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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
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ブラックドッグリーダーズ

こっちに向かって来たブラックドッグリーダーは4頭。

草原で草同士結ぶぐらいでしか糸を張る場所がないので、うららさんは糸縛りメインで戦うことになる。

なので、基本的に4匹現れた時は直接戦うのが難しいうららさんを除いて1人1匹を相手にすると話し合って決めているんだけど、相手からするとしのぶさん以外1対1じゃないんだよね。


ミヤビちゃんにはシロツキとトバリがいるし、セインは精霊を複数召喚して戦う。

僕の場合はハピネス達4体に騎士人形もいる。

今回はシロツキがミヤビちゃん、トバリがしのぶさん、うららさんはセインのサポートに回ることになったようで、早速糸と精霊を飛ばそうとしていた。


「糸縛り・糸玉!糸縛り・雁字搦め(がんじがらめ)!」

「ふぅちゃんラッシュ!ひかりんショット!やみみんショット!」

「シロツキちゃん行くよ!」

「きゅー!」

「トバリ、お願いします」

「キュ!」


ミヤビちゃんとしのぶさんも向かって行ったので、僕もハピネスとラナンキュラスで攻撃しよう。

アザレアとクローバーは構えさせているけど、攻撃はもう少し近づいてからにしたい。

突っ込んで行ったしのぶさんとミヤビちゃんに当たってもダメージはないとはいえ、衝撃はあるしモンスターにダメージが入らないから乱戦時には注意する必要がある。

今回はそれぞれ狙うブラックドッグリーダーがバラバラだけど、今はまだ固まっているから使えない。


「せい!」

「やぁ!」


しのぶさんとミヤビちゃんがブラックドッグリーダーに向けて武器を振る。

だけど、バックステップやサイドステップで避けられた。

追撃したシロツキとトバリの攻撃も、身をかがめたり敢えて突っ込むことで回避している。


僕も狙ったブラックドッグリーダーにハピネスとラナンキュラスで攻撃したけど、同じく避けられる。

左手に炎を(レフトフレイム)を使おうと銃口を向けると、何かを感じ取ったのか大きく避ける。

この状態で噴射してもさらに距離を空けられて当てることはできないと思う。

痺れ針は見えづらいから当たるかもしれないけど、できればもう少し当てられる状況で使いたい。

接近してもその分だけ離れられるので、それも難しい。


最初の攻撃で当たったのは、セインが指示したふぅちゃんのラッシュだけだった。

うららさんの糸やひかりんとやみみんのショットを避け、ふぅちゃんのラッシュも最初の一撃は避けられたんだけど、ふぅちゃんは執拗にブラックドッグリーダーを追いかけた。

その結果、顎下からの一撃が当たり、怯んだところを命令した分のMPが尽きるまで叩いていた。

それでHPが2割近く減っているので、HPか防御力がそこまで高くないんだと思う。


「すばしっこい!」

「当たりません!」


しのぶさんとミヤビちゃんが叫ぶ。

ブラックドッグリーダーは積極的に攻撃してこない分、こちらを観察するかのように回避に徹している。

こっちの隙を伺っているんだと思うけど、範囲攻撃ならどうだろう。


「範囲攻撃を使います!ストーム!ストーム!ストーム!」


セインがラッシュで追い立てているブラックドッグリーダー以外の3頭に向けて、ファイアストームを放った。

魔力を感じ取ることはできないのか、炎の竜巻が発生するまでしのぶさんとミヤビちゃんに意識を向けていた2頭と、ハピネスとラナンキュラスで牽制していた1頭に直撃して、3割と少しのダメージを与えることができたけど、追撃で放ったクローバーのパチンコは、ギリギリで体勢を立て直されたせいで避けられた。


