表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
179/287

源さんへの依頼と源さんからの依頼

ゼロワンさんの先導で武具制作室に向かう。

毎回案内してくれるけど、生産を行う人が増えたらどうするつもりなんだろう。

ゼロツーさんに助けてもらうのかな。


あるいは給仕人形のように自動行動(オートアクション)でサポートしてくれる人形が出てくるんだろうか。

でも、生産はやることが細かいだろうからまにゅあるで設定するのは難しいはずだから、可能性は低いかな?


「それでは、あとはご自由にお使いください」

「わかった。また槌を頼みたいんだが、その時はどうすればいい?」

「では、こちらにベルを置いておきます。何かありましたら鳴らしていただければ参ります」

「よろしく頼む」

「はい。それでは」


ゼロワンさんが入り口近くにある机の上にハンドベルを置いた。

表面に『01』と刻印されている銀色のベルで、説明の際に鳴らしてくれたんだけど、透き通るような音色だった。


そして、源さんとの会話を終えたゼロワンさんは僕の後ろに控えるように立った。

部屋を移動しないならベルを置く必要はないから、僕に付くために置いたんだね。

まぁ、僕は源さんに依頼をしたら客室から戻るつもりで、人形のパーツ作りをするつもりはないから、後ろについてもらってもすることがないよ。


「源さん」

「どうした?」

「作ってもらいたい物がいくつかあるんですけど、依頼してもいいですか?」

「あぁ。しのぶの忍刀(しのびがたな)だな。もちろんこの炉を使わせてもらえるんだ。作るぞ」

「それもありますけど、剣と盾をいくつか作ってほしいんです」


源さんはしのぶさんの忍刀(しのびがたな)の事を覚えていたようで、作る気満々だった。

しのぶさんは喜ぶだろうけど、作ってほしいのはそれじゃなくて普通の両刃の剣や盾でいい。


これは繰り糸(マリオネット)で振り回す用の武器で防具だけど、人形が作れるようになったら持たせるつもりだ。

鉄の腕を振り回して殴るのもいいんだけど、剣を投げた方が刺さったり切れたりすることで威力が上がりそうだし、盾を振り回すことができれば遠くにいる人を守ることができるかもしれない。

踏ん張れないから威力の低い魔法や飛び道具から守る程度だろうけど……弾かれた盾が味方に当たった時はダメージ受けるのかな?


「刀じゃなく剣だな?」

「はい。騎士が使ってる両刃の剣で問題ないです。盾の形はそこまでこだわっていないので源さんに任せます」


刀を依頼したらスキルを使わずに作るはずだから時間がかかる。

別に急いでるわけではないんだけど、刀を振り回してぶつけるのは違う気がする。


「他には?」

「そうですね……一応ハンマーと槍もお願いします。あと、鉄板と鉄球もほしいですね。鉄球は両手で持つサイズと手のひらの上で転がせるぐらいの大きさがいいです」

「剣と盾にハンマーと槍。あとは両手で持てる鉄球と手のひらの上で転がす鉄球か……。大きい方がボーリング玉で小さい方はビー玉ぐらいでいいか?」

「そうですね……それで問題ないです」


ボーリング玉サイズの鉄球はぶつけるためのものだ。

鉄の腕より当てやすいし、どこを当てても問題ない形を考えた結果球体になった。

ちなみに球体で戦えることがわかったら棘を生やした鉄球も作ってもらうつもりだ。

その方が威力がたかそうだし。


小さい方の鉄球はクローバーに持たせているパチンコの玉だ。

最近のクローバーは回復専門になっているけど、パチンコはも持たせたままになっている。

石を拾って放っても大したダメージが与えられないからこうなったんだけど、パチンコ用の鉄球があれば戦えると思う。


一点気になるのが放った鉄球がどうなるかなんだけど、たぶん5mを超えても戻ってこないよね。

戻ってくるとしたら矢を使う人や投げナイフを使う人の玉数が減らないことになるからね。

譲渡と同じように所有権を放棄して攻撃に使うんだと予想している。

一応、しのぶさんに会ったら聞くつもりだけど、大丈夫だよね?


「ふむ。数はどうする?」

「あー……数は考えてませんでした。とりあえず剣と盾と槍は3つずつ。大きい鉄球は1個、小さい鉄球は30個でお願いします」

「これに忍刀(しのびがたな)を加えるとなると鉄鉱石が足りんな。まぁ、加えなくても足りないがな!はっはっは!」


しのぶさんの依頼は本人から受けてもらった方がいい気がするけど、そのために制作が遅れるのは困る。

できればイベントに間に合わせたいから、僕が持ってる鉄鉱石を全部渡そう。

どっちにしろ依頼した物を作るのに足りないから渡す必要があるし、その時に今後のために多く渡すだけだ。

素材さえあれば作ってくれそうだからね。


「とりあえず手持ちの鉄鉱石を全部渡します。これで足りますか?」

「ふむ……足りないな。忍刀(しのびがたな)より剣や槍の方が素材を使うんだ。儂1人だと柄も鉄になるからな。他に木工がいれば色々工夫して必要な鉄鉱石の数を減らせるんだが、木工はいるか?」

