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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
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シャボン玉で遊びたい

昼食を取ってログインしたら全員パーティメンバーは全員ログインしていた。

まだ集合時間まで30分以上あるんだけど、それぞれやることがあるんだろうね。

僕も朝消費したマナポーションを補充したいし。


マナポーションを補充してから集合場所へ向かおうとしたんだけど、よく考えたら決めていなかった。

なので、時間もあることだしミニマップに表示されるメンバーの方向に向かってみようと思う。

幸い全員同じ方向に矢印が向いているから無駄にならないと思う。


「みんな冒険者ギルドにいるのかな」


矢印の方向に従って進んで行くと全部に矢印が冒険者ギルドの方に向いていた。

みんなでクエストを確認しながら行く場所を相談しているのかな。


「あ!(じぃ)!」

「オキナさんこんにちは!」

「こんにちは!」

「ミヤビちゃん、しのぶさんこんにちは。セインとうららさんはさっきぶりですね」

「そうですね」


全員冒険者ギルドの近くにいた。

特に何かしていたわけではなく、たまたま魔力水を飲みに来たセインが集合地点になったらしい。

ログインしてやることがなかったミヤビちゃんが、既にログインしていた矢印に向かっていったのがキッカケだったみたいで、しのぶさんとうららさんも同じだった。


「これからどうします?クイーンパラライビーの素材集めですか?」

「それか東の森を抜けた先ですね!」

「そうですね。それなら東の森関連のクエストを受けてもいいかもしれません」


しのぶさんとうららさんにこの後どうするか確認したところ、とりあえず東の森になりそうだ。

素材集めでもいいし、モンスターも強いから経験値稼ぎにもいい。

複数のモンスターに襲われることも多いから連携の練習にもなる。

北や西に行くよりかは戦いやすいから賛成だ。

工房も東にあるからね。


「ねぇねぇミヤビちゃん見て見て、シャボン玉ー。バブルシャワー!」

「わぁー!シャボン玉がたくさんです!すごい!」


セインとミヤビちゃんに確認しようとしたら、セインが空に向けてバブルシャワーを放ったところだった。

これを見たミヤビちゃんはキラキラした目で空で弾けるシャボン玉を見つめていた。


気を良くしたセインはバブルシャワーを放ちながら手を動かしたり、近くにある建物の壁に絵を描き始めた。

とはいっても泡がすぐに消えるのでリンゴやウサギなどの簡単なものだけどね。

両手で泡を出すことである程度の絵は描けるみたいで、手のひらをの開き具合で泡の広がり方と放出速度が変えれるようだ。


手のひらを(すぼ)めると小さい範囲に勢いよく遠くまで放て、開くとゆっくりとした速度で広範囲に広がるように放てている。

相手の目を狙うときは(すぼ)めて、地面に巻くときは開く感じだろうか。

攻撃力はないらしいけど、工夫次第で強くなりそうなスキルだ。


「うわぁー。私もやって見たいなぁ……」

「これは泡っていうスキルなんだけど、岬の守護者っていうエリアボスを倒した時にスキルオーブで手に入るかもしれないものなんだ。ただ見た目で綺麗だから見せてあげたんだけど、まさか欲しくなるとは思ってなかったよ」


ミヤビちゃんの呟きでセインが狼狽えている。

説明を聞いたミヤビちゃんがしょんぼりしちゃったのでどうにかしてあげたいんだけど、あいにく僕としのぶさんにはスキルオーブ出てないんだよね。

仮に僕が手に入れていたとしても、人形に付与する選択肢として間違いなく使ってる。


「どういうスキルなんですか?」

「えっとですね……」


空気を変えるためか興味かはわからないけど、うららさんがスキルの内容を聞いた。

それにセインが答えているとミヤビちゃんも耳を傾けていた。

セインみたいな使い方じゃなくて戦闘に使うなら取りに行ってもいいんだけど、ミヤビちゃんが使うとしたら接近して目を狙って泡を放つのかな。

なかなかに凶悪な戦い方になりそうだ。


「いいスキルですね。できれば私も欲しいです」

「私もです!」


スキルの効果を聞いたら、ミヤビちゃんだけではなくうららさんも欲しいと言った。

話を聞くとウォッシュが欲しいのと、戦闘時に使える手札を増やしたいようだ。

ミヤビちゃんの考えた戦闘方法は僕の予想通りのものに加えて、岩などの重いものを気泡で持ち上げて、空に上がったところをシロツキに乗ったミヤビちゃんが攻撃して落とすというものだった。

