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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
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大物ばかりの森

「せい!」

「ガァァァ!!」


うららさんの張り巡らせた糸を使って高いところまで登り、更に糸の反動を利用して高速で射出されたしのぶさんが勢いよく落下し、ワイルドベアの脳天に忍刀(しのびがたな)を突き立ててトドメを刺した。

勢いが良すぎてしのぶさんにも少しダメージが入ったけど、火属性が付与された強力な一撃は1割以上残っていたHPを一気に削りきった。


ミヤビちゃんがシールドバッシュで体勢崩させ、そこにアンカーシールドという新しいスキルを使ってその場に固定したことでできた連携だった。

アンカーシールドは盾の表面にフックの様なものを出現させて、それを食い込ませた相手の動きを封じる、または鈍くする技なんだけど、防御されたり受け止められると効果がないものだった。

なので、一度シールドバッシュや大きくなったシロツキ達のタックルで体勢を崩さないと使えないし、たぶんテンペストバードの様な超大型のモンスターだと効かないと思う。

それでも、3m程のワイルドベアであれば使えるから十分だけどね。


そして、このワイルドベアを倒したことでレベルアップした。


『レベルアップしました!

Lv:11→12

HP:210(+10)

MP:1080(+65)

ST:121(+1)

STR:19(+0)

VIT:21(+1)

DEF:20(+1)

MDF:220(+15)

DEX:355(+5)

AGI:19(+0)

INT:430(+25)

LUK:50(+0)


ステータスポイントを3ポイント獲得しました!

