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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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おいでよ!ヌシ釣りの森!

冒険者協会でリトルロックゴーレム20体討伐のクエストを報告して3000ゴールド貰った。

今は東の森改め『おいでよ!ヌシ釣りの森』が対象のクエストを物色しているんだけど、『おいでよ!』が邪魔だよね。

『ヌシ釣りの森』だけでいいと思う。


メルカトリア人は律儀に言うけど、プレイヤーは『ヌシ釣りの森』って言ってるし、それで通じてるみたいだから僕もそう呼ぶことにした。


討伐系のクエストは前と変わってないけど、忍者に荷物を届けるとかの1回だけっぽいクエストはなかった。

誰かがクリアしたんだろうね。


今のところ湖まで行くだけの予定なのでクエストは何も受けなかった。

欲しい素材は木だからモンスターと戦う必要はないし、クエストを受けてまで戦いたいわけじゃない。

職業クエストは腕を使って後19体倒せば終わるから、ブラウンラビットでやるつもりだ。

無理してステップボアとかでやる必要はない。


東の門を出て畑の横を通って草原に出た。

職業クエストのために鉄の腕を出そうとしたらアイテムバッグに無かった。

あるのはカシンの右腕だけ。


もしかして首長竜に壊された?

死に戻りのペナルティもないし、死んだ時点で5m以上は離れてる。

それでもないってことは壊されたんだと思う。

残骸が入っていればわかりやすいのに……。


仕方がないからカシンの腕を取り出した。

ブラウンラビット相手ならこれでいいけど、ステップボアとかロックゴーレム相手だと心許ない。

まだインゴットはあったからそれで作ろう。

消費したインゴットは貯まった鉄鉱石で作ってもらえばいいからね。

その為には作ってくれる人を探す必要があるがあるけど。


繰り糸(マリオネット)


カシンの腕に糸を付けて回転させる。

この状態だといつでも投げれるんだけど、できれば近くに飛び出してきてほしい。

その時は糸を伸ばさずにこのまま殴れるし。


ヌシ釣りの森に着くまでに、ブラウンラビットを8匹倒すことができた。

エリア解放メッセージを見て向かってるプレイヤーが多いみたいで、北の鉄鉱山への道同様ブラウンラビットが狩られていたから数が少ない。


ただ、森の素材が欲しくないのかなんなのかはわからないけど、北の鉄鉱山と街の間ほど人はいなかった。

1/3ぐらいかな。

それでもブラウンラビットを殲滅するには十分な人数なんだけどね。


ヌシ釣りの森入り口から湖へと続く道は、相変わらずモンスターが出ない。

周囲の木の根元に小さなキノコが生えているのと、草や木が生き生きとしてる程度の変化しかない。

それでも、安らぎを感じるいい雰囲気だ。


「えぇ……」


モンスターが出ない道を進んでいくと湖のある開けた場所に出たんだけど、たった1日ですごく変わってた。

エリア開放されたから人が多いのはわかるんだけど、ログハウスが3つ、桟橋とそれに繋留された8人ぐらい乗れそうな手漕ぎボートが1隻。

湖の周りには釣り人用の椅子らしきものが6脚。


少し離れて四角いテーブルと椅子4脚のセットが2つ。

丸机バージョンも合わせたら4セットある。

机の真ん中には円形の穴が空にはパラソルを刺しそう。

1日で作りすぎだと思うけど、これもスキルのおかげなんだろうね。


ログハウスの横には小さな畑と花畑ができていて、何人かが畑の世話をしているし、そこからさらに森に近づくと、樵が採ってきた木を木工職人が加工していた。


「ようこそ!ヌシ釣りの森へ!……あれ?オキナさん?」

「え?あ、ミーシャちゃん」


たっち1日の変わりように驚いていると、白い狼らしき生き物を5頭連れたミーシャちゃんに声をかけられた。

迎えられたからここの関係者っぽいけど、『おいでよ!ヌシ釣りの森へ』とは言わないんだ。


「マサムネちゃんは狩に出てますけど、もしかしてヌシに挑戦しにきたんですか?」

「いや、ヌシと戦うつもりはないよ。開放されたってメッセージが来たから、何となく見に来ただけ」

「そうなんですか。じゃあ簡単に説明しますね。ログハウスでは宿泊と食事が楽しめます。もちろんお金は貰いますよ」


畑で育てた野菜や、周辺の動物の肉、湖で取れる魚が食べれそうだ。

湖の周りには木が無いから、夜に来たら満天の星空と水の音、木や土の香りに包まれそうだから、癒しを求めて来るのもいいかもしれない。


「湖の周りでは椅子に座って釣りを楽しめます。道具や餌がない場合レンタルできますが、これも有料です。持ち逃げしたらマサムネちゃんが地の果てまで追っていくので注意してください」