「いませんね……」


取引を使って手持ちの鉄鉱石を全部渡したけど足りなかった。

確かに、剣や槍のサイズを思い浮かべると、忍刀(しのびがたな)が何振りもできそうだから、数が必要なのはわかる。

それに、源さんは鍛治師だから柄も金属になるみたいなのでさらに消費するみたいで、木工がいるか確認されたけどいないのでどうしようもない。


僕は全部鉄でできた剣や槍を思い浮かべていたんだけど、確かに柄は木でもいいかもしれない。

柄でモンスターの攻撃を受けるとしたら微妙かもしれないけど。

ただ、それをするには人が足りないんだよね。


「刀なら柄や鞘を作ることができる。ただ、それが西洋剣や槍になると話は別だ」

「なるほど……。それでは、忍刀(しのびがたな)を優先して作ってください。その次は鉄球で、最後に剣と盾と槍を1つずつでお願いします。素材が余ったときはお任せします」

「ふむ。それならなんとかなりそうだな」

「お願いします」

「あぁ、任せておけ」


数を減らしたことで作れるようになったみたいなので、そのままお願いした。

源さんは早速取りかかるみたいで、アイテムバッグから鉄鉱石を取り出して作業台の上に積み始めた。


「そうだボウズ。儂からも依頼があったのを忘れていた」

「源さんから僕に以来ですか?」

「そうだ」


素材集めかな。

あるいはハピネスの機巧(ギミック)で出てくる刃の素材を教えてほしいとかかな。

僕ができることで源さんが求めてきそうなのはこれぐらいしか思いつかない。

さすがに源さんから人形を作ってくれとは言われないよね。


「それで、頼みなんだが……儂に生産サポート人形を作ってくれないか?」

「え?」

「生産サポート人形を作ってほしい」


まさかの人形作成依頼だった。

それも、生産サポート人形という知らない人形の。

源さんに人形を作ってほしいと言われただけでも驚きなのに、それに加えてよくわからない人形だから固まるのも仕方ないし、確認のため聴き直すのも仕方ない。


「生産サポート人形って何ですか?」

「ん?知らんのか?」

「はい。まだ左右の腕を作れる程度なのでまだどんな種類があるのかわかっていません」


最終的にはいろんな人形を作れるようになるんだろうけど、今は2パーツしか作れない。

そんな状況で受けるのは無理だと思う。


「そうなのか……。ゼロワンから常に手伝えるわけではないので、ボウズから生産サポート人形を作ってもらえと言われたんだ」

「そうなんですか?」

「はい。複数の方が生産作業を行われる場合、管理者の私は多忙になります。なので、源さんのお手伝いをすることができません。ですが、オキナ様が作られた人形に自動行動(オートアクション)を設定することで生産の補助を行う人形が作成できます」

「それは、マニュアルで設定しろということですか?」

「はい。マニュアルで設定する必要があります。設定を簡略化したい場合、能力入力(スキルインプット)で能力を付与することで、マニュアルで設定できる行動が増えます。生産スキルを付与してみてはいかがでしょうか?」

能力入力(スキルインプット)ですか……。スキルスロットに余裕があるならいいかもしれないですけど……。今は無理ですね」


スキルを付けて、マニュアルで設定するのか……。

ポーション作成と言えば材料を揃えて調合してくれるとか、アイアンソード作成と言えば剣を作ってくれるような設定かな。


便利そうだけど、そのために自分ではあまり使わない生産スキルを取るのは嫌だな。

これなら源さんが言った言葉で固定の行動をするように設定すた方がいいかもしれない。

取るとしたら積極的に生産活動をするときだ。


例えば「叩け」と言えば手に持ったハンマーをまっすぐ振り下ろすとか、「削れ」と言われれば手に持った武器を研いだりとか。

そうすれば必要な項目だけマニュアルで設定するだけで済む。


「まだ作れないのなら追い追いでいいぞ」

「わかりました。全身作れるようになったらメッセージをお送りしますね」

「頼む。儂からの依頼は以上だ」

「僕も依頼は以上です。それではよろしくお願いします」


源さんに一礼する。

腕を組んでこっちをみている源さんは親方って感じがする。


「うむ。折角だから完成品はアイテムボックス共有にして渡そうと思う。完成したらメッセージを送る」

「わかりました。では、僕は行きますね」

「うむ。客室の鍵は助かった」

「いえいえ。お互い様ですよ」


軽く頭を下げて部屋を出る。

ゼロワンさんは僕に着いてきたけど、ホールに転移するところで見送られた。


ホールではゼロツーさんが待っていて、客室から戻ると伝えると踊り場で待機していたゼロフォーさんのところまで案内してくれた。

移動している間に、うららさんにも客室の鍵を渡すのかと聞かれたので渡すと答えたんだけど、どうしたんだろう。

また一緒に裁縫がしたいのかな。


その後はゼロフォーさんの案内で客室から北の草原に帰るだけだった。

最後に僕が客室を使わないように念を押されたけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