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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン3日目)-
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来た道を戻る

ウォークウッドを倒したシロツキに乗ったミヤビちゃんが、トバリと一緒に僕たちのところに戻ってきた。

とりあえず回復しないといけないので、クローバーを近づける。


ちなみに、ラナンキュラスの槍はウォークウッドが倒された時点で消えた。

アイテムバッグを確認すると入っていたので、モンスターに突き刺した武器は手を離して距離を取っても消えないということがわかった。

硬いモンスターとかだと、刺した剣目掛けて雷を落とすとかできるかもしれない。

武器の耐久値が大きく減りそうだけど。


「回復ありがとうございます」

「こちらこそ、助けてくれてありがとう。結構無茶したんだよね?HPもすごく減ってたよ」


しのぶさんが戦闘不能になった葉っぱの嵐を受ける前はほぼ全快だったんだけど、しのぶさんに気を取られているうちに2割まで減っていた。

僕やうららさんだったら一撃でそうなる可能性があるけど、ミヤビちゃんはHPもあるし防御力もある。


「えっと、根っこが槍のように迫ってくる間をシロツキちゃんに飛んでもらいました」

「やっぱり無茶したんだね」

「しのぶさんが倒れて、オキナさんもHPが半分を切っていたので……」

「それを言われると何も言えませんね」

「ですね」


ミヤビちゃんの指摘に、僕とうららさんは苦笑いするしかなかった。

分断された仲間が1人戦闘不能になり、もう1人のHPが半分になっていたら焦って突撃したくなる気持ちはわかる。

残りHPは2割だったけど、たぶんミヤビちゃんにしかわからない勝算があったんだと思う。


「シロツキとトバリも回復しておくね」

「ありがとうございます。と言っても、トバリちゃんは機巧(ギミック)を使うだけで回復すると思います。シロツキちゃんは少し待てば全快ですね」

「わかった。じゃあトバリから」


トバリ、シロツキの順で回復したけど、すぐに終わった。

ミヤビちゃんに聞くと、根っこの攻撃を1番受けたのはミヤビちゃんだった。

トバリは自分に迫る根っこをブレスや爪で弾きながら飛び、できるだけ乗ってるミヤビちゃんも守ろうとしたらしいんだけど、上から伸びてくる根っこは避けきれなかったみたい。

そうなると、シロツキに乗ってるミヤビちゃんに当たる回数が増えるのは仕方ないか。


「ひとまず洞窟に戻りませんか?もう一度ウォークウッドと戦うのは厳しいと思います」

「うららさんの言う通りです!急ぎましょう!」

「はい!」

「わかりました」


回復が終わるのを待っていたうららさんの言う通り、全員で洞窟に向かった。

このままここで時間を潰していると、またウォークウッドに狙われるかもしれないからね。


「たった1戦しただけなのに、随分と変わりましたね」

「はい。でも、さっきまでスプラッシュマッシュやストリングバタフライはいなかったんですけど、ウォークウッドが倒されたからでしょうか?」

「自分たちが倒されないように逃げていたんだろうね」


鍾乳洞へと続く洞窟な様変わりしていた。

天井からは根っこが生え、中央付近にミヤビちゃんが出入りに使った穴が空いていた。

スプラッシュマッシュやストリングバタフライは、こちらに気づいていないのもあって、根っこにくっ付いて養分を吸い取って枯らせたり、根っこ自体を齧っていた。

しばらく放置すれば天井の根っこは無くなるかもしれないけど、穴はどうしようもなさそうだ。


「気づかれていないうちに進みましょう。ひとまずロックゴーレムが出るところまで戻ってから今後どうするか決めましょう。ここら辺はモンスターが面倒ですし、地底湖はフルレイドボスがいます」

