彼らの正体
気がつくと見知らない天井があった。
辺りを見回すと障子に人影が見えた。
私は布団から出て襖を開けると、そこには同い年くらいの少年がいた。
「あっ、起きた?てか、ケガ大丈夫か?」
怪我?あぁ、そう言われ見れば足がぴりぴりする。足に目をやると手当てしたあとがあった。
「手当て、どなたがやってくれたんですか?」
「あぁ、それはおれがやったー。てか、なんで真夜中に1人でいたんだ?餓鬼は家でちゃんと寝ろよ。」
「えっと、、、」
私が答に困っていると、
「あっ、そういえば土方さんのとこにつれていかねぇと‼」
そう言って私の手を引いてその部屋をあとにした。
しばらく歩くとある部屋の前で止まった。
「土方さーん。連れてきた。」
「あっ、平助か。入れ。」
部屋にはいると、7,8人くらいの男がいた。
「そいつが昨日の餓鬼?」
「お嬢様じゃん」
「何歳?」
「なんで山にいたんだ?」
など、一気にたくさんの質問をされた。困っていると、1人の土方と呼ばれている男が
「静かにしろっ‼」
思いっきり怒鳴るとみんなが黙った。
すると1人の男が
「まぁみんな、落ち着きなさい。」
一番偉そうなところに座っている男がそう言った。
「まずあなたの名前は?」
「鈴鹿です。」
「あなたは何故あの男たちに追われていたのですか?」
「森の中を歩いてたら、その男たちに遭いました。追われてはいません。」
「何故真夜中に森の中を歩いてたのですか?」
「えっと、、、」
私が答えるの渋っていると、土方と呼ばれていた男が
「先ほどお前によく似た餓鬼を探している奴らがいた。お前、何者だ?」
「えっと、、、」
「おい、隠しているんだったらこのままそいつらにお前を渡しても良いんだが」
「、、、私は山のなかにある屋敷に住んでいます。そこから逃げてくる途中であなた方に遭いました。」
「どうして逃げようと思ったんだ?」
「随分前から逃げたしたいと思っていたので。」
「両親は?」
「母上は亡くなりました。父上はどこかにいます。」
「そうか~。大変だったな。」
一番偉そうな男が感慨深そうにそう答えた。
「よし‼次に住むところが決まるまでここに住むといい。」
「おい、近藤さん‼」
一番偉そうな男が土方と呼ばれている男に注意されていた。
「歳!武士に二言はないぞ!」
「あーもう。わかったよ。」
「よし‼鈴鹿くん。次の住むところが決まるまではこの屯所を家と思うと良い。」
「ありがとうございます。それにしてもここは何処なんですか?」
「まさか、お前、知らないでいたのか?」
土方と呼ばれている男がぷるぷる震わせながら、信じられないと言わんばかりに聞いてきた。
「すみません。屋敷から出たことがほとんどないので」
「そうか、、、今まで苦労したのだな。」
近藤がまた憐れんだ表情で見てきた。
「おい、ここは新撰組の屯所だ。まさか新撰組まで知らないとか言わないだろうな?」
「すみません。新撰組も知らないです。」
「斎藤、説明してやれ」
斎藤と呼ばれた男は淡々と説明し始めた。そして、ここはどうやら京の都を守るところらしい。しかしほとんどボランティアのようなもので常に金欠らしい。それなら余計、私がいない方が家計が助かるのではないのか?しかし、私からしてみればここにおいてもらった方が家のものにばれにくいのでありがたいが、、、
「とりあえずお前、家事できるか?」
「掃除くらいしか。」
「お前、女なのに料理もできないのか?」
「すみません。自分の部屋とその前の庭くらいしか出たことがないので。」
「、、、監禁されていたのか?」
「別にそう言うわけではありませんが、、、」
「歳‼もういいだろう。平助、彼女を部屋へ。」
「了解。行こう。」
私は平助に着いていき、部屋をあとにした。
「着いたよ。とりあえずここにいて。食事は持ってくるから。なんかあったら外にいるから呼んで。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「それと、俺の事は平助って呼んでな‼お前の事は鈴鹿でいいか?」
「はい、問題ありません。」
「てか、タメ語にしよーぜ。これから一緒にいること多いだろうし。」
「いや、でも、、、」
「歳とか気にするなよ。10歳くらいちがくても気にするな‼」
「いや、歳は同じくらいですよね?それよりもタメ語を使ったことがほとんどないんで。」
「えー‼いや、どう考えても八歳くらいだろ‼」
「いえ、十六歳です。」
「そんな、、、」
「すみません。身体の成長が他より遅くて、、、」
「そうか、、、大変だったな。」
そう言って私の頭をなでた。
「兎に角、タメ語はちょっとずつ覚えてこうな。」
「、、、はい。」
「よし‼じゃあ外にいるからな~。」
こうして1人、部屋のなかで大人しくしていた。
結局は前と変わらないか、、、まぁ悪意を向けられないだけいいか。
こうして布団を敷いて浅い眠りについた。
「おい、あいつの事どう思う?」
土方が険しい顔で問いかけてきた。
「まぁ闇は深そうですよね。」
長身の男は楽しそうに答えた。
「おい、総司‼笑い事じゃないだろ!」
「はいはい、分かってますよ。」
総司と呼ばれた男は流すようにそう答えた。
「まぁとりあえず山崎くんは彼女を見張ってくれ。」
「御意。」
そう言って山崎と呼ばれた男は天井に消えた。
「みんなも餓鬼だからって甘く見るな」
「はい‼」
そう言って幹部たちは解散した。