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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
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ボールタイガー

ブラウンホーンラビット達が角で黄色いバランスボールを突いているのを眺めていたら、突きどころが悪かったのかボールが僕達の方へ跳ね飛んできた。

大きく上がった黄色いボールは、僕達の近く目掛けて落ちてこようとしている。


「あのボールはモンスターです!」

「はい!ボールタイガーです!」

「……え?」


ブラウンホーンラビット達がボールを突き合うという不思議な光景とに気を取られていたのと距離が開いていたこともあって、しのぶさんとうららさんが言った言葉への反応が遅れてしまった。

それはミヤビちゃんとセインも同じだったようで、しのぶさんが武器を構え、うららさんが糸を繋いだ針を投げる準備ができているのに中途半端な体勢だった。


「きゅ!」

「キュー!」


だけど、シロツキとトバリがミヤビちゃんとセインの前に入り、僕の前には騎士人形が黄色いバランスボールことボールタイガーに向かって盾を構える。

それを見て慌ててハピネス達を動かしていつでも攻撃できるようにした。

ミヤビちゃんも盾と槍を構え、セインも精霊を召喚して戦う準備をしたけど、ボールタイガーは僕達の目の前で数回跳ねて止まった。


「どうしたんでしょうか?」


ミヤビちゃんが声を出した瞬間、ボールタイガーはダンゴムシが丸まりを解くように足を伸ばし、しっかりと地面に立った。

茶色いラインは虎にある模様なんだろうけど、ボールになるためなのか体はずんぐりと横に大きく足も短い。

尻尾は根元で2本に分かれているんだけど、猫又のようなものなのかな。


「うぅぅぅぅ……にゃぁぁぁぁぁ!!!」


ボールタイガーが体を開いて最初に見たのはミヤビちゃんで、少しの間見つめた後、唸り声を上げて鳴いた。

吠えたんじゃなくて鳴いた。

体も小さいし少し太ったトラ猫に見えなくもないからそこまで違和感はない。

特にミヤビちゃんとセインには受けがいいようで、ボソッと「可愛い……」と呟いていた。


「タイガーなんですよね?」

「はい……鑑定ではボールタイガーとなっています……」


しのぶさんとうららさんも少し戸惑っているみたいだけど、視線を外したり気を抜いたりはしていない。

いつでも動けるように構えたまま話している。


「にゃあ!」

「っ!ブラウンホーンラビットが来ます!」


ボールタイガーがまた鳴いたので動くかと思ったけど、その後ろから近づいてきていた3羽のブラウンホーンラビットが、角を突き出して勢いよく飛び込んできた。

角で突かれていたにも関わらず命令できる存在なのかな。

だとしたら少なくともブラウンホーンラビットより強いということになりそうだけど。


「やぁ!」

「はっ!」

「糸縛り・糸玉!」

「にゃ!……にゃぁぁぁぁ?!」


ミヤビちゃんとしのぶさんが角を叩いて落とし、残りの1羽は騎士人形が構えた盾に当たって止まった。

その間にしのぶさんがボールタイガーに向けて糸玉を投げたんだけど、自分から叩きに行って解れた糸に絡まった。

やっぱり猫にしか見えない。


「にゃぁあ!!」


糸が絡まって動けなくなったボールタイガーが鳴くと、ミヤビちゃんとセインが戦っていたブラウンホーンラビットのがボールタイガーの元へ向かい、体と糸の間に角を入れて引き千切った。

