表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
191/287

人形の底力

ハニーベアを無傷で倒すことができたので、ワイルドベアに挑戦することになった。

うららさんがワイルドベアの素材を欲しているのもあるけど、しのぶさんとセインが戦いたいと言ったからだ。


しのぶさんは忍刀(しのびがたな)を使って戦いたいらしく、セインはパーティで戦うのが楽しくて仕方がないようだ。

ワイルドベアの時は属性付与をふんだんに使って戦うとも言っているので、ミヤビちゃんとうららさんも見たいらしく賛成だった。

僕もやってみたいことがあるから賛成だ。


作戦会議では2頭出てきた場合について色々話し合ったんだけど、結局逃げることにした。

1頭だけなら戦えるんだけど、2頭だと横から殴られて終わるからね。


とりあえずの戦い方を決めたので、騎士人形とラナンキュラスを追加で出し、ハニーベアを探しつつ東に進んだ。

騎士人形を出した時にミヤビちゃん達のテンションが上がったんだけど、中身がデッサン人形だとわかった瞬間に下がった。

ゼロワンさん達のような綺麗な人形が鎧を着ていると思ったらしい。


気を取り直して森を進んでいると、以前クイーンパラライビーと戦った時に一緒に出てきたパラライソードビーや、その後に出会ったパラライスピアビーに加えて、パラライシールドビーやパラライソーサラービーという蜂のモンスターに出会った。


予想外にいろんな種類の蜂に出会ったんだけど、蜂の巣は見つからなかった。

それでも、この森が蜂の森だと思えるぐらいには会ってるんだけどね。


進みながらの雑談の中で、もしもこのエリアを解放したらどう言った名前をつけるかという話題になった時に色々案が出たけど、『ハチとクマの森』になった。

僕としては鳥も入れてあげたかったし、他にもモンスターがいるかもしれないんだけど、クマは絶対入れるというミヤビちゃんとセインの主張が通った。

まぁ、エリアボスを探すところからなんだけど、モチベーションも上がったみたいだから問題ない。


「ハニーベアを見つけました」


定期的に木の上に登ったり少し先を偵察してくれるしのぶさんがハニーベアを見つけてくれた。

全員が頷いてしのぶさんの案内でそこに向かう。


今度のハニーベアは、さっき倒したハニーベアと同じか少し大きいサイズで、牙や目つきに加えて爪が鋭くなっていた。

大きくなればなるほど徐々にワイルドベアに近づいていくのはわかるんだけど、それと同じく可愛さが減っていく。

セインもこの爪は可愛くないと言ってる。


「それでは、一旦首を縛ってHPを減らしましょう」

「わかりました。糸縛り・絡め」


うららさんがさっきと同じようにハニーベアの首を狙って糸を放つ。

うまくいくと思ったんだけど、途中こっちに気づいたハニーベアが伸びた糸を鋭い爪で切り裂いた。


「はにぃ!」


前のハニーベアより少し大きいだけなのに声は結構低くなっていた。

前までが可愛らしい子供だとしたら、今はイタズラしそうな生意気な印象を受ける。

ちょっと小馬鹿にした感じって言えばいいのかな?


「気づかれたので手筈通り親を呼んだらすぐに倒しましょう!

「はい!」

「わかりました!」


糸で縛るのを失敗した場合はミヤビちゃんとしのぶさんでHPを削ることになっていた。

シロツキとトバリは警戒のため飛ばして、残りのメンバーで周囲を警戒。

セインは火・木・光・闇の4属性の精霊を召喚して周囲の警戒に当たらせた。

木属性を召喚したのは周囲の木から情報を得るためらしいんだけど、レベルが低いから精霊の言葉は断片的に聞こえる程度なので、あくまで足しになればいいという感じらしい。


しのぶさん警戒ではなく攻撃に回ったのはダメージの調整が上手いからで、最初は僕とミヤビちゃんで攻撃するつもりだったんだけど、親を呼ぶ前に倒しそうだから止められた。

確かに、複数の人形で攻めることはあるけど、今回だとハピネスだけで攻撃するんだけど……。


「は、はにぃぃぃぃぃ!!!」


3、4回攻撃されたらハニーベアが叫んだ。

それを合図にしてミヤビちゃんとしのぶさんの攻撃が増し、ハニーベアを簡単に倒すことができたんだけど、ミヤビちゃんの突き込みの早さもさる事ながら、しのぶさんの戦い方が凄かった。


