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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
214/287

新コートと加工できない鱗

2017/11/1 12:28

貫通耐性を体力上昇に修正しました。

貫通系はクイーンパラライビーでした。


同日 23:14

体力上昇をHP上昇に変更しました。


「うららさんこんにちは!」

「はい。セインさんこんにちは。オキナさんもこんにちは。一緒だったんですね」

「こんにちは。レベル上げをしていました」


僕の案内でセインと一緒に『ふぁんしーけーき』に入ると、店員さんから個室へ案内された。

どうやら顔を覚えられていたみたいで、お店に入ってすぐにうららさんが待っていると言われた。

そして、部屋に入ると2人揃っていたことに少し驚かれてしまった。


セインが返事を書いていたので僕も一緒行くことを伝えていると思ってたんだけど、確認したら『今北の草原です!すぐ行きます!』としか書かれていなかった。

今度から一緒向かう場合、どういう返事をしたか確認することにしよう。


「それで、これがワイルドベアの毛皮から作ったコートです。名前はそのまま『ワイルドベアコート』にしようと思ったんですけど、以前オキナさんにお作りしたステップボアのコートが『ワイルドコート』なので名前がほとんど一緒なのと、セインさんにワンポイントを入れて欲しいと言われていたので『ワイルドエレメンタルドールコート』にしました」

