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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン3日目)-
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予定はあくまで予定

集合時間を少しすぎるとうららさんがログインしたので、さらに待つ。

5分ほどすると走って来た。


「ごめんなさい。遅れました」

「いえいえ。問題ないですよ」

「そうですよ。それで、ミヤビちゃんはどうしたんですか?」


しのぶさんが即座にミヤビちゃんがログインしていない理由を聞いた。

姉妹だから何か情報は持ってそうだけどね。

僕はうららさんとしのぶさんの会話を横から聞いておくことにした。


「先ほどお母さんから電話があったんですけど、ミヤビちゃんは今日分の宿題をしていなかったので一時的にゲームを取り上げられています」

「電話なんですか?」

「はい。私は一人暮らしなのでミヤビちゃんと一緒にいるわけではないんです。せめてゲームの中だけでも一緒に居たかったので誘ったんですけど、まさかここまでハマってしまうとは予想外でした」

「そうなんですか。でも、離れていても一緒に居たいなんて姉妹愛ですね!」

「揃ってシスコン気味なのは自覚しているんですけどね」


ゲームの中で妹に会いたいうららさんと、人見知りのせいですぐにうららさんの影に隠れるミヤビちゃん。

今でこそ僕としのぶさんと話すのは問題ないけど、もしもセインを連れて来たら初めてしのぶさんと会った時のようになるんだろうね。


「いえいえ、いいと思いますよ!」

「ありがとうございます。それで、後20分ほどで終わるみたいですけど、念のため今日はログインさせないように伝えました」

「宿題をやったからといってすぐにゲームをするのは心証が悪いですよね!」


確かに宿題をしていないからゲームを取り上げたのに、宿題を終わらせてすぐにまたゲームをし始めると、また同じことが起きそうだと思われて良くないね。

それが何度も起きたら本当にプレイできなくなるだろうし。

僕は空き時間にやってるから問題ないけど、ミヤビちゃんの宿題は気にしてあげたほうがよさそうだ。


「そうです。なので、電話を代わってもらって明日の分もやっておくように伝えておきました。それで、ミヤビちゃんか伝言なのですが『ログインできなくてごめんなさい。毎日宿題をする時間を増やすので、明日はお昼過ぎにログインします』とのことです」

「自主的に宿題の時間を増やすなんていい子ですね!」

「はい。頑張り屋さんです」


2人が笑い合った。

横で聞いてるだけでうららさんのミヤビちゃん愛が伝わってきた気がする。

2人の会話が終わったからか、うららさんが僕に向き直った。


「それで、この後なんですが、ミヤビちゃんも居ないので、強いモンスターのところは行けないですよね?」

「そうですね。ミヤビちゃんが居ないとしのぶさんの負担が増えるので、行けてロックゴーレムぐらいですね」

「私が警戒で少し先を進んでいる時に後ろから来られると2人が気付かない可能性があるので厳しいとお思います」


うららさんの指摘通りだ。

ミヤビちゃんが居ないということは前衛が1人減るだけじゃなくてシロツキとトバリも居ない。

あの2頭は周囲の警戒もしてくれるし、モンスターの注意も引いてくれる。

何よりブレスの攻撃力が高い貴重な戦力だ。


「でしたら、明日のお昼までは各々自己強化ということでどうでしょうか?」

「私は大丈夫ですよ!」

「僕も問題ありません」


1人でロックゴーレム狩りをするつもりはないから、職業クエストを進めようかな。

工房のレベルを早く上げて、うららさんや源さんを工房に案内できるようにして上げたいからね。


「ありがとうございます。それでは、明日のお昼13時に……とりあえずここに集合でいいですか?」

「いいですよ!」

「僕もいいんですけど、その前に1つ相談があるんですけど、いいですか?」


集合時間も場所も問題ないので、解散前にセインの事を相談しようと思う。

2人が許可してくれたらミヤビちゃんにはメッセージで送ろうと思う。


「私はいいですよ」

「私もです!」

「ありがとうございます。えっとですね、さっきクラスメイトに会ったんですけど精霊使い(エレメンタルマスター)という魔法使い寄りの職業なんです。ただ、スキル取得を間違えて1人で戦い辛いらしいんですけど、属性付与で攻撃のサポートができるそうです。しのぶさんの苦無に属性を付与すれば攻撃力が上がると思うんですけど、誘ってもいいですか?」

