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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン4日目)-
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源さんを客室へ

【お知らせ】

書籍化するとお伝えしていましたが、出版社様都合により中止となりました。

詳しくは近々活動報告に投稿します。


これによりタグと小説情報から「書籍化」を削除しましたが、以前の前書きは削除しません。

記念みたいなものです。




迂回するか山を登るか決めてないけど、とりあえず北の鉄鉱山に向かおうとしたところでメッセージが届いた。

差出人は源さんで、できるだけ早く鍵が欲しいという内容だった。

源さんに鍵を渡せば色々作ってくれるだろうから、北に向かうのをやめて街へと戻りながら今すぐでもいいとメッセージを返した。


ついでに撮り忘れていたログインボーナスを取得したんだけど、お菓子BOXだった。

宝箱型のいろんな種類のお菓子が入った箱で、食べ終わったら普通の箱として使える物だった。


説明文に、これを使えば箱に物を入れてアイテムバッグの整理ができるという内容が書かれているので、これから箱が売れるようになると思う。

使うとしたらお菓子BOXのようにデザインに凝った箱がいいな。

ガラス細工とかが施された宝石箱みたいなのが欲しい。

あるいはアタッシュケースとかハピネス達のトランクケースのようにカッチリとしたやつ。

デザインがよければ人形の館(ドールハウス)に飾ってもいいんだけど、デザインを指定して作ってもらうほどではない。

どうせ家具を作るなら徹底的に凝りたいから、先に作ってくれる人を探さないとダメだ。


街へ戻る途中に源さんから了承したということと今どこにいるのか確認するメッセージが来たので、北門に向かって草原を歩いている途中だと送った。

すると即座に返信が来た。

メッセージを開くと待ちきれないので北門に向かうと書かれていた。

急いだ方がいいのかな?


