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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン3日目)-
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鍾乳洞

通路はさっきまでいた地底湖より薄暗い。

リトルアイアンゴーレムが出てきた場所ほど暗くはないけど、ランタンを追加して周囲を照らしながら進む。


通路の途中にロックリザードがいたんだけど、どれも単体だったのでダメージを受けることなく倒した。

これを4回繰り返した頃、通路が終わって広場になった。


「水が流れています!」

「小さな池になってます」

「きゅ!」

「キュァ!」


広場の端を水が流れていて、一部の窪んだ場所にミヤビちゃんの言う通り小さな池ができていた。

そして、それを見た瞬間にシロツキとトバリが定位置から飛び上がって池に飛び込む。


2頭が飛び込むということは、モンスターがいないんだろうけど、いきなり飛び込まれるとビックリする。

ミヤビちゃんも驚いたみたいで、池から顔を出しているシロツキ達に注意していた。

2頭にとっては地底湖に飛び込めなかった代わりかもしれないね。


「ここは鍾乳洞でしょうか?」

「そんな感じですね」

「天井や壁を足場にしたら滑りそうです。まぁいざとなれば地走りを使いますけど」


うららさんに言われて周囲を見ると、天井からは鍾乳石が伸びているし、壁は水滴なのかはわからないけど、うっすらと光っている。

しのぶさんはそれを見て足場に適さないと判断したけど、滑るなら地走りを使うらしい。

滑り止め効果もあるんだね。


「お待たせしました!」

「シロツキとトバリは満足した?」

「きゅー!」

「キュ!」


うららさん達と周囲の観察をしていると、水滴を垂らすシロツキとトバリを定位置に乗せたミヤビちゃんが戻ってきた。

そのせいでミヤビちゃんの髪や鎧が濡れてるけど、本人は気にしていないみたいで、うららさんが頰に張り付いた髪を整えているのくすぐったそうにしている。

シロツキ達も満足したみたいだし先に進もう。


「む!何かいます!」


ミヤビちゃんが戻ってきたので探索を続けたんだけど、すぐにしのぶさんがモンスターを見つけた。

だけど、暗いのでその姿は見えない。

微かに何かが這いずるようなズルズルという音が聞こえてくるんだけど、もしかしてゾンビかな。

ゾンビなら何とかなるけど、もしもゾンビだったら他に幽霊系のモンスターがいそうだ。


「スライム……でしょうか?」

「え?……あ、プニおさん……」

「オキナさん?」

「あ、いえ。何でもありません」


しのぶさんがランタンを掲げながら少し先行すると、モンスターの姿が見えるようになった。

その姿はゼロワンさんに人形の操作方法を教えてもらった時に出てきた『キングブルースライムのプニおさん』が体から切り離した個体と同じだった。

ということは、このスライムはブルースライムなのかな?


「鑑定しました。ブルースライムです」


合ってた。

ブルースライムは直径50cmぐらいの球体で、地面に接している部分は落ちて溶け出したアイスのようになっている。

体は名前の通り青色なんだけど、分体の時にはなかったビー玉みたいなものが体内にあるので、そこが弱点なんだと思う。


強さについてだけど、あの時は繰り糸(マリオネット)の練習で分体を操作しただけだからわからない。

スライムといえば物理攻撃が効かなかったり、魔法に弱かったり、服を溶かすイメージがあるんだけど、ブルースライムはどうなんだろう。


「動きが遅いですね。なら、先手で!火遁・(ぎょく)!」


しのぶさんが火の玉をブルースライムに向けて吐いた。

動きが遅いので避けられることなく直撃。

球体部分がブルンブルン震えて苦しんでいるんだけど、ダメージは2割もなかった。

ブルーっていうぐらいだから水属性なのかな。

周囲にも水が多いし。


「次は私が!えいっ!」


今度はミヤビちゃんが槍を突き入れた。

だけど、槍が通る部分だけ器用に穴を開けて欠けた月のような形になって躱された。

元の形に戻ったらプルンプルンと揺れているから、もしかしたら挑発されているのかもしれない。


「糸縛り・雁字搦め《がんじがらめ》!……あ、えっと、ごめんなさい」


次はうららさんが糸を飛ばしたんだけど、ブルースライム体を縛ることはできなかった。

それどころか細切れになって数が増えてしまった。

糸で縛る際に分裂したので、大きいのから小さいのまで沢山いるけど、ビー玉が入っているのは1体だけだ。


繰り糸(マリオネット)


