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World Wide Wonderland –人形使いのVRMMO冒険記–  作者: 星砂糖
第1章 –World Wide(ログイン2日目)-
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岩山と地底湖

人形を使って離れた場所から攻撃して注意を引き、モンスターが寄ってきたら操作を解除してアイテムバッグに収納する。

これでうまくできるかわからないけど、人形じゃなくこっちに来たら繰り糸(マリオネット)を使って脱出すればいいし、その時に操作を解除すれば姿が人形も回収できる。

リスクは少ないから試す価値はあると思う。


人形の館(ドールハウス)。ハピネス収納。アザレア来い。同期操作(シンクロアクション)


遠くから攻撃するからハピネスとアザレアを入れ替え、アザレアに意識を移す。

繰り糸(マリオネット)でも良さそうなんだけど、ロックゴーレムは糸を殴って鉄の腕の軌道を逸らしたから、糸が見られて僕がバレるかもしれないからね。


アザレアの目線で僕の体を見る。

生い茂った草の中に座り込んでいて、周囲からは注意しないと見えない状態だった。

これなら大丈夫かな。


同期操作(シンクロアクション)の効果範囲は25m。

そこまで遠くまで行けないけど、注意を引くには十分な距離だ。

ただ、欲を言えば活動可能範囲を見えるようにしてほしい。

どこまで行けるかわからないから、見つからないように移動しながらどこまで進めるか調べないといけない。


段の壁沿いにある草むらの中を進みながら、ロックゴーレム達の様子を確認する。

こっちに気づいた様子はなく、黙々と岩を砕き、リトルロックゴーレムがそれを運んでいた。


振り返って体を見ると草でほとんど見えなかった。

だから、アザレアより遠いロックゴーレム達からは見えないと思う。

少し安心できた。


しゃがんで草むらを進んで行くと、いきなり前に進めなくなった。

戻ることはできたし、横に進もうとしたら少し内側に引っ張られるようになった。

もしかして25m進んだ?

目で見えない壁にぶつかるというより、背中に紐が付いていて、それを引っ張られる感じだ。

これは、普段繰り糸(マリオネット)で操作されているアザレア達もこんな感じなのかな。


これ以上進めないから、岩を運んでるリトルロックゴーレムをここから狙うことにした。

移動する隙を作れればいいから、奥で岩を砕いてるロックゴーレムを狙う必要はない。

リトルロックゴーレムの列をこっちに向けるだけでいい。


こっちに背中を向けているリトルロックゴーレムを狙ってボールを放つ。

今セットされている魔石は火の魔石だから、火球が飛んでいく。


火球は狙い通りリトルロックゴーレムに当たり、運んでいた岩を取落す。

そして、攻撃したリトルロックゴーレムが振り返ると同時に、他の岩を運んでいたリトルロックゴーレムも振り返った。


岩を持っているリトルロックゴーレム達はその場に岩を置き、向かって来る。

総勢20体を超えてるね。


岩を砕いていたロックゴーレムを見ると、岩を砕くのをやめたのが2体だけで、残りは気にせず岩を砕いているし、止めた2体もこっちを見ているだけで動く気配はない。

そして、リトルロックゴーレム達もゆっくりとこっちに向かって来てるから、もう少し引きつけたら同期操作(シンクロアクション)を解除する。

具体的にはメイスでリトルロックゴーレムを1発殴ったら。


徐々に距離を詰めて来るリトルロックゴーレムに対して上段にメイスを構える。

横振りだとバランスを崩しそうだから振り下ろすことにしたけど、攻撃したあとすぐにアイテムバッグに入るならどっちでもいいのかもしれない。


ロックゴーレムは跳んだり走ったりして来るのに、リトルロックゴーレムはゆっくりと歩いて来るだけなので、上段に構えて少し時間が経った頃、ようやく攻撃できる距離になった。

なので、メイスを全力で振り下ろし、先頭のリトルロックゴーレムにメイスが直撃したことを確認したので同期操作(シンクロアクション)を解除する。


「っ」



いきなり目の前に草がアップで現れたことに驚いたけど、何とか耐えて声はあげずに済んだ。


草むらから顔を出すと、アザレアの居た所にリトルロックゴーレムが密集していて、なぜかさらに奥へ進んでいる所だった。

姿が消えたから探すために奥に進んだのかな。


理由はわからないけど、置いた岩のところに戻って来る気配はなく、岩を砕くのをやめた2体のロックゴーレムは奥へと進んで行くリトルロックゴーレムを見てるようでこっちに注意を向けていない。

