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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン3日目)-
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岩トカゲ改めロックリザード

「うわぁ!すごく綺麗です!」

「きゅー!」

「キュキュ!」


遠くに見える地底湖と、そこに落ちる滝を見てミヤビちゃんとシロツキ達が興奮している。

ミヤビちゃんは飛び跳ねそうな勢いだし、シロツキ達は実際に飛んで、ミヤビちゃんの上を旋回している。


「これは……すごいですね……」

「はい。フルレイドボスがいると知らなければ近づいてしまうのも無理はないです」


うららさんとしのぶさんもこの光景を気に入ってくれたみたい。

みんなの反応を見るとここに来てよかったと思うけど、僕の目からみる地底湖は『綺麗なバラには棘がある』状態で、近づきたいとは思えない。

いつか強くなったらリベンジしたい。


「それで、オキナさんの仰ってた岩トカゲというのはあのモンスターですね?」

「そうです。そこの岩場にもいますし、向こうの段になっているところだと密集しています」


うららさんが鑑定を使うために岩トカゲの確認をしてきた。

近くの岩場では2、3匹の集まりがいくつかあり、地底湖の近にある段になっているところには20匹くらいの集団がいる。

どれか1匹に攻撃しただけで、全員が襲いかかって来そうだ。


「鑑定しました。ロックリザードという名前ですね」

「そのままですね」

「はい。わかりやすくていいと思います」


鑑定も済んだところで作戦会議だ。

以前戦った時の情報を伝えた後、岩場にいるロックリザードを倒して、余裕があるなら段になっているところのロックリザードも倒して、その先を調べる。

もしかしたら段の上に別の道があるかもしれないし。


「ロックリザードは口が弱点です。魔法を口に当てた時は大ダメージでした。あと、糸で縛るのは1本でしたが少し時間がかかってました。たぶん、2本だとすぐに縛れます」

「ということはリトルロックゴーレム以上、ロックゴーレム以下ということですか?」

「しのぶさんのいう通りだと思うんですが、糸とハピネス達を使っているせいで強さがあまりわからないんですよね……。判断はしのぶさん達にお任せします。それで、攻撃方法ですが噛みつきと前足の引っ掻き、後は尻尾によるなぎ払いだったはずです」

「硬い体を活かして接近してくるのですね」

「そうなんだと思います」


僕は魔法で戦ってるからそこまで苦戦しなかったけど、しのぶさんとミヤビちゃんがどうなるかだね。

しのぶさんは苦無だから口を攻撃するのも難しいと思う。そうなると火力不足になりそうだ。


ミヤビちゃんは槍だから口は攻撃しやすいだろうし、螺旋槍があるから攻撃は問題ないと思う。

だけど、囲まれたら対処できなくなるんじゃないかな。

数が多ければ口を狙う余裕はなくなり、螺旋槍はスキル使用後の硬直がある。

シロツキが間に合わなかったら攻撃を受けるしかないからね。


「うららさんは1度縛ってみてもらえますか?もしかしたら縛れるかもしれません」

「わかりました。もし無理だったら、その時は先ほどのしのぶさんを援護する糸を張りますね」

「はい。お願いします」


1本の繰り糸(マリオネット)でも時間はかかるけど縛れるから、もしかしたらうららさんの糸でも縛れるかもしれない。

糸の性能によるんだろうけど、うららさんが使う糸はロックゴーレムの初動を阻害できた糸だからもしかするかもしれない。


「それでは、すぐそこのロックリザードと戦ってみましょう」

「はい!」

「わかりました!」

「がんばります」


近くの岩場に3匹のロックリザードがいたので、戦うことにした。

僕はサポートに回るつもりなので、倒すのはしのぶさんとミヤビちゃんに任せようと思う。


繰り糸(マリオネット)