「バゥ!」


だけど、これ以降はアザレアが杖を向けるだけで3頭の内のどれかが鳴いて、他の2頭に注意を促した。

その結果、ストームも当たらなくなった。

しのぶさんも火遁を使ったんだけど、口から放つせいでストームより避けやすいようで、放ってから広がるまでの間に後ろへ抜けられた。


「1頭ずつ囲むしかないですね!」

「私が正面を抑えます!」

「なら、私が後ろに回るので、オキナさんは左右から挟み込んでください!」

「わかりました!」


個別に攻撃しても避けられるので、1体ずつ囲むことになった。

セインを見ると、うららさんと協力してブラックドッグリーダーを追い立てているところだった。


精霊3体によるラッシュはできるだけ避け、当たっても連続で喰らわないように即座に離脱。

隙があれば飛びかかろうとしているんだけど、そこはうららさんが糸を飛ばすことで邪魔をしている。

それでも抜けらる時があるみたいだけど、攻撃を受けても1発なのでやられることはなさそうだ。


「バウッ!バウッ!」

「こっちに来た!」


僕達が1番近い1頭に向かって行くと、そのブラックドッグリーダーが吠えた。

すると、3頭全員がしのぶさんに向かって走り出した。

さっきまで

ミヤビちゃんに向かって唸り声をあげていたブラックドッグリーダーもお尻を向けてしのぶさんへ向かう。

後ろへ回り込むために大きく離れているので助けるのに時間がかかる。


僕はラナンキュラスを飛ばし、ミヤビちゃんはシロツキを大きくして乗る。

トバリも先行させているけど、ブラックドッグリーダー達の方が早い。


「この!火遁・旋風!」

「ギャン!」

「ワゥ!」


しのぶさんが飛びかかって来た1頭を忍刀(しのびがたな)で切りつける。

そして、迫って来ている残りの2頭に向けて螺旋状に広がる火を吹いた。

だけど、ブラックドッグリーダー達は一度見たせいか、渦が広がりきる前に駆け抜け、少し背中を焦がす程度にとどめた。


「バウ!」

「ワン!」

「ぐっ!」

「しのぶさん!トバリちゃんブレス!」

「ストーム!ストーム!ストーム!」


しのぶさんの炎をやり過ごした2頭のブラックドッグリーダーはしのぶさんの足と腕に噛み付いた。

ただ噛んだだけじゃなくて首を左右に振ってさらに継続ダメージを与えてくる。

ミヤビちゃんはトバリにブレスを吐かせながらシロツキに乗って突っ込み、僕もラナンキュラスを槍を構えさせたまま突っ込ませ、さらにしのぶさんを囲むようにストームを放った。


「ギャゥンッ!」

「ギャンッ!」


ブレスとファイアストームを受けて吹っ飛んだブラックドッグリーダーを、ミヤビちゃんとラナンキュラスで追撃する。

その間にしのぶさんに吹っ飛ばされた1頭にはハピネスで切りつけ、クローバーをしのぶさんの元へ向かわせながらパチンコで援護する。

僕の護衛は騎士人形だ。


その結果、しのぶさんに噛み付いた2頭はHPが1割を切っていて虫の息、もう1頭も半分を切っていた。

あと少しで2頭を倒せると思ってさらに攻撃しようとしたら、3頭が集まって僕達に顔を向けて息を吸い込み……吼えた。


「「「ワォ〜ン!!!」」」

「ぐっ!」

「きゅ?!」

「きゃ!」

「うっ」


ブラックドッグリーダー達からほとんど透明な何かが飛んできた。

しのぶさんは地面に膝をつき、シロツキはバランスを崩してミヤビちゃんと一緒に落ちた。

僕は遠かったので少しフラついただけなんだけど、繰り糸(マリオネット)を使ったハピネス達の操作に違和感がある。

それでも、ミヤビちゃん達のように動けないわけじゃないので、なんとかラナンキュラスを飛ばし、アザレアの杖を向ける。


繰り糸(マリオネット)!ストーム!」


動かしたラナンキュラスとアザレアに糸を追加する。

新しく放った糸が接続すると、この2体に関してはいつも通り操作できるようになったので、ラナンキュラスは最短距離を、アザレアは威力の上がったストームを放つ。


「ギャウンッ!」


ストームで瀕死だった2頭が倒れ、炎の竜巻に飲まれた残りの1頭もラナンキュラスの槍が突き刺さりHPバーが砕け散る。

炎を散らしながら竜巻から抜け出したラナンキュラスがとても格好良かった。


「よし!倒したよー!」


セインの方も終わったみたいなので、今からは回復の時間だ。

しのぶさんが1番ダメージを受けているので、ポーションとクローバーで回復。

ミヤビちゃんはほとんどダメージを受けてないし、それはシロツキも同じようなので、クローバーでさっと回復した。


それにしても、ブラックドッグリーダー吼えた時のあれは何だったんだろう。

ダメージはないから相手の妨害をする技のようだけど、ラナンキュラスの鏡写しの盾(ミラーシールド)で跳ね返せるんだろうか。

次に戦うときは気をつけよう。


うららさんとセインにも吼えられた時のことを話し、回復の済んだしのぶさんを先頭に森へ向かう。

夜の森も苦戦しそうだ。


犬の吠え声には魔を払う能力があるということでこうなりました。


また、この場所ではブラックドッグを呼ぶことはありませんが、町周辺の草原では稀にブラックドッグリーダーが出現します。

その時は統率の取れたブラックドッグと戦うことになります。

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