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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
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属性付与の制限

セインもある程度戦えるようになったので、本格的にレベル上げをすることにした。

盾亀は動きが遅いのでセインに任せて、僕は他の砂浜系モンスターを狙う。


軽く歩いただけでも縦にも動けるハサミ部分の外側がハンマーみたいになっている蟹のモンスターと、勢いよく水や砂を吐いたり挟んでくる貝殻のモンスターがいる。

夜に来た時はいなかったから昼にしかいないのかもしれない。


試しに近づいて騎士人形に任せてみたんだけど、どちらも防御力が高いみたいでそこまでダメージを与えられなかった。

だけど、セインに雷属性をつけてもらうと3倍近いダメージを与えることができた。

試しに風属性に変えてもらったんだけど、その時は約2倍だったから、雷属性が弱点なんだと思う。


ちなみに風属性の精霊はふぅちゃんで、雷属性の精霊はらいちゃんだった。

別に伸ばすというこだわりがあったわけではないみたいで火属性はひーちゃん、土属性はちーちゃん、氷属性はひょうちゃん、木属性はもくちゃん、光属性はひかりんで闇属性がやみみんだった。

最後の2体だけちゃん付けじゃないのが気になったけど、セイン曰くなんとなくらしい。


あと、らいちゃんを召喚してもらった時にわかったんだけど、複数の精霊を同時召喚できるセインは、モンスターに攻撃させる指示を複数の精霊に出して同時攻撃、左右の指で指示することで連続攻撃ができた。

しかも、同時攻撃の場合はすごく威力が上がってた。


連続攻撃はそれぞれの攻撃を個別に当てるだけだから大ダメージというわけではないけど、それでも相手に向けて精霊を飛ばして攻撃するから、不意打ちからの連続攻撃で仕留めることはできると思う。

弱いモンスターには連続攻撃で、強いモンスターには同時攻撃をすればいいと思う。

精霊はパーティメンバーにカウントされないからできる方法だ。


人形の館(ドールハウス)、ハピネス来い。繰り糸(マリオネット)


