
素材収集ポイントだと思って良さそうだよね。
試しに足元にある赤い花を手折ってみた。
すると、花は光になって消えた。
アイテムバッグを開いて見ると、赤い花のアイコンが追加されていた。
名前:赤い花
説明:東の森で採取した赤い花。
・取り出す
・ロック
花畑の花はアイテムだった。
何に使うかわからないけど、とりあえず各色20本ずつぐらい集めておこうかな。
ハピネスを倒木に座らせたまま、周囲の花を集める。
念のため倒木の周辺だけにとどめたけど、それでも各色30本、光る花は50本を超えた。
薬草……にしては変わってるよね。
まぁ薬草を見たことないんだけど。
もうちょっと集めようかと思ったその時、背後からたくさんの羽音が聞こえてきた。
背筋を駆け抜ける悪寒。
振り向かずにハピネスまで走る。
「繰り糸!左手に業火!」
倒木に座ったままのハピネスに糸を接続し、パチンコごと左手を切り離す。
糸を縮めてハピネスを手元に寄せ、飛んできたハピネスを抱きしめて反転する。
反転しながらも左手の銃口を前に向けさせる。
迎撃準備は整った!
目の前には10匹の蜂!
自然回復したのでMPは200を超えている……これだけあれば倒せるはず!
蜂のモンスターは一斉に襲いかかってきた。
もしかしたらこの花畑は蜂が蜜を集めるために使われてるのかもしれない。
それを荒らせば怒るよね。
近づいてきた蜂に対して炎を放射し、そのまま縦や横にずらして次々と焼き落としていく。
蜂は頭上を飛んでいて、それを狙うために放射される炎のせいで蜂が見えなくなり、なぜか左手の先にウィンドウが表示された。
まだ戦闘中なのでウィンドウを見ず、念のため余分に振り回してから炎を止めた。
「うぐっ?!」
ウィンドウに目を向けた時、背中から何かが突き刺さり体が痺れた。
地面にうつぶせに倒れた僕の耳に、さっきまで聞こえていた羽音と同じ音が入ってきた。
後ろにもいたのか!
視界には地面と花畑しか写っていない。
モンスターの正確な位置はわからないけど、1匹分の羽音はすぐ後ろから聞こえてくる。
なので、背中の上に向けて炎を断続的に3回放射させた。
ゴウッという音が止んだ後、静寂が訪れた。
どうやらモンスターは倒せたようだ。
それでも体の痺れは取れておらず、視界左上には体の周囲にイナズマが描かれて震えているアイコンが表示されていた。
これが麻痺のアイコンか……。
突然すぎて何が起きたのかわからなかったよ。
しばらく地面に転がっていると麻痺のアイコンが消えて体が動くようになった。
「ふぅ……」
それにしても、麻痺状態でも繰り糸でハピネスを操れてよかった。
口も痺れてたから追加で糸を放つことはできないけど、魔力使用した接続は切れなかった。
たぶん魔法による強化とかも麻痺で切れないだろうから、同じようなものだと思う。
念のため花畑から離れて森に入り、ウィンドウを確認する。
レベルアップしてた。
2から3まで早いのは敵の強さかな?
『レベルアップしました!
Lv:2→3
HP:120(+10)
MP:600(+50)
ST:112(+1)
STR:12(+1)
VIT:12(+1)
DEF:12(+1)
MDF:120(+10)
DEX:310(+5)
AGI:12(+1)
INT:240(+20)
LUK:50(+0)
ステータスポイントを2ポイント獲得しました!』
ステータスの上がり方は前回と同じだ。
ある程度のレベルまでは同じような上がり方をしそうだね。
魔力中心の。
レベルアップでMPは50増えたけど、さっきみたいなことが起きたら困るので、MPを回復しておこう。
これで、マナポーションの残りは3つになった。
HPは痺れた時に10減ったみたいだけど、増えたのも10なので相殺されている。
なので、HP用のポーションは使わない。
花畑に関しては自分の歩いた道がマップに示されているので、また来ることはできるので、また今度準備を整えてから調査に来よう。
その時はどの花が有用かを調べてからだけどね。
花畑から離れる時に入った森は湖の方角だったので、一度花畑に出てハピネスの左手を回収してから、そのまま奥に進む。
そろそろステップボアが出てきてもいいと思うんだけど……。
次に出てきたのはキノコの群生地だった。
座れそうな大きさのキノコだけど傘の色は黄色で、薄っすらと舞っている胞子は定期的に放電のような現象を起こしていた。
さすがにこれで、普通のキノコじゃないよね?
