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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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釣り?

リトルロックゴーレムと岩トカゲが戦ってくれたおかげで地底湖まで簡単に来ることができた。

まぁ、途中の道はリトルロックゴーレムが自爆したせいでボコボコだった。

しかも、所々に石の陰に隠れて鉄鉱石が落ちてた。

発破で壁を壊せば鉱石が手に入るのかもしれないけど、発破ってスキルなのか、道具があればできるのかがよくわからない。

もしかしたら両方かもしれないけど。


歩きづらくなった道を進んで地底湖までたどり着いた。

僕は滝のほぼ正面にいるんだけど、地底湖の淵は砂じゃないけど入り江のようにしばらく浅い場所が続いていて、急に崖になっていた。

浅いところには小さな魚やキラキラした石、水草が生えている。

深くなってるところは、ここからじゃ見えないから、調べるとしたら中に入る必要があるんだけど、テンペストバードと戦ってる時の嵐で服が水を吸ったから、装備を外さずに入るとびしょ濡れになる。


かといって服を脱いだ状態で、水中にいるモンスターに攻撃されると一撃で死ぬと思う。

モンスターがいるかどうかはわかってないけど、多分いる。

ただ、装備をつけててもロックゴーレムの攻撃でほぼ即死だったんだから、装備の有無に関係なく倒されるかもしれない。


掲示板の情報だと死に戻るとアイテムバッグの中身から一部消失。

お金が半減して、一定時間ステータスが低下するらしいんだけど、対象はレベル10以上だから、レベル9の僕は死んでも問題ない。


だから、装備を外すことにした。

濡れて張り付いた装備をつけるのは嫌だし、もしも足を滑らせたりして水中に沈んだとしたら、装備の重さで一気に沈んでしまうかもしれないし。


それに、死に戻りのことを調べた結果、僕だけが使える抜け道を思いついた。

ハピネス達に消えて欲しくないアイテムを持たせて人形の館(ドールハウス)に収納すれば『アイテムバッグ』にないから消失の対象にならないと思う。

収納した人形に命令すれば備品を置いたりできたはずだから、無駄に広くなった人形の館(ドールハウス)にたくさん物を置ける。

ただ、今の状態だと手に持てるサイズしか無理だから、ハピネス達で持てる袋とか欲しい。

今度うららさんに頼んでみよう。

とりあえず今は持たせる必要はないから、ハピネスとアザレアを収納するだけでいい。


人形の館(ドールハウス)。ハピネス、アザレア収納」


収納したら装備を操作して全部外してインナーになった。

Tシャツとレーシングパンツみたいなもので、結構しっかりした作りになってる。

装備はメニュー操作以外でも脱ぎ着できるけど、このインナーは無理なんだけど、水着イベントはないんだろうか。

水着を装備した時だけインナーが外れるのかもしれないけど。


「冷たっ!」


装備を外したので鉄の腕もアイテムバッグに入れてから水に足をつけたんだけど、思ったよりも冷たかった。

陽の当たらない空間だから冷たいんだと思うけど、ウェットスーツみたいな装備が欲しい。

今はないから気合いで行くけど。


「ふぅ〜〜……」


息を吐きながらゆっくりと進んで行く。

足には水の冷たさとツルツルした石の感触、揺蕩う水草が絡まってくる。

小魚は僕が移動するたびに遠くへ行くから捕まえるのは無理だと思う。

でも、一応やってみようかな。


繰り糸(マリオネット)


