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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
219/287

クイーンを探して巣を解体

ひとしきりシャボン液を出して色々試したので、蜂の巣を探すことにした。

ハニーベアの手にハチミツが付いていたので、ここまで来るまでの地面にハチミツが垂れているか探してみたけど、時間経過で消えてしまったようで何もなかった。

たぶんシャボン液を試している間に消えたんだと思う。


「前方から羽音が聞こえてきました」

「移動しているビー達の可能性もありますね」

「あるいは蜜を集めているところかもしれませんよ」


目印はないけど、試しにハニーベアが背中を向けていた方へ進んでみるとしのぶさんが羽音を聞いた。

これだけだとパラライスピアビーやパラライソードビーが周囲を飛んでいるだけかもしれないし、しのぶさんの言う通りでこの先に花畑があるのかもしれない。


警戒しながら音を頼りに進んでいくと、木に寄り添うようにくっ付いている巨大な蜂の巣があった。

周囲に花畑はなくちょっと他の木とスペースが空いている程度の場所だけど、近くに蜜を撮る場所があるんだろうか。


巣の周囲にはパラライスピアビーとパラライソードビー以外にも木の盾を持ったパラライシールドビーや石斧を持った少し大きなパラライアックスビーが飛んでいた。

どうやらクイーンパラライビーはいないようだ。


「近くで見ると大きい巣だねー」

「そうだね。でも、クイーンパラライビーはいないね」


セインは初めて見た蜂の巣から目が離せないようだ。

以前シロツキ達が見つけた巣は、その前にある花畑にビー系のモンスターが大量にいたせいで進めなかったし、昨日森の中を探索していても蜂の巣は見つけていない。


「へー。クイーンはどんなモンスターなの?王冠かぶってる?」

「3mぐらいある蜂だね。王冠は被ってないよ。ちなみに僕の中のクイーンは王冠じゃなくてティアラのイメージなんだけど、セインは王冠なの?」

「んー。戦う女王なら王冠かな。ティアラは後ろで守られてそうな印象がある」

「なるほど」


言われてみるとなんとなくわかる。

ティアラをだとなんとなくお淑やかな感じがするし、そうなると戦いとは無縁な気がする。

まぁ、どっちにしろ付けてないんだけどね。


セインには戦う前にモンスターのことを教えていたので、ちょくちょく話題に上がっていたクイーンパラライビーのことは戦う機会がないこともあって軽くしか伝えてない。

そもそも前に戦ったのはワイルドベアと戦っている間に割って入っただけだから、僕達も詳しくは知らないんだよね。

それでも知っていることは全部話すけど。


「なんかワイルドベアと違って面倒そうなモンスターだね。ところでクイーンパラライビーはどうやって呼ぶの?」

「え?あー……前は巣を壊したら来たから同じように壊すつもりだけど」

「りょうかーい。まずは周りの蜂を倒すんだよね?」

「うん。よろしく」

「おっけー。任せて!」


一応掲示板を見たんだけど、巣を壊してもクイーンパラライビーが来ないこともあるみたい。

だけど、巣を壊していないのに来ることはないから、壊し方に条件があるのかもしれない。

前はハニーベアの攻撃後に壊したら出てきたけど、周囲にハニーベアがいない時でも出現したらしいので、ハニーベアの有無は関係なさそうだ。


というわけで周囲のビー達を倒してから巣を攻撃することになったんだけど、せっかくなのでバブルシャワーで動きを封じてから倒すことにした。

しのぶさんとミヤビちゃんと僕が大きく迂回して、左右から挟み込むように泡を放つ。

しのぶさんとミヤビちゃんは片手で僕が両手で放つ。

うららさんとセインは2人とも両手なので、左右で泡の量は一緒になるはずだ。


ただ、しのぶさんとミヤビちゃんは接近しながら泡を出すので、避けたビー達が殺到するかもしれない。

その場合は僕がアザレアとラナンキュラスを使って援護する手はずになっている。


「それじゃあ移動しますね」

「はい。合図を待ちます」

「気をつけてね」


うららさんとセインに見送られて一度来た道を戻って大きく迂回する。

しのぶさんが警戒してくれているからモンスターと遭遇しないように先導してくれている。

僕の後ろにはミヤビちゃんとシロツキがいて、背後と頭上を警戒している。

残ったうららさんとセインの方はトバリがいるので安心して移動できる。