止めるためにラナンキュラスを向かわせようとしたら、残りの1羽が盾に体当たりをして止めてきた。

ボールタイガーが鳴いたら全羽動きを止めたから、糸を千切るだけじゃなくて守ることも命令したんだと思う。


「抜けられました!」

「ならもう一度、糸縛り・糸玉!」


糸を千切ったら即座に向かってきたブラウンホーンラビットの突進を忍刀(しのびがたな)で受け止めるしのぶさん。

うららさんはもう一度糸玉を投げたけど、今度は解ける前に前足で弾かれた。

ボールタイガーの視線は少しの間糸玉に向いていたけど、転がった勢いでバラバラに解れたら興味をなくしたのかうららさんに向き直った。


ミヤビちゃんはシロツキ達とブラウンホーンラビットのと戦っているし、セインはしのぶさんのサポートに回っている。

もう1羽は騎士人形が相手をしようとしているので、ハピネスを向かわせてアザレアで援護すれば倒せるはずだ。

なので、ボールタイガーにはラナンキュラスとクローバーで対処するしかない。


2体同時は難しいけど、しのぶさんかミヤビちゃんのどちらかがブラウンホーンラビットを倒すまで我慢だ。

うららさんの糸玉で動きを封じるのはできなくなったけど、弾くために一瞬動きが止まるのも利用すれば倒せるかもしれない。


「うららさん!僕がボールタイガーに攻撃するので援護してください!糸玉を使って隙を作って欲しいです!」

「わかりました」


ボールタイガーが姿勢を低くして飛びかかりそうな体勢になったので、ラナンキュラスの盾で視界を隠す。

すると横に跳んで盾から離れ、勢いを利用して飛びかかってきた。


ラナンキュラスの槍とは反対側に跳んだので、うまく追撃ができないし、クローバーのパチンコで狙うのも間に合わない。

ハピネスを引っ張ろうにもブラウンホーンラビットの角と鍔迫り合いをしているし、アザレアの魔法を使うには杖を向ける必要がある。

うららさんも糸を放とうとしているけど、到底間に合いそうにない。


「ふぅちゃん正面に回ってラッシュ!」

「フニャ?!」


うららさんに当たると思った瞬間ふぅちゃんが割って入り、ボールタイガーの顔を殴った。

殴られたボールタイガーは軌道が逸れて地面に転がり、ふぅちゃんはラッシュをするために追いかける。

セインはできるだけ全体を見るように練習していたので、しのぶさんの援護をしながらもこっちの状況を把握していたんだと思う。

それでも、少し距離があるせいで同時に見ることはできないみたいで、今はしのぶさんの援護に戻った。


「お待たせしました!」

「きゅー!」

「キュッ!」


ボールタイガーに向けてラナンキュラスを飛ばしたら、シロツキに乗ったミヤビちゃんとトバリも飛んできた。

ミヤビちゃんはボールタイガーに、トバリは騎士人形の盾で押さえ込んでいるブラウンホーンラビットの方へ向かう。


手数が増えたのでラナンキュラスとクローバーを援護に回して、まずはハピネス達のブラウンホーンラビットを倒す。

騎士人形が動きを封じたところにアザレアの魔法とハピネスの左手に炎を(レフトフレイム)で攻撃すれば大ダメージを与えることができた。

あと少しで倒せるから、アザレアをボールタイガーの方へ移動させる。

トバリもいるからね。


そして、トバリがトドメを刺す頃にはしのぶさんもブラウンホーンラビットのを倒し終わった。

あとはボールタイガーを倒すだけなんだけど、ミヤビちゃんとシロツキが攻撃をするようになったら、体を丸めて飛び跳ね出した。


地面を走って勢いよく跳び上がって空中で体を丸め、そのまま体当たりしてきたり、器用に2本の尻尾で跳ねたりブレーキをかけてこっちの攻撃を避けている。

ミヤビちゃんやラナンキュラスの槍は突いても避けられるので、振って当てる。

当たったとしてもボール状態だと弾力があり、グニっと凹むだけでダメージは殆どない。


防御系のスキルのようなので、貫通攻撃で突破しようとしたんだけど、これは突き入れる必要があるので尻尾をうまく使って避けられてしまう。

丸まっている間は目以外ではないこちらの動きを察知しているみたいで、うららさんが糸玉を放っても反応しない。

地面に立った瞬間を狙うか、跳ね飛ばした直後に何かで動きを封じるしかないと思う。

それなら、使うタイミングを考えていた機巧(ギミック)の出番かもしれない。


「しのぶさん!攻撃してボールタイガーを跳ね飛ばしてください!そのあと動きを封じてみます!」

「わかりました!」


しのぶさんが2本の剣を持ってボールタイガーへ向かい、セインもショットで逃げる場所を狭めている。

尻尾を使っても避けられなかったみたいで、忍刀(しのびがたな)が丸まったボールタイガーにめり込み斬撃の跡を刻む。

そして、振った勢いそのままに弾き飛ばされる。


「痺れ針!」

「みぎゃ!」


尻尾を使って勢いを殺したところに、ハピネスの口から針を飛ばした。

その針は丸まった背中に刺さり、麻痺状態になった。


痺れたせいで丸まりが維持できなくなったようで、ピクピクとしながら地面に横たわったボールタイガー。

この隙にできるだけダメージを与えようと、うららさんを除く全員で攻撃したらあっさり倒せた。

体はワイルドベアと比べるとそこまで大きくないから、HPも少なかったんだと思う。

最後には麻痺が解けていたけど、丸くなるタイミングがないほどに連続して攻撃できたのもあるだろうけど。


それに、以前はとりあえずそれぞれが攻撃していたけど、今回は多少タイミングをずらすことができたと思う。

それでも、綺麗な連携には程遠いんだけどね。


近々ある友人の結婚式で流す動画作成が思うように進んでません。

なので、もしかしたら近々更新に穴があく可能性があります。

更新されなかったら動画に苦戦してるんだと思ってください。


素材はあるんです。

編集が超難しいです。

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