精霊使い(エレメンタルマスター)ですか。またレアな職業ですね」

「☆4らしいですね」

「はい。あと、だいぶトリッキーな職業だと聞いています。使役する精霊ごとにレベルがあるのは魔法使いの魔法スキルと同じなんですが、精霊に意思があるせいでうまく扱えないこともあるそうです」

「へー。そうなんですか」


僕だとゼロワンさん達に命令しながら戦う感じになるのかな。

精霊だと気まぐれなイメージがあるから言うことを聞いてくれないのかもしれない。

しかも、セインはそれを7属性揃えてるんだよね。

なかなか面倒そうだ。


「私の苦無に属性付与すれば強くなるんでしょうか?」

「少なくとも弱点を突けばダメージは上がると思います。場合によってはロックゴーレムを切ることもできるようになるかもしれませんよ?」

「なるほど……。まぁ、できなくても問題ないです!私は賛成です!」

「私も賛成ですね。私以外の人が高レアリティなのでパーティに合ってるんじゃないでしょうか。☆3の魔法使いを入れるよりいい結果になるかもしれませんよ」

「なるほど。確かにそれはあるかもしれませんね」


☆5の僕に、☆4のしのぶさんとミヤビちゃん。

癖のある職業が集まってるから、セインが☆4で良かったのかもしれない。


掲示板にも☆4だけで6人揃えたパーティの話が書かれていたけど、☆3のパーティと比べると戦い方がトリッキーであまり連携が上手くできてないはずなのに強いという評価だった。

僕達の場合はそれぞれで役割が違うおかげなのか、連携できてるからね。


これにセインの属性付与が追加されれば更に戦いやすくなるかもしれないし、精霊が強くなれば魔法使いよりも僕達に合った戦い方ができるようになるかもしれない。

もちろん、僕達もセインに合わせるように頑張るはずだけど。


「後はミヤビちゃんがいいって言ってくれるかですね」

「ミヤビちゃんなら問題ないと思いますけど、一応私の方からも連絡します。ですが、オキナさんもメッセージを送っておいてくださいね」

「わかりました。よろしくお願いします」


ミヤビちゃんは明日のお昼までログインしないから、メッセージを見るのは明日になる。

そこからセインに連絡しても合流できない可能性があるけど、うららさんが連絡を取ってくれるなら別のルートで結果がわかるかもしれない。

ここはお願いしておこう。


「それでは、また明日」

「はい。明日、よろしくお願いします」

「お疲れ様です!」


うららさんが噴水広場の方へ歩いて行った。

すぐに人混みに紛れて見えなくなったけど、直後にログアウトしたみたいでパーティ一覧の表示が切り替わった。

もしかしたら、ミヤビちゃんのセインのことを伝えるためにログアウトしたのかもしれないね。

今ならまだ起きてるだろうし。


「それじゃあ私も行きますね!隠形(おんぎょう)スキルのレベルを上げつつ職業クエストをこなしてきます!」

「わかりました。頑張ってください」

「では!」


しのぶさんが壁を蹴り上がって屋根の上に登る。

そして、屋根伝いに東の方へ向かって行った。

そういえば東の森が修行場だったんだよね。

忍者の師匠がいるのかな。

勝手なイメージだけど蛇やカエルを使役しているイメージがある。

しのぶさんも何か使役しないのかな。

忍犬とか。


そんな妄想をしながら北門を出る。

今の時間だと夜のモンスターだけど、少しでも職業クエストをクリアするために頑張ろう。


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