見回りをしていたのか色々なビーで構成された集団を遠目に見たぐらいで、問題なく反対側に辿り着いた。

木の陰からセイン達がいる所を見たら向こうもこっちを見ていた。


しのぶさんは右手に忍刀(しのびがたな)を持ち、左手を空ける。

ミヤビちゃんは左手で盾を持ち、右手の槍を逆手に持って投擲の構えをとった。

ミヤビちゃんは巣の近くを飛び回るビーに槍を投げ、バブルシャワーを使った後アイテムバッグから取り出すつもりだ。

もしもビーが弾いて5m以内に落ちるか、巣に突き刺さってアイテムバッグに戻らない場合は、シロツキの援護の元盾を構えながら取りに行くか、ラナンキュラスに取りに行かせる手筈になっている。


「いけますか?」

「いつでも」

「大丈夫です」


こっちの準備は整ったので、うららさんにメッセージを送った。

すぐに準備万端だと返事がきたのでもう一度木の陰から顔を出して向こうから見えるように手を開く。

手を大きく振りながら1本ずつ折り、0本で木から飛び出す。


「ストライクランス!」

「「「バブルシャワー!」」」


ミヤビちゃんの槍が巣に向けて投げられて、先に飛び出した僕としのぶさんを追い抜く。

飛び出したことで僕達に気付いたビー達が数体貫かれるも残りのビーが迫ってきたので、後ろから走ってきたミヤビちゃんも一緒にバブルシャワーを使う。

逆側でもうららさん達がバブルシャワーを使いながら巣へと近づいていた。


ビー達は大量のシャボン玉のせいでうまく飛べなくなって地に落ちたり、避けることに必死でこっちに近づいて来れない。

うららさんは継続してバブルシャワーを使っているけど、残りのメンバーはそれぞれビーを倒していく。


しのぶさんは木の幹や枝を足場にして飛び回り、シャボン玉で移動範囲が狭くなって右往左往しているビーを狙う。

ミヤビちゃんはビーに当たって勢いが落ちてスキルの効果終了と共に消えた槍をアイテムバッグから取り出し、泡まみれで地面に落ちたビーに突き刺して倒し、シロツキはその援護に回っている。

セインは召喚した精霊にラッシュやショットを使わせて1匹ずつ集中して倒していて、僕はハピネスとラナンキュラスを動かして接近戦で倒していく。

アザレアの魔法を使うとシャボン玉が消えてしまうからね。


僕としのぶさんとミヤビちゃんは何度かビー達が持っている武器で攻撃され、時にはお尻についた針で刺されて麻痺することもあった。

その都度クローバーか麻痺消しのアイテムを使っていたんだけど、クローバーで麻痺を回復させすぎたみたいでチャージできる状態異常が全て麻痺になってしまった。

ホラーモードを使わないから減らないんだよね。

もう少し使うようにしてもいいかもしれない。


倒しても倒してもどこからか現れるビーをなんとか全部倒し切ったところでレベルが上がった。


『レベルアップしました!

Lv:12→13

HP:220(+10)

MP:1145(+65)

ST:122(+1)

STR:19(+0)

VIT:22(+1)

DEF:21(+1)

MDF:235(+15)

DEX:360(+5)

AGI:19(+0)

INT:455(+25)

LUK:50(+0)


ステータスポイントを3ポイント獲得しました!

スキルポイントを1ポイント獲得しました!』


みんなも上がっていたので相当数倒したみたいだけど、うららさんから50匹近く倒したと言われた。

そんなにいたんだ……。

だから、ちょくちょく麻痺したんだね。


レベルアップの確認も終わったので、巣を壊しにかかる。

一応うららさんとシロツキ達に周囲を警戒してもらっていたんだけど、周囲のビーを倒しているので襲われることなく壊し切ることができた。

だけど、クイーンパラライビーは来なかった。


来ないものは仕方がないので痺れハチミツを取れるだけ取っていると、ハチミツの中にスーパーボールぐらいの玉を見つけた。

うららさんに鑑定してもらうと『痺れローヤルゼリー』だということがわかった。

名前に『痺れ』が入っているんだけど、ハチミツとは違って麻痺しないみたいで、それどころかピリッとしたアクセントになっているらしい。


ハチミツの採集を続けたら、痺れローヤルゼリーは全部で3個見つかった。

パーティメンバー分見つからなかったので、味見は数が集まったらすることになったんだけど、ミヤビちゃんとセインが残念そうにしていた。


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