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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
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合流してから食堂へ

「あ!(じぃ)!」

「え?セイン?」


昼食を取ってログインするとセインがいた。

ログアウトした場所にログインするから待っていればログインしてくるけど、まさか待っているとは思っていなかった。

どうせあとで合流するのに。


「結構待った?」

「う〜ん。2、3分かな。ステータスやアイテムのチェックをしていたら(じぃ)がログインしてきただけだから別に待っていたわけじゃないよ」

「そっか。なら良かった」


約束をしていないとはいえ待たせるのは申し訳ないと思ってしまうからね。


「それじゃあ少し早いけど行こうか」

「りょうか〜い!」


セインがアイテムバッグの画面を閉じたので移動することにした。

集合時間には早いけど北門へ向かう。

他のみんなもログイン状態になってるし。


「ねぇ(じぃ)。あの人何してるの?」

「え?あーしのぶさんか。スキルを使ってるんだと思うよ」


セインが指差したのは建物と建物の間で、前にしのぶさんが潜んでいたところよりもさらに狭い場所で、横にならないと通れそうにない隙間だった。

セインだとつっかえて入れないんじゃないかな。

どこがとは言わないけど。


「しのぶさん?パーティメンバーの人だよね?確か忍者の……。潜む練習とかしてるのかな」

「そうだよ。確か隠形(おんぎょう)という名前の隠れるスキルだったかな」

「なるほどー」


セインはしのぶさんの行動に驚いていたけど、スキルだと聞いたら納得してくれた。

パーティメンバーだから普通に見えるけど、他の人には見えてないから違和感がすごいんだよね。

騎士以外誰もしのぶさんを見ないから、本当にいるのかわからなくなってくる。


「しのぶさん。こんにちは」

「こんいちは!そちらの方がセインさんですね?忍者のしのぶです。よろしくお願いします」

「あ、はい。精霊使い(エレメンタルマスター)のセインです。よろしくお願いします」


しのぶさんの声をかけると隙間から出てきた。

スキルも解除したのか、他の人達がチラチラと全身黒ずくめで目立つしのぶさんを見ている。


「こんにちは」

「お、お待たせしました。あと、昨日はごめんなさい」


2人の自己紹介が終わってすぐにうららさんと、シロツキとトバリを定位置に乗せたミヤビちゃんがやってきた。

ミヤビちゃんはセインがいるからか、あるいは昨日のログインできなかったことに引け目を感じているためかはわからないけど、うららさんの後ろに隠れながら挨拶と謝罪をした。

別に怒ってないんだけど、言葉にしたほうがいいよね。


「こんにちは。ミヤビちゃん。誰も怒ってないから気にしなくていいよ。それよりも、新しくパーティに入ってくれたセインと仲良くしてくれると嬉しいな」


しゃがんでミヤビちゃんに目線を合わせながら話すと、はにかみながらうららさんの後ろから出てきてくれた。

しのぶさんも親指を立ててポーズを決めてるからこれでいいんだと思う。


「は、はい。ありがとうございます。えっと、セインさん初めまして。竜騎士(ドラゴンナイト)のミヤビです。よ、よろしくお願いします」

「ミヤビの姉で裁縫師のうららです。よろしくお願いします」

精霊使い(エレメンタルマスター)のセインです。いきなりパーティに入れてくださってありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」


全員の自己紹介が終わったけどセインは余所行き状態だし、ミヤビちゃんはセインから距離をとってる。

仲良くなるには時間が必要そうだ。


「それで、これからどうしましょうか」

「オキナさん。私は今のうちに客室の鍵を頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」

「あ、そうですね。渡しておきます」


アイテムバッグから東棟の鍵束を取り出して、その中の1つ『E1』の鍵をうららさんに渡した。

ミヤビちゃんろしのぶさんには渡さないことにしたから、それを説明しないと。

セインに関しては一度工房に行ってからじゃないと説明しづらいから保留。


「ミヤビちゃんとしのぶさんは工房を使わないと思うので鍵は渡さないつもりなんですけどいいですか?食堂や今後増える設備を使う時は僕が連れて行こうと思ってます」

「大丈夫です」

「私も問題ありません」


ミヤビちゃんとしのぶさんは納得してくれた。

今後2人が日常的の使いたくなるような設備が増えたり、生産スキルを取ったりすれば渡してもいいと思うんだけど、忍者用の道具を作りそうなしのぶさんはともかく、ミヤビちゃんが生産をしている姿が思いつかない。