ロックリザードはこっちに気づいていなかったので、先制で2体に糸を飛ばした。

体感だけど、前に縛った時よりも光の覆う速度が速くなっている気がする。

レベルが上がってステータスが増えたからかな。


「こっちに向かってきている1匹をお願いします!」

「「はい!」」

「糸縛り・雁字搦め(がんじがらめ)!」


2匹を縛ったことで残りの1匹が向かってきた。

しのぶさんとミヤビちゃんが駆け出し、うららさんが糸を放つ。

その糸はロックリザードの体を縛ることには成功したんだけど、口も縛ってしまったので口の中を攻撃することができなくなっていた。


それでも、剥き出しになっているところをしのぶさんとミヤビちゃんが攻撃したので、少し時間がかかったけど倒すことができた。

雁字搦め《がんじがらめ》は対象の全身を縛る技らしいので、次からは単発の糸縛りで縛る箇所を選ぶということになった。


「1匹解除しますね!」

「お願いします。……糸縛り」

「グギャ!」

「えい!」

「はっ!」


戦いやすいように繰り糸(マリオネット)で縛っていたロックリザードの片方の糸を解除する。

直後にうららさんが糸を放ち、前足を合わせるように縛られたので転倒した。

そして、その隙を逃さないように口を攻撃するミヤビちゃんとしのぶさん。

ロックリザードを瞬殺することができた。

これなら、数が少なければ僕が縛らなくても大丈夫そうだ。


残り1匹はうららさんの糸なしで戦ってみたんだけど、特に問題はなかった。

しのぶさんが体表を攻撃して注意を引き、ミヤビちゃんが口を攻撃して大ダメージを与える。

そして、HPが半分を切ったところで螺旋槍を使ってトドメを刺すという戦い方だった。


「問題なさそうですね」

「そうですね」

「お姉ちゃんとオキナさんのおかげで落ち着いて戦えました!」

「モンスターが複数いるのに1匹ずつ戦えるのは大きいです」

「ありがとうございます。それじゃあ、もう少し倒してから向こうの密集しているところに行ってみましょうか」

「はい!」

「了解です!」


しのぶさんの言う通り複数のモンスターに囲まれても、繰り糸(マリオネット)とうららさんの糸で縛ることで、戦うモンスターを減らせるのは大きい。

数の強みを減らせるし、縛れないモンスターが紛れていたとしても、縛れるモンスターを動けなくすれば落ち着いて戦えるからね。


しばらく岩場を巡ってロックリザードを22匹倒した。

途中、あえて僕とうららさんの糸を無しにして戦ったりもしたんだけど、その時は数に押されてしのぶさんとミヤビちゃんが攻撃を受けてしまった。

しのぶさんの場合は跳ねるための足場がなかったのも大きい。

受けたダメージはロックゴーレムよりも少ないみたいなので問題はなかったんだけど、改めて糸の便利さを思い知った。


「次はあっちですよね?」

「そうですね。もしも、どこかに道があるとしたらあそこだと思います」


しのぶさんがロックリザード密集地帯になっている段のところを指差しながら聞いてきた。

以前来た時に段のところ以外を軽く見て回ったけど、リトルロックゴーレムが通れる小さなトンネルしか見つけられていないし、そこはロックゴーレムが沢山いたところと繋がっているのは確認している。

なので、どこかに続いているとしたらロックリザード密集地帯になると思ってる。


「結構湖が近いですけど大丈夫でしょうか?」

「湖に何かしなければ問題ないと信じています。前は水中に糸を放ったりしていたので……」

「な、なるほど。湖には気をつけます」


湖に近づかないように気をつけながらロックリザード密集地帯に向かった。

密集地帯はゴーレム坑道からロックゴーレムが岩を掘っていたところに降りるための段に似ているけど、1段あたりが低く、段の数が多い。

25段ぐらいあるように見える。


段のあるところは湖に近く、その湖付近にもロックリザードはいる。

だけど、湖には近づきたくないので、戦うとしたら離れているロックリザードを攻撃しておびき寄せてからかな。


そう思いながら近づいていくと、ロックリザード側の水面が盛り上がった。


「キュアアアアア!!!」


盛り上がった所から長い首が出てきて、湖の近くにいたロックリザードに噛み付いて水中に戻って行った。


「あ、あれがフルレイドボスですか?」

「そ、そうです」


しのぶさんの問いかけに答えるのがやっとだった。


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