糸を増やした強化
段を登りきってリトルロックゴーレムがたくさんいるところに入る前にハピネス達を収納する。
そして、騎士人形を先頭に来た道を戻る。
来るときは2パーティだったけど、今は4パーティに増えていて、そのうちの1パーティは僕の方へ来ているので、ロックゴーレムか団の先が目当てなんだと思う。
すれ違いざまに軽く会釈をして、リトルロックゴーレムがたくさんいるところを抜ける。
人が多いからリトルロックゴーレムと戦うことなく通ることができた。
鉄の守護者のところは、ちょうど戦闘が終わったタイミングだったみたいでバトルフィールドがなかった。
なので、順番を待っている次のパーティが戦闘を始めるのを待ってから向こうへ移動する。
あとはトンネルを通って街の方へ出るだけだ。
さすがに1人で北の森には行くつもりはない。
草原に出たので北の鉄鉱山から離れて西寄りに移動する。
東の方は森があるから、モンスターが飛び出て来そうでちょっと怖い。
その点西側は草原が続いていて、ブラウンラビットが隠れる草むらも少ないから人通りも少なくて実験にはもってこいの場所だ。
ピクニックにも使えそうなぐらい平和な草原に見える。
もしかしたら地中に何かいるかもしれないけどね。
「人形の館、ハピネス来い。繰り糸」
ハピネスを取り出し、糸を2本繋ぐ。
まだ両腕を付けていないので、右手は赤い剣で左手は銃口のままだ。
早速ハピネスを走らせたりジャンプさせたりしたんだけど、やっぱり1本の時より動きが速い。
しかも、右手の剣は1本の時より赤みが増してる気がする。
いや、どちらかと言えば輝いている感じかな。
供給される魔力が増えると高温になったりするのかもしれないね。
地面に刺してみたけど特におかしなところはない。
ダメージは受けないはずなので、触るのはちょっと怖いけど意を決して触ってみた。
ダメージはなかったし特に熱くもなかったので、攻撃した時だけ有効になるのかもしれない。
ロックワームを切った時に赤くなるくらい熱かったんだから、それを触ってもなんともないという事は条件があるんだと思う。
対戦なら試せそうだけど、実験のために申し込むのは抵抗があるから、モンスターと戦う時に試してみよう。
糸が1本の時と比べるだけだから、ロックゴーレムかロックリザードが戦いやすくていいかもしれない。
体の動きと右手に剣をを確認したので、次は左手に業火をだ。
ちなみに、口の麻痺針と腹部機巧は試さない。
麻痺針は威力か麻痺の確率ぐらいしか影響がなさそうだし、腹部機巧の愛の抱擁は魔力の刃を出すっていうぐらいだから、本数や刃渡りに影響が出るんだと予想している。
普段からあまり使ってないので、確かめるのはいつか使う時でいい。
「うわっ!」
気を取り直して左手に業火をを使ったんだけど、糸が1本の時は2mぐらいだった炎が3m以上になっていて、しかも炎の勢いと太さも増していた。
機巧の消費MPは変わってないので、糸の本数の分継続的に消費するだけなので、糸に余裕があれば積極的に使っていくことにした。
「繰り糸」
追加で1本糸を繋意でみたけど特に問題はなさそうだ。
それどころか右手の剣の輝きが目に見えてわかるぐらいになって、試しに振らせてみると赤い軌跡が残った。
やっぱり魔力量で威力が変わるんだね。
右手に剣をの次は左手に業火をだ。
こっちも範囲が5mぐらいに伸びて、太さもハピネスを丸々包み込めるんじゃないかというぐらいの威力になった。
走らせたりジャンプさせるのも同様に強化されていた。
ここまで強化されると腹部機巧の刃がどうなるのか気になってきたけど、なんとか我慢した。
服を脱がしてから使えばいいかもしれないけど、スキンが破けるのは嫌なんだ。
「繰り糸。うわっ!怖い怖い怖い!」
更に追加で1本、合計4本の糸を繋ぐとハピネスの関節がカタカタと勝手に動き出したので、慌てて糸を切った。