マサムネちゃんが戦闘担当なのはわかるけど、そんな使い方をされてるなんて……。

しらたまに乗って刀を振り回しながら追いかけて来るマサムネちゃん。

追い抜きざまにクリティカルで首を切られそうだ。


「桟橋から乗れるボートで湖の真ん中で釣りをすることもできます。ただ、ヌシとの戦闘エリアでは釣りができません」

「戦闘中は入れないからね」


アイアンゴーレムの時は戦闘エリアの向こう側に行けたけど、ボートごと行けるのかな?

人だけ移動しそうだし、もしそうなったら湖にドボンだ。


「それもあるんですけど、間違えてヌシを釣り上げないようにするためですね。ヌシを釣り上げるための条件もよくわかってないので、釣り上げてしまう可能性があるんです」


普通に釣りを楽しみたいのにヌシを釣り上げて戦闘になるのは嫌だね。

しかも、湖の守護者だからアイアンゴーレム基準で考えると1パーティの可能性がある。

ボートに乗ってる全員がパーティじゃなかったらどうなるんだろう。

弾かれてドボンかな。

釣り上げた後地上で戦うならそっちに移動させられるかもしれないけど。


「ヌシとは湖の上で戦うの?」

「HPバーが2本あるんですけど最初は地上です。大きなヒレを足のように使って移動します。それで、HPバーが1本になると水中に移動します。水中で戦うか釣り上げる必要があります」

「すごく面倒なモンスターだね……」


水中で戦うのも釣り上げるのも手間がかかりそう。

アイアンゴーレムは攻撃手段が変わってたから、水中ならではの攻撃もあるんだと思う。

元から戦うつもりはなかったけど、今は戦いを拒否するぐらいになった。


「ここには釣り人が多くくるので釣り上げて倒しましたけど、メッセージを見て来た人達は水中で戦ってますね。今も水中戦の真っ只中です」


ミーシャちゃんが指をさした先には湖から立ち上る水柱があった。

水柱の周囲に人影が見えたから、ヌシの攻撃で跳ねあげられた人達だと思う。

その人達はそのまま湖に戻っていった。

水飛沫を上げて。


「あんな感じです。次は湖の近くの机です。机でも食事ができますが、パラソルが出来てないので日光の下で食べてもらうことになります。ただ、ヌシ戦を見ながら食事ができるので、今後人気になると思います」

「な、なるほど」


今も食事の乗ったトレーを持った人達が机に向かっていた。

視線は水中戦を繰り広げているヌシの方へ向いてる。

僕もヌシ戦を肴に食事しようかな。


「次は畑ですね。できた作物を売るつもりなんですけど、畑はまだ狭いので売るほどの数がありません。花畑もあるんですけど今は1種類しかないんです」

「へー」


花が1種類しかないんだ。

うららさんに全部渡しちゃったけど、あの花が生えてる場所を教えてあげたら品数が増えそうだけど、教えたほうがいいのかな。

聞かれたら答える程度でいいか。


「後は木工所ですね。まだ建物は作り始めてませんが樵の皆さんが木を切ってきて、木工職人が製品にして、それを売り出すつもりです」

「木を売ってもらうこともできるの?」

「多分大丈夫だと思いますけど……確約はできないです」

「わかった。木工の人に聞いてみるよ」

「お願いします。木工の人達は基本的にはあそこで作業してます」


木を削ったり、何かを組み立てている人達を指差す。

最初に見回した時に見えた人達だ。


「うん。ありがとう」

「はい。それでは」


ミーシャちゃんは白い狼らしき生き物を引き連れて湖の方へ歩いていった。

宣言通りもふもふを集めることができて楽しそうだ。


それにしてもここはいい場所だね。

僕とミヤビちゃんが開放したところだと鉄鉱石が手に入る程度だからね。

あとツルハシ。


しかも、開放した先には首長竜がいるし……。

もしかするとこの森の奥深くにフルレイドボスがいるのかもしれないけど。


とりあえず木工の人に木を売ってもらえるか話を聞いてから街へ帰ろう。


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