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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
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特殊個体?

うららさんとセインがシャボン玉を出すと、6匹のビーはクイーンの元へと下がった。

なので、今のうちにしのぶさんとミヤビちゃんの麻痺をクローバーで取り除きHPも回復する。


「ギチギチ!」


HPを回復しているとクイーンパラライビーが口を鳴らした。

それを聞いたパラライソードビーとパラライスピアビーはそれぞれの武器を振り回してシャボン玉を割り、徐々に近づいてきた。

セインとうららさんが破られたそばからバブルシャワーを使ってシャボン玉を出していくと、またクイーンパラライビーの近くに戻った。


もしかしたら今「割っても割ってもキリがないです」みたいな報告をしているのかな。

クイーンパラライビーも口を鳴らすのをやめてこっちをジッと見てきているから何か考えているのかもしれない。

とりあえず何かやられる前に6匹に対してファイアストームを放とう。


「ストーム!」


クイーンパラライビーに攻撃したら動き出しそうなので、クイーンパラライビーの少し手前にアザレアが杖を向けてストームを使った瞬間、ビー達が散開した。

さっき倒した大量のビーより速くので竜巻の範囲外に逃げられてしまいった。

ならばと巣に杖を向けようとすると、散開したまま僕の方へと迫ってきた。


「くっ!ランス!ランス!」

「もくちゃんショット!ふぅちゃんショット!」

「糸縛り!」

「バブルシャワー!」


近づいてきたビー達にファイアランスを放ちながらハピネスに火炎放射を、ラナンキュラスには槍を振らせて牽制した。

セインはショットで、うららさんは糸を放って援護してくれたおかげで少し距離が空いたので、すかさずバブルシャワーで近づかれないようにした。


「あのビー達はさっきまでのビーとは違いますね」

「鑑定しましたが他のビーと同じようにパラライソードビー、パラライスピアビー、パラライシールドビーと表示されました」

「ステップボアが大きくなって出てきたように同じ名前で個体差があるみたいですね」

「だとしたらどこか変わった場所がありそうですが……」

「持ってる装備がちょっと違うように見えるんだけど、それが原因だったりしない?」


距離が空いて、再度シャボン玉を割り始めたビー達を観察したけど、僕とうららさんは違いを見つけられなかった。

でも、セインが指摘してくれたおかげで違いがわかった。

剣なら鍔、槍なら刃の根元部分の口金にクイーンの首回りに生えている綿毛のようなものがあった。

盾は裏側の上部にあるみたいで、少しだけ見えている。


「セインが言った場所が正解かもしれない」

「そうですね。先ほどのビー達の武器には付いてませんでした」

「おー。なんとなく気になったから言ってみたんだけど良かったよ」


本当にあの綿毛が個体差を示すものかはわからないけど、ひとまずはそういうことにしておく。

調べるには数を倒す必要があるからね。


さて、ビーが強い個体かもしれないといことはわかったけど、対処法を考える必要があるのは変わらない。

今の所思いついたのは最初と同じように誰かが注意を引いている時に魔法をぶつける方法か、アザレアの糸を増やして強力な魔法を放つかだ。


ハピネスとラナンキュラスを単体で向かわせても3匹の連携を破ることはできず、攻撃を防がれた時の小さなダメージしか与えられなかった。

それも、クイーンパラライビーが即座に回復させたから、意味はなくなったけど。


ハピネス達が攻撃している最中にアザレアが杖を向けると、武器を強くぶつけて距離を開けるし、どちらか片方に戦力を集中させるともう片方がやってくる。


「オキナさん。私とミヤビちゃんが前に出るので、ハピネスちゃんをミヤビちゃんに、ラナンキュラスちゃんを私に付けてもらえませんか?」

「それは、さっきのコンビネーション対策ですか?」

「そうです。私の場合は最後の一撃、ミヤビちゃんの場合は真ん中の一撃を防いでもらえれば攻撃するチャンスはあります。そこにアザレアちゃんの魔法をぶつけてください」

「わかりました。ミヤビちゃんも問題ない?」

「はい!大丈夫です!」


回復が終わった後、僕が戦っているところを見ていたしのぶさんが提案してきた。

ミヤビちゃんも乗り気なのでやってみる。

セインとうららさんは、失敗した時にそれぞれ援護することになった。

手順を増やすと失敗する可能性が高くなりそうだからね。


「行きます!」

「はい!」


