表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
208/287

VS岬の守護者(人型)

6つの魂らしき光が合わさって大きくなった人型の何か。

徐々に光が収まるとその姿が現れた。


体と手足がイソギンチャクでできていて頭はない。

体の正面には2枚の大きな貝で胸下とお腹を守り、背中には大きくなった船虫のようなモンスターが張り付いている。

右手には剣のようになった魚が触手に握られていて、左手には大きな蟹の爪でできたハンマーを持っていて、左手の甲にはこれまた大きな亀の甲羅が貼り付いている。

足はバケツがひっくり返ったような形で、底から小さくイソギンチャクの触手が蠢いて見える。

相変わらず体はうっすらと青く透けているから、物理攻撃が効きづらいのは継続していると思う。


それにしても、いかにもモンスターという感じだけど、岬で亡くなった人じゃなくてよかった。

このモンスターなら呪いとか使ってこない……よね?


「あまり接近して戦いたくない形状です……」

「剣で戦いながら触手を伸ばしてきそうですよね……」


このモンスターの外見は女性2人に不評だった。

僕も同じ意見だし、後ろのギャラリーからも「気持ち悪い」「近付きたくない」「魔法で戦った理由がわかる」という声が聞こえてきた。

魔法使いパーティだったら遠くから魔法で攻撃できるから近くで見なくて済むけど、向こうから近づいてきた時はどうしたんだろう。

ウォールで身を隠しながら戦ったのかな。


「来ます!」

「えっと、弱点は……わからないからさっきと同じで!属性付与(エンチャント)らいちゃん!」


岬の守護者がこっちの向かって来た。

その歩みはとても遅いけど、見た目のせいで逆に怖く感じる。


僕達の前に戦っていた人達は分裂したモンスターを倒すことができなかったので、このモンスターは初めて見る。

なのでしのぶさんに付与する属性で悩んでいたセインにアドバイスできなかったのでけど、結局らいちゃんを付与した。

合体したモンスターは浜辺のモンスターだからそれでいいと思う。


亀は左手に着いているから攻撃しなければ大丈夫だし、虫は弱点がよくわからない。

今思えば虫なら火でもよかったかもしれない。

ハピネスの攻撃が当たるかどうかは別として。


「相手は一体なのでいつも通り私が引きつけます!」

「お願いします!」


ゆっくりと迫ってくる岬の守護者に放電する忍刀(しのびがたな)を構えてしのぶさんが向かう。

それに対して岬の守護者は右手に持った魚の剣を振りかぶった。

まだ距離があるのに何をするつもりなんだろう。


「触手!」

「な?!」

「クローバーを向かわせます!」


岬の守護者は振りかぶった剣を触手を伸ばして(・・・・・・・)振った。

それはしのぶさんの進路状に伸び、予想していなかった動きに戸惑ったしのぶさんに直撃した。

セインの警告は間に合わなかった。


しのぶさんの後方にクローバーを移動させ、そこに逃げてきたしのぶさんを回復する。

受けたダメージは3割を少し超えた程度で、触手を伸ばして攻撃する関係上連続で攻撃しづらいようで、続けて振られた剣は避けることができていた。


「触手が厄介ですね」

「そうですね。次は遠距離で攻めてみましょう。ストーム!」

「了解!えっと、ふぅちゃんショット!」


しのぶさんが回復している間にアザレアの魔法を放った。

セインはスパークストームを受けた亀の盾めがけで風属性のショットを放つ。

雷属性の攻撃を受けて土属性になり、その弱点の風属性を放ったんだけどややこしい。


しかも、盾はモンスター扱いじゃないみたいで、風のショットを防いでもダメージはなかった。

それでも属性は変わったみたいで、わかりづらいけど薄っすらと色が変わっている。


ストームのダメージも6体分じゃなくて1体分だし、6体が合体したというより融合して1つのモンスターになったという感じかな。

HPバーも1本しかないし。

だとしたら剣や蟹爪ハンマーを狙ってもHPがないから壊せるかわからない。

バラバラだったら最初に武器や盾を狙うんだけどね。


「私は右手を攻めます!左手と盾はお願いします!」

「わかりました!セイン!盾を頼める?僕はハンマーと体を攻める」

「うん!ショットで釘付けにしてみる!」


回復したしのぶさんが魚の剣を持った右手側に向かう。