移動するなら今がチャンスだ。


念のためアイテムバッグを開いてアザレアが入っていることを確認してから草むらをゆっくりと出る。

近くに何もいないので、遠くのロックゴーレムを見たけど、気づいた様子はないのでできるだけ急いで移動した。


岩を運んでたリトルロックゴーレム達の向かってた先は小さなトンネルになっていて、ロックゴーレムだと通れない高さだった。

少し屈む必要があるので、急ぎつつも慎重に進む。


幸いトンネルの中にリトルロックゴーレムはいないので問題なく進むことができたんだけど、岩を運んだリトルロックゴーレム達はどこに行ったんだろう。

少なくとも戻って来たリトルロックゴーレムはいなかったと思うけど……。


「水の音が大きくなってきた」


トンネルを進んでいる時からずっと聞こえていた水の音が大きくなってたけど、トンネルを抜けたら更に大きくなった。

トンネルの先には大きな空間と砕かれた岩でできた山があるだけでパッと見ただけだと水場はないように見えるけど、更に進めば何かあるかもしれない。

そのためには通れる場所を探さないとダメだけど。


岩山を警戒しつつ、通って来たトンネルから離れる。

岩山は高さが5m以上あって、砕かれた岩でできているので広範囲に広範囲に広がってる。

もしもここからロックゴーレムが生まれるとしたら下手に近づけないし、観察するにしてもトンネルを出たところだと岩を運んで来たリトルロックゴーレムに見つかる。

だから、壁に沿って移動しながら採掘ポイントと通路を探すために右に進む。


壁沿いに進んで行くと壁に突き当たった。

それまでの壁沿いに採掘ポイントと通路はなく、モンスターもいなかった。

振り返ると岩山が結構小さく見えるからだいぶ歩いたと思うんだけど、何もないせいで少し怖くなって来るね。

あの岩山がボスモンスターになったらどうしよう。


ビクビクしながら次の壁沿いに進もうとしたところで、リトルロックゴーレム達が僕が通って来たトンネルから出て来て、岩を置き始めた。

そして、岩を置いたリトルロックゴーレム達は、僕から見て奥の方、つまりトンネルを出て左に向かって行った。

もしかしたら向こうにもトンネルがあって、さっきの場所に戻れるようになってるのかもしれない。

帰るときに探そう。


奥に消えて行くリトルロックゴーレムを見てたら気づいたんだけど、もしかしてここでならロックゴーレムに邪魔されずにリトルロックゴーレムと戦える?

そうしたら効率良く経験値は稼げるかもしれないけど、今はやらない。

やるとしたら岩山の正体がわかってからだ。

リトルロックゴーレムを攻撃した瞬間岩山からロックゴーレムが大量に出てきたら瞬殺されるからね。


リトルロックゴーレムに注意しつつ移動したんだけど、何も見つけることなく、また壁に突き当たった。

これを左に行ったらトンネルから見て岩山の向こう側に出ることになる。

リトルロックゴーレムに見つかる可能性が増えるけど行くしかない。


ランタンの光がリトルロックゴーレム達に見えないよう手で隠しながら進んで行く。

この壁沿いもまた何もなく、無事に岩山まで来ることができた。


裏から見た岩山は、トンネルを出たところから見たのと積んでる岩の形が違うだけで、特に何もなかった。

もしかしたら近づけば何か起きるかもしれないけど、今は探索を進める。


岩山を無視して壁沿いに進んで行くと大きな亀裂が見えてきた。

そこから水の音が聞こえてきている気がする。


亀裂に進む前に逆側を見ると、リトルロックゴーレム達が逆の壁に空いたトンネルを通っているのが見えた。

やっぱりリトルロックゴーレム達はトンネルを通って岩を置いて、別のトンネルを通って岩を取りに行ってるみたいだ。

トンネルを進んでる時に帰ってくるリトルロックゴーレムがいなかった理由はわかったんだけど、岩山の謎は解けない。

まぁ今は岩山よりも目の前の亀裂だけどね。


リトルロックゴーレムに見つからないように亀裂に向かい、そこを進む。

亀裂の横幅はロックゴーレムでも余裕で通れるほど大きく、壁を割ったように感じるぐらい高いところまで裂けている。

形は上が狭くて下が広いので通りやすい。

岩山をゴーレムにしてここを通らせるつもりなのかな。


奥行きは4、5m程ですぐに終わった。


「おぉ……地底湖だ……」


亀裂の先には更に空間が広がっていて、大きな滝と地底湖、上に登れそうな段になったところがあって、周囲の岩場にはゴツゴツした灰色の表皮の大きなトカゲがたくさんいた。


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