小魚を狙って糸を放つ。

水の中に糸が入ると波紋が広がり、その先にいた小魚に当たる。

まさか一回で成功するとは思わなかったけど、うまくいってよかった。

糸を短くすると魚が手元に来くるのでそれを掴みアイテムバッグに送る。


別に魚が欲しいわけじゃないけど、食材になりそうだから街に戻れば売れそうな気がする。

売れなくても屋台に持っていけば焼いてくれるかもしれないし、もう少し取ろうと思う。


ただ、ここからが難しかった。

1匹目と同じように糸を飛ばしたんだけど、何故か避けられるようになった。

よく釣られると針を警戒するのはわかるんだけど、ここには釣り人は来ないだろうし、そもそも針を垂らしてるわけじゃなくて直接狙ってるし。

糸の魔力を感じ取っていて、1匹目を捕まえた時点で敵として認識されたのかな。

スキルを使って糸が放たれた瞬間には移動されてるんだよね。


結果として2本糸を出すことで捕まえることができるようになった。

力技だけど放った糸をくっ付くまでに曲げるには距離が足りないから仕方ない。

飛んで行く途中で腕振ったり引っ張れば曲がるんだけど、先端まで力が伝わるまで時間がかかる。

腕を振りながら放つことで鞭のようにしなった糸を出せるんだけど、糸の先端を当てなければくっ付かないし、糸が当たった感触はあるらしく逃げられる。


あとは腕を突っ込んで至近距離で糸を出してみたんだけど、指先に魔力が集まった時点で逃げられるから、冷たい思いをしただけだった。


まぁ、上から下に放ってるから魚に当たらなくても石や水草に当たるし、それを手に入れてると思えばMPが無駄になってるわけじゃない。

石が沢山あれば腕を作れるだろうし、水草は何かポーションとかに使えると思う。

たぶん。


だから、この水も素材になるかと思ってポーションの空き瓶に汲んでアイテムバッグに入れた。

『澄んだ水』って名前のアイテムになったから、普通の水よりはいいと思う。

飲んでみたけど美味しいから料理にも使えそうだから、追加でMPポーションを飲んで更に汲んだ。


僕は料理スキルを持ってるわけじゃないけど、スキルがなくても現実と同じようにすれば料理できることは知ってる。

だから、裁縫スキルが無くても服を作ることはできるし、調薬スキルがなくてもポーション類は作れるらしい。

スキルはあくまで補助や効率化のためだ。


裁縫はまだわかるんだけど調薬をスキルなしでやるのは無茶だと思う。

レシピ通りにやればできそうだけどやりたいとは思わない。


浅いところで結構な時間漁みたいなことをしたので、そろそろ奥に進もうと思う。

アイテムバッグの魚も30匹を超えたし、石も99が2セットになった。

石は途中から手づかみで取るようにしたし、途中でマナポーションを飲んで水も汲んだから結構な量の水がある。


進んでいくにつれて水深が深くなり、今は腰まで水に浸かっている。

振り返ってみたけど、岸からは15mぐらい離れてる。

もう少し進んだら崖になって所のはずだけど……。


「うっ?!……ぶはっ!」


先を見すぎて足元にあった水草に気づかず、足を取られて転けた。

頭まで一気に濡れたしとても冷たかったけど、一度濡れたら諦めがついたから、潜ってみようと思う。

遠くから見たときはこの辺から暗さが増してたから、そろそろ崖だと思うんだけど。


「よし!やるぞ!」


気合いを入れて頭を突っ込み、体勢を低くする。

水中は僕が集めてた水底にあるキラキラ光る石のおかげで思ったより明るかった。

そして、探してた崖はもう少し先だったので、このまま水中を進んでみる。


今は魔力を出してないから魚も逃げず僕の近くで泳いでる。

魚は流れさえ乱さなければ逃げないみたいで、手を魚に近づけなければ一緒に泳げた。

これがもっと大きな魚だったり数が多ければインパクトがあるんだけど、残念ながら数匹しかいない。


水中で見るキラキラ光る石は綺麗なんだけど、アイテムバッグで見ても『水底の光る石』としか出なかったから何かよくわからないまま目印にしている。

魔力で光ってて魔石みたいな物だと思ったんだけど……鑑定スキル取ったほうがいいかな。

モンスターの名前もわからないから、ちょっと面倒なんだよ。

アイテムは街に戻った時に鑑定して貰えばいいんだろうけど、モンスターはどこかで情報貰えないかな。


「ごぼっ……」


光る石を見ながら水中を進んでいくと、いきなり光が消えて闇が広がった。

泳いでいた勢いのまま暗闇に飛び出したので、いきなりの変化と景色による恐怖で背筋がゾクッとして、思わず息を吐いた。


「ぶはっ……」


慌てて反転して光る石が見える水底まで戻り、立ち上がる。

ステータスバーを見ると、STが残り1桁にまで減っていた。

泳いだからだと思うけど、これが0になってたら泳げなくなって沈んでいったのかな。


とりあえずSTが回復するのを待ってから、続きを探索しよう。


水泳スキルを取得して入れば泳いでる最中のST消費が抑えられ、現実で泳げない場合はシステムによる姿勢制御での補正がかかります。

オキナは泳げるので問題ありませんでしたが、服を着たままだとSTの消費が早まるので、もしかしたら水底へ落ちる未来もあったかもしれません。


ダイビングでもたった1kg増えただけで沈みやすさが変わります。

水を吸うので服の有無は重要です。

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