岬の守護者は再度右手の剣を伸ばしたけど、今度は来るとわかっていたので、伸びた触手の下を潜り抜けるしのぶさん。

戻ってきた剣は触手を蹴り上げることで軌道を逸らしている。


僕は正面にラナンキュラスを、背後にハピネスを向かわせて攻撃させる。

アザレアでラナンキュラスの攻撃の合間を縫ってスパークランスを放つ。

セインが盾にショットを撃ってくれるおかげでアザレアで体を狙いやすいよ。


セインに盾をお願いしたのはさっきまで盾亀のモンスターと戦っていたからで、今もいい感じに切り替えて攻撃してくれている。

そのおかげで左手が固定されて、ハンマーを満足に振ることができていない。

それでも触手の伸び縮み勢いだけで振ってくるので、ラナンキュラスの盾で防いでいる。


うまく戦い方がはまったおかげで、マナポーションの消費が激しいけどHPバーを半分まで減らすことができた。

鉄の守護者の場合、ここから更にパターンが変わったけど、岬の守護者はどうなんだろう。


「あ!羽が生えた!」


セインが岬の守護者の背中に生えた羽を見て声を上げた。

背中に張り付いた虫から生えているんだけど、剣とハンマーや盾に貝、それにイソギンチャクが増えても前と同じ大きさの羽で浮いた。

どう見ても重さ的に無理そうなんだけど、実体がないから浮けるのかな。


「オキナさん!ラナンキュラスちゃんの盾を足場にしてもいいですか?」

「え?あ、はい。いいですよ!どうすればいいですか?」


岬の守護者は結構高い位置に浮いていて、しのぶさんなら跳べば届くかもしれないんだけど、普通に跳べば迎撃されてしまう。

うららさんがいれば糸を使って足場にできるんだけど、僕の糸で代用しても踏まれた瞬間僕が引っ張られて失敗するのが目に見えている。

なので盾を足場にするのは問題ないんだけど、タイミングとかはどうすればいいんだろう。


「私が勝手に使います!オキナさんはラナンキュラスちゃんが衝撃で移動しないようにしてください!」

「わかりました!」


僕は盾の角度を調整する必要はないらしい。

言ったそばからしのぶさんは飛び上がり、岬の守護者に向けたラナンキュラスの盾を踏んで天井へと駆け上がり(・・・・・・・・・)岬の守護者の真上まで到達した。

地走りを使っているんだね。


1人で跳んだだけでは天井までたどり着けないし、バトルエリアは広いのでドーム状の天井に張り付くにしても結構移動する必要がある。

その時間を短縮するためにラナンキュラスの盾を踏み台にしたんだ。


そして、真上に陣取ったらやることは1つだけだ。

なので、僕とセインはそれを全力でサポートする。


セインは左手の盾に属性を変えてショットを打ち続け、やみみんで蟹爪ハンマーに向けてラッシュを放つ。

これで左腕が封じられた。


でも、このままだと空を飛んで距離を開けられるので、ラナンキュラスで右手側を攻める。

盾で魚の剣を防ぎながら槍で正面を突いたり、上下を突いて移動しづらくする。

そして、アザレアを背後に移動させて後ろから魔法を放てば逃げ場所がほとんどない。

ダメ元で下からハピネスの左手から火を吹き上げさせているので上にしか移動できないと言っていいと思う。

ダメージ覚悟で突っ込まれたらどうしようもないけど。


「はっ!」


僕達の攻撃のおかげで上から落ちてきたしのぶさんに対処できず、忍刀(しのびがたな)が岬の守護者に突き刺さる。

属性の効果もあってか地面に落下したので、そのまま囲んで攻撃した。


それでも倒すには至らず、起き上がると触手をいろんな所から伸ばして周囲を一気に攻撃してきた。

これには驚いたけど、事前動作として体を縮めた瞬間にハピネス達を手元に戻したので被害は僕とセインと騎士人形だけだった。

いきなり伸びてきた触手を避けられるわけがないよ。


後は同じことを繰り返すだけで倒すことができた。

途中、伸びた触手を切ることで一時的に武器を手放させることに成功し、それに繰り糸(マリオネット)を使うことで武器を奪えたんだけど、伸びてきた触手が繋がった瞬間千切れた。

それでも、次からは繰り糸(マリオネット)を繋いだ瞬間遠くに放り投げることで、隙を作れたんだけどね。


何度か触手が直撃したことで死にかけたけど、何とか倒すことができてよかった。

一応倒した後にもう一度何か出てこないか警戒したけど、リザルト画面が表示されたので一安心だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