向こう側に向けて炎を放射していたので僕が見たのは後ろ姿だったけど、腕や足に加えて首がカタカタと動く様は完全にホラーだった。
これをクローバーのホラーモードでやったら苦手な人は悲鳴をあげるか泣くと思う。
ちなみに僕は悲鳴をあげる方。
「とりあえず糸は3本までにしよう」
もしかしたら4本でも問題なく動かせるかもしれないけど、正直今はカタカタと動くハピネスを操作する自信がない。
一瞬だったけど、止まれと命令しても動き続けていたからね。
それに、しばらくは3本でも十分なんじゃないかと思ってる。
本数が増えれば糸を繋いだ時の光が強くなっていたので、威力だけじゃなくて防御力も上がってると思う。
これは、縛ったモンスターを攻撃してもらえばすぐに確かめれるから、合流してから試させてもらおう。
「ハピネス収納。アザレア来い。繰り糸」
ハピネスを収納してアザレアを出し、糸を2本繋げる。
アザレア口機巧は、ハピネスと違って残弾とかはないので両手と一緒に試すつもりだ。
「魔法少女の杖・水。ボール」
風属性だと見づらいかもしれないので、属性を水に変えてからボールを放った。
放たれたアクアボールは、他のボールと比べて2周りほど大きくなっていて、飛んでいく速度も速くなっている。
「ランス」
ランスもボールと一緒で大きく、そして速くなっていた。
飛んでいく系は同じ強化だね。
「ストーム。うわっ!」
ストームは範囲と竜巻の速度が上がっていて、今回はアクアストームなので周囲に水を撒き散らしたんだけど、その水が掛かって全身が濡れてしまった。
時間経過で乾くからいいんだけどね。
「ウォール」
壁も高くなって厚みを増していた。
それでいて魔法の消費MPは変わらないので、積極的に使っていって問題ないと思うけど、皆んなには説明した方が良さそうだ。
いきなり仲間の放つ魔法の威力が上がったら、戦闘の邪魔になる可能性があるからね。
いつもなら当たらないはずの味方の魔法でも、大きさが変わると射線が通らなくなる可能性が出てくる。
特にしのぶさんはギリギリで避けることが多いので、いつもの感覚だと当たってしまう。
「拒絶の壁」
次は防御用の壁を作る機巧を使ってみたんだけど、特に何かが変わっているようには見えない。
消費MP1で作ろうとして2消費されたわけでもないので、数値上強化されたのかはわからない。
実際に攻撃したらMP2の壁かもしれないけどね。
元から消費MP増やしても目に見えて厚みが増したりしていないので、どこか変化があれば気づくと思うだけど、厚みも透明度も変わっていない。
これは保留にしておこう。
一応、今後壁を使うときは、できるだけ本数を増やしてから使うように意識だけはしておく。
それで助かれば御の字だし。
「呪い」
次に口機巧を使ってみた。
文字が蠢く黒い球がゴポリと音を立てて放たれたんだけど、蠢く文字の数が増えることで大きくなってる。
速度は……少し速くなってると思うけど、この速度なら避けられるね。
大きくなっているので当たりやすくはなってるし、もしかしたら呪われる確率も上がってるかもしれないけど、それを確かめる方法がない。
これも、念のため使うときに本数を増やす程度でいいかな。
「繰り糸」
糸の数を3本に増やした結果は、ハピネスと同じで魔法や呪いがさらに強化された。
ふと思い立って杖という名のメイスを近くの石の向けて振り下ろしたんだけど、粉々になった。
腕力も上がってるね。
ついでに糸を4本にもしてみたんだけど、これもハピネスと一緒でカタカタしだした。
腕がちゃんとある分、指もカタカタしてアザレアの方が怖かった。
これは魔女の服で増幅されている可能性もある。
なんというかハピネスは呪われた人形だけど、アザレアはこっちを的確に呪ってきそうな雰囲気がある。
「アザレア収納」
ラナンキュラスは2本の時より強くなるだろうし、クローバーはダメージを受けてない今確かめる方法がないので誰かがダメージを受けたら試すことにした。