「わかりました。警戒は任せてください」


しのぶさんの後に続いて移動する。

スプラッシュマッシュやストリングバタフライは根っこの対処に忙しいのか、結構近づいても襲いかかって来なかった。

根っこについてもさすがに鍾乳洞まで伸びていなかったけど、鍾乳洞へ続く道を塞ぎたかったみたいで、洞窟側はたくさんの根っこが編んだように絡み合っていた。

それをハピネスの右手で切って道を開いた。


結果としてモンスターと1度も戦うことなく鍾乳洞まで来れた。

洞窟部分に出てくるモンスターは面倒だけど、ここからはブルースライムだから楽だ。

むしろ、積極的に戦ってもいいと思う。

繰り糸(マリオネット)で縛ればしのぶさんかミヤビちゃんがトドメを刺してくれるから、数が多くても何とかなる。


そんなことを考えていたのがダメだったのか、鍾乳洞にはブルースライムがそこまでいなかった。

目に見える範囲では5匹ぐらいだから、天井に潜んでいることを考えても倍の10匹くらいかな。

まぁ、見える範囲のブルースライムは全部倒すけど。


「大きい!」

「コアがたくさん入ってます!」


目に見える範囲のブルースライムを倒し、天井を警戒しながら歩いていると、目の前にブルースライムの塊が降ってきた。

見た目は普通のブルースライムなんだけど、大きさと中にあるコアの数が違う。

コアは8個入っていて、大きさも8倍になっている。


「鑑定結果はブルースライムです!ただ単に合体しただけだと思います!」

「わかりました!なら、繰り糸(マリオネット)!」


キングブルースライムのプニおさんはコアが1つだったから、目の前のブルースライムがキングじゃないと思っていたけど、普通のブルースライムと判定されるんだ。

キングだったら糸が通じないかもしれないけど、ただの大きくなったブルースライムだったら縛れると思って糸を放った。


その糸は巨大ブルースライムに当たっても千切れなかった。

だけど、光が包み込む速度が非常に遅い。

1匹だったら既に操れているはずなのに、まだ10%も包めていない。

くっ付いたせいで能力が上がってるんだろうね。


「糸縛り!」


糸がくっ付いた状態でも光が体を覆い切るまでは問題なく動けるので、ジリジリとこっちに来る巨大ブルースライム。

それに対してうららさんが糸を投げて巨大ブルースライムを縛ったので、飛び出そうとしていたミヤビちゃんとしのぶさんが止まり様子を見る。


糸で締め付けられた巨大ブルースライムは、徐々に形を歪めて最後には真っ二つになったんだけど、糸がついた方は光の覆う速度が上がった。

コアは締め付けられ始めた時点で、左右に4つずつ分かれていた。

なので、綺麗に二分されたことになる。


繰り糸(マリオネット)!」


鍾乳洞に入る前にアザレアだけにしておいたので、空いた指から糸を出してもう片方にも糸を付ける。

もちろんハピネスの両手は付けたし、ラナンキュラスには回収した槍をもたせた上で人形の館(ドールハウス)に収納している。


「ミヤビちゃん!こっちをお願い!しのぶさんの方はもう少しかかります!」

「わかりました!コアを攻撃します!」

「はい!誘導は任せてください!」


ミヤビちゃんとしのぶさんがそれぞれ1匹ずつ注意を引いてくれていたので、落ち着いて光が覆うのを待てた。

ミヤビちゃんは噴射される水や勢いよく体当たりして来るのを盾で受け止め、しのぶさんはギリギリの位置で避けていた。

ブルースライムも何もしないうららさんより目の前の2人を狙うみたいで、着々と光に覆われていった。


そして、ミヤビちゃんの方が先に覆うことができたので、コアも移動しないように固める。

そして、それを狙って槍をつき入れるミヤビちゃん。

あえてコアを移動させて槍を避けさせようかと思ったけど、何とか踏みとどまった。

これがナックルやマサムネちゃんだったら悩むことなく実行するんだけど。


「しのぶさんもどうぞ」

「わかりました!」


ミヤビちゃんがブルースライムを倒したのとほとんど同時にしのぶさんの方も縛れた。

なので、同じようにコアを固定して倒してもらう。


「地底湖へと続く道はすぐそこなので、これで終わりみたいですね」


出しっぱなしにしていたマップは、洞窟に入った時点で映す場所が切り替わっていた。

今は鍾乳洞を映しているんだけど、地底湖へと続く道はすぐそこだった。

なので、この巨大ブルースライムは地底湖を上がってすぐに戦う位置にいたということになる。


ロックリザードを潜り抜けた先に物理攻撃で分裂する巨大スライムが待ち構えているなんてとても面倒だ。

そのブルースライムの特性は、僕達には関係なかったけど。


「行きと同じく地底湖には近づかないように通りましょう」

「はい」


ロックリザードが生息する場所に出た後は、地底湖に近づかないようにしながら近くにいるロックリザードを倒しつつ進んだ。

ロックリザードを16匹倒して、ようやく岩が積まれているところに戻ってこれたんだけど、岩山の頂に以前見た虹色にコーティングされたように見える銀色のリトルロックゴーレムより小さなロックゴーレムがいた。


手には以前見た赤い玉が握られていて、僕たちに気づいた瞬間その手を上に掲げた。

すると、宝石がうっすらと光だし、そのロックゴーレムの体を包み込んだ。


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