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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
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エレメント合戦

夕飯を取った後ログインしたけど、しのぶさんとセインはまだだった。

なので、一度工房に行きアイテム整理をしてから集合場所へ戻った。


ミヤビちゃんとうららさんとはパーティを組んだままだけど、場合によってはパーティリーダーができるコマンドでパーティから外してもらってもいいと言われている。

それをするのは他の人とパーティを組むことになったらだけど、今の所そんな予定はない。


パーティ一覧を眺めながらボーッとしているとセインがログイン状態になった。

集合場所の近くに現れてないから、ログアウトする前にどこかへ行ったんだろうね。

僕はミヤビちゃん達と別れてすぐにログアウトしたから、セインとしのぶさんがどうしたのかは知らない。


少しするとしのぶさんもログイン状態になった。

しのぶさんは集合場所の近くでログアウトしたみたいで、すぐにやって来た。


「お待たせしました」

「いえいえ。まだ、集合時間には余裕がありますよ」


ありきたりなやり取りをしてから近くにあるベンチに座って雑談する。

話題は西の海岸についてで、出現するモンスターやエリアボスについてだった。


夜になると海岸の奥にセインが召喚する精霊にようなモンスターが出てくるみたいで、こいつは物理攻撃がほとんど効かないらしく、素早く倒すには魔法か属性の宿った武器が必要になる。

物理攻撃だけでも倒せるみたいだけど、恐ろしく時間がかかると書き込まれている。


エリアボスについては岬を調べたらしいんだけど、それらしきモンスターはいなかったみたいで、今はその先に広がる断崖絶壁エリアを探索しているそうだ。

時間限定で行ける場所にいるんじゃないかということで、引き潮の時に岬の下を探索することが決まっているらしい。

予想通りだとしたら、エリアボスを倒すことで潮に関係なく行けるようになるんだろうね。


(じぃ)、しのぶさんお待たせ〜。時間は大丈夫だよね?」

「うん。問題ないよ」

「よかったー。手に入れた素材の中でクエストで求められているのがあったから報告してたんだ」

「そうなんだ。それって常時依頼?」

「ううん。プレイヤーが出したやつだったからもう無いかなー」

「そうなんだ。それじゃあ準備してから予定通り西へ行こうか。しのぶさんも冒険者協会に行かなくてもいいですか?」

「大丈夫ですよ!」


セインは冒険者協会で働くクエストも受けていたから依頼を覚えてたのかな。

僕は素材を工房のアイテムボックスに預けたから何も持ってないけど、しのぶさんも行かなくていいみたいなのでポーションとマナポーション、一応復活アイテムを補充してから西門を出た。


道中のブラックドッグは騎士人形が勝手に倒してくれるので、無駄に時間を使うこともなく海岸に来れた。

ただ、海岸には魔法使いがたくさんいて、盾亀や蟹に噴射貝、それに突撃してくる魚を魔法でガンガン倒していた。

そのせいか付近にモンスターがいなかったので、海岸奥へと向かう。


「すごい数の魔法使いだねー」

「向こうも属性攻撃が弱点なので攻撃しやすいんだと思います。森は夜に入ると暗くてほとんど見えません。その状況で魔法で戦うのは難しいはずです」

「なるほどー。だから月明かりの下で戦ってるんだ」


魔法使い達はランタンを使わずに戦っていた。

確かに月明かりでモンスターの位置はわかるし、魔法を使えば照らされることもあるから森よりは戦いやすそうだ。

森だとランタンが必須になるだろうけど、そうしたらモンスターに見つかる可能性が上がる。

でも、ここなら月明かりで見えているし、開けているから戦いやすそうだ。


「オキナさん!あれが掲示板に書かれていたモンスターです!」

「うわぁ……。どう見ても魂じゃないですか……」


しのぶさんの指差す方向には、光の尾を引く丸い球が浮いていた。

光の玉だけだったらレベルアップする前のセインが召喚した精霊と同じなんだけど、尾を引くせいで人魂にしか見えない。

幸いなのが属性を表すためか、色がはっきりしているところだ。

これならゆっくりと打ち上げられている花火に見えなくもない……。


「うわー。たくさんいるねー。こっちも全員召喚した方がよさそうだね!精霊召喚(サモンエレメント)オール!」


精霊名を言わずに「オール」と言うと、セインの周りに色とりどりの光の玉が一気に現れた。

その分MPも一気に減っているんだけど、こんな風に召喚できるのはすごく便利そうだ。


僕も人形の館(ドールハウス)から取り出す時に全員一斉に取り出せれば良いんだけど、考えてみたら僕が人形を作れるようになったら数が増えてしまうから、この方法だと使わない人形も出てきてしまう。