ビー玉が入っているブルースライに向けて1本糸を飛ばしたんだけど、問題なく縛ることができた。

そして、動けなくなったところをラナンキュラスの槍で突くと残りHPが8割ほどあったにも関わらず倒すことができた。

火に耐性があるのか、弱点を突けば簡単に倒せるのかはわからないけど、そこまで強くはないと思う。

変則的な動きや、分裂するのが厄介なぐらいかな。


「動けなくしてから的確に弱点を突く!さすがです!」

「その方が確実なので」

「ビー玉みたいな所が弱点なんですか?」

「そうみたいだね。でも、この先もまだ出てくるだろうから、色々試してみよう」

「わかりました!次は当てられるように頑張ります!」


ミヤビちゃんがいつもの頑張るポーズをとって、気合いを入れる。

他の誰かが注意を引いていれば当てられるんじゃないかな。

どこが顔かわからないけど。


「私は下手に糸を使わない方がよさそうなので、明かりを担当します」

「あー。お願いします。助かります」

「いえいえ。適材適所ですので、戦闘はお任せします」


うららさんは糸を使わずにランタン係になることを選んだ。

他にも攻撃する手段がないか確認したら、糸で縛る以外に針で刺す攻撃もあるみたいなんだけど、威力が低くて牽制にもならないらしい。


この後もブルースライムと戦いながら鍾乳洞を探索した。

何度もブルースライムを倒したおかげで、うららさんの鑑定からもらえる情報が増えたことで、弱点や修正が判明したので倒しやすくなったんだけど、知っているだけなのでその習性を活かした不意打ちには対処できなかった。


弱点は雷属性で、火と水に耐性があり、物理攻撃で体が千切れるとそれが分体となって活動する。

分体はスライムの意思でも増やすことができて、体のサイズに合ったダメージを与えるか、本体のコア破壊すると消える。

索敵対策として分体を重ねて潜み、1つ目を目の前に落として注意を引いた後、2つ目で相手の真上に落ちてくる戦法や、水中に溶け込んで襲うこともあって、頭上は僕とうららさんが、水中からはしのぶさんとミヤビちゃんがやられた。


なんだかんだで20匹以上のブルースライムを倒したんだけど、やっぱり習性が面倒なだけで強くはなかった。

ダメージも張り付かれているところからジワジワ減るだけだったので、小さな分体に気づかずにHP減って焦ったぐらいだ。

それも、ポーションで回復する速度より遅かったので、落ち着いて探すことができた。


鍾乳洞では鍾乳石と綺麗な水が手に入ったぐらいで、あとはブルースライムがいるだけだった。

念のため壁側を進みながら注意して周りを調べたりしたんだけど、足元を流れる水場からブルースライムに襲われるぐらいで何もなかった。


ロックリザードより倒しやすいし、結構な速度で復活するからレベル上げにいいかもしれない。

探索が終わって行く場所がなかったら戻ってこようかな。

そんなことを考えながら進んでいると、先行していたしのぶさんが何か見つけたみたいだ。


「通路を見つけました。他に道はなかったので進むしかないです」

「そうですね。行きましょう」


しのぶさんが見つけた通路は、緩やかな上り坂だった。

このまま進むと外に出るのかもしれない。

ゴーレム坑道へ行く別の道だとしたら、もしかしたら守護者との戦いがあるかもしれない。

気を引き締めて進もう。


W3のスライムは特性もりもりで強敵です。


気づかれていなければコアを攻撃しても避けられませんが、接近戦では分裂させまくってコアを追い詰める必要があります。


オキナは糸で動きを止められるので簡単に倒せています。


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