挙げるとすれば料理かな。


「ねぇ、(じぃ)。あの鍵は何?」

「あれは僕のスキルで行ける場所に、スキルを使わずに行くためにアイテムなんだ。詳しくはあとで説明するね」

「わかった」


セインが近付いてきて小声で聞いてきたので、軽く説明した。

一応納得してくれたのか、少し不満そうな顔をしつつも離れてくれた。


「オキナさん。私は食堂に行ってみたいです。ちょうどお腹も空いているので、腹ごしらえも兼ねて!」

「あー。確かにお腹が空いてますね。皆んもそれでいいですか?」


昼食を取ってからログインしたけど、ゲーム内の空腹は別だ。

だから、しのぶさんに言われて意識した瞬間に空腹感が襲ってきた。

このままフィールドの出たら、すぐに何か食べる羽目になる。


「私も空腹なので問題ありません」

「私もお腹は空いています!」

「食堂ってことはご飯を食べるんだよね?行く行く!」


うららさんとミヤビちゃんはお腹を抑えながら返事をした。

セインは工房について知らないけど、食堂に反応して食事に行くとわかったみたいで了承してくれた。


「じゃあ行きましょうか。工房。セイン、工房に行くことを了承してね」

「あ、これ?わかった」


セインを含めて全員が転移を許可してくれたみたいで、ホールには全員いる。

もちろん定位置にいたシロツキとトバリも一緒だ。


「お帰りなさいませ、オキナ様」

「ただいま。えっと、食事を取りたいんですけど、大丈夫ですか?」

「畏まりました。食堂へご案内いたしますが、食事を作る場合食材が必要になります。お持ちでしょうか?なければこちらで用意することも可能ですが、料金をいただくことになります」

「肉類は持ってますけど野菜類は……」


転移した直後に声をかけてきたゼロツーさんに理由を話すと食材について聞かれた。

ステップボアやブラウンラビットの肉はたくさんあるけど、野菜はぽこぽこファームの物しかない。

僕は肉だけでもいいんだけど、野菜もあったほうがいいよね。


「あの、私が持ってます!」

「私もあるよー」


街から離れているから食材も高そうだけど、これでステータスアップするかもしれないし買うつもりになった瞬間、ミヤビちゃんとセインが野菜を持っていると言い出した。

ミヤビちゃんはコック服を着て料理を作るぐらいだからわかるんだけど、なんでセインは野菜を持ってるの?

クエスト報酬かな。

ちなみに、ミヤビちゃんはセインから遠いところにいる。


「野菜とお肉だけになるけど大丈夫ですか?」

「小麦粉もあります!」

「私は野菜と魚だねー」

「セインはどこで手に入れたの?」

「ん?クエスト報酬ー」


やっぱりクエスト報酬だった。

たぶん、街中のクエストの報酬だと思うけど、野菜は農業系、魚は漁業系なのはわかる。

だけど、小麦粉はどこからだろう。

パン屋?


ミヤビちゃんの持ってる食材と合わせたらある程度のものは作ってくれそうなので、とりあえずこれでゼロスリーさんにお願いしようかな。


「ある程度の食材があるので、今回は持ち込みにします」

「畏まりました。それではご案内いたします」


ゼロツーさんに先導されて食堂に向かった。

中に入ってそれぞれ席に着いたんだけど、うららさんはゼロツーさんに確認してから給仕人形に寄って行って服の素材を確かめだした。


給仕人形は触られることに対して行動を設定していないみたいなのでされるがままになっている。

でも、スカートを捲り上げるのはやめてほしい……。


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