表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
224/287

クイーンパラライビーの出現条件

クイーンパラライビーの特殊個体を倒したけど、うららさんが欲しがっていた『クイーンパラライビーの甲殻』は出なかった。

『クイーンパラライビーの痺れ錫杖』が出る分他のが出にくくなったりするのかな。

普通だと錫杖がクイーンパラライビーのレアドロップだよね。

他のビー達も武器を出しているけど、普通のビーもたくさん倒しているから痺れ針のような通常ドロップをしたかどうかがわからない。

まぁ、次に戦うのが特殊個体じゃなければ手に入るだろうから頑張って巣を探そう。


移動を始めてすぐにパラライソードビーの集団に遭遇した。

思わず剣を見たけど鍔に綿毛はなかった。

だから通常個体だね。


気になるのが通常個体の剣でも痺れるかどうかだ。

手に入れたパラライソードの説明文には綿毛が付いているとは書かれていたけど、それが原因で麻痺するとは書かれてないんだよね。


比べるためには通常個体の剣を手に入れる必要があるけど、さっきの戦いで結構倒したのに出ていないので特殊個体限定のドロップなのかもしれない。

そうなると切られて確かめるしかないんだけど、わざわざそのためだけにダメージを受けるのは嫌なので、この件は放置することにした。

麻痺するしないに関わらず、攻撃を受けないように気をつければいいからね。


パラライソードビーはしのぶさんとミヤビちゃんが苦戦することなく倒した。

剣で2人の攻撃を受けた個体もいるけど、受けてバランスを崩したところを追撃されていた。

基本的に攻撃一辺倒だから、向かってくる時に気をつけていれば早々負けることはないと思う。

麻痺したら一気に危なくなるけど。


「ハニーベアがいました」


巣を探して彷徨っているとパラライビーにばかり遭遇していたけど、今度は結構大きなハニーベアを見つけた。

ハニーベアは周囲の匂いを嗅ぎながらもしっかりとした足取りで進んでいるので、もしかしたらこの先にパラライビーの巣があるのかも知れない。

ほとんど進む方向の匂いを嗅ぎ、警戒のためか思い出したように周囲の匂いを嗅いでいるし。


「とりあえずハニーベアは倒しておきましょう」

「そうですね。乱戦になるのは面倒です。ミヤビちゃん、お手伝いをお願いします。流石にこのサイズは一撃で倒せないので!」

「わかりました」


ハニーベアが進む方向さえ覚えておけば、別に倒しても構わない。

クイーンパラライビーの出現条件を調べたいのもあるので、むしろ倒しておいたほうがいい。

ハニーベアが巣を壊してクイーンパラライビーが来たら調査にならないし、ワイルドベアが来たら戦いが面倒になる。


しのぶさんも同じ考えのようで、ミヤビちゃんを連れてハニーベアに向かう。

しのぶさんは木の上に登り、落下の勢いを利用して忍刀(しのびがたな)をハニーベアの首筋に突き立てクリティカルエフェクトを出す。

ミヤビちゃんは、しのぶさんの攻撃で体勢を崩したハニーベアの横腹に槍を突き入れる。

ハニーベアはワイルドベアを呼ぶ動作をすることなく倒れた。


「いい連携でした!」

「しのぶさんクリティカルがあったおかげでよす」


しのぶさんに誘われて小さくタッチを交わすミヤビちゃん。

確かにしのぶさんのクリティカルがダメージの大半を占めていたのでミヤビちゃんの言いたいこともわかるけど、間髪入れずに体勢が崩れたハニーベアの横腹に槍を突き入れたミヤビちゃんも凄いと思う。


