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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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対戦のルール決め

前話の予約投稿日を間違えていたため、昨日18時過ぎに投稿しています。

前話をご覧になられていないからはご注意ください。

用事があるって言ったマサムネちゃんと別れて湖へ戻ろうとしたら、マサムネちゃんから対戦が申し込まれた。

これってプレイヤー同士が戦うやつで、ミニゲームの結果が良い方が勝ちとかじゃないよね?


「えっと、どういうことかな?」

「消化不良なので協力してください!」

「いや、それだけだとよくわからないんだけど……もしかしてラナンキュラスと戦えなかったから?」

「はい!オキナさんの責任です!よろしくお願いします!」

「え?!嫌だよ!」


しらたまに乗ったままマサムネちゃんが頭を下げてきたんだけど、ウィンドウに表示されていた「受けない」ボタンを押した。

マサムネちゃんと戦うとボコボコにされそうだし、戦ってる時のマサムネちゃんは怖い。


黒髪の見た目だけ美人が刀を抜いて迫って来て、気合の掛け声と共に鋭く切りつけてきたり、投げ技や打撃技も使ってくる。

その時の表情が笑顔な上に、盛り上がってくると声をあげて笑うんだ。

とても楽そうに……。


「なんで拒否するんですか!」


もう一度対戦が申し込まれたので拒否した。

するとまた申し込まれた。

これは受けるまで引き下がらないパターンだね。


「はぁ……。わかった、受ける。けど、対戦をしたことがないから複雑なルールは嫌だよ」

「ありがとうございます!では、時間無制限のデスマッチ。スキル、アイテムの制限なし。ギブアップなし。フィールド無制限でどうでしょうか!」


渋々『受ける』ボタンを押すと、対戦ルール画面に切り替わった。

勝利条件や制限時間、アイテムやスキルの有無等のマサムネちゃんがパパッと決めたこと以外にも、参加人数や消耗した武具やアイテムを開始時に戻すかどうかとか、何か賭ける場所もあった。


それにしてもデスマッチってことはどちらかが力尽きるまでだよね。

しかも、ギブアップなし。

痛めつけられる予感しかないんだけど……。


アイテムありなのはハピネス達のためだと思う。

消耗したアイテムは開始時に戻る設定だから、壊れたとしても大丈夫なんだろうけど、一応確認しておこうくべきかな。


「デスマッチとギブアップなしはマサムネちゃんらしいよね……。それで、少し気になってるんだけど、このスキルとアイテムが使用できるのは人形のためだよね?」

「そうですね。ただ、私もテイムモンスターを使いますし、戦闘用のスキルも使います。それに、何と言っても全力で戦いたいじゃないですか!」


すごくキラキラした笑顔でこっちを見てくるんだけど、僕は対人戦を積極的にするつもりはないから共感できない。

それに1vs1を選ばなかったのはテイムモンスターのためなんだね。

選ばれているのは6vs6だから、テイムモンスターで5枠を埋めるのかもしれない。

そうなるとハピネス、クローバー、アザレア、ラナンキュラス、僕で5枠分しかないんだけど腕を振り回すしかないかな。

ハピネス達はパーティの枠を使わないから、実質マサムネちゃんとテイムモンスターvs僕になるんだけど。


「あとは消耗品管理が『戦闘前に戻す』になってるけど、これって戦闘中に使ったアイテムが元の状態に戻るんだよね?」

「そうです!装備品の耐久値だけじゃなく、ポーションや毒薬、投げた石の数まで戻ります!」

「ということはハピネス達の耐久値も元に戻るのか……」


対戦は人形操作の練習に使えそうだね。

そのために誰かに挑むつもりはないし、毎回マサムネちゃんは嫌だから積極的にやるつもりはないけど、挑まれたら受けてもいいかもしれない。

ただ、ルールはしっかり確認しないとダメだけど。


「そうですね!もちろんそれがONになったからといって対戦成績に反映されないなんてことはありません!」

「対戦成績?そんなのがあるんだ」

「はい。対戦を1回でもやればステータスに表示される対戦の結果です。ちなみに私は35戦35勝です!あ、PKを倒した数はこれに含まれてないので少ないです……。だから、実際にはもっと戦ってますよ?」

