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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン3日目)-
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裁縫の可能性

2017/08/13 23:48 能力入力で入力したスキルを使っても経験値が入るという記述に修正しました。


路地裏から出ると、既にミヤビちゃんとうららさんがいた。

どうやらミヤビちゃんが連絡してくれたみたいだ。

シロツキとトバリはちゃんと定位置にいるし、ビビッドカラーのスカーフが追加されていた。

シロツキは青いスカーフで、トバリは赤いスカーフだ。


「おはようございます」

「おはようございます!」

「おはようございます。オキナさんどこから出てきてるんですか?」

「工房に行ってました」


ミヤビちゃんは、なぜかいつもよりちょっとテンションが高いけど、どうしたんだろう。

うららさんと冒険に出れるからかな。

服の裾を掴んでるし。


その裾を掴まれたうららさんには、路地裏から出てきた理由を聞かれたので答えた。

待ち合わせ場所に路地裏から来たらちょっと気になるよね。大通りを通らない特別な理由は思いつかないけど、クエストで猫探しとかがあれば路地裏に入りそう。


「そうなんですね。あ、メッセージでもお知らせした昨日作成した物についてですが、しのぶさんが合流したらお見せしますね」

「わかりました。楽しみにしてます」


ゼロツーさんと話しながら刺繍してた件かな。

それとも、その後に何か特別なレシピを教えてもらったのかもしれない。


「おはようございます!まだ時間に余裕はありますけどみなさん早いですね!」


うららさんの作った物を考えているとしのぶさんがやってきた。

大きな声を出しながら走ってる姿からは忍んでる感じが全くしないんだけど、忍者として大丈夫なのかな。

いや、まあ、戦闘中はしっかりしてるんだけどね。


「お、おはようございます」

「おはようございます。しのぶさん」

「おはようございます。しのぶさんも来たことですし、こちらをどうぞ」


うららさんが僕としのぶさんに白い布を渡してきた。

広げてみると赤い糸で幾何学模様が描かれている。

何だろうこれ。

横を見るとしのぶさんも同じように首を傾げている。


「そちらは魔法陣を刺繍した布です」

「魔法陣ですか?」


魔法陣で思い浮かぶのは、魔法を使うための模様だ。

今持ってる布に縫われた模様がそうらしいけど、アザレアで魔法を使う時には何も出てないんだよね。

確か、ミーシャちゃんやテンペストバード戦で魔法を使ってた人達は、空中に模様を出してた気がするけど、よく見てないから覚えてない。


「そうです。魔法使いの方が魔法を使う際に発生する魔法陣を糸で縫いつけた物で、適した魔力を流せば誰でも縫いつけた魔法が使えます」

「適した魔力?」

「作る上で色々と条件があるんですけど、今お二人に渡したのは赤い糸なので、火の魔力が必要になります。と言っても火属性の魔法やスキルを覚えていれば、あとは魔力を流すだけなんですけどね」


この布に縫いつけられた魔法陣使うためには、火の魔力が必要で、そのためには火属性のスキルを覚えないとダメということだ。

火属性のスキルが何に該当するのかわからないけど、少なくとも通常魔法使用不可の職業特性がある僕には、使えそうにない。

武器装備不可もあるから、武器スキルも使えないし。


「私は火遁があるので使えそうです」

「僕は職業特性に通常魔法使用不可と武器装備不可があるので無理ですね」

「えぇ?!オキナさんそんな職業特性があったんですか!」

「はい。なので、僕の代わりにハピネス達武器を持って戦うんです」


そういえばしのぶさんには特性の話をしてなかった。

今の所問題なく戦えてるけど、こういった特殊な条件が必要なものは使えないのは厄介だ。

他の人は服に魔法陣を仕込んで戦えるのに、僕だけ使えないとしたら、いざという時の手札が減ることになるからね。


「オキナさんの職業特性に絡む話ですけど、オキナさんも魔法系のスキルや武器系のスキルは取れるそうですよ。なので、取得した状態で魔力を流すだけで大丈夫です。あと、ゼロツーさん曰くスキルを育てる方法もあるらしいです。私には教えてくれませんでしたけど」

「え?そうなんですか?…………確かに使えないだけでスキルを取ることは可能みたいですね」


うららさんに言われてスキル取得画面を開くと、武器系のカテゴリや魔法系のカテゴリを開けるし、文字も白くなってるから取得可能だった。

スキルスロットが埋まってたからスキル取得画面を開くことがなかった上に、自分で取得した衣装替え(ドレスチェンジ)は生産系スキルだから、武器系や魔法系のスキルが取れることは知らなかった。


