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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン5日目)-
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鱗を得た理由

少し様子を見たけどバトルエリアは広がらなかった。

なので、みーちゃんはフルレイドボスの首長竜に接触したわけじゃなく、落ちている鱗を拾っただけなんだと思う。


「みーちゃん。これはどうしたの?」


セインは精霊と少しだけ話せるので、みーちゃんから鱗を取りに行った理由を聞いてくれた。

それによるとみーちゃんが呼び出された瞬間、地底湖にいる水の精霊に呼ばれたらしい。

それはみーちゃんより上位の精霊からだったので断れず、言葉通りに進むと鱗と石が置いてあったみたいで、それを持って帰って来た結果が今の状態だ。


念のため他に鱗や石が無かったか聞いてもらったんだけど、みーちゃんが見ていた範囲には無かったようだ。

根気よく聞くと、普通は剥がれ落ちた鱗は光になって消えるはずなんだけど、時たま残ることがあるみたい。


今回はたまたまそれを手に入れた時にみーちゃんがきたからプレゼントとしてもらったそうだ。

たまに手に入るってことはランダムドロップみたいなものなのかもしれないね。


「あ!セイン地底湖を見て!」

「ん?」


みーちゃんに頼めば石を探してもらえるかもしれないと考えていたら、地底湖の水面に気泡が生まれ始め、それがどんどん多くなってきた。

セインを呼んだ時点では水面が大きく揺れていて、それに気づいた岸近くにいたロックリザードが慌てて逃げ出すところだった。


そして水面から首だけ伸ばした首長竜が現れ、逃げ遅れたロックリザードに噛み付く。

一度に3匹のロックリザードを口に含んで水中へと帰っていった。

一瞬の捕食だったけど、セインは目を大きく開いて硬直していた。


「あれがフルレイドボス?」

「そう。僕の初死に戻りはあれが原因。水中に引きずり込まれた後噛まれて終わり」

「話には聞いてたけど、生で見ると迫力が違うねー。あれと戦ってる姿が想像できないよ……」

「まぁ、僕とセインが戦うとしても離れているだろうけどね」


どうせフルレイドボスには遠距離攻撃や全体攻撃があるだろうから、離れていても一撃で倒されるんだろうけど。

水のブレスを横薙ぎに放ってきそうだよね。

他にも水中の岩とかを放り投げてきたり、頭上の岩をウォーターカッターみたいな技で切り落としてきたりしそう。

あるいは勢いよく飛び出して体当たりとか?


「あれを見たせいかレベル上げする気が無くなったー。約束の時間には大分早いけど街に戻る?」

「僕もここでレベル上げする気は無くなったから別にいいけど、それなら一度山頂まで行ってみない?テンペストバードが出てきたところだから風の調査が進むかもしれないけど」

「おー。じゃあ行ってみようかなぁ」


2人して戦闘する気がなくなったので、ゴーレム坑道を出て北の鉄鉱山の山頂を目指すことにした。

いたずらモンキーとロックワームだから、アザレアと剣に属性付与された騎士人形がいれば簡単に登れると思う。


「うわっ!もー!また落とし穴だー!」


予想していた通りいたずらモンキーは騎士人形とアザレアで簡単に倒すことができた。

だけど、いたずらモンキー作った落とし穴は倒しても消えずに残り続けてしまう。

そのため、セインが何度も引っかかる。

騎士人形も一度だけ引っかかったので、罠を見切る能力はないみたいだ。

それができるとしたら騎士というより盗賊かトレジャーハンターとかだよね。


セインが落とし穴の餌食になり続けた以外は特に問題なくいたずらモンキーエリアを抜けた。

ロックワームはふぅちゃんを付与した騎士人形が活躍して順調に倒すことができたので、いたずらモンキーの出現した場所より傾斜がきつくなっているんだけど、問題なく登り切ることができた。