他にも、攻撃を受けてシロツキから落とされたとしても、水疱を使えばゆっくりと落下できるので復帰しやすくなると考えたみたいだ。


「僕も手数を増やすという面で余裕があれば欲しかったので、今から挑んでみますか?」

「私はオッケー!」

「私も大丈夫です!」

「いいんですか?!」

「お願いします」


セインとしのぶさんも問題ないようなので、岬の守護者に挑むことになった。

欲しいスキルオーブの数は最低3つ。

4つ以上になったらしのぶさんが使うか売ることになった。

オークション機能がないので、フレンドに声をかけて誰もいらないといえば露店で売るそうだ。


掲示板でオークションのように売れないのか聞いてみると、下手に書き込んだことで面倒なことになった人がいるらしい。

エリアボスからゲットできるスキルオーブだからね。

場合によってはPKに狙われるかもしれないからいいと思う。

露店で売ることになったらうららさんがやってくれるそうだ。


このメンバーの中で販売経験があるのはうららさんだけだから任せることにした。

たくさんのクエストをこなしたセインだけど、直接自分で売ったことは無いので拒否した結果だ。

僕としのぶさんとミヤビちゃんは論外だ。


しのぶさんは全身黒装束で怪しいし、ミヤビちゃんは人見知り。

僕はやろうと思えばできるかもしれないけど、経験者のうららさんに任せたい。

値切り交渉とかされたら勢いに負けて安くしてしまいそうだからね。


魔力水を飲み西の海岸付近の食材収集クエストをクリアしてから西門から出た。

岬の守護者を倒してゲットした食材で十分な量だったからね。

常駐クエストらしいので、今回の挑戦で食材をゲットしたらまた受注しようかな。

納品した量で報酬が変わるので、できればたくさん食材が手に入るといい。


「ここが『西の岬らへん』ですか。確かに名前を付けづらくはありますが『らへん』はどうなんでしょう」

「個性を出したかったんだと思いますよ。私達のところもそうでしたし」


順調に進んで西の岬らへんにたどり着いたんだけど、うららさんは付けられた名前が気になるようだ。

それに対してしのぶさんが『おいでよ!ヌシ釣りの森!』の名前を付けた時の話をした。

それを聞いたうららさんは納得したみたいだ。


「あんまり人がいないねー」

「そうだね」

「北の鉄鉱山より少ないんですか?」

「うん。あそこを降りていくんだけど、中の足場が悪くて50人ぐらいしか入れないんだ。それで、今外に出ているのが10人ぐらいだから、北の鉄鉱山と比べると半分ぐらいだね」


ミヤビちゃんが気になったように、あまり人が並んでいなかった。

どうしてかわからなかったんだけど、同じように疑問に思ったセインが掲示板で調べてくれた。


どうやら苦労に見合ったスキルじゃ無いということで、人気がないようだ。

確かに魔法使いが少ないパーティだと属性付与する道具を使わないと面倒だし、それで手に入るスキルが妨害系のスキルだからね。

純粋な戦闘職だと泡スキルを使いこなす練習をするより今使えるスキルを強化したいんだと思う。


今並んでいる人達はスキルオーブを売るため手に入れる人達と、ウォッシュが欲しい人が大半だそうで、そういう人達はある程度道具を使うことを許容しているから手に入るまで周回するらしい。

僕達もある程度は周回するけど、最悪僕は手に入らなくてもいい。

ミヤビちゃんとうららさんを優先して、その後は一度街に戻ってクエストを受けてから東の森に行く予定だ。


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