元から名前を呼ばないと出せないから使えないんだろうけど、少しでも楽に出せそうなら考えてしまう。


10本の糸が出せるようになったら10体の人形を操ることもあるはず。

その時に出すだけで10体分名前を呼ぶのは地味に面倒だ。

一文字の名前にすれば呼びやすいかもしれないけど、名前は大事だからそんなことはしない。


(じぃ)!大きい人形の剣に属性を付けるよ!しのぶさんには風属性を付けるので、濃い緑色のやつ以外を攻撃してください!」

「わかった!」

「了解です!」

属性付与(エンチャント)みーちゃん、属性付与(エンチャント)ふぅちゃん!」


騎士人形に水属性、しのぶさんの忍刀(しのびがたな)に風属性が付与された。

僕は雷属性の黄色以外を攻撃すれば良いんだけど、騎士人形は自動で攻撃するから、その時はアザレアで横から倒そう。


風属性のしのぶさんは木属性の濃い緑色以外を狙って攻撃していくので、その木属性もアザレアで狙う。

騎士人形としのぶさんが攻撃しないモンスターをアザレアで倒していくよ。


戦っているとモンスターの体の前に魔法陣が現れて魔法を放ってきたり、レベルアップしたひーちゃんとひかりんが使えるようになったショットの遅いバージョンを撃ってきた。

しっかりみていれば避けられるし、属性付与された武器なら簡単に弾ける。

ラナンキュラスだと鏡写しの盾(ミラーシールド)で別方向跳ね返して、モンスターに当てることができる。


途中でハピネスが持つ鉄の剣に土属性、ラナンキュラスの槍に雷属性を付けてもらったので、さらにこっちの攻撃密度が増した。

ラナンキュラスだけ突き抜ける槍(ライトニングスピア)を使えば属性ダメージが大幅に増えたから、さらに倒しやすくなった。


セインも属性付与(エンチャント)に使っていない精霊に体当たりの指示を出して攻撃しているおかげで、周囲の人魂はどんどん減っていった。


人魂が放つ魔法やショットに当たらなければ問題ないし、当たったとしてもそこまでダメージはなかったので、一気に攻撃されないように気をつけて動きながら戦った。


しばらくすると周囲から人魂が無くなった。

無我夢中で戦っているうちに全て倒したみたいだ。

放たれる魔法やショットを気にして動いたせいで疲れたけど、結構楽しかった。


「お!私も精霊もレベルアップした!精霊は全部レベル2だよ!というわけで精霊召喚(サモンエレメント)オール!」


セインの精霊が全部2になったので、姿を確認するようだね。

これだけいるんだからいくつかは動物型が混じってそうだと思いながら見ていたんだけど、全部ひーちゃんやひかりんと同じように、球体の体から腕が生えていた。

1体も動物型はいない。


セインは精霊を見回すと満足したみたいで、何度か頷いていた。

セインにとっては精霊が動物型じゃなくても満足できるらしい。

精神によって形作られるらしいから、セインにしかわからない何かがあるんだと思う。

聞かなくてもレベルが上がっていけばわかるだろうから、今聞かずに楽しみにしておこう。


人形になりそうだからそこまで変にはならないでしょう。

全部執事服を着ているとか、そういったことはあるかもしれないけど……。

セインは執事よりメイド派で、ミニスカートよりロングスカート派だから全部女性型になるかもしれないけど、そうなったら着せ替え人形ばりに色々やりそうだ。


もしそうなったら、それをして精霊に嫌われないことを祈ろう。


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