胞子をみると麻痺させてきそうだし。
数は10個ほどなのでハピネスだけで対処することにした。
人形であれば麻痺なんてしないよね。
「繰り糸、右手に剣を」
右手を切り離したハピネスを群生地に突っ込ませ、キノコを1つ切ってみると、HPバーが砕け散ってキノコも光になって消えた。
消えたけど、その場に胞子を撒き散らしてから消えた。
一撃でも胞子を撒き散らすってことは、近接戦闘には辛そうな相手だね。
残りの9個もハピネスで切って倒す。
そのせいで周辺の胞子が酷いことになってしまったので、急いでハピネスを引っ張り、途中で右手を回収しながら離れる。
胞子を出させないように倒すには魔法で倒すべきなのかな?
「うぁ?!」
引っ張ったハピネスを抱き止めたら麻痺した。
なんとか仰向けで倒れることができたのでハピネスを下敷きにすることはなかったけど、まさかハピネスに付着した胞子で麻痺するとは……。
視界の片隅で漂っている胞子が徐々に光になって消えていっている。
時間経過で消えるならもう少し放置すればよかった……。
麻痺が解けたので起き上がり周囲を確認。
追加で蜂やキノコに襲われてさらに痺れるのは流石に嫌だからね。
気を取り直して、さらに奥へと進むことにした。
まだマナポーションは3本あるし、ポーションも使ってないので5本ある。
そのまま進んでいるとまたキノコが居た。
数は1体だけど、さっきのキノコと違い地面に付いておらず、足が生えて歩いていた。
歩くたびに胞子が舞ってるね。
「繰り糸、左手に業火」
相手も1体だけなので試してみよう。
燃やせば胞子が出るかどうかを。
歩くキノコの背後を取るようにハピネスを移動させ、後ろから放射する。
炎が直撃したキノコは燃え上がりながらHPバーを砕け散らせ、光になった。
後には胞子が残っていないことから、魔法で攻撃すれば痺れる心配はなさそうだね。
ただ、炎はMP消費が激しいから、キノコが動いてないのであれば切った方が良さそうだ。
動いてたら状況次第だけど。
キノコを倒した後もそのまま進んでいくと、木々の間から「フゴフゴ」という音が聞こえてきた。
覗いてみると鋭い牙を生やした猪が2頭いた。
たぶんあれがステップボアだと思う。
やっと見つけた!
ステータス(戦闘で消費、レベルアップ)
名前:オキナ
種族:人族
職業:人形使い☆5
Lv:3
HP:92/120
MP:172/600
ST:112/112
STR:12
VIT:12
DEF:12
MDF:120
DEX:310
AGI:12
INT:240
LUK:50
ステータスポイント:残り14
スキル
〔繰り糸Lv:2〕〔人形の館Lv:1〕〔同期操作Lv:1〕〔工房Lv:1〕〔人形作成Lv:1〕〔自動行動Lv:1〕〔能力入力Lv:1〕〔自爆操作Lv:1〕〔〕
スキルスロット:空き1
スキルポイント:残り10
職業特性
通常生産系スキル成長度0.01倍
通常魔法使用不可
武器装備不可
重量級防具装備不可
装備
・武器1:装備できません
・武器2:装備できません
・頭:なし
・腕:なし
・体上:冒険者のローブ
・体下:冒険者のズボン
・足:冒険者の靴
・アクセサリー1:なし
・アクセサリー2:なし