しのぶさんとミヤビちゃんがバブルシャワーで後ろに下がったビー達に駆け出す。

ラナンキュラスはしのぶさんの後ろを飛び、ハピネスはミヤビちゃんの後ろを走る。

シロツキはミヤビちゃんの頭上を、トバリはしのぶさんの頭上を飛んでいる。

前回のコンビネーションは対応が間に合わなかったけど、今回は迫ってきたビーに対して攻撃する気満々らしい。


「来た!」


しのぶさんとミヤビちゃんに向かってそれぞれ1列になって迫るビー。

さっきと同じようにミヤビちゃん達の攻撃をパラライシールドビーが受ける。

後ろから出てきたパラライソードビーの攻撃をミヤビちゃんとラナンキュラスが盾で受けるとパラライスピアビーが飛び出してくる。

それをしのぶさんが忍刀(しのびがた)で受け、ミヤビちゃんの方は飛び上がったハピネスで受ける。

攻撃を受け止められたパラライスピアビーを無視して、パラライソードビーに対してラナンキュラスとミヤビちゃんが槍を突き出すと、パラライソードビーも負けじと受け止める。


繰り糸(マリオネット)!ストーム!」


パラライシールドビー以外の動きが止まったところで、糸を増やしたファイアストームを放った。

周囲のシャボン玉を一気に割りながら6匹のビーと共にミヤビちゃん達を竜巻が呑み込む。

仲間にダメージがないとはいえ、見た目に悪い光景だ。


「せい!はっ!やっ!」

「やぁ!えぃ!たぁ!」


竜巻の中でしのぶさんとミヤビちゃんの声と硬いものに何かが当たった音が聞こえ、少しして竜巻が収まる。

残っていたモンスターはパラライシールドビーだけだった。

硬い音は盾で防がれた音だと思うんだけど、そうなるとそれぞれ3回ずつ声が聞こえたのは3匹に攻撃したからだね。

糸を増やして強化されたファイアストームで倒せないなんて、速さだけじゃなくてHPも他のビーと比べると高くなっていたのかな。


「ガチガチガチガチ!!」


自分を守っていた6匹のうち4匹が倒されたからか、クイーンパラライビーが口を鳴らしながらこっちに向かってきた。

パラライシールドビーがクイーンパラライビーの隣に控えると、即座に回復魔法を放ってファイアストームのダメージをなかったことにされた。


「ファイアストームの中でソードビーとスピアビーは倒せたんですが、シールドビーには防がれました」

「私もです。最初にシールドビーを狙うべきでした」


僕は竜巻の中が見えなかったけど2人は中にいたから、一番隙があったハピネスとラナンキュラスが抑えていたビーから狙ったらしい。

そして、相手の攻撃手段を減らすために武器持ちを倒した後シールドビーを狙ったら盾で防がれたそうだ。

竜巻の中でビー達が口を鳴らしていたみたいなので、互いに警告していたんじゃないかと言われた。

今後はビー達が口を鳴らしたら警戒しないとダメだね。


それでも盾しか持っていないパラライシールドビーと魔法型のクイーンパラライビーが相手なら、武器持ちより簡単に倒せるんじゃないかと思ったけど、甘かった。

クイーンパラライビーがパラライシールドビーを伴って一気に突っ込んできて錫杖を振りかぶった。


「防ぎます!堅守!」

「後ろに回ります!」

「「「バブルシャワー!」」」


ミヤビちゃんが前に出て盾を構え堅守を使い、しのぶさんが大きく飛び退いてうららさんが張った糸を足場にクイーンパラライビーの背後に向けて跳躍する。

僕とセインとうららさんは牽制のためにバブルシャワーを周囲にはなった。


鈍い音が響いて錫杖がミヤビちゃんの盾に受け止められる。

堅守を使っていたのでダメージはないんだけど、動けないので盾を構えた姿勢のまま大きく後ろにズレる。

受け止められたことに驚いたのか動きが止まったクイーンパラライビーに、背後に降り立ったしのぶさんが火属性が付与された忍刀(しのびがたな)を振り下ろす。

しのぶさんの動きを見ていた片方のパラライシールドビーが背後に回ろうとしていたんだけど、シャボン玉が邪魔で間に合わなかった。


「ギィィィ!」

「ストーム!」

「シロツキちゃん!トバリちゃん!」

「火遁・旋風!」

「もくちゃんショット!ふぅちゃんショット!」

「糸縛り・雁字搦め(がんじがらめ)!糸縛り・雁字搦め《がんじがらめ》!」


クイーンパラライビーが怯んだ隙にストームを放つと、ミヤビちゃんの声を聞いたシロツキとトバリがブレスを放ち、しのぶさんも火を吹いた。

セインの精霊によるショットはパラライシールドビーの盾に当たり防がれたけど、竜巻が消えたと同時に投げられた糸で盾を構えたままのポーズで身動きが取れなくなり、地面に落ちた。

そこをハピネスとラナンキュラスで攻撃してトドメを刺す。

これで、あとはクイーンパラライビーだけだ。


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