後は育て方だけど、能力入力(スキルインプット)だね。

確か、入力したスキルを使っても経験値は入るはず。

もしかしたら他の方法があるかもしれないけど。

念のためゼロツーさんには確認しておこう。


例えば能力入力(スキルインプット)で入力したスキルは経験値が少ししか入らなくて、レベルが上がると効率的に経験値を取得できる何かが増えるかもしれないし。

入力できる数が増える以外にはこういうのしか思いつかない。


「他にも適した魔力を持った布に縫えば、持ち主がその魔力を持ってなくても使えるそうなんですけど、そんな布は知らないので、今は作れません」

「なるほどー!ちなみに、これはどうやって使うんですか?!」


適した魔力がなくても使うことは可能みたいだけど、その素材がないらしい。

ただ、今の時点で使えるしのぶさんは使い方が聞きたくて仕方がないみたいで、うららさんに詰め寄っていた。


「えっとですね、魔力を流せば使えるそうです」

「はい。それで、その魔力の流し方を教えてください!」

「そのですね……ごめんなさい。わかりません」


うららさんが謝りながら頭を下げた。

使い方がわからないらしい。

ゼロツーさんから縫う技術は教えてもらったけど、使い方は教えて貰えなかったみたいだ。


「つまり、どういうことでしょうか?」

「はい。昨日オキナさんに連れて行ってもらった工房で、ゼロツーさんに刺繍魔法という技術を教えてもらいました。それがこれなんです」

「刺繍魔法……。魔法で刺繍をするんじゃなくて、刺繍で魔法を使うんですね」

「そうです。ちなみにこれはファイアボールの魔法陣で、強い魔法ほど魔法陣が大きくなるので、必要な布も大きくなります」


渡された布はハンドタオルぐらいの大きさだった。

1番最初の魔法でこの大きさだと、ストームとかになったらどれぐらいの布が必要なんだろう。


スキルLv10で使えるようになる魔法になると、船の帆よりも大きい布が必要になったりするのかな。

そうなると、それを縫うのも大変だけど、船を使う人達には需要がありそうだ。


近接戦闘系の人達もマントに縫い付ければ使えるだろうし、何も攻撃系の魔法じゃなくて、自己強化系の魔法陣を縫い付ければいいよね。

強敵と戦う時だけマントに魔力を流して強化。

使う時は光るのかな。

だとしたらちょっと格好いいかもしれない。

今の所使い方がわかってないからできないけどね。


「オキナさんは魔力を流す方法に心当たりはありませんか?」

「あー。僕の繰り糸(マリオネット)は糸を使って魔力を流すことができるけど、これは職業専用スキルだからしのぶさんには使えないですね」


しのぶさんに聞かれたけど、僕が思いつくのは繰り糸(マリオネット)だけだ。

ゼロツーさんが僕を強化するためにうららさんに教えたとするなら僕専用の技術になるけど、誰でもって教えてもらってるなら別の方法があるんだと思う。

思いつくのは魔力操作とか、魔力注入とかだけど、そういうスキルがあるのかも知らない。

僕が使うぶんには繰り糸(マリオネット)で良さそうだから、スキル一覧から探すつもりはないけど、ゼロツーさんには聞いてみよう。


「そうですか……。何か使うために必要なスキルがあるんでしょうか?」

「あるかもしれないですね。また工房に行った時にゼロツーさんに確認しておきます」

「お願いします!」

「私からもお願いします」


しのぶさんとうららさんにお願いされたので、ヌシ釣りの森にマサムネちゃんやミーシャちゃんがいれば、工房に行くかもしれないからその時かな。

いなかったら別の日になるかもしれないど。


「そういえばシロツキとトバリのスカーフには魔法陣が縫われてるんですか?」

「はい。縫ってますよ。シロツキちゃんにはライトランス、トバリちゃんにはダークランスです」

「布はそこまで大きくない気がするんですけど、縫えるんですね」

「はい。布は表と裏があります。やろうと思えば折りたたんだ布の中も使うこともできるみたいですけど、折り目に気をつけないとダメだそうです」


シロツキとトバリは体が小さいので、バンダナぐらい布を使っている。

これにランスは縫えるらしいけど、近づいてみると確かに裏から表に糸が続いていた。

それに、うららさんの言う通り、ポケットのような折り返しのある布を使えば、たくさん縫った上でコンパクトに仕上げることもできそうだ。


「あのー。今更なんですけど、その2頭の竜がミヤビちゃんの竜なんですよね?」

「は、はい。そうです。シロツキちゃんとトバリちゃんです」


しのぶさんの質問に、少し詰まりながらも答えるミヤビちゃん。

名前を呼ぶ時はそれぞれを撫でながらだったので、しのぶさんにもわかりやすかったと思う。


「シロツキちゃん、トバリちゃん。私はしのぶです。よろしくね」

「きゅ!」

「キュー!」


しのぶさんが挨拶すると、それぞれ前足をあげながら鳴いた。

挨拶を返したみたいだね。


「ちなみに、シロツキちゃんとトバリちゃんは、布の魔法陣は使えるんですか?」

「はい!使えます!」


ミヤビちゃんが胸を張って言った。

しのぶさんはキラキラとした目でシロツキ達を見てるんだど、シロツキ達が使えてもしのぶさんが使えるきっかけになるのかな。

意思疎通できれば別かもしれないけどね。


ただ服を縫うだけが裁縫じゃないんです。

刺繍には未来があります。


ちなみに既に魔力を通すと赤く光る服がありますね。

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