「おぉー!さすがうららさんですね!」


何がさすがなのかよくわからないけど、うららさんが出したコートはワイルドベアの顔がフードになった毛皮のコートだった。

クマが腹ばいになったように広げられたんだけど、エレメンタルドールの要素は見当たらない。

どこにあるんだろう。


「このフード毛並みがすごいですね」

「それはどうしようもなかったんです。雨を防げると思ってください」


セインがフードになったワイルドベアの頭を弄りながら言った。

うららさんは少し申し訳なさそうにしているんだけど、僕は十分だと思う。

ちょっとワイルドな毛並みのクマ耳パーカーみたいなものだ。


「それで、名前の由来になったワンポイントなんですけど、これでいいでしょうか?多少の手直しはできますよ」

「おぉー!エレメントとドールだ!」

「なるほど。ここにあったんですね」


うららさんがコートを裏返すと、裏地の背中に当たる部分に刺繍がしてあった。

力を抜いてだらんとしているデッサン人形の四肢や体から糸が伸び、頭上にある2枚の板がクロスされた手板に結ばれている。

そしてその人形の周囲に精霊のような球体が4つ飛び回っている。

精霊の体からはそれぞれの属性を表した物が出ていて、赤い糸で火を、青い糸で水を、緑の糸で風を、茶色の糸で土を表しているね。

これ以上増えたらごちゃごちゃして見づらいから、この数にしたんだと思うんだけど、どうなんだろう。


「精霊の数が気になりますか?」

「え?いた、そこまで気になったわけではないです。数が多いと見づらいからですよね」

「そうです。ちなみにこれが数が多いパターンです」


うららさんが四角い布を取り出した。

そこにはさっきの意匠に水色の糸で氷を纏った精霊や、黄色の糸で雷を纏った精霊などのセインが召喚できる精霊が全部縫われていた。

だけど、数が増えたことで色数が増え、また絵の範囲も広がったせいで見栄えが良くない。

中央の人形より周りがカラフルすぎてどこを見ればいいかわからない感じになっている。


「ゼロツーさんと話し合いながらデザインしたんですけど、これでよろしいでしょうか?」

「はい!すごくいいです!」

「僕はそこまでこだわっていないので、セインが良いなら大丈夫です」


僕はワンポイントがなくても良いからね。

それよりもゼロツーさんとデザインを考えたということは工房で作業をしていたということだ。

鍵を渡しているから使うことは問題ないんだけど、工房の設備が必要な加工だったのかが気になる。

もしもワイルドベアの素材でいい設備が必要だったとしたら、あの鱗はさらにいい設備を要求されそうだからね。


「気に入ってもらえて良かったです。実はここにも刺繍が入っているんですけど気がつきました?」

「フードの裏にも入っているんですね」

「おぉー!……あれ?これ背中にあるやつを上下逆に縫ってるんですか?」


うららさんが裏返したことによって机から垂れ下がったフードを持ち上げた。

そこには背中の裏地に縫われたマークと同じものが縫われていた。

上下逆さまで。


「はい。これはフードを被っていない時後ろから見えるようにしたものなのでこれで合ってます」

「なるほどー。(じぃ)と並んでいると良さそうですね!」


服や装備が同じ人はたまに見かけるけど、刺繍まで同じだったら目立つかな。

マークのせいで同じギルドに所属していると思われそうだ。

ギルドに入っている人たちは盾や鎧にマークを付けていたからね。


「装備してもいいんですか?」

「はい。どうぞ」

「やったー!うららさんありがとう!」

「ありがとうございます」


机の上に置かれている『ワイルドエレメンタルドールコート』を手に取り、アイテムバッグに入れる。

装備メニューから『ワイルドコート』外して『ワイルドエレメンタルドールコート』に変えた。

DEFが+10から+25になってるし、『HP上昇(小)』が付いている。

これでHPが25増えた。

微や中ならどれくらい増えるのかな。

僕やセインには必要なスキルだと思うから、できればもっと増やしたい。


「お二人ともお似合いですよ。それで、言い忘れていましたが、ワンポイントとして施した刺繍は普通の刺繍です。魔力を込めたとしても何も起きません」

「わかりました」

(じぃ)、魔力を込めるってどういうこと?」


そういえば魔法陣を刺繍する話をした時はセインはいなかったね。

うららさんに魔法陣を縫い込んだスカーフがあるか聞いたらあったので、実物を見ながら説明した。

セインも魔力を流すということがわからなかったので、刺繍で魔法を使うことができるけど、コートの刺繍ではできないことは納得してくれた。


「装備代はどうしますか?」

「そうですね……。これに関しては先に頂きたいので5000ゴールドずつ頂いてもよろしいでしょうか?」

「わかりました」

「大丈夫です!」


僕とセイン、それぞれで取引を行なって5000ゴールド支払った。

マナポーションの消費で結構減ってるから、そろそろクエストを受けて稼がないとダメかもしれない。

上手いこと行く先のクエストがあればいいんだけど。


「私からは以上です。せっかくなのでケーキを食べましょう」

「ですね!」

「わかりました。セイン。ついでに鱗を見てもらったらどう?」

「あ!そうだね!うららさん。これを見てもらってもいいですか?」

「何でしょう?」


セインが鱗と石を取り出して机の上に置いた。

うららさんはそれを手に取るとジッと見つめる。

鑑定中かな。


「水竜の鱗と水竜石ですね」

「水竜の鱗はわかるんですが、水竜石ですか?」

「はい。説明文によると水竜が蓄えた魔力を放出した時にできるものみたいですね。水属性のスキルや技の効果を高めることができるみたいです」

「そうなんですか。他にも薬品とかにも使えそうですね」

「可能性はありますね」


暑さ対策の道具を作るのにも役立ちそうだし、水の魔石を使う何かと合わせれば威力が上がりそうだ。

あるいは綺麗な水を出せるようになるかもしれない。


「地底湖で手に入れたんですか?」

「そうです。セインがみーちゃんを召喚したら地底湖へ飛んでいって、戻ってきたら持っていました」

「そんなことがあるんですね」


うららさんには地底湖に首長竜のフルレイドボスがいることは伝えている。

だから水竜から水辺を連想した結果、地底湖へ行き着いたんだと思う。


「それで、うららさんはその鱗で何か作れますか?」

「無理ですね。☆7の素材なので今の私では絶対に失敗します」

「あー。すいません。☆は確認していませんでした」

「いえいえ。今の私では☆3のワイルドベアの毛皮が限界ですね。オキナさんの工房にある設備を使用してもギリギリでした」

「そうなんですか」


それじゃあ☆7の素材なんてまだまだ先の話になる。

しばらく眠らせることになりそうだ。


「失礼します。ご注文の品をお持ちしました」


ノックの音が響き、次いでお盆を持った店員さんが入ってきた。

お盆にはケーキとティーポットのセットが2つあり、話をしている間にうららさんはケーキを頼んでいたみたいだ。

もう1つのケーキセットはセインが注文したもので、これはアイテムを出してすぐに頼んでいたらしい。


僕も急いでケーキセットを注文して3人で談笑しながら食べた。

そうこうしている間に昼食の時間になったので、会計を済ませてからログアウトした。


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