振り切ったところで忍刀(しのびがたな)から手を離し、逆の手で切りつけるという、見た目だけじゃなくてダメージもすごい切り方をしていた。

騎士人形が向かわないように離れているせいで聞こえなかったけど、たぶんスキルなんだと思う。

素の能力でアレができたら凄すぎるよ。


「右側から何か来るよ!」


セインが指をさした方向には黄緑色の玉が浮いていた。

木属性の精霊もくちゃんだ。

どうやら木から情報をもらってセインに伝えたらしい。

何がどれだけ近づいて来るのかはわからないけど、警戒する方向が決まるだけで助かる。


「ガァァァァ!!」

「シールドバッシュ!」

「ガッ!」


木の間から迫って来るのがわかっていたので、ミヤビちゃんスキルを使った。

飛び出した瞬間にミヤビちゃんの盾が勢いよくぶつかり、距離を開けるように遠くに転がすことに成功した。


「怖っ!」


セインの感想はシンプルだった。


「はっ!」

「やぁ!シロツキちゃん!トバリちゃん!」

「ひーちゃん属性付与(エンチャント)!もくちゃん属性付与(エンチャント)!ひかりん属性付与(エンチャント)!」

「キュー!」


セインはしのぶさんの忍刀しのびがたなにひーちゃん、ミヤビちゃんの槍にもくちゃん、ワイルドベアにひかりんを付与した。

ワイルドベアの防御力が高いのでチクチクと削っていたけど属性ダメージが加わり、さらにトバリの闇属性ブレスがダメージを与える。

僕も右手を外したハピネスとラナンキュラスで攻撃を加えていたので、3割近く削ることができた。


「ガァァ!」

「堅守!ぐっ!


起き上がったワイルドベアが即座に飛び込んで来た。

ミヤビちゃんが使った堅守で体当たりは防げたんだけど、続けて振られた腕による薙ぎ払いは盾で受けることになった。

吹っ飛ばされることはなかったんだけど、勢いを殺せず地面を滑るミヤビちゃん。

狙いを自分に向けさせるためか、しのぶさんがワイルドベアに突っ込んでいく。


「はぁ!」

「グルァ!」

「うわ!」


火属性を纏った忍刀(しのびがたな)で切りつけたけど、軽く怯ませることしかできずに殴られて吹っ飛ばされる。

盾で守ったミヤビちゃんと違って直撃したので、HPが半分を切っている。

しかも、しのぶさんだけが別方向に飛ばされていて孤立してしまったんだけど、予定通り注意をしのぶさんに引くことはできてしまったので、ワイルドベアが向かっていく。


繰り糸(マリオネット)!」


間に合うかわからなかいけど、駄目元でラナンキュラスに糸を2本追加してしのぶさんの元へ飛した。

予想外の速度が出たので十分間に合い、ワイルドベアとしのぶさんの間に入ることができた。

あとは怯ませれるかどうかだけど、やれることをやるしかない。


突き抜ける槍(ライトニングスピア)!」


機巧(ギミック)名を言うと、いつもはバチバチという感じの電気が走る槍が、バリバリと小さな雷を放出した。

しかも、いつもの2倍近く槍が伸びている。

こんなに伸びるとしたら地上で使うのは難しいと思う。


「ガルァ!!」


それをワイルドベアに向けて突っ込ませるとワイルドベアの進行が止まっただけでなく、麻痺のバッドステータスも発生した上でHPが3割近く削れた。


「繰りマリオネット


今がチャンスなのでハピネスにも2本糸を追加して放り投げる。

赤く光った右手の剣がワイルドベアに当たると、そこを中心に小さな爆発が発生してその巨体を転がす。


「えぇ……」


ハピネスの攻撃では2割近く削れた。

麻痺のバッドステータスも続いているので、あとはトドメを刺すだけになった。

ハピネスを走らせて右手を一閃させると、赤い筋が生まれてそこが小さく爆発。

ワイルドベアのHPバーも砕け散った。


「オキナさん……すごいですね」

(じぃ)やるね」

「この威力は僕も予想外だったよ」


一斉攻撃と弱点を攻めたトバリよりもラナンキュラスの防御力貫通攻撃の方が強く、ハピネスの攻撃と同等だった。

これで武器の属性を強化した上で相手の属性を弱点に変えていたらもっとダメージが増えたはず。

ちょっと高火力すぎる気がするけど、これならワイルドベアをたくさん倒してもいいかもしれない。


高火力ですがMP以外にも代償はあります。


糸3本は許容可能限界値なので高火力、高燃費、高リスクです。

糸4本のカタカタモードでも戦えますが、さらにリスクが高まります。


普段使いをするなら2本ぐらいがちょうどいいのかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