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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン3日目)-
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地図スキルと現在地

洞窟を出た先に広がっている森は、ハニーベアが出てくる東の森とは違って薄暗くはない。

それは葉の間から漏れ込んでくる光だけでなく、周囲にある花や木の実がなっている木のおかげかもしれない。

それでも、木の高さが10m以上あるせいで、見上げると圧迫感があるんだけどね。


うららさんは周囲にモンスターがいないことを確認すると、花や木の実に鑑定をかけながら採取し始めた。

ミヤビちゃんはシロツキとトバリに警戒を任せて手伝うようだ。

全員で採取するとモンスターが来た時に困りだろうから、僕としのぶさんは警戒かな。


「それで、ここはどこなんでしょうか?」

「どこなんでしょうね」


しのぶさんが周囲を見回しながら聞いてきたけど、森だということしかわからない。

洞窟を出た時点で切り替わったみたいで、ミニマップを見てもこの周囲しか表示されていない。

拡大してマップとしては使えないかと思って、視線を向けても反応はなかった。


「ミニマップじゃなくて、全体を確認できる地図はないんですかね?」

「一応地図と呼べるものは持ってますけど、使い物になりませんよ」


そう言ってしのぶさんがアイテムバッグから取り出したのは、とても細長い緑色の皮か何かで装丁された巻物だった。

紐で縛られているので、それを解いて開いてくれたんだけど、広げるとキャンバスを横にしたぐらいの大きさだった。

巻物にするサイズじゃ無いと思うんだけど、職業的なこだわりなのかな。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


しのぶさんが開いた巻物みたいに見える地図を僕の方に向けてくれたんだけど……世界地図だった。


真ん中にメルカトリア王国の島があって、その周囲に海、小さな島がいくつもあって、その先は真っ白だった。

ただ、その真っ白なところに陸地の欠片のようなものがいくつも描かれていた。

これのどこかが僕たちのいる場所なのかもしれない。

メルカトリア・ノースって言うぐらいだからメルカトリア王国からみて北にある欠片なんだと思うけど、それでも候補が複数あった。


「これは……無理ですね……」

「そうなんです!世界地図しか貰えなかったんです!なので掲示板でも探して見たんですけど、地図は手で作るか地図スキルを取るしかないみたいなんです!開拓させたいとはいえ、ちょっと面倒ですよね!」

「確かに、少し面倒ですよね。ちなみに地図スキルってどういうものなんですか?」

「えっとですね、確かミニマップに連動して自動で埋められていく地図ウィンドウが使えるようになります。地図上にはピンを打って吹き出しで色々書き込める上に、レベルが上がれば地図をパーティメンバーで共有したり、紙等に出力できるようになるみたいです」

「へー。あると便利そうなスキルですね」


もっと強くなって、人形の数も増えたら旅をする予定だから取ってもいいかもしれない。

今後も地下を通って別の場所に出ることもあるだろうし、場合によっては水に流されたり、どこかに落ちるかもしれない。

それに、ミニマップと連動しているなら工房の位置がわかるかもしれないから、どの方角へ進むかの指針にもなるし、地図を…共有できるようになれば移動しやすくなるはずだ。

出力は……売るためなのかな?

まぁ、使うかわからないけど、あっても困らないし気にしないでおこう。


「それじゃあ、僕が取りますね」

「え?!他にも使えるスキルはあるはずですよ?!