スキルポイントを1ポイント獲得しました!』


相変わらず偏った上がり方だ。

そろそろステータスポイントを割り振ることも考えた方が良さそうなんだけど、MPはマナポーションで何とかなっているし、HPをあげた方がいいのかな。

一撃を堪えるのにDEFを上げるべきか、VITを上げるべきか悩む。


結局、悩んだあげく保留にした。

困ったら割り振るというスタンスでいくよ。

そういう意味ではワイルドベアの攻撃が直撃すると一撃だから困るかもしれないけど、今はパーティを組んでるから回復してもらえる。

うららさんとセインもステータスポイント温存しているみたいだから、いいよね。


参考までにミヤビちゃんとしのぶさんに振り方を聞いてみると、ミヤビちゃんはVITとDEFとSTRでしのぶさんはAGIとSTRに振っていた。

しのぶさんは目指す戦い方があるらしく、ミヤビちゃんはセルゲイ団長に勧められた振り方らしい。


「さっきのワイルドベアで予備の毛皮も集まりました。一度受け取らせてもらってもいいでしょうか?」


全員のアイテムバッグを確認したうららさんから必要数が揃ったと言われたので、全員と取引をして羊皮紙に内容を記した。

うららさんが取り出した筆記具は羽ペンとインク壺だったんだけど、普通に書けていた。

羽ペンって上手く書くのは難しいはずなんだけど、そこまで作られていないみたいだね。


「これで私と(じぃ)ペアルックになるね!」

「あー。そうなるね」


うららさんが失敗しなければだけどね。

それに、同じ素材を使えば似たような装備ができるだろうから、ペアルックと言われてもそんな感じがしない。

これが特殊な素材を使った完全オーダーメイドだったら違うんだろうけどね。


「もしかしてあんまり嬉しくない感じ?」

「いや、素材さえあれば似たような装備ができるだろうから実感がないだけだよ」

「そっか。なら、ワンポイント入れてもらおう!うららさーん!」


僕の反応がイマイチだったことで少しテンションが下がったセインだったけど、理由を聞いたら納得してくれてうららさんの元へ突撃していった。

ワンポイントって言うぐらいだから、刺繍で何か模様をつけるのかな。

でも、毛皮だから今のコートのような装備品になると思うんだけど、内側に刺繍して見えなくなりそうだ。

僕としてはセインが喜んでくれるなら、変な装備じゃなければなんでもいいけどね。


「それで、この後はさらに東に進むということでいいですか?」

「私は問題ありません」

「私も!」

「私も大丈夫です。頑張ります」

「クイーンパラライビーを探したいですけど、それは帰りにお願いします。なので、私も問題ありません」


しのぶさんからクイーンパラライビーについてお願いされたぐらいで、全員賛成してくれた。

なので、しのぶさんを先頭にトバリを軽快に飛ばしてもらういつもの隊列で東へ向かう。


「止まってください。ワイルドベア以外の何かいます」


前を進むしのぶさんが手を上げて僕たちを止めた。

しのぶさんの示す先には、ステップボアを大きくしたイノシシのモンスターがいた。

大きさは3m以上あって1m近くある反り上がった2本の牙が前に突き出ていて、太い尻尾の先には石の塊のような物が付いている。

その塊で地面を叩きながらノシノシと歩いているんだけど、ワイルドベアとは違った迫力がある。


「鑑定しました。スイングボアという名前らしいです」

「スイング……尻尾の塊を振り回しそうですね」

「その勢いを使って全身で回転攻撃するかもしれないよ。尻尾でバランスをとって牙をバットに見立てる感じ」

「なるほど。そうなると周囲を囲むと一掃される危険があるね」


セインの言う通りだと、正面をミヤビちゃんで抑えて横からハピネスとラナンキュラスで攻撃をしつつ、しのぶさんによる小翻弄しながらの鋭い攻撃を行う対ワイルドベア用の戦法が使えない。


やるとしたら先にバランスを崩してからミヤビちゃんにアンカーシールド使ってもらってからかな。

ラナンキュラスで横から突っ込めばバランスを崩すことはできそうだから、そこを抑えてもらおう。

別に正面から抑える必要はないし、1m近くある牙の前に立つのは難しいと思う。

抑え込もうにも牙が邪魔だし、怖そうだ。


「行ってしまいますけど、いいんですか?」

「うん。少し様子を見たけど、いい戦い方が思いつかなかったからね。無理して戦う必要はないよ」

「そうですね。私もスイングボアの前に立って抑え込むのは難しいと思ってました。横から攻撃してバランスを崩してからアンカーシールドがいいと思います」

「そうだね。他には不意打ちで強力な攻撃を入れるぐらいだけど、一撃で倒せるとは思えないからなしだ」


ミヤビちゃんも同じ戦法を考えていた。

やっぱりあの牙は厄介みたいだね。

しのぶさんによる高所からの強襲に合わせてハピネスとラナンキュラスを高速で突っ込ませるという案もあるんだけど、ワイルドベアと同じぐらいの強さならよくて4割削れたらいい方だ。

これに糸の本数を増やして5割を超えてももう1度当てるのは難しいからやられてしまうかもしれない。

戦うならうららさんが防具を作ってからにした方が良さそうだ。


「他にモンスターはいません。先に進みましょう」


スイングボアを見送った後、少し様子をみてから移動した。

次に見つけたのはさっきより大きなスイングボアだったので、これもやり過ごしてさらに移動する。

すると、しのぶさんがワイルドベアでもスイングボアでもない別のモンスターを見つけた。


「ひっ」


そのモンスターを見たセインが小さく悲鳴をあげたんだけど、正直僕もあげそうになった。

しのぶさんとうららさんとミヤビちゃんは普通にしているというか、ミヤビちゃんは目がキラキラしていた。


そのモンスターは全長5mぐらいの緑の鱗に覆われた蛇のモンスターで、木に巻き付いていた。

太さはミヤビちゃんの胴ぐらいあるから、捕食される可能性がある。

食べられたら装備品が溶かされたりするんだろうか。

少なくとも耐久値はごっそり減りそうだ。


幸いしのぶさんが先に見つけたのでまだ気付かれていないんだけど、首を持ち上げて舌をチロチロさせつつ周囲を見回しているからバレるのは時間の問題かもしれない。

なので、とりあえず一旦下がった。


「距離が遠かったので鑑定はできていません」

「でも、あれ以上近づいたら気付かれますよ。鑑定するなら戦うことを前提に進まないとダメです」

「しのぶさんは蛇が怖くないの?」


しのぶさんも気付かれそうだと思っていたみたいだ。

それ聞いたセインが怖くないか確認したんだけど、しのぶさんは首を振りながら答える。


「私は大丈夫ですよ。うららさんとミヤビちゃんも大丈夫そうなので、セインさんとオキナさんが大丈夫なら戦いたいです。スイングボアより戦いやすそうなので」

「僕は大丈夫ですよ」


来るとわかっていれば耐えられるし、僕は近づかないからね。

最悪近づいてこられても糸を木にくっ付けて逃げる。

その時はセインも連れて上がるつもりだ。

僕に向かって来るということはセインの近くに来るということになるからね。


「わ、私も大丈夫です。来るとわかっていれば耐えられます」

「わかりました。それじゃあさっき蛇と戦いましょう」


蛇のモンスターと戦うことになった。

なので、いざという時に木の上に逃げるということをセインに伝えると涙目で感謝された。

結構無理してたんだね。


セインは蛇のモンスターへ向かう間、服の裾を掴んで離さなかった。


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