傾斜がきつくなっても消費するSTが増えるだけだから、純粋に戦闘時間が縮まったのと落とし穴から抜け出す時間の違いなんだけどね。


「ここが山頂かー。結構広いね」

「テンペストバードと戦ったくらいだからね」


山頂は以前とほとんど同じで、寂れた山小屋はそのままなんだけど、地面にあった陥没したところが少し増えていた。

何が原因で増えているのかはわからないけど、少なくともテンペストバードではないことは確かだ。

ここ数日天候も悪くなっていないし。


中央が深く陥没していて周囲にヒビが入っているから、重いものを落としたり力強く殴ったんだと思う。

この周辺に特殊なモンスターが出るのかもしれないね。


(じぃ)終わったよ」

「どうだった?」

「バッチリ!後は火の精霊が多くいそうな場所なんだけど、思い当たる場所ある?」

「火か……。うーん、火があったり暖かいところだよね?思い当たる場所はないね」

「そっかー。まぁ、地道に探すよ」


火で思いついたのはセルゲイ団長の火竜ぐらいで、地形として思いつくのは火山かな。

もしかしたら温泉でもいいのかもしれないけど、どっちにしろ思い当たる場所はない。


そもそも自然にある火の精霊がいそうな場所が想像できないんだよね。

砂漠にもいそうだし、もしかしたら大きな調理施設にもいるかもしれない。

あと、夜より朝や昼の方がいそうな気はする。


セイン火の精霊がいそうな場所を話し合ったけど、2人とも同じような場所しか出てこなかった。

でも、念のため時間があるときに知り合った人が経営している食堂の厨房と、屋台通りを調査することにしたらしい。

見つかるといいね。


後は下山して街に向かうだけなんだけど、一応糸を使って崖を降りる方法もあると提案してみたんだけど、案の定拒否された。

別に僕に抱きつく必要なく、糸で吊り下げて降ろすつもりだったんだけど不評だった。

確かに身動きが取れない状態で下まで降ろされることを考えると、たとえ上を向いていたとしても少し怖いかもしれない。


というわけで普通に来た道を戻ることにした。


「もうー!また落とし穴がある!」


さっき通った道とはいえ、いたずらモンキーの手にかかれば落とし穴が元に戻されていた。

僕もセインも覚えているところは避けて通れたけど、行きとは風景が逆になっているせいかハッキリと思い出せないところもあった。

そのせいで僕とセインは落とし穴に引っかかったけど、それを見て襲いかかってくるいたずらモンキーは、サクッと騎士人形に倒されるという少し可哀想なことになっている。

落とし穴に落ちたせいでいたずらモンキーが襲いかかってくるので、僕達が誘っているような戦い方だ。


「ん?うららさんからメッセージだ」

「あ。私にも来てる」


北の鉄鉱山をもう少しで出るというところでうららさんからメッセージが届いた。

防具が完成したのでいつでも渡せるということだった。


(じぃ)!受け取りに行こう!」


同じ内容のメッセージがセインにも届いているみたいで、山を降りるペースが上がった。

この後は街に戻るだけだから集合してからでもいいと思うんだけど、ここはセインに合わせよう。

一緒に受け取った方がうららさんも楽だろうし、ついでに鱗についても相談できそうだ。


鱗の大きさは手のひらを覆う程度で、それでも十分大きいんだけどミヤビちゃんの盾や防具に使えるほどの大きさではないんだよね。

使えても肩当てぐらいだけど、片方だけ着けるのも微妙な気がする。

うまく使って戦力強化につながればいいんだけど、仮にできたとしても鱗を使うにはセインの許可が必要だ。

たぶん、喜んで使わせてくれると思う。


(じぃ)!急ごう!」

「わかった」


山を降りて草原に入るとセインは小走りになった。

騎士人形が僕達の速度に合わせて先行してくれているので、ブラウンラビットのことは気にせず移動できる。


数回の戦闘はあったけど、特に問題なく街についたので、うららさんとの待ち合わせ場所『ふぁんしーけーき』に向かった。


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