「そ、そうなんだ……」


何故か戦績が少ないことで恥ずかしそうにしてるんだけど、恥ずかしがる成績じゃないと思う。

35勝も少なくないんだけど、マサムネちゃんが恥ずかしがる理由がわからない。

倒したPKの数を合わせるとどれだけの数になるのかは聞きたくない。

聞いたら対戦したくなくなりそうだし。


「あとはそうですねぇ……。消耗品管理が『戦闘前に戻す』の場合賭けができないぐらいですね。消耗品が戦闘前に戻ると何度も挑む人が出てきますし」

「なるほど。まぁ僕が対戦する場合戦闘前に戻すのは必須だから、賭けは関係ないよ」

「あー。オキナさんの場合そうなりますね」


対戦のルールは双方の合意が必要みたいだから、気に食わなければ拒否できる。

最悪ブラックリストに入れれば解決するし、執拗に賭けありの対戦を申し込んできたら問答無用で登録するよ。


「確認はこれぐらいでいいですか?」

「うん。あんまりやりたくないけど……」

「私はワクワクが止まりません!オキナさんは格闘技をしてないので今まで組手すらしてもらえませんでしたから!やっと戦えます!」


それって僕を痛めつけたいってこと?

ナックルとはよく組手をしてるって聞いてたけど、まさか僕も標的にされていたとは思ってなかった。

現実では絶対にできないからマサムネちゃんが喜ぶのもわかるんだけど、気分は複雑だ。


「始める前に人形の準備をお願いします。私もみんなを呼ぶので。いちご!チョコ!こっちにおいで!」


マサムネちゃんがテイムモンスターの名前らしきものを呼んだら、赤い鳥が上から飛んできて、茶色い猿が森の中から出てきた。

赤い鳥は初めて見るからどういうモンスターかわからないけど、茶色い猿はイタズラモンキーを少し大きくして色を変えただけに見える。

呼んだらすぐに来たってことは、近くにいたんだろうけど何をしてたんだろう。

単体で戦わせてレベル上げかな。


というか狼と猿と鳥って、マサムネちゃんは桃太郎なの?

ナックルは鬼を連れてるし、ナックルvsマサムネちゃんで好きなだけ戦っていればいいと思うんだけど、言っても現実で戦えるからやらないとか言われそうだね。


人形の館(ドールハウス)、ハピネス、クローバー、アザレア来い」


マサムネちゃんがテイムモンスターを呼んだので、こっちもハピネス達を出す。

鉄の腕はまだ出さないでおく。

まずはマサムネちゃんの出方を見ないといけないから、腕を振り回すのは後回しだ。


「マサムネちゃんの方は3体でいいの?確か、しらたまの子供でだいふくって名前の白い狼もいなかった?」

「対戦に出せるレベルなのはこの子達だけなんです。だから、だいふくは継続してレベル上げをさせます」

「今もレベル上げ中?」

「はい。すごく遠くまでは無理ですけど、ある程度自由にさせれるのがテイマー系の強みです。サモナーは自分の近くだけですし」


しらたまがレベル上げ中ってことは、いちごとチョコもさっきまでレベル上げをしてたんだと思う。

勝手に戦ってレベル上げをしてくれるのはすごいと思うんだけど、プレイヤーに襲われたりしないのかな。

しらたま達は足に輪っかが付いてるからそれで判別できるのかもしれないけど。


「それじゃあそろそろやりましょうか。ルール選択画面で双方合意したら10秒後に開始です」


マサムネちゃんが抜いてた刀を鞘に戻してしらたまから降り、決定ボタンを押した。

そして、左足を下げて抜刀の構えをとった。


「お手柔らかにお願いするよ。繰り糸(マリオネット)


決定ボタンを押す前に糸を接続した。

向こうは自分の意思で戦うテイムモンスターが3体何だから、こっちもすぐに戦える状態にしてもいいよね。

マサムネちゃんも何も言ってこないし。


『双方のパーティリーダーが同意しました。対戦を開始します。10、9、8、7、6』


決定ボタンを押したらアナウンスと共に空中に文字が表示された。


『5、4、3、2、1』


真剣な顔で構えてたマサムネちゃんがニヤリと笑った。

マサムネちゃんの試合を今まで見てきたからわかる。

いきなりトップギアだ。


『fight!』


初めての対戦が始まった。


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