ちょっと悩んだけど急ぐことなく普通に北門へ向かった。

痺れを切らした源さんがこっちに向かってくるかもしれないと思ったけど、そんなことにはならなかった。

草原と畑の境でハンマーの柄を地面に突き立てて立っていたからね。


「おはようございます」

「うむ。おはよう!それで、例の物は?」


例の物って。

まぁ、知られると騒ぎになるものかもしれないからいいんだけど、念のため道から少し離れたところに移動した。


「これです。使い方を説明しますね」

「うむ。頼む」


アイテムバッグから西棟の鍵束を取り出して源さんに見せる。

源さんは落ち着いているように見えるけど、その目は鍵に釘付けだった。

しかも、よく見ないとわからないけど目がキラキラしている。


源さん目力に負けないよう気合いを入れて鍵を取り外し、目の前の空間に突き出す。

すると、先端から光が覆い始め、持ち手の近くまで光ると先端が何かにぶつかったかのように動かなくなった。

でも、右に捻ることはできるから、このまま捻り切れば転移するんだと思う。


「こんな感じで目の前の空間に前に動かなくなるまで鍵を差し込みます。あとは右に捻るだけで洋館の東西5部屋ずつ、合わせて10部屋あるうちの1部屋に転移します」

「ふむ」


話していて気がついたんだけど、鍵を使って転移した時にどうやって元に戻るかとか、使用時の注意点は聞いていなかった。

僕が聞く分には後ででもいいんだけど、源さんにはどう説明すればいいんだろう。

とりあえず転移した後にゼロフォーさん達に聞いてもらえばいいかな。

でも、できれば僕も聞きたいから一緒に行こう。


「部屋の使い方を聞いていないので僕から説明できません。僕も一緒に転移するので管理をしている人から聞きましょう」

「わかった。よろしく頼む」


源さんが手を出してきたので『W1』の鍵を渡した。

僕は『W2』の鍵を目の前に差し込んで捻る準備をする。


「源さん。転移したら部屋の中ですけど、しばらく待っていてください。すぐに迎えに行きます」

「わかった」


源さんの返事を聞いたので、鍵を右に捻る。

カチリという音が聞こえたかと思うと、工房スキルを使った時と同じく視界が白くなった。


視界が晴れるとゼロフォーさんに案内された部屋に出た。

正確には1つ隣なんだけど、窓から見える風景が少し違うだけで、内装は同じだ。


違うのは部屋の中央に転移室の床にある魔法陣と同じ物が絨毯に模様として描かれていて、それがうっすら光っていることと魔法陣の上に白い球体が浮かんでいることだ。

これに触れたら元の場所に戻るのかな。


「いらっしゃいませ」

「あ、えっと、ただいま?」

「オキナ様でしたか。可能であればで結構ですので、今後はオキナ様は工房スキルを使用してお戻りいただけますでしょうか?そちらの鍵はお客様用ですので」

「あ、確かにそうですね。わかりました。以後気をつけます」

「ありがとうございます」


部屋を出るとゼロフォーさん出迎えられたんだけど、お客さん向けの出迎えだった。

よく考えなくても客室なんだから、出てくるのはお客さんだと思うよね。

ゼロフォーさんの注意通り、今後は工房で移送することにしよう。

全員で一緒に移動するならパーティに入ってもらって工房スキル使えばいい。


「オキナ様がこちらにいらっしゃるので、今度こそお客様がお越しになられました」

「そ、そうですね。えっと、鍛治師の源さんです。僕が迎えに行くと伝えているので開けますね。ゼロフォーさんに説明をお願いしたいので一緒に来てください」

「かしこまりました」


ゼロフォーさんの視線が居た堪れないので、源さんが転移してきたW1の扉に近づく。

ドアノブを回そうとしても微動だにしなかったことで許可がいることを思い出して、慌ててノックした。


中から源さんが「入っていいぞ」と言った瞬間ドアノブが回った。

これが許可するってことらしい。

ドアノブすら回らなかったから、ガチャガチャされて驚くこともないと思う。

強いノックをされたら驚くかもしれないけど。


「お邪魔します」

「失礼致します」


僕のスキルで来れる洋館だけど、他の人の部屋に入るんだからお邪魔しますって言ったけどしっくりこなかった。

ゼロフォーさんの言葉の方がいいと思うので、今度からは「失礼します」でいいや。


源さんの部屋は試しに入った部屋だから窓の外の風景は同じだった。

そして、絨毯には僕の部屋と同じように見える魔法陣が描かれていたんだけど、こっちは光ってないし、球体も出ていなかった。

何か条件があるのかな?


「初めまして源さん様。私はこちらの西棟管理していますゼロフォーと申します。以後、よろしくお願いします」

「あぁ。こちらこそよろしく頼む。それと、儂のことは源さんでいいぞ。様はいらん」

「かしこまりました。それでは、客室のご説明をさせていただきます。よろしいでしょうか?」

「うむ」


源さんの了承を得たゼロフォーさんがアイテムボックスの前に移動した。

そして、源さんに向かって振り返り、手をアイテムボックスに向ける。


「こちらはアイテムボックスです。館内、工房にあるアイテムボックスであればどこからでも取り出すことができます。また、双方の同意があればボックスの一部または全てを共有することができます。共有を使用することで、素材や完成品を共有することでスムーズにやり取りができるようになります」

「なるほどな。依頼をメッセージでやって、素材や完成品の受け渡しをアイテムボックスでやれば時間が合わなくても渡せるな」

「はい。その使い方で問題ありません」


源さんの言う使い方をするなら、パーティメンバー全員に鍵を渡しておいた方がいいね。

しのぶさんやミヤビちゃんから源さんやうららさんに依頼をすることがあるかもしれないし。

それに、この使い方ならうららさん達が勝てない程強いモンスターがいるところでも、僕達が倒せば素材を手入れやすくなる。

アイテムボックス経由で渡せないなら会うしかないから時間がかかる。

街が発展すれば郵便とかができるようになるかもしれないけど。


次にゼロフォーさんは絨毯に描かれた魔法陣の横に立った。


「こちらは転移の魔法陣です。源さんの目には光っていて、中央に球体が浮いているように見えると思います。これは、転移して来た人にしか見えません。お帰りの際は中央に浮かぶ球体に触れてください」

「なるほど。これが出口のようなものか」


源さんが魔法陣の中心見ているけど、僕には何も見えない。

隣の部屋で僕が見たのは予想通り帰るためのものだったけど、転移して来た人にしか見えないのは予想外だった。

でも、そうしないみんながバラバラのところに行くと、客室経由で移動できるようになってしまうからね。


「そうです。備え付けの家具はご自由にお使いください。また、必要な家具や道具などは増やしていただいて構いません」

「わかった。それで、工房は使えるのか?」


ゼロフォーさんが源さんに聞かれて僕を見てきた。

これは、使っていいか確認してるのかな?


「ゼロフォーさん。源さんには工房を使ってもらって大丈夫です」

「かしこまりました。それでは、工房へご案内致します。その他の細かい事は道すがらお伝えします」


もしかしてゼロフォーさんが見てきたのは話を途中で打ち切って移動していいのか聞きたかったのかもしれない。

今も歩きながら、部屋の入室制限や行動できる範囲を説明している。

その中でゼロフォーさんは西棟の管理者なので、使用している人の許可なく部屋に入ることが可能だと伝えられた。


確かに源さんの部屋に入る時入っていいと言われたけど、源さんゼロフォーさんのことを知らなかったはずなのに入ってこれていた。

管理者だから掃除のためとかもあるんだと思う。


ゼロフォーさんに先導されてホールを通り、階段裏の転移室に入る。

ホールを通る時ゼロツーさんが頭を下げていたけど、どう返していいかわからなかったので、僕も軽く頭を下げておいた。

向こうからは見えなかっただろうけど。


「この先でゼロワンがお待ちしています」

「わかった」

「ありがとうございます」


ゼロフォーさんに見送られて工房へ転移した。

視界が晴れると、ゼロフォーさん言っていた通りゼロワンが立っていた。


「おかえりなさいませ、オキナ様。いらっしゃいませ源さん」

「ただいま」

「世話になる。さっそくだが炉に案内してくれ」

「はい。かしこまりました」


挨拶もそこそこに炉へ向かう源さん。

炉を提供するんだから色々依頼しないとね。

そう言う約束だったし。


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