ハニーベアはしのぶさんの攻撃を受けた瞬間大の字になったから、下手したらしのぶさんに攻撃するところだった。

少なくとも僕がラナンキュラスを操っていたら反応できなかったと思う。


セインも同じことを思ったのか、歩きながら謙遜するミヤビちゃんを褒め出した。

当のミヤビちゃんは恥ずかしいのか薄っすらと頬を染めて俯き槍をぎゅっと抱きしめたんだけど……肩に乗ったトバリが邪魔そうにしているよ。


「あ!巣がありました!」


ハニーベアの向かっていた方向に少し進むとパラライビー達の巣があった。

まだ襲われていないからか、飛んでいるビーも少なくて10匹もいない。

でも、攻撃したらどこからともなく飛んできて、あっという間に30匹近くになるんだから、今少なくても気は抜けない。


それにしても見つかってよかった。

これで見つからなかったら、ワイルドベアが闊歩しているエリアで見つけた花畑に向かうしかないんじゃないかと思っていたからね。

あの花畑はシロツキが調べてくれたおかげで奥に巣があるのはわかってるんだけど、花畑にビーが200匹以上いた。

バブルシャワーがあるとはいえ簡単に勝てるとは思えないし、奥にある巣にはクイーンパラライビーが待ち構えている気がする。

ワイルドベアがいるんだからクイーンパラライビーが生息していてもおかしくないからね。


「それでどう壊しますか?」

「とりあえずビーは放置して巣を狙いますよね?」


うららさんに聞かれてしのぶさんが答える。

これは道中に決めていたことだ。


「ビーの数が増えたらどうしますか?」

「バブルシャワーでいいんじゃないかな」


ミヤビちゃんが攻撃したことで増えるはずのビーをどうするか聞くとセインがバブルシャワー使うと返した。

確かにそれでもいいけど、飛んできたビーの中に特殊個体がいたらシャボン玉が割られるだろうし、そうなったら数で押されると思う。

ある程度残すように提案しよう。


「数が多いとシャボン玉を割って進まれた時にキツイから10匹ほど残すように戦いませんか?」

「それがいいですね。ただ、今の場合既に10匹いないので最初は守るだけになります」

「それこそバブルシャワーですよ!」


うららさんも賛成してくれたので、セインの言う通りバブルシャワーで守りながら巣を攻撃することになった。

巣もすぐに壊すんじゃなくて半壊で止めるということになったので、しのぶさんとミヤビちゃんが攻撃して、僕とうららさんセインでシャボン玉を量産する。

シロツキとトバリにはクイーンパラライビーの接近を警戒してもらう。

そうなると自動で攻撃しに行く騎士人形が邪魔になりそうなので、一旦アイテムバッグに収納する。


「行きましょう!」

「はい!」


しのぶさんとミヤビちゃんが飛び出す。


「「「バブルシャワー!」」」


少し遅れて僕達もバブルシャワーを使いながら飛び出し、左右から迫ってきていたビーを牽制する。

移動しながらバブルシャワーを使ったのでシャボン玉が広範囲に散ったけど、そこは回数と両手使うことでカバーする。


巣はそこまで硬くないので、しのぶさんとミヤビちゃんは攻撃を加えるとすぐに戻って来るはずだ。

横と後ろを中心にシャボン玉を飛ばし、正面をある程度開けておく。

ここにしのぶさんとミヤビちゃんが入ってきたら、前にもバブルシャワーを使う予定だ。


「半分削りました!」

「あとは様子見です!バブルシャワー!」


開けていた場所にミヤビちゃんとしのぶさんが入ってきて、しのぶさんのバブルシャワーで正面もシャボン玉でいっぱいになった。

シャボン玉の隙間から見える巣は半分崩れていて、こちらを攻めてこれないビー達が右往左往している。


「あ!1匹飛んで行きました!」


ミヤビちゃんが飛んで行ったビーを見つけた。

僕達には見えなかったけど、この中で一番背が低いミヤビちゃんだからこそシャボン玉が上昇することでできた隙間から見えたんだろうね。


「きゅきゅー!」

「キュ!」


シャボン玉を追加しながら少しの間待っていると、シロツキとトバリがシャボン玉を無視して突っ込んできた。

中に入ると2頭とも同じ方向を見て鳴いたので、クイーンパラライビーが来たんだと思う。


「クイーンパラライビーです!」


ミヤビちゃんがシロツキ達の声を訳す前にしのぶさんが叫ぶ。

それと同時に木の間から勢いよくクイーンパラライビーが飛び出し、大きく錫杖を振ってシャボン玉を吹き飛ばした後巣の前に陣取った。


予想以上の速さで飛んできたのと、錫杖の一振りでシャボン玉が散ったことに少し驚いた。

だけど、その攻撃は勢いを利用しただけで特殊個体ではないようだ。

錫杖に王冠はないし、近接戦闘に使おうとはせず魔法を使ってきたからね。


特殊個体ではないので、そこまで苦戦することなく戦える。

クイーンパラライビーの魔法はミヤビちゃんの盾とラナンキュラスの鏡写しの盾(ミラーシールド)で対応しする。

さすがに放つ場所を指定するストームは防げなかったけど、それ以外はほとんど防げた。

3連射されたスパークランスを防ごうとした時に鏡写しの盾(ミラーシールド)に込めたMPが切れた時はどうしようもなかった。


僕とミヤビちゃんが魔法に対処している間に、他のみんなは周囲のビーを倒していく。

うららさんが縛ったビーを精霊がラッシュで倒し、シロツキとトバリが追い立てたビーはすれ違いざまにしのぶさんが切る。

シロツキ達に追いつかれたビー達は噛み付かれたり爪で切り裂かれて倒される。


少しの間魔法を防いでいるだけで周囲のビーが殲滅され、あとはクイーンパラライビーを倒すだけになった。

さすがに最後の1匹になったら錫杖やお尻の針で攻撃してきたんだけど、鋭さは特殊個体の方が上だった。


途中で距離と取ってスパークストームを使われた時はダメージを受けたけど、それ以外は防ぐことができたのでそこまで苦戦することなく倒せた。

ドロップアイテムもしのぶさんの装備を作る量が出た。


だけど、クイーンパラライビーの出現条件に確証がなかったのと予備の素材が欲しいとのことなのでもう一度巣を探すことになった。


幸いにも少し進んだところに巣があったので、今度は2匹だけ残すようにしながら巣を壊し、1匹が逃げたところで残った1匹を倒した。

それでもクイーンパラライビーはやってきたので、巣を壊す時にビーを残しすことで呼びに行かせるのが出現条件のようだ。


出てきたクイーンパラライビーは特殊個体ではなかったので、多少はダメージを受けながらもそこまで苦戦することなく倒せたし、予備の素材も手に入った。


クイーンパラライビーの出現条件については、しのぶさんがあくまで予想として掲示板に書き込んだので、クイーンパラライビーと戦いたがっている人たちが挑戦するらしい。

これで、他の人たちもクイーンパラライビーに遭遇できたら確定だ。

後は任せよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