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復讐劇  作者: Hide-Kaoru
7/9

策略

7.策略


訪れたのは城ノ宮大学。光たちが出てきた公園からは徒歩で20分ほどの距離にある。偏差値52のごく普通の国立大学だ。大学はまだ休業中ということもあり、いつもより人は少ない。

5人はキャンパス内を歩いて寮の近くにある古びた建物の中に入った。二階に上がり一番奥の部屋が光たちが日頃使っている部室だ。


「おじゃましまーす。」


部屋は凛華さんの言う通り散らかっていた。真ん中にテーブルが置かれソファが向き合っている。奥の机にはパソコンが2台あり、本棚には漫画本や科学、その他いろんなジャンルの本が並んでいる。アニメキャラのフィギュアも多数飾られている。


「散らかっててゴメンね。さあ、座って。」


光がソファに置いてある読みかけの漫画本や雑貨をよけて空に促した。


「はい、空君。オレンジジュースね。それからお菓子もどうぞ。」


凛華は空の前に置いた。各々コップに飲み物をよそいで、空の隣に結愛と凛華が座り、光の隣には龍我が座った。


「ありがとうございます。そういえば、光さんのサークルって何をやってるんですか?」


「主に人助けかな。種類はいろいろ。ボランティアに参加したり、勉強教えたり、人生相談したり…。」


「へえー、なんか面白そうですね。」


「とてもやりがいのある活動だと思っているよ。サークルのことはこれくらいにして早速、色々と考えてみよう。」


光はA4のレポート用紙とペンを用意した。


「さて、まずは空君が月曜日に殺されるかもしれないということについてまとめよう。」


そう言って光は再度空に説明をしてもらい、紙に箇条書きで情報を書いていく。


「……うーん。要するに放課後呼び出して、河川敷でリンチして、とどめを一君が指すってことか。河川敷っていうとこの街には一つしか川が流れていないから分かりやすいね。…そこで、俺の考えとしては一君と他の奴らを引き離したい。」


「どうしてだ?わざわざ引き離す必要なんてねえよ。リンチしてるところ見つけたら即効でぶっ飛ばすべきだぜ!」


龍我が拳を握り熱くなる。


「ぶっ飛ばすのも分かる。だけど俺はこの神山 一という一人の人間と話がしたい。結果がどうなろうとこの子は俺が何とかするさ。残りの四人は龍我に任せたい。おそらく喧嘩沙汰になるだろうからお前にはうってつけだろ?」


「そ、そうか?……うん!そうだな!俺はやれることをやるだけだ!」


納得したように龍我は腕を組んで静かになった。凛華がコーラを飲んで、口を開く。


「どうやって引き離すか…。空君には申し訳ないけど月曜日にまた同じように接するふりをしてそのリンチする場所で私達が登場するってのはどう?そして、なんとかして一君と光だけにするよう他の奴らをこっちに誘導する。」


「でもさー、そんなに上手くいくと思う?一君て頭いいんでしょ?当日場所とか変えられたら私たちおわりだよ。」


結愛はポテトチップスをつまみながら喋る。


「たぶんそれは大丈夫だと思います。僕が携帯を覗いたことはバレてなさそうですし、一君が不安とか疑問さえ感じなければ変えることはないと思います。」


「それなら、良いけどね。考えすぎだったかも。」


「じゃあ、とりあえず凛華さんの作戦で行こう。人成と玲亜さんには俺から伝えておくよ。空君には月曜日、いつも通り奴らと接してもらうけどそれで良いかい?」


「もちろんです。」


「それと、月曜日は何があっても必ず助けるから俺たちを信じていてほしい。」


「当然です。信じてますよ!」


空は笑顔で答えた。


「ありがとう。えーと、あとは、この健二君と弘毅君、誠也君について考えておこう。」


「どうでもいい事かもしれないですけど健二くんはある不良に憧れて自分も不良になったって言ってました。その人に会うためにやってるとか、なんとか。」


「へー、そうなんだ。なかなか面白いね。」


「あとは弘毅くんと誠也くんが幼馴染みですかね。これくらいしか分かりません。」


「うんうん。大丈夫だよ、ありがとう。」


そのあとも空はわかることを色々話した。そのうち雑談になって、お互いに打ち解けて連絡先も一応交換しておいた。


「あの、僕そろそろ帰りますね。今日はありがとうございました。」


「いやいや、こちらこそ。夜に俺の方から空君に電話かけるかも知れないからそのときは出てね。」


「結愛さんはとても幸せだったよ。空君いつでも来ていいからね♪」


「じゃあ、あたしが家まで送ってくよ。」


凛華がそう言って車のキーを出す。


「空!気を付けて帰れよー!」


二人が部室から出ていくと、光が口を開いた。


「二人とも聞いてくれるか?少し作戦を変えたいと思う。」


光は龍我と結愛に自分の作戦を話した。それを聞いて二人とも驚いた。


「いやいやいや!光君!そんなに上手くいくかな!?確かにそれだと、引き離すのは手っ取り早いけど…。」


「それに一の野郎には会ったこともないのにそいつの考えの裏をかかなくちゃいけねえ。成功できんのか?」


「上手くいくさ。空君の弱味を最大限に活かす。人成に頼めばなんとかしてくれるよ。あとは、一君が勝手に動くからね。凛華さんには戻ってきたら伝えておく。このこと、空君には内緒にしておいてね。そうじゃないとダメだからさ。」


光は携帯を取り出し人成に電話をして、その旨を伝えた。


「……そう、うん。じゃあ頼んだよ。…よし!これでオッケー。あとは二人の報告を待つだけだ。」

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