「いいんです。僕に必要そうなスキルなので。…………ありました。そして、取得完了です」


地図スキルを一覧から探すのに少し手間取ったけど、問題なく取得できた。

消費スキルポイントは1で、使用できるスキルはMP1の『マップオープン』と『マップクローズ』のみ。

スキルのレベル上げ方法を確認すると、マップを埋めていけばオープン時に自動的にレベルが上がるみたいだ。

早速オープンしてみよう。


「マップオープン」


目の前にミニマップより広い範囲が映し出されたウィンドウが表示されていて、ウィンドウの右側にピンのマークにペンや消しゴム、本のマークがあった。

これが便利ツールなんだろうね。


映し出されているマップを見ると、ミニマップと同じ場所以外は全部黒く塗りつぶされていた。

今の縮尺だと行ったことがある場所まで表示できないんだと思う。

そして、視界右下にアナウンスが流れた。


『地図のレベルが3になりました。

ピンの設置可能数が30本になりました。

投影が可能になりました。

マップウィンドウをを開いた状態で『マップ投影』と唱えると、ウィンドウの前面に移している内容が投影されます。』


どうやら今の時点でレベル3相当のマッピングをしていたらしく、一気にレベルが上がった。

これで使えるピンの数が30本になったみたいだけど、レベル×10なんだろうね。

まだ使い方がわかってないから多いのか少ないのかわからないけど。


そして、新しく覚えた投影は今開いているマップを前に投影するものらしいけど、プロジェクターみたいに平面に対して使わないとダメなのかな?

今の状態で使っても意味がないから、現在地がわかったら使ってみよう。

説明がしやすくなるかもしれないからね。


「地図を使っても場所がわからないですね」

「そうですね。縮尺の問題だと思うので色々いじってみますね」


縮尺を操作しようとウィンドウに触れた瞬間、マップウィンドウの上に説明ウィンドウが表示された。

指1本でマップスクロール、2本でタッチして指の開閉をすると拡大縮小、2回連続タッチで現在位置に戻るという簡単な内容だった。


便利ツールはピンはそのままマップに打ち込めて、ピンに対して文字を設定できるらしい。

ペンと消しゴムはマップに直接線が引けたり、消しゴムで消せたりするとい見た目通りの機能だった。


本はピンの一覧やペンで描いた線をある程度ひとかたまりにした一覧、行ったことのある街やダンジョン一覧が表示できて、そこからその場所の地図か、全体マップ上でその場所を表示するか選べるみたい。

街の施設やダンジョンの階層なんかも本から選べるようになってるね。

あとは、ピンに設定した文字の編集や削除なんかもここで行えるらしい。


注意点として、マップはあくまで自動的に更新されるだけで地名とかは記入されないようで、そう行った場所には自分でピンを刺してコメントを入れないとダメみたい。

名前がわからなくても、本から選べばわかるようになってるみたいなので、後でつけることもできそうだ。


他にも初期表示のマップはミニマップが表示されている場所になるので、建物の中に居たらそこが表示されるらしいけど、基本的にその場所のマップを見るだろうから、あまり気にしなくてもいいと思う。

たぶん、売るときや道案内をするときに使うぐらいじゃないかな。


だいたい使い方もわかったので、あとは実際に操作してみよう。

まずは、さっき出てきた木の所にピンを刺して『鍾乳洞と地底湖へ続く穴』と書いた。

一覧を見ても地底湖や鍾乳洞は表示されていなかったからね。


次にどこかマッピングされたところが見つかるまで縮小しようと思って2本の指で摘むように操作すると、思いの外簡単に見つかった。

念のためもう少し縮小すると、今の位置がはっきりと分かった。


「ここは北の鉄鉱山よりも更に北に進んだ所にある北の森です」

「北の森というと、ミヤビちゃんがベタベタになったという所ですよね?」

「はい。面倒な敵が出てくる所なんですけど……」


そういえば洞窟で戦ったストリングバタフライやスプラッシュマッシュや、鍾乳洞で戦ったブルースライムも面倒なモンスターだった。

そういうものかと思っていたけど、北の森の影響を受けていたんだね。


そうなるとこの辺にも面倒なモンスターがいそうだけど……。


「きゅー!」


周囲を見回した直後シロツキが鳴いた。

慌ててシロツキが見ていた方向に目を向けると、ミヤビちゃんとうららさんの頭上に太い枝が降ってきていた。


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