アザレアはセインが抱いたままなのでハピネスを出した。

強いモンスターが出る場所だったら返してもらうけど、物理攻撃だったらダメージが入りづらいモンスターがいるだけだ。

向こうからの攻撃も当たれば痛いけど、ハンマー蟹は接近される前に倒すし、噴射貝も近づかなければ問題ない。

亀の魔法を1回受けたけど、1/4も減ってないからまだ大丈夫。


セインは2回魔法を受けそうになったけど、その度にみーちゃんが防御に入っているからダメージを受けていない。

毎回赤い甲羅の盾亀を探して戦っているから、火と水でみーちゃんで対応できているんだろうね。

これなら、常に全部の精霊を召喚していれば魔法には対抗できるんじゃないかな。

MPの関係とかを聞いてないからできるかわからないし、みーちゃんのサイズを考えると威力のある魔法には負けそうだけど。

今でさえ体のサイズより大きな火の玉を受けていて、槍は避けているからね。


「あ!右手が剣ってことは……ハピネスちゃんだ!」


ハピネスを使ってハンマー蟹や噴射貝を倒していると、離れたところで盾亀と戦っていたセインが気づいた。

ハピネスの右手が剣になって左手が火炎放射器になることは伝えていたからわかったんだろう。

精霊で攻撃しながらチラチラとこっちを見てくるぐらいには気になってるみたい。


ハピネスの右手は火属性の剣なので、ハンマー蟹や噴射貝を攻撃する時に属性ダメージが入る。

相手が水属性だから雷属性の時と違って大ダメージではないんだけど、元から騎士人形よりも攻撃力があるので特に苦戦することなく倒すことができる。

なので、前からやってみたかった戦い方の工夫をしようと思う。


「繰りマリオネット


噴射貝に糸を繋げて思いっきり引っ張り、空高く舞い上がった噴射貝に向けてハピネスを投げる。

このままだと糸で強化されたせいでダメージが入らないので、ハピネスが攻撃する前に噴射貝に繋がっている糸を切る。

そして、ハピネスの右手で貝を攻撃した。


引っ張られた勢いが残ったままの噴射貝を、投げた勢いがあるハピネスが攻撃することで、普通に攻撃した時の2倍近いダメージが与えられた。

これなら相手を引っ張ったところを待機しているハピネスに切らせたり、アザレアの杖で殴ってもいい。

ラナンキュラスの場合は突きにいくけど。


「おぉー!またレベルアップだ!」


またセインがレベルアップしたようだ。

レベルアップのために戦い始めてから2つ上がったことになるので、今のセインはレベル7だ。

できれば10まで上げたいけど、集合時間のことも考えるとそろそろ厳しいから、あと数体倒してから昼食のためにログアウトするつもりだ。


「セイン。あと数体倒したら終わりにしようか。昼食もとらないといけないし」

「わかった!だけど、ハピネスちゃんが戦っているところを見せてほしいな。別々に戦ってたからちゃんと見れてないし」

「いいけど、見ても何もないよ?」

「いいの!見たいだけだから!」

「わ、わかった」


セインにお願いされたので残りはハピネスで倒すことにしたので、騎士人形をアイテムバッグに収納する。

とりあえず、近くにいた噴射貝に向けてハピネスを投げて、右手を突き出す。

ガリガリという音を立てて貝の表面に傷が入り、攻撃されたことで怒ったのか、噴射貝が噛み付いてくる。

それを糸を引っ張って回避させると、開いた内部から水が噴射される。


引っ張ると真っ直ぐ下がってしまうので避けられない。

なので、右に飛ぶように命令してハピネスの性能頼りに回避させた。

ギリギリだったけど何とか回避したので、噴射貝に向かわせて開いた口に右手の剣を突き入れさせる。

赤いクリティカルエフェクトが発生してHPバーを砕け散らせた。


「おぉ〜。ハピネスちゃんが動くたびにドレスがひらひらするのがいいね!可愛いし格好良い!」

「そうだね」


セインの言う通りハピネスが戦っている姿はドレスが揺れ動いて見応えがある。

避けるたびにひらひらと揺れるドレス。

飛べば着地時に広がるし、勢いよく投げるとシュッと締まった感じになる。


他の人達はドレス着て戦うことなんてしないだろうから、その差も相まってさらに綺麗に見える。

戦闘メイドだったらメイド服で戦うかもしれないけど、戦っているところは見たことがない。

いつか見てみたいけど、ミニスカートだったら嫌だな。


「次は蟹か」


街に向かって戻りながらモンスターを倒して進んでいるので、どんどん数は減っている。

あとはこのハンマー蟹を倒すだけで、目に見える範囲にモンスターはいない。

盾亀や噴射貝が埋まっていたらわからないけど。


「らいちゃん!属性付与(エンチャント)!あれ?」

「弾かれたね」


セインがスキルを使うと黄色い玉のらいちゃんがハピネスの剣に向かって行ったんだけど、剣に触れた瞬間に小さく赤いエフェクトが出て弾かれた。

らいちゃんはセインの元に戻ってきてふよふよと漂っているから、属性付与に失敗したんだと思う。


「もしかして、ハピネスちゃんの剣は属性持ち?」

「うん。火属性だよ」

「あー。だったら無理!属性が付いてるとそこに別の属性はつけれないんだ!同じ属性で強化することはできるけどね!」

「へー。まぁ、属性を書き換えられたら元に戻せなさそうだし、仕方ないのかな」

「かなー」


ハピネスの剣に雷属性はつけられなかったけど、ハンマー蟹が相手なら問題ない。

正面に立てば泡を吹かれるし、前面と左右はハンマーのようなハサミで殴られるか挟まれそうになる。

だけど、後ろに回れば攻撃を受けることは少なくなる。

とは言っても回転攻撃があるから油断はできない。


放り投げたハピネスがハンマー蟹の背後に着地。

落下の勢いを使って背面を切りつける。

あとはできるだけ後ろを取るようにしながら戦えば問題なく倒すことができた。


「おー。一度下がって突くときの動きも良いね!」

「だね」


一旦後ろに下がることでドレスが前から後ろに広がり、その状態で一気に距離を詰めて突き刺す。

突き刺すことで動きが止まるので、ドレスの裾が後からふわりと戻ってくるんだよね。

しかも、それで倒すことができればすごく綺麗な光景になる。

せっかくの海岸だから夕暮れだったら尚良かったんだけど、さすがにそれは望みすぎだと思う。


「それにしても属性付与って結構制限あるの?」

「うーん。属性が付いている物には付与できないのと、同じ属性だったら強力になるのは話したよね。あとは人やモンスターに付与しても属性を変えることができるんだけど、この時に弱点属性で攻撃すると一発で解除されるぐらいかな」

「ん?例えば僕に火属性を付与して、水属性で攻撃すれば弱点で攻撃したことになるってことだよね?しかも、一回の水属性の攻撃で火属性が解除されると」

「そうだよ。対象は人でもモンスターでも大丈夫」


それって使いこなせればすごく強いんじゃないかな。

弱点で攻められたら解除されるとしても、耐性のあるほうだと解除されないよね。

しかも、モンスターに付与できるということは、一回だけ大ダメージを与えることもできる。


色々話しながら歩いているといつの間にか街に戻ってきたので、それぞれログアウトして昼食をとることにした。

集合場所は北門だと伝えたんだけど、5分前に噴水広場かアイコンを頼りに合流すると